訪問診療の緊急往診における医師到着までの時間|夜間の移動事情と待機目安

夜間の急な体調変化に対し、往診医が到着するまでの時間は通常30分から90分程度が目安となります。
本記事では、夜間の交通事情や診療体制が到着時間に与える影響、そして待機中にご家族ができる準備を詳しく解説します。
事前に移動の仕組みを知ることで、万が一の際も落ち着いて医師を待てるようになります。
参考:24時間の連絡先はどっち?訪問診療と訪問看護の緊急時連携
緊急往診の平均的な到着時間と目安
緊急往診の到着時間は、拠点からの距離や医師の出動状況に左右されますが、概ね30分から90分が目安です。
夜間は日中に比べて道路が空いているため、移動そのものはスムーズに進む傾向にあります。
しかし、医師が診察中であったり、他の往診に対応していたりする場合は、出発までに時間を要します。
多くの医療機関では、連絡を受けてから最短での対応を心がけていますが、物理的な制約は避けられません。
拠点からの距離と移動時間の関係
訪問診療の範囲は通常、診療所から半径16キロメートル以内と定められています。この範囲内であれば、深夜の移動時間は20分から40分程度で済むのが一般的です。
ただし、都市部と郊外では、同じ距離であっても信号の数や道路の構造により差が生じます。
また、ご自宅の周辺が狭い路地や一方通行が多い場合、最後の数百メートルで時間を要するケースもあります。
電話受付から出動までの判断時間
往診の依頼電話を受けてから医師が出発するまでには、病状の聞き取りという大切な段階があります。
当院ではオンコール医師がファーストコールを受け、往診の必要性を判断し、必要な場合は診療助手もしくは看護師が医師を迎えに行きます。その待ち時間の間に出発の準備やカルテの飲み込みを行うことで、到着後すぐに適切な処置を開始できる環境が整います。
優先順位の決定による待ち時間の変動
夜間の往診医は限られた人数で地域をカバーしているため、依頼が重なるときがあります。
医療機関は、患者さんの緊急度や重症度に基づいて、訪問する順番を決定しています。
呼吸困難や激しい痛みがある患者さんが優先されるため、軽微な症状の場合は待ち時間が延びるかもしれません。
電話の時点で「現在、他の往診対応中のため到着が遅れる」といった説明がある場合は、その指示に従いましょう。星の巡りなのか、不思議なことに往診依頼は重なることが多い印象です。
当地は郊外中心なので、到着までそれほど時間がかからないと考えられます。しかしながら、工事や路面状態、天候の状態が悪いことも考えられますので、その際は予想より遅れることもあるかと思います。
私の経験上、一番往診に時間がかかるのは早朝の時間帯です。朝の7時前後は渋滞することが多く、お待たせしてしまい申し訳ない思いをしたことが何度もあります。
往診体制による待機時間の変化
医療機関が敷いている夜間の待機体制によって、出動の初動スピードには違いが現れます。
どのような仕組みで医師が待機しているかを知ることは、待ち時間を予測する助けになります。
オンコール体制の違い
当院は院内に当直室があるため、そこで待機頂くことも可能ですし、近所のマンションも当直用に借りているので、そちらで待機する医師もいます。よって、連絡を受けてから比較的スムーズに対応できることが多いと思います。
訪問診療を依頼している医療機関にオンコール体制を聞いてみると、いざという時に焦らなくて良いかもしれません。
グループ診療によるカバー範囲の広さ
当院は全て自前でオンコール医師を確保していますが、複数の医師が交代で地域を守るグループ診療をしている医療機関もあります。
一人の医師が別の患者さんを診ている最中でも、別の待機医が出動できるため、待ち時間が安定します。
主治医ではない医師が来ることに不安を感じるかもしれませんが、情報の共有は徹底されているはずです。その体制も確認しておきましょう。
体制が整っている組織ほど、突発的な依頼が重なっても到着時間が遅れにくいという強みがあります。
看護師による先行訪問の有効性
医師が到着する前に、担当の訪問看護師が先に駆けつけるシステムを導入している所もあります。
看護師が先に状態を把握し、医師に報告することで、移動中の医師は治療方針を固められます。「誰かがそばにいてくれる」という安心感は、ご家族の精神的な負担を大きく軽減します。
また、医師の到着と同時に高度な処置を開始できるため、実質的なケアまでの時間が短縮されます。
参考:訪問診療の夜間緊急時に連絡した際の流れ|電話相談から往診決定までのステップ
参考:訪問診療の24時間対応はすぐに医師が来るとは限らない?緊急往診の判断基準
医師が到着するまでの自宅での過ごし方
医師を待つ時間は長く感じられますが、この間に準備を整えと診察がスムーズに進みます。
