誰が訪問診療の対象になるのか – ご家族やケアスタッフが知るべき判断基準

誰が訪問診療の対象になるのか - ご家族やケアスタッフが知るべき判断基準

ご自宅で療養生活を送る上で、医療機関への通院が難しくなることがあります。そのような場合に、医師が定期的にご自宅を訪問し、診療や治療、健康管理を行うのが訪問診療です。

この記事では、どのような方が訪問診療の対象となるのか、その判断基準や具体的なケースについて、ご家族やケアスタッフの皆様が理解を深められるよう詳しく解説します。

訪問診療を検討する際の一助となれば幸いです。

目次

訪問診療の対象者と判断基準

訪問診療は、患者さんが住み慣れた環境で安心して医療を受けられるようにするための重要な選択肢です。しかし、誰もが利用できるわけではなく、一定の基準があります。

ここでは、訪問診療の対象となる方々の状態や、医師がどのように必要性を判断するのかについて説明します。

通院困難な状態とは何か

訪問診療の最も基本的な対象者は、「通院が困難な方」です。では、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。単に「通院が面倒」という理由だけでは対象となりません。

医学的な観点から、通院によって病状が悪化するリスクがある、あるいは身体的な機能低下により通院自体が極めて難しい状態を指します。

通院困難と判断される主な理由

理由の分類具体例補足
身体的機能の低下寝たきり、重度の麻痺、歩行困難介助があっても外出が難しい場合など
重度の疾患末期がん、重い心臓病や呼吸器疾患外出自体が身体に大きな負担となる場合
認知症の進行徘徊、環境変化への不適応安全な通院が確保できない場合

これらの状態は一例であり、個々の患者さんの状況によって総合的に判断します。

例えば、認知症が進行し、慣れない場所へ行くこと自体が大きなストレスとなり、症状の悪化を招く可能性がある場合も通院困難と判断することがあります。

医師による訪問診療の必要性判断

最終的に訪問診療の必要性を判断するのは医師です。患者さんご本人やご家族からの希望があった場合でも、医師が診察や情報収集を通じて、医学的な観点から訪問診療が適切かどうかを判断します。

この判断には、患者さんの病状、ADL(日常生活動作)、介護状況、生活環境などが総合的に考慮されます。

医師は、まず患者さんの現在の病状や治療歴、服用中の薬などを確認します。その上で、通院が本当に困難なのか、在宅での医療管理が医学的に見て妥当なのかを評価します。

例えば、専門的な検査や治療が頻繁に必要な場合は、訪問診療だけでは対応が難しく、入院や通院を優先すべきと判断することもあります。

医師が確認する主なポイント

  • 現在の病状と今後の見通し
  • 通院による身体的・精神的負担の程度
  • 在宅で提供可能な医療の範囲
  • ご家族や介護者の協力体制

これらの情報を基に、医師は患者さんにとって最も良い医療の形を提案します。訪問診療が適切と判断された場合、具体的な診療計画を立てていきます。

年齢や疾患による制限はあるのか

訪問診療の対象となるのに、年齢や特定の疾患による明確な制限は原則としてありません。

乳幼児から高齢者まで、また、がん、脳血管疾患、神経難病、認知症、精神疾患など、様々な疾患を持つ方が対象となり得ます。

重要なのは、年齢や病名ではなく、「通院が困難である」という状態と、「在宅での療養を希望し、医学的管理が必要である」という点です。

ただし、疾患の種類や状態によっては、専門性の高い医療機関との連携が必要になる場合があります。

例えば、特殊な治療法や専門的な検査が必要な場合、訪問診療医が主治医となりつつも、専門医と情報を共有し、連携しながら治療を進める形をとることが一般的です。

この連携により、在宅でも質の高い医療の提供を目指します。

疾患別の訪問診療ニーズ例

疾患群主なニーズ訪問診療での対応
がん(終末期以外も含む)疼痛管理、化学療法の副作用管理、栄養管理症状緩和、精神的サポート
脳血管疾患後遺症リハビリテーション連携、痙縮管理、再発予防定期的な診察、薬物療法
神経難病呼吸管理、嚥下機能評価、コミュニケーション支援進行に合わせたケア計画

自力での通院可能性の評価基準

「自力での通院可能性」を評価する際には、単に歩けるかどうかだけでなく、様々な側面から検討します。例えば、公共交通機関を利用できるか、家族の送迎が可能か、タクシーを利用できる経済的状況かなども考慮要素となります。

