近年、帯状疱疹と認知症の間に想像以上に深い関係があるという報告がいくつかあります。帯状疱疹は痛みだけでなく、体力や生活の質に大きな打撃を与える感染症です。
また、高齢者にとって記憶力や判断力などの認知機能を保つことは重要です。
この記事では、帯状疱疹と認知症がどのようにつながっているのか、ワクチン接種により認知機能維持を期待できる理由は何か、さらに訪問診療でのワクチン接種を検討する際のポイントなどを、多角的に紹介します。
帯状疱疹の基礎知識と高齢者への影響
帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因となって発症し、高齢者の生活に大きな負担を与える可能性があります。
さらに、体力や健康状態が低下しやすい高齢者ほど重症化しやすい傾向があり、生活の質にも影響が及ぶことがあります。
まずは帯状疱疹の基本的なメカニズムや症状、そして高齢者にとってどのようなリスクがあるかを整理します。
帯状疱疹とは何か – 水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化
帯状疱疹は子どもの頃に感染した水痘(いわゆる水ぼうそう)の原因となるウイルスが、体内に潜伏し続けた後に再活性化することで発症します。
若い頃に免疫がしっかり機能している場合は、ウイルスが大きく活動せずに静かにしている場合が多いです。
しかし高齢になり免疫反応が弱くなると、ウイルスが活動を始め、皮膚の神経に沿って赤い発疹や水疱、激しい痛みなどの症状を引き起こします。
ウイルスが再活性化するメカニズムは、ストレスや疲労、加齢による免疫力低下など複合的な要因によります。
一度かかると皮疹や疼痛が1カ月程度続き、日常生活に支障をきたすほど強い痛みを感じることもあります。
高齢者が帯状疱疹を発症するリスク要因
高齢になると、加齢そのものが免疫機能の低下につながり、帯状疱疹を発症しやすくなります。加えて、以下の要因が重なるとさらにリスクが高まるといわれています。
- 長期的な疲労状態や不眠が続いている
- 糖尿病など慢性疾患があり血糖コントロールが乱れがち
- がん治療による化学療法や放射線療法を受けている
- 日常的に強いストレスを抱えている
こうした背景を持つ高齢者の場合、帯状疱疹の予防策を強く意識する必要があります。
帯状疱疹の典型的な症状と合併症
帯状疱疹は体幹部や顔面に一方的に生じる赤い発疹や、水疱を伴う強い痛みが特徴です。症状が出始めると数日以内に痛みが増し、その後、発疹がかさぶた状になっていきます。
高齢者では回復に時間がかかりやすく、皮膚の症状が治まっても神経痛が残ることも多いです。
さらに、合併症として次のような問題が起こる可能性があります。
- 角膜炎や視力低下(眼やその周囲に症状が出た場合)
- 聴覚障害や顔面神経麻痺(耳の周囲に症状が出た場合)
- 脊髄や脳にウイルスが広がることによる神経障害
合併症が起こると治療も長期化するため、早めの対応が重要だと考えられています。
帯状疱疹後神経痛(PHN)が高齢者のQOLに与える影響
帯状疱疹の痛みは皮膚症状だけでなく、その後に残る神経痛が大きな問題となります。帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia; PHN)は、高齢者の生活に深刻な影響を与えます。
夜間の痛みで睡眠の質が落ちる、痛みを恐れて外出や運動を避けるなど、心身の活動レベルが低下しやすくなります。
活動レベルの低下が長期に及ぶと、認知機能の衰えや筋力の弱体化につながり、結果として要介護状態のリスクが増すことも報告されています。
そのため、予防の段階でワクチン接種を考慮したり、帯状疱疹になった場合は早期治療によって神経痛が慢性化しないようにする取り組みが大切です。
免疫力低下と帯状疱疹発症の関連性
帯状疱疹を発症する背景として、免疫力の低下が大きく関与すると考えられています。
日頃の生活習慣や持病の管理が不十分になると、体を守る力が弱まり、体内で潜伏していたウイルスが動きやすくなります。以下のような状態にならないよう気をつけるようにしましょう。
- 十分な栄養補給ができていない
- 運動習慣が少ない
- 精神的ストレスや孤独感が強い
- 睡眠時間や睡眠の質が著しく不足している
健康な生活を意識して免疫力を高めることは、帯状疱疹だけでなく他の感染症予防にも大きく役立つと考えられています。
近年の研究が示す帯状疱疹と認知症の関連性