焦らずに、医師が必要とする情報を整理し、環境を整えることに意識を向けましょう。
容体の観察と情報の整理
まず、患者さんの意識レベルや呼吸の様子、痛みの部位などを落ち着いて観察してください。
「いつから、どのような症状が出たか」をメモに残しておくと、医師への説明が確実になります。体温や血圧、酸素飽和度の測定ができる場合は、数値も記録しておきましょう。
これらのデータは、医師が診断を下すための重要な判断材料として役立ちます。
診察スペースの確保と明かりの点灯
医師が玄関から迷わず入れるよう、玄関灯や廊下の明かりを全て点灯しておいてください。また、診察を行う部屋では、医師が機材を広げられるだけのスペースを空けておきます。
ペットを飼っている場合は、診察の妨げにならないよう別の部屋へ移動させておきましょう。冬場は部屋を暖め、夏場は適切な換気を行うなど、診察しやすい室温の維持も大切です。
必要書類と薬剤情報の集約
健康保険証、介護保険証、そして訪問診療専用のファイルをテーブルに用意しておきましょう。
最も重要なのは、現在服用している全てのお薬の情報がわかるお薬手帳です。新しい薬の処方や既存薬との飲み合わせを確認する際、お薬手帳がなければ判断が遅れます。
これらの書類を一箇所にまとめておくだけで、医師到着後の事務的な時間を削れます。
到着までに準備しておくべき品目
| カテゴリー | 準備するもの | 使用目的 |
|---|---|---|
| 書類関係 | 保険証・連絡ノート | 受付と経過確認 |
| 薬剤関係 | お薬手帳・現物の薬 | 処方の判断 |
| 衛生関係 | タオル・ビニール袋 | 処置時の補助 |
救急車と緊急往診の使い分け基準
急変時に往診を待つべきか、119番通報をすべきかという判断は、非常に難しいものです。
生命の危険が迫っている兆候を理解し、適切な連絡先を選ぶための基準を事前に共有しておきましょう。
緊急性が極めて高い症状のサイン
意識がない、呼吸が止まっている、激しい胸の痛みがあるといった場合は、迷わず救急車を呼んでください。
これらは一分一秒を争う事態であり、在宅医療の設備では対応しきれない可能性があります。
他にも、突然の片麻痺や言葉のもつれなど、脳卒中が疑われる場合も救急搬送が優先されます。
訪問診療の契約があっても、生命を守るために救急隊の力を借りるのは正しい判断です。
緊急度の判断チェック
- 呼びかけに反応があるか
- 呼吸が苦しそうではないか
- 顔色や唇の色が悪くないか
- 激しい痛みや痙攣がないか
医療機関への相談による振り分け
自分たちで判断がつかない時は、まず訪問診療所の緊急連絡先へ電話で相談してください。電話対応するオンコール医師は、症状を聞き取って緊急往診か救急車かを迅速に判断します。
「今すぐ救急車を呼んでください」と指示されるときもあれば、医師が向かうまでの応急処置を教わる場合もあります。
プロの目によるトリアージを受けることが、最も安全で確実な対応へと繋がります。
本人や家族の意思の再確認
終末期の方などで、自宅で最期を迎えたいという強い希望がある場合は、救急車の使用に注意が必要です。
救急車を呼ぶと、救急隊員は蘇生処置を行いながら病院へ搬送する義務を負います。これが、平穏な最期を望むご本人の意思に反してしまう結果になるケースも少なくありません。
緊急時にどのような選択をするか、日頃から主治医と繰り返し話し合っておくと良いでしょう。
夜間の緊急往診を円滑にする事前準備
いつ起こるかわからない夜間の急変に備え、環境を整えておくと到着までの時間を実質的に縮められます。
焦りや混乱は時間のロスを生むため、平時のうちに対策を講じておくことが最良の防衛策です。
当院では初診時に患者さんの許可を得て、家や駐車場、目印の写真を電子カルテに保存していますので、原理的には道に迷うことはありません。しかしながら、普段伺わない医師やスタッフが訪問しますので、昼間の写真と景色が違い迷うときもあります。その際にはお電話に出られる体制を整えていただけると助かります。
また、ご家族が対応できない場合や独居の方の場合、医師が家に入るための鍵の問題が生じることがあります。
夜間に玄関の鍵を開けて待つのは防犯上難しいため、キーボックスの設置などを検討しましょう。
あらかじめキーボックスの暗証番号を医療機関に伝えておけば、到着後すぐに入室が可能になります。
鍵を探したり、家の中から開けに行ったりする数分を短縮する工夫が、迅速な処置に直結します。
夜間専用の連絡先一覧の掲示
夜中のパニック状態では、スマートフォンの連絡先を探すことさえ困難になる場合があります。
診療所の電話番号、ケアマネジャーの連絡先、連携病院の番号を大きく書いた紙を壁に貼っておきましょう。当院では患者さん宅に貼り付けられるような紙を初診時にお渡ししています。