しかし、訪問診療の文脈では、これらの社会的な条件よりも医学的な観点からの評価が優先されます。

医学的な評価基準としては、以下のような点が挙げられます。

  • 外出に伴う転倒リスクの高さ
  • 移動中の体調急変の可能性
  • 医療機器(酸素ボンベなど)の携帯の必要性と困難さ
  • 認知機能の低下による道迷いや混乱のリスク

これらの要素を総合的に評価し、患者さんが安全かつ安心して医療機関へ到達できるかどうかを判断します。

たとえご家族の協力が得られる場合でも、患者さん自身の身体的・精神的負担が大きいと判断されれば、訪問診療の対象となることがあります。

医療的ニーズからみた訪問診療の対象者

訪問診療は、通院が困難な方々の中でも、特に継続的な医療的ケアを必要とする方々にとって重要な役割を果たします。

ここでは、具体的な医療的ニーズを持つ患者さんがどのように訪問診療の対象となるのかを解説します。

末期がん患者と緩和ケアが必要な方

末期がんの患者さんで、痛みやその他の苦痛症状の緩和を必要とする方は、訪問診療の重要な対象者です。

住み慣れた自宅で、できる限り安楽に過ごしたいという希望を叶えるために、訪問診療医は疼痛管理(医療用麻薬の使用を含む)、呼吸困難感の緩和、吐き気や倦怠感の軽減など、積極的な症状緩和を行います。

また、患者さんだけでなく、ご家族の精神的なサポートも重要な役割です。この時期のケアは、患者さんのQOL(生活の質)を維持・向上させることを最優先とします。

緩和ケアにおける訪問診療の役割

ケア内容具体的な支援
疼痛管理内服薬、貼付薬、注射薬などによる痛みのコントロール
その他の症状緩和呼吸困難、嘔気・嘔吐、便秘、不眠などへの対応
精神的サポート患者さんとご家族の不安や悩みの傾聴、心理的ケア

認知症患者への対応と支援

認知症が進行すると、環境の変化への適応が難しくなったり、通院自体を拒否されたりすることがあります。また、徘徊やせん妄などの行動・心理症状(BPSD)により、ご家族の介護負担が増大することも少なくありません。

このような認知症患者さんに対して、訪問診療は大きな支えとなります。

訪問診療医は、定期的な訪問を通じて患者さんの状態を把握し、認知症の進行を緩やかにするための薬物療法や、BPSDに対する適切なアドバイスを行います。

また、介護保険サービスとの連携を密にし、デイサービスやショートステイの利用、福祉用具の導入などを提案することで、ご家族の負担軽減も図ります。患者さんが穏やかに在宅生活を継続できるよう、多角的な支援を行います。

褥瘡など慢性的な処置が必要な方

寝たきりの状態が続くと、褥瘡(床ずれ)が発生しやすくなります。褥瘡は一度発生すると治癒に時間がかかり、専門的な処置が必要です。

また、気管切開後のカニューレ交換、胃ろうや腸ろうの管理、膀胱留置カテーテルの交換など、定期的な医療処置が必要な方も訪問診療の対象となります。

これらの処置は、医療機関への通院が困難な患者さんにとっては大きな負担です。訪問診療では、医師や同行する看護師がご自宅でこれらの処置を行います。

これにより、患者さんは通院の負担なく、必要な医療ケアを受けることができます。また、ご家族に対しては、日常的なケアの方法や注意点について指導を行い、在宅療養をサポートします。

訪問診療で対応可能な主な処置

処置の種類内容例
褥瘡処置洗浄、薬剤塗布、ドレッシング材交換
カテーテル管理膀胱留置カテーテル交換、胃ろうカテーテル交換
その他気管カニューレ交換、点滴、注射、採血など

在宅酸素療法や医療機器管理が必要な方

慢性呼吸不全などで在宅酸素療法を行っている方や、人工呼吸器、持続陽圧呼吸療法(CPAP)などの医療機器を使用している方も、訪問診療の対象となります。

これらの医療機器は、適切な管理と定期的な調整が必要です。通院が困難な場合、訪問診療医が機器の使用状況や患者さんの呼吸状態を確認し、必要に応じて設定の調整や指導を行います。

また、機器のトラブル発生時の対応や、緊急時の連携体制についても事前に取り決めておくことで、患者さんとご家族が安心して在宅療養を続けられるように支援します。

医療機器メーカーや訪問看護ステーションとも連携し、チームでサポート体制を構築します。

看取りを希望される方とその家族

人生の最終段階を、病院ではなく住み慣れた自宅で迎えたいと希望される方、そしてそのご家族も訪問診療の対象となります。訪問診療医は、患者さんの苦痛を最大限に和らげ、穏やかな時間を過ごせるよう支援します。