帯状疱疹は皮膚や神経だけの問題だと思い込まれがちですが、実は脳への影響についての研究が盛り上がっています。
高齢者の帯状疱疹発症率が上昇していることもあり、科学者や医療関係者の関心が集まっている分野です。ここでは具体的な研究データに基づき、認知症リスクとの関係を見ていきます。
水痘・帯状疱疹ウイルスと脳への影響に関する新しい知見
水痘・帯状疱疹ウイルスは神経組織に潜伏する性質があります。脊髄や末梢神経だけでなく、一部は中枢神経系にも影響を及ぼす場合があるため、脳の炎症や血管障害を引き起こす可能性があります。
特に体調が悪い時にウイルスが活動すると、全身への影響だけでなく、脳内の細胞障害も危惧されます。
研究者の中には、帯状疱疹による炎症が脳内の神経変性を助長する恐れがあると指摘する意見もあります。
脳内で微小炎症がくすぶる状態が長く続くと、アルツハイマー型認知症や血管性認知症のリスクを高める可能性があると考える研究者が少なくありません。
英国ウェールズでの大規模研究結果(Nature誌2025年4月発表)
2025年4月にNature誌に公表された英国ウェールズでの大規模研究では、65歳以上の約10万人を対象に帯状疱疹の発症歴と認知症発症リスクとの関連を調査しました。
研究チームは電子カルテや国民医療データを活用し、約10年間にわたる経過を分析し、多面的な要素を加味しながら統計解析を行いました。
次のような結果が報告されています。
| 観察項目 | 主な結果 |
|---|---|
| 帯状疱疹発症歴の有無 | 帯状疱疹既往がある群の方が認知症発症率が高い傾向があった |
| 年齢・性別による差異 | 男性より女性の方がややリスク上昇が顕著 |
| 帯状疱疹後神経痛の有無 | PHNを経験している群でさらにリスクが高かった |
このデータは、帯状疱疹を経験した高齢者の認知症リスクが高まる可能性を示しています。また、女性でやや強めに効果が出ているようです。
ただし、どのようなメカニズムで認知機能が低下するのか明確ではない部分もあるため、事実関係としては間違いはありませんが、因果関係としては不明であり、さらなる検証が必要とされています。
認知症リスク20%低下の衝撃的データ
一方で、ウェールズの同研究では興味深い事実も示しています。
帯状疱疹を発症していない高齢者グループで、帯状疱疹ワクチンを接種していた人たちは、認知症発症リスクが約20%低下していたという結果が得られています。
これに関して研究者は、ワクチンによって誘発される免疫反応が脳にも良い影響を与えているのではないかと考えています。
具体的には、帯状疱疹ワクチンによって強化された免疫応答が、脳内の微小炎症を抑える働きをサポートしている可能性があります。
認知症の発症は一つの要因では説明しきれず、複数の要素が絡み合うと考えられています。その一助として、ウイルス関連の炎症を抑制する効果が寄与しているのかもしれません。
ヘルペスウイルス感染と認知症発症リスクの関係
帯状疱疹の原因ウイルスだけでなく、ヘルペスウイルス群全般に認知機能への影響がある可能性が示唆されています。
単純ヘルペスウイルス(HSV)やサイトメガロウイルス(CMV)なども、脳内に微小炎症を引き起こすケースがあるからです。
これらのウイルスを完全に排除することは困難ですが、ワクチンや適切な治療を行うことで、再活性化のリスクを抑えられる可能性があります。また、組換えワクチンのほうが認知症リスク低下と関連とするNature Medicine(2024)の観察研究もあります。
脳を守るためには、健康を保つだけでなく、ウイルス対策を具体的に考えることも大切です。
高齢者が帯状疱疹ワクチンを受けることの意味は、帯状疱疹そのものの予防だけでなく、脳の健康を守る一手段として考える価値があるでしょう。
帯状疱疹ワクチンの種類と効果
帯状疱疹ワクチンは、高齢者や健康状態の低下した方にとって重要な予防策のひとつです。ワクチンと一口に言っても、開発された方法や使用する成分によって複数の種類があります。
ここでは、それぞれの特徴や効果を整理します。
日本で使用可能な帯状疱疹ワクチンの種類
日本で接種できる帯状疱疹ワクチンには、主に2種類あります。1つは弱毒化した水痘ウイルスを利用したもの、もう1つは組換えタンパク質ワクチンです。
それぞれの接種対象や効果、免疫持続期間が異なります。
下記のように区別されます。
| ワクチンの種類 | 特長と使用条件 |
|---|---|