家族全員が「ここを見ればわかる」という状態にしておくと、連絡の遅れを防げます。固定電話の近くや冷蔵庫など、目立つ場所に貼っておくのがポイントです。
医療機関との連携がもたらす安心感
訪問診療の質は、夜間の対応だけでなく、日頃の連携の深さによって形作られています。
良好な関係性が築けていれば、万が一の際も医師やスタッフを信頼して待つことが可能になります。
多職種による24時間の見守り体制
訪問診療は医師だけでなく、看護師、薬剤師、介護スタッフがチームとなって患者さんを支える構造です。
夜間の往診情報は翌朝にはチーム全体に共有され、その後のサービス内容に即座に反映されます。
「夜間に大変なことがあったから、今日は少し多めに様子を見よう」という配慮が自然に行われます。
この連携があるからこそ、一時的な急変も長期的な療養生活の一部として支えてもらえます。
病院との後方支援体制の構築
往診医が自宅で診察した結果、入院が必要だと判断した際も、地域の病院との連携が威力を発揮します。
あらかじめ契約している支援病院があるため、夜間であっても受け入れ先探しで困ることはありません。
医師同士で病状の申し送りが直接行われるため、搬送後の治療も非常にスムーズです。自分たちで救急病院を電話で探しまわる必要がないという事実は、大きな心の支えになります。
地域連携の主なネットワーク
| 連携先 | 役割 | メリット |
|---|---|---|
| 支援病院 | 入院受け入れ | たらい回しの防止 |
| 訪問看護 | 先行訪問・処置 | 精神的な安心感 |
| ケアマネジャー | 介護プランの調整 | 療養環境の最適化 |
定期的な診察による急変の予防
夜間の緊急往診を減らすための最も効果的な方法は、日頃の定期訪問での細かな健康管理です。
医師は普段の診察で「この方は夜間に喘息が出やすい」といった傾向を把握し、先回りして対策を講じます。
予兆を早めに見つけると、大きな急変を未然に防ぎ、夜間の往診依頼自体を減らせます。
それでも起きてしまった急変に対し、医師は「いつもの状態」を知っているからこそ、迅速な判断を下せるのです。


Q&A
- 夜間でも医師が必ず来てくれるのですか?
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24時間365日の対応をうたっている訪問診療所であれば、夜間であっても医師が往診に向かう体制を整えています。
ただし、電話による病状確認の結果、緊急性が低いと判断された場合は、翌朝の診察を勧められる得ケースもあります。
一方で、生命に関わる重篤な状態であれば、往診ではなく救急車を呼ぶよう指示されるときもあります。
どのような場合に医師が動くのか、契約時に基準を確認しておくと良いでしょう。
- 待機時間に家族ができる応急処置はありますか?
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まずは患者さんを最も楽な姿勢で休ませることが優先です。高熱がある場合は脇の下などを冷やす、嘔吐がある場合は顔を横に向けるといった基本的なケアが大切です。
しかし、無理に食べ物や水分を与えたり、市販薬を飲ませたりするのは控えてください。
電話で往診を依頼した際に、看護師や医師から「これをしてください」という具体的な指示があるはずですので、まずはその指示を忠実に守ることが最優先です。
- 夜間の往診にかかる費用はどのようになりますか?
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夜間や深夜、休日の往診には、法律で定められた加算料金が発生します。通常の診療費に加えて、時間外対応の対価として費用が上乗せされる仕組みです。
具体的な金額については、加入している保険の種類や負担割合によって異なりますが、日中の訪問に比べて数千円程度の差が生じるのが一般的です。
詳しい算定基準については、診療所の窓口や相談員に問い合わせると、大まかな目安を教えてもらえます。
- 医師が来るまで電話を繋ぎっぱなしにしたほうが良いですか?
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一度電話を切って、ご自宅での準備に専念することをお勧めします。
電話を繋ぎっぱなしにしていると、他の重要な連絡(医師からの到着直前の確認電話など)が受けられなくなるからです。
ただし、電話を切った後に容体が明らかに悪化した場合や、新たな症状が出た場合は、迷わずに再度連絡を入れてください。
医療機関側も、状況が変化した場合には情報を更新して対応を再検討する必要があります。
今回の内容が皆様のお役に立ちますように。