医療的なケアだけでなく、患者さんの意思を尊重し、ご家族の精神的なサポートも行います。これを在宅での看取り(在宅ホスピスケア)と呼びます。

看取りの時期には、患者さんの状態が変化しやすいため、必要に応じて訪問頻度を増やしたり、24時間対応の体制を整えたりします。

ご家族が抱える不安や疑問にも丁寧に対応し、最期まで寄り添う医療を提供します。この支援は、患者さんが尊厳を保ちながら人生を全うするために重要です。

生活環境と介護状況からみた対象者

患者さんの病状だけでなく、生活環境や介護状況も訪問診療の必要性を判断する上で重要な要素です。ここでは、どのような生活環境や介護状況の方が訪問診療の対象となりやすいのかを説明します。

寝たきりや準寝たきりの方

寝たきり、あるいはそれに近い状態(準寝たきり)の方は、自力での移動が極めて困難であり、通院には多大な介助と時間を要します。

このような方は、訪問診療の典型的な対象者です。定期的な健康管理、合併症の予防(褥瘡、肺炎、拘縮など)、必要な医療処置(薬の処方、検査、点滴など)を自宅で受けることができます。

寝たきりの状態では、些細な体調変化も見逃しやすいため、医師や看護師による定期的な観察が重要です。訪問診療を通じて、早期に異常を発見し、重症化を防ぐことにつながります。

自宅での療養を強く希望される方

病状や身体機能の面で通院が不可能ではないものの、患者さんご本人が「できる限り自宅で過ごしたい」「入院はしたくない」と強く希望される場合も、訪問診療を検討する理由の一つとなります。

もちろん、医学的に在宅療養が可能であるという医師の判断が前提です。

この場合、患者さんの意思を尊重し、在宅での療養生活を支えるために、訪問診療医は必要な医療を提供し、ケアマネージャーや訪問看護師など多職種と連携してサポート体制を整えます。

患者さんの精神的な安定は、治療効果にも良い影響を与えることがあります。

介護者の有無と介護負担の状況

介護者の有無や、介護者の年齢、健康状態、介護負担の程度も、訪問診療の必要性を左右する要素です。例えば、高齢の配偶者のみが介護を担っている「老老介護」のケースや、日中独居で介護者がいないケースなどでは、通院の介助が非常に困難になります。

また、介護者の介護負担が過大になっている場合、介護者が疲弊してしまい、共倒れになるリスクもあります。訪問診療を導入することで、医療的な側面から介護者をサポートし、精神的・肉体的な負担を軽減する効果も期待できます。

医師が定期的に訪問し、医学的なアドバイスや必要な処置を行うことで、介護者の安心感にもつながります。

介護状況による訪問診療検討のポイント

介護状況考慮すべき点
老老介護・認認介護介護者の体力・認知機能、通院介助の困難さ
日中独居緊急時の対応、定期的な安否確認の必要性
介護負担大介護者の心身の疲弊、レスパイトケアの必要性

住環境による通院困難事例

住環境が原因で通院が困難になるケースもあります。

例えば、エレベーターのない集合住宅の上の階に住んでいて、階段の昇降が難しい場合や、自宅周辺の道路が狭く、車椅子での移動やタクシーの利用が困難な場合などです。

このような物理的な障壁も、訪問診療を検討する正当な理由となります。医師が自宅を訪問することで、患者さんは住環境に左右されずに必要な医療を受けることができます。

住宅改修や福祉用具の導入など、住環境の改善に関するアドバイスも、必要に応じて行うことがあります。

訪問診療の地理的・制度的条件

訪問診療を利用するためには、医療的な必要性だけでなく、いくつかの地理的・制度的な条件も関係してきます。これらの条件を理解しておくことも大切です。

医療機関から16km圏内という距離要件

訪問診療を提供する医療機関には、原則として「医療機関の所在地から半径16km以内」の地域に居住する患者さんを対象とする、という地理的な要件があります。

これは、緊急時に迅速に対応できるようにするためや、移動時間による医師の負担を考慮したものです。

ただし、この16kmという距離は絶対的なものではなく、地域によっては特例が認められる場合もあります。例えば、山間部や離島など、医療資源が乏しい地域では、16kmを超えても訪問診療が提供されることがあります。

また、患者さんの状態や医療機関の体制によっては、16km圏内であっても対応が難しい場合もありますので、まずは希望する医療機関に相談してみることが重要です。

訪問診療と介護保険サービスの併用

訪問診療は医療保険のサービスですが、多くの場合、介護保険のサービスと併用して利用します。例えば、訪問看護、訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、ショートステイ、福祉用具レンタルなどです。

