訪問診療の頻度は月何回?訪問エリアの範囲と回数の決め方を解説– category –

訪問診療の基礎知識訪問エリアと頻度

訪問診療を利用する際、まず気になるのが「月に何回先生が来てくれるのか」という頻度と、「自宅が診察可能な範囲に含まれているか」というエリアの問題です。

在宅での医療提供は、厚生労働省が定める医療保険の仕組みや法律上の距離制限に基づき運用します。

基本的には月2回の訪問が標準ですが、患者様の病状や体調の変化に応じて柔軟な対応が可能です。

この記事では、訪問回数が決まる根拠から、半径16kmという診療圏のルール、さらには急な体調悪化時の対応まで、安心して在宅療養を続けるための重要な知識を網羅して解説します。

訪問診療は月2回が基本?回数の根拠となる医療保険のルールと仕組み

訪問診療の頻度は、多くのケースで月2回を設定します。これは継続的な健康管理を行う上で、病状の安定維持に適切な間隔であるためです。

医師が患者様の自宅を定期的に訪れ、あらかじめ立てた診療計画に基づいて診察を行うのが訪問診療の定義です。

訪問頻度主な対象者管理の目的
月2回慢性疾患などで状態が安定している方定点観測と予防的医療
月1回極めて状態が安定し変化が少ない方継続的な健康維持の確認
週1回以上末期がんや急性増悪期の方症状緩和と緊急時対応

月2回の頻度を維持する取り組みが、血圧や心拍数といったバイタルデータの推移だけでなく、食欲や睡眠状態など生活全般の変化を細かく把握することを可能にします。

医療保険制度においても、在宅での医学管理を評価する点数がこの回数を基準に設計されています。適切な頻度での診察は、異常の早期発見に大きく貢献します。

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訪問診療は月2回が基本?回数の根拠となる医療保険のルールと仕組み

訪問診療を月1回に減らすことは可能?状態安定時の条件と変更手続き

患者様の病状が長期にわたって安定している場合、訪問頻度を月1回に変更することは可能です。ただし、回数を減らす判断は医師の医学的評価に基づきます。

家族の負担軽減や経済的な理由だけで安易に減らすことは、予期せぬ体調変化を見落とすリスクを伴うため慎重に検討します。

減らす際の条件

頻度の変更を検討できる目安として、以下の状態が挙げられます。

  • 数ヶ月にわたり血圧や血糖値などの数値が安定している。
  • 処方薬の種類や量に変化がなく、副作用の心配も少ない。
  • 本人および家族が訪問回数の短縮に同意している。

回数の変更を希望する際は、まず主治医やケアマネジャーに相談します。医師が安全に療養を継続できると判断した場合、ケアプランの見直しとともに診療計画書を更新します。

月1回に変更した後でも、体調に変化が生じた際には速やかに元の頻度に戻したり、臨時の往診を行ったりする体制の確保が重要です。

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訪問診療を月1回に減らすことは可能?状態安定時の条件と変更手続き

訪問診療の頻回訪問が必要なケースと重症化時の対応頻度

がんの末期症状や、難病による人工呼吸器の管理が必要な場合など、週に複数回の診察が必要になる場面があります。

急性増悪期や退院直後、または看取りが近い時期には、医師の判断により訪問頻度を高めます。

状況区分訪問の目安主な処置内容
急性増悪週2〜3回程度点滴治療・酸素管理
ターミナル毎日〜隔日疼痛緩和・看取り対応
退院直後週1〜2回程度在宅環境の調整・指導

こうした集中した診察を実施する仕組みが、痛みの調整や処置内容の変更をリアルタイムで行うことを支えています。

医療保険には、頻繁な管理が必要な患者様向けの特例的な点数設定が存在し、入院することなく自宅での療養を完遂できるよう手厚い診療を支えています。

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訪問診療の頻回訪問(週1回以上)が必要なケース|重症化時の対応頻度

訪問診療の半径16kmルールとは?法律上の診療圏内とエリア外の例外

保険診療における訪問診療は、医療機関から半径16km以内にある居住地を対象とすることが原則です。

16kmという数字は、自動車で移動した場合に約30分から1時間程度で到着できる圏内を想定しています。

項目原則的な内容例外の扱い
移動距離半径16km以内近隣に適切な医療機関がない場合
交通費実費請求が可能医療機関ごとの規定による
移動手段主に自動車駐車場の確保が必要

これは緊急時に医師が迅速に駆けつけられる距離を担保するための法的制限です。この範囲を超えると、原則として保険診療としての訪問が認められません。

地域医療の質を維持し、医師が移動に時間を取られすぎて他の患者様の診療を圧迫することを防ぐ狙いもあります。

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訪問診療の半径16kmルールとは?法律上の診療圏内とエリア外の例外