| 弱毒生ワクチン | 生きたウイルスを弱めて使用。1回接種で効果が期待できる。免疫力が低い方には注意が必要 |
| 組換えタンパク質ワクチン (シングリックス) | ウイルスの一部タンパク質を利用。2回接種が基本。免疫力が弱い方でも安心感がある |
どちらも帯状疱疹の発症や重症化リスクを減らす点で大きな効果があるといわれています。ただし、体調や基礎疾患の有無、医師の判断などによって接種するタイプを選ぶことになります。
各ワクチンの予防効果と持続期間の比較
弱毒生ワクチンと組換えタンパク質ワクチンでは、予防効果の持続期間にも違いがあります。
一般的には、組換えタンパク質ワクチンの方が持続期間が長い傾向がある一方、1回接種で済む弱毒生ワクチンの利便性が支持される場合もあります。
厚生労働省や各医療学会は、個々人の健康状態や年齢、基礎疾患の有無に応じた選択が望ましいと説明しています。
どちらのワクチンも接種後しばらくすると抗体価が上昇し、帯状疱疹の発症頻度や重症化のリスクを抑える働きが期待できます。
ここで、2種類のワクチンによる予防効果の概要をまとめます。
| ワクチンタイプ | 発症予防効果 | 推定効果持続期間 |
|---|---|---|
| 弱毒生ワクチン | 約50~60% | 5年程度だが、有効性の減退が早いとの報告がある |
| 組換えタンパク質ワクチン (シングリックス) | 約90% | 10年近い持続データが蓄積 |
予防効果に差がありますが、それぞれの安全性や費用面も含めて主治医と相談することが大切です。
帯状疱疹ワクチンの安全性と副反応
どのワクチンでも副反応がゼロになることはありませんが、帯状疱疹ワクチンは比較的安全性が高いと考えられています。接種部位の痛み、腫れ、発赤などが起こる場合がありますが、多くは軽度です。
まれに発熱や倦怠感など全身症状が出ることもあります。
重篤な副反応の報告は非常に少なく、適切な予診や体調チェックを行ったうえで接種を受ける場合、リスクは低いといえます。
基礎疾患のある方や免疫力が大きく落ちている方は、接種のタイミングや種類の選定に注意が必要です。
2025年4月から始まった高齢者定期接種制度の概要
2025年4月から、高齢者向けの帯状疱疹ワクチン定期接種制度がスタートしました。65歳以上の方が対象で、医療機関にて指定の手続きを経ることで費用負担が軽減されます。
この制度は帯状疱疹の発症を減らすだけでなく、合併症や介護負担を軽減する狙いもあります。
主なポイントを以下にまとめます。
- 基本は65歳を迎える方が接種対象者であり、2029年までは経過措置
- 自治体による費用助成あり
- 免疫力や健康状態に応じて生ワクチンか組換えタンパク質ワクチンかを選べる
- かかりつけ医や訪問診療医に相談し、予約制で接種が可能
この制度のおかげで、費用面のハードルが下がり、接種の機会を得やすくなっています。
帯状疱疹ワクチン接種による認知症予防の可能性
帯状疱疹ワクチンを接種する目的は、もちろん帯状疱疹の予防や重症化回避ですが、研究によって認知症リスクの低減も示唆されています。
免疫システムと脳機能には密接な関わりがあるため、ワクチンによる体内の免疫応答が脳にもプラスに作用しているのではないかと考えられています。
ワクチン接種による認知症リスク低減のメカニズム
免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から身体を守るだけでなく、体内の異常を監視して炎症をコントロールする働きも担っています。
帯状疱疹ワクチンで免疫が強化されると、ウイルスの再活性化を抑制するだけでなく、脳内に潜在的に存在する炎症反応を抑えやすくなる可能性があると指摘されています。
脳内で継続的に炎症が起こると、神経細胞のダメージが進行しやすくなり、認知機能低下に結びつきやすくなります。
帯状疱疹ワクチンは、直接的に脳を守る薬ではありませんが、全身状態を整えることで脳の健康にも良い影響を与えると考えられています。
認知症発症リスク低下の具体的数値
さまざまな研究データからは、帯状疱疹ワクチンを接種した高齢者が認知症になるリスクが数%~20%程度下がる可能性があると示されています。
個人差や研究デザイン、追跡期間によって数値は前後しますが、全体として「ワクチン接種が認知症リスクの軽減に寄与するかもしれない」という方向性は一致しています。
下記は複数の研究結果から導き出された概算の範囲です。