これらのサービスを組み合わせることで、より包括的な在宅療養支援が可能になります。

ケアマネージャーが中心となり、患者さんやご家族の希望、心身の状態、生活環境などを踏まえてケアプランを作成し、医療と介護の連携を図ります。

訪問診療医も、ケアマネージャーや他のサービス事業者と情報を共有し、チームとして患者さんを支えます。

医療保険と介護保険の主なサービス連携

サービス区分サービス例主な役割
医療保険訪問診療、訪問看護(医療保険適用時)診察、治療、医療処置、薬の処方、療養指導
介護保険訪問看護(介護保険適用時)、訪問介護、デイサービス、福祉用具貸与日常生活の援助、身体介護、機能訓練、社会的交流、環境整備

この連携により、医療的なケアと生活支援の両面から、患者さんの在宅療養をサポートします。

施設入居者の訪問診療利用条件

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養病床)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、高齢者施設に入居している方も、条件によっては訪問診療を利用できます。

ただし、施設の種類や配置されている医師の状況によって、訪問診療の可否や算定ルールが異なります。

例えば、特別養護老人ホームでは、配置医師が対応できない専門的な医療が必要な場合や、末期がんの患者さんなど、特定の条件下で外部の医師による訪問診療が認められています。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の場合は、比較的自由に訪問診療医を選べるケースが多いです。入居している施設やケアマネージャーに確認することが大切です。

訪問診療の頻度と定期的な医学管理

訪問診療は、原則として定期的に行います。多くの場合、月に2回程度の訪問が基本となりますが、患者さんの病状や状態に応じて頻度は調整します。

例えば、病状が不安定な時期や、終末期には、週に複数回訪問したり、必要に応じて臨時往診を行ったりすることもあります。

定期的な訪問を通じて、医師は患者さんの健康状態を継続的に把握し、計画的な医学管理を行います。これには、診察、検査、薬の処方、療養上の指導、症状の変化への対応などが含まれます。

この継続的な関わりが、在宅での安定した療養生活を支える基盤となります。

訪問診療の一般的な流れ(月2回の場合)

訪問タイミング主な内容
1回目の訪問全身状態の確認、前回からの変化の聴取、必要な検査、薬の調整
2回目の訪問治療効果の確認、副作用のチェック、次回の訪問までの計画、療養指導

もちろん、これは一例であり、患者さん一人ひとりの状態に合わせて柔軟に対応します。

訪問診療を検討するタイミングと相談窓口

「いつ、誰に相談すれば訪問診療を利用できるのだろうか」と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、訪問診療を検討する具体的なタイミングや、相談先について説明します。

退院後の在宅療養移行時

入院治療を終え、退院して自宅での療養に移行する際は、訪問診療を検討する大きなタイミングの一つです。

特に、入院前と同じように通院することが難しいと予想される場合や、退院後も継続的な医療管理が必要な場合には、入院中に病院のソーシャルワーカーや退院調整看護師に相談し、訪問診療医との連携を依頼することができます。

退院前に訪問診療の体制を整えておくことで、スムーズに在宅療養を開始できます。病院と在宅の医療機関が連携し、患者さんの情報を共有することで、切れ目のない医療を提供することが可能です。

通院負担が増大したと感じる時

これまで通院できていた方でも、病状の進行や加齢に伴う体力低下により、徐々に通院が負担になってくることがあります。

「病院に行くまでが大変」「待ち時間がつらい」「帰宅するとぐったりしてしまう」といった状況が見られるようになったら、訪問診療を検討するサインかもしれません。

我慢せずに、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。かかりつけ医が訪問診療を行っていればそのまま依頼できますし、行っていなければ地域の訪問診療医を紹介してくれることもあります。また、ケアマネージャーに相談するのも良い方法です。

家族やケアマネージャーからの相談

患者さんご本人だけでなく、ご家族や担当のケアマネージャーが「通院が難しくなってきたのではないか」「在宅での医療ケアが必要なのではないか」と感じた時も、相談のタイミングです。

特に、認知症の患者さんなど、ご自身では状況を的確に判断したり、希望を伝えたりすることが難しい場合もあります。

ご家族やケアマネージャーが患者さんの状態を客観的に見て、訪問診療の必要性を感じた場合は、積極的に医療機関や地域包括支援センターなどに相談してください。

早期に相談することで、より適切なサポートにつながりやすくなります。

医療機関への相談方法と必要な情報

訪問診療を希望する場合、まずはかかりつけ医、または地域の訪問診療を行っているクリニックや病院に相談します。相談する際には、以下の情報をまとめておくとスムーズです。