訪問診療の対応エリアの調べ方|自宅が範囲内か確認する手順と注意点

自宅が訪問診療のエリア内かどうかを確認するには、まず近隣の在宅診療所の公式サイトを確認するか、地図上で直線距離を測定します。

もっとも確実な方法は、担当のケアマネジャーを通じて相談することです。地域の診療所の特色を熟知しているため、条件に合ったクリニックを紹介してもらえます。

確認項目内容の詳細確認手段
直線距離院所からの半径距離地図アプリで測定
移動時間渋滞等を考慮した時間診療所へ直接確認
重点エリア特に力を入れている地域公式サイト等の説明

16km以内であっても、地形や道路状況、または診療所の受け入れ状況により対応できない場合があるため注意が必要です。

行政が発行する地域医療マップや医師会の名簿を活用することも、信頼できる情報を集める上で有効な手段となります。

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訪問診療の対応エリアの調べ方|自宅が範囲内か確認する手順と注意点

訪問診療の曜日や時間指定はできる?訪問スケジュールの決め方と変更

訪問診療のスケジュールは、診療所が作成する巡回計画に基づいて決まります。多くの患者様を効率よく回る必要があるため、基本的には曜日や時間枠を固定します。

医師は地域ごとにエリアを固めて巡回します。特定の場所へ突発的に向かうと移動効率が下がり、他の患者様の診察時間を削る原因になるためです。

基本的な決め方

通常は「第2・第4火曜日の午前」といった形で固定の枠を確保します。日程調整が必要になる際は、以下のような事情が考慮されます。

  • デイサービスやリハビリの利用時間と重なる場合。
  • 冠婚葬祭などの重要な親族行事が入った場合。
  • 発熱などの急激な体調変化により診察を早める場合。

特定の曜日や時間を細かく指定するのは難しい場合がほとんどですが、生活リズムに合わせた調整は可能な範囲で相談に乗ってもらえます。

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訪問診療の曜日や時間指定はできる?訪問スケジュールの決め方と変更

訪問診療の1回の滞在時間は何分くらい?診察の流れと家族の同席

訪問1回あたりの診察時間は、おおむね15分から30分程度です。これは外来診療と比較して長い時間ですが、在宅では環境の確認も含まれるためです。

在宅では診察だけでなく、処方箋の発行、介護者との情報共有が含まれます。丁寧なやり取りが安心感のある療養生活を支えます。

段階実施内容所要時間目安
問診生活状況や体調の変化の確認5分
身体診察バイタル測定・触診・聴診10分
処置・指導薬の調整・ケア方法の助言10分

初めての診察では、これまでの経過確認や診療計画の説明が必要なため、1時間を超える場合もあります。

2回目以降の再診では、前回の診察からの変化を効率よく確認し、身体診察や必要な処置を計画的に実施します。

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訪問診療の1回の滞在時間は何分くらい?診察の流れと家族の同席

訪問診療利用中に引っ越す場合の手続き|エリア変更と転居先の探し方

引っ越しにより診療所のエリア外に出る場合は、新しい地域の診療所への引き継ぎが必要です。これを紹介と呼び、医療の継続性を保ちます。

転居先が決まったら、なるべく早めに現在の主治医に伝えます。診療情報提供書を作成してもらうことで、これまでの治療経過を新しい医師へ確実に伝えられます。

引越しが決まった際に行うべき準備は以下の通りです。

  • 現在の主治医へ退去日と引越し先を報告する。
  • 新しい診療所宛の診療情報提供書を依頼する。
  • 転居先のケアマネジャーと連携して診療所を探す。

新しい診療所探しは、地域のケアマネジャーや地域包括支援センターと協力して行います。医療と介護が連携して動くことで、医療が途切れる空白期間を防げます。

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訪問診療利用中に引っ越す場合の手続き|エリア変更と転居先の探し方

よくある質問

訪問診療の回数を途中で増やすことはできますか?

病状が悪化した場合や退院直後などで管理の強化が必要な際は、医師の判断により柔軟に回数を増やせます。まずは現在の体調の変化を医師や看護師に伝えてください。

エリア外のクリニックに来てもらうことは絶対に不可能ですか?

半径16kmを超えても、周辺に訪問診療を行う他の医療機関が全く存在しないなどの特殊な理由がある場合に限り、例外的に認められるときがあります。

ただし非常に珍しいケースです。

訪問診療の日は家族が必ず家にいなければいけませんか?

お一人暮らしや日中独居の方でも利用可能です。

鍵の管理方法や診察後の連絡手段について、事前に診療所と合意を形成しておくと、家族が不在でも診察を継続できます。

訪問時間は事前に電話などで教えてもらえますか?

多くの診療所では、当日の交通状況により到着時間が前後するため、幅を持たせた案内をします。

正確な到着時間を知りたい場合は、直前の連絡が可能か事前に相談してください。

急に熱が出たときは定期訪問の日でなくても診てもらえますか?

契約している診療所が24時間体制を整えている場合、電話相談のうえで必要に応じて臨時往診を行います。

定期訪問とは別に、急変時の対応も訪問診療の重要な役割の一つです。

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