| 研究地域 | 対象人数 | ワクチン接種後の認知症リスク低減率(目安) |
|---|---|---|
| 北米(複数州) | 約5万人 | 5~15% |
| 欧州(主に英国と北欧) | 約3万人 | 10~20% |
| アジア(日本含む) | 約2万人 | 5~10% |
ワクチン接種だけですべてのリスクを抑え込めるわけではありませんが、複合的な予防策の1つとして注目を集めています。
ワクチン接種による認知機能維持期間の延長効果
認知機能の低下は徐々に進行するため、予防や維持策を講じる時期が早いほど効果的とされています。
帯状疱疹ワクチンによって脳内の炎症を抑制し、認知機能の低下を遅らせることで、自立した生活を送る期間が延びる可能性があります。
健康な状態を維持していると、社会活動にも積極的に参加しやすくなります。
結果として、他者との関わりや適度な刺激を得やすくなり、さらに認知機能の維持に良い影響を与える好循環が期待できます。
他の感染症ワクチンとの比較における帯状疱疹ワクチンの特徴
高齢者に推奨されるワクチンには、インフルエンザや肺炎球菌などもあります。いずれも重症化予防に効果があり、総合的な健康維持に役立ちます。
帯状疱疹ワクチンは皮膚や神経を直接守るだけでなく、脳内の炎症を抑える可能性がある点が注目されています。
また、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンにも、認知症発症を抑える可能性が指摘された研究があります。
複数の感染症ワクチンを適切に利用することで、複合的に身体を守り、結果として認知機能維持にも貢献できるという見方が広がっています。
訪問診療における帯状疱疹ワクチン接種と認知症予防
体力や病状などの理由で通院が難しい高齢者にとって、訪問診療は重要な選択肢です。
外来通院よりも家族の負担が軽減されるだけでなく、在宅医療チームが生活環境を直接確認できるため、個々の状態に合ったケアが行いやすいという利点があります。
帯状疱疹ワクチン接種も、その流れの中で実施が期待されています。
在宅高齢者に対するワクチン接種の重要性
在宅で生活する高齢者は、通院がままならないことから、必要な医療サービスを受けにくい傾向があります。その結果、感染症予防や定期的な検診などを見落としがちになります。
帯状疱疹は発症すると強い痛みで移動が難しくなり、在宅生活の継続が困難になるリスクも高まります。
在宅高齢者にとってワクチン接種が望ましい理由を整理すると、以下のような点が挙げられます。
- 重症化を未然に防ぐ
- 通院頻度を減らす
- 自宅での生活の質を維持しやすくする
- 認知機能の低下を予防する可能性がある
訪問診療での帯状疱疹ワクチン接種の実際
訪問診療を行う医師や看護師が、対象者の体調や日常生活動作を確認しながら、必要と判断した場合は帯状疱疹ワクチン接種を提案します。
接種前には、過去のワクチン歴やアレルギー歴、基礎疾患などについて詳しくヒアリングを行い、本人や家族に接種の利点やリスクを説明したうえで同意を得ます。
接種当日は、通常の診察時に体温測定や問診を行い、安全に接種できることを確認します。ワクチンの保管や取り扱いにも注意が必要です。
訪問チームは適切な温度管理のもとでワクチンを運搬し、その場で接種を行います。接種後、一定時間は健康状態を観察し、急性の副反応が起きないかを確認して終了となります。
介護施設入居者へのワクチン接種推進策
介護施設では集団生活を送るため、感染症が広がりやすい環境になりがちです。
帯状疱疹は飛沫感染のリスクこそ低いものの、ウイルスが水疱から接触感染する可能性があり、免疫が弱い入所者には大きな脅威となります。
施設側は帯状疱疹ワクチン接種を積極的に推奨し、集団的な感染対策に取り組む必要があります。
施設によっては、医療機関と連携してワクチン接種の集団日を設けたり、専門医を招いて個別に予防接種を実施したりするなどの工夫が行われています。
家族と本人が納得したうえで接種を受ける仕組みづくりが大切です。
家族や介護者への啓発ポイント
帯状疱疹や認知症の予防に関して、家族や介護者が理解を深めておくことも重要です。
本人が痛みを訴えにくい場合や症状の変化に気づきにくいケースがあるため、周囲が注意深く観察する必要があります。
- 皮膚の発疹や違和感に早期に気づく
- 生活リズムや食事内容の変化がないか確認する
- 家族間で介護情報を共有し、迅速に受診できるように協力する