  • 患者さんの氏名、年齢、性別、連絡先
  • 現在の病状、診断名、治療経過(お薬手帳や診療情報提供書があれば持参)
  • 通院が困難な理由(具体的な状況を説明)
  • 在宅で希望する医療ケアの内容
  • 介護保険の利用状況(要介護度、担当ケアマネージャーなど)

これらの情報を伝えることで、医療機関側も患者さんの状況を把握しやすくなり、適切なアドバイスや対応が可能になります。

電話で問い合わせるか、可能であれば事前に予約を取って相談に伺うと良いでしょう。

訪問診療開始までの流れ

訪問診療が開始されるまでの一般的な流れは以下の通りです。医療機関によって多少異なる場合がありますので、詳細は各医療機関にご確認ください。

訪問診療開始までのステップ

ステップ内容備考
1. 相談・問い合わせ医療機関やケアマネージャーに相談患者さんの状態や希望を伝える
2. 事前面談・情報収集医師や相談員が患者さんやご家族と面談診療情報提供書などが必要な場合も
3. 契約・計画作成訪問診療の契約、診療計画の説明と同意訪問頻度や緊急時対応などを確認
4. 訪問診療開始計画に基づき定期的な訪問診療を開始多職種との連携もスタート

初回訪問前に、医師や看護師、ソーシャルワーカーなどがご自宅を訪問し、詳しいお話を聞いたり、療養環境を確認したりすることもあります。

この面談を通じて、患者さんやご家族の不安を解消し、安心して訪問診療を始められるように努めます。

よくある質問

訪問診療に関して、多く寄せられる質問とその回答をまとめました。

訪問診療ではどんな医療行為が受けられますか?

診察、血圧測定などの健康チェック、採血や尿検査などの各種検査、薬の処方、点滴、注射、褥瘡の処置、在宅酸素療法の管理、経管栄養の管理、膀胱カテーテルの交換など、多岐にわたる医療行為が可能です。

ただし、医療機関の設備や医師の専門性によって対応できる範囲は異なりますので、事前に確認が必要です。大きな病院で行うような精密検査や手術はできません。

緊急時には対応してもらえますか?

多くの訪問診療クリニックでは、24時間365日対応の体制をとっています。事前に緊急連絡先をお伝えし、急な体調変化があった場合には、電話で相談を受けたり、必要に応じて臨時往診を行ったりします。

入院が必要と判断された場合は、連携している病院への手配も行います。ただし、全ての医療機関が24時間対応しているわけではないため、契約時に確認することが重要です。

費用はどのくらいかかりますか?

訪問診療の費用は、医療保険(1割~3割負担)が適用されます。基本的な診療費に加えて、行った検査や処置、薬代などがかかります。

また、訪問する場所や時間帯、患者さんの状態(例えば、終末期や特定の難病など)によって加算がつくこともあります。

月々の負担額の目安については、事前に医療機関から説明があります。高額療養費制度の対象となる場合もあります。

訪問診療の費用負担例(月2回訪問、1割負担の場合)

項目おおよその費用感
基本的な訪問診療費数千円~1万円程度/月
検査・処置・指導料など実施内容により変動
薬剤費・医療材料費処方内容や使用量により変動
※上記はあくまで目安であり、個々の状況により異なります。詳細は医療機関にご確認ください。
家族が日中不在でも訪問診療は受けられますか?

患者さんご本人の同意と協力が得られれば、ご家族が不在の時間帯でも訪問診療は可能です。ただし、患者さんの状態によっては、安全確保や意思疎通のためにご家族の同席をお願いする場合もあります。

事前に医師やスタッフとよく相談し、最適な方法を検討しましょう。訪問看護サービスなどを併用することで、日中のケア体制を補うこともできます。

今のかかりつけ医との関係はどうなりますか?

訪問診療を開始するにあたり、現在のかかりつけ医からの情報提供(紹介状など)があるとスムーズです。

訪問診療医が主治医となる場合もあれば、専門的な治療は引き続き元のかかりつけ医が担当し、日常的な健康管理や緊急時対応を訪問診療医が行うという連携体制をとることもあります。

患者さんにとって最も良い形を、関係する医師同士で相談して決定します。

訪問診療は、住み慣れた場所で安心して療養生活を送るための心強い味方です。

対象となるかどうか、どのような支援が受けられるのか、まずは気軽に相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

今回の内容が皆様のお役に立ちますように。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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