- ワクチン接種の計画を立てる際、通院が難しければ訪問診療を検討する
このような取り組みを積み重ねることで、帯状疱疹や認知症の早期対応が可能になりやすくなります。
今後の展望と患者さんへのアドバイス
帯状疱疹と認知症の関連やワクチン接種の効果に関して、多くの研究が進んでいます。
高齢者やその家族が得られる情報も増えてきていますが、どの情報を信頼し、どのタイミングで行動すればよいのか悩むことも多いかもしれません。
ここでは、総合的に予防や対策を考えるうえでのヒントや、当院での支援体制について紹介します。
帯状疱疹・認知症予防における総合的アプローチ
帯状疱疹や認知症を含む病気の予防には、複数の要素が関係します。
ワクチン接種だけでなく、体を良い状態に保つ生活習慣や早期発見のための定期検診、ストレス管理などの取り組みを組み合わせることが大切です。
特に認知症は、軽度な段階で対策を始めれば、進行を遅らせる可能性があります。
次のような視点を持つと総合的に取り組みやすくなります。
- バランスの取れた食事と適度な運動
- 社会活動や家族・友人とのコミュニケーション
- 十分な睡眠と休養
- ワクチンを含む定期的な健康管理
- 必要な場合は訪問診療や介護サービスの活用
本人や家族だけで悩まず、かかりつけ医や専門医、地域包括支援センターに相談することも有用です。
ワクチン接種の理想的なタイミングと対象者
帯状疱疹ワクチンの接種は、65歳以上であれば基本的にいつでも検討できますが、免疫状態や持病の有無を踏まえて実施時期を考えることが望ましいです。
たとえば慢性疾患の治療中で体調が不安定な場合は、主治医と相談して落ち着いたタイミングで接種するケースがあります。
また、介護施設や在宅療養中の方も、感染症リスクを軽減するうえで接種を前向きに考える価値があります。
家族が付き添いをして外来通院するのが難しい場合でも、訪問診療での接種が可能かどうか確認してみるとよいでしょう。
下記に、接種を検討するうえで重視したい項目を示します。
| 検討項目 | 確認や考慮したいポイント |
|---|---|
| 年齢 | 65歳以上を推奨年齢とする制度がある |
| 基礎疾患 | 糖尿病やがん治療中の場合、主治医と協議 |
| 免疫状態 | 医師の診察や血液検査などで把握する |
| 生活環境 | 訪問診療や介護施設での接種が適応可能か |
| 経済的負担 | 公的助成や自治体支援制度の活用を検討 |
これからの研究動向と今後の方向性
帯状疱疹ワクチン接種と認知症リスク低減の関係は、今後さらに多面的に検証が進むと予想されています。
大規模な臨床試験や長期追跡調査などを通じて、ワクチンがもたらす利益や副作用、認知症の発症率との関係がより詳しく明らかになる可能性があります。
科学的エビデンスが積み重なることで、高齢者が安心して生活を送るための選択肢として、帯状疱疹ワクチン接種がより広く認識されることが期待されます。
よくある質問
帯状疱疹と認知症の関係やワクチン接種に関する疑問は、患者さんご本人はもちろん、家族や介護者からもよく寄せられます。代表的なものを紹介します。
- 帯状疱疹ワクチンを接種したら必ず認知症予防になるのでしょうか?
-
必ずとは言い切れませんが、複数の研究で認知症発症リスクが下がる可能性が示唆されています。
予防効果には個人差がありますし、認知症は複数の要因が関与するため、生活習慣の改善など他のケアと合わせて取り組むことが大切です。
- ワクチン接種のタイミングはいつがいいのでしょうか?
-
65歳以上が推奨年齢ですが、免疫力や基礎疾患の有無によっては早めに検討する場合もあります。体調が安定した状態で接種することを推奨します。
- 生ワクチンと組換えタンパク質ワクチンのどちらを選べばいいですか?
-
生ワクチンは1回接種で済む利点があり、組換えタンパク質ワクチンは免疫力が低下している方にも使いやすいと考えられています。主治医と相談して選ぶとよいでしょう。
- 訪問診療でも追加料金などはかかりますか?
-
自治体や保険の制度によって異なります。費用助成制度の対象かどうか、かかりつけ医や自治体窓口に確認してみましょう。
- ワクチンを打った後に副反応が出た場合、どうすればいいですか?
-
接種後の痛みや腫れなどは多くの場合軽度で、数日以内に落ち着きます。発熱や全身の強い症状がある場合は医療機関に相談してください。
訪問診療の場合でも電話などで対応し、必要があれば往診を行います。
今回の内容が皆様のお役に立ちますように。

