褥瘡(床ずれ)の治療戦略 – 陰圧閉鎖療法の活用と効果

褥瘡(床ずれ)の治療戦略 - 陰圧閉鎖療法の活用と効果

訪問診療を利用するかどうか悩んでいる方々にとって、褥瘡の治療と管理は気がかりになりやすい課題です。

ご自宅で過ごす時間が長い方や介護を行うご家族にとって、褥瘡を早めに治すことや再発を防ぐことは大切です。

そこで、褥瘡治療の中でも関心を集める陰圧閉鎖療法について、その基本から在宅で実施する際のポイント、治療開始の判断や継続的なケアの流れまで、詳しく解説します。

褥瘡の改善とQOLの向上につながる情報を参考にして、より良い在宅療養のかたちを見つけていただければ幸いです。

目次

褥瘡と陰圧閉鎖療法の基礎知識

褥瘡の発生背景や陰圧閉鎖療法の仕組みを理解すると、ご自宅でのケア方針を考えやすくなります。予防策や治療への取り組みの意義を踏まえて、まずは基礎的なポイントを押さえてみてください。

褥瘡の発生メカニズムと評価方法

褥瘡は、身体の特定部位に長時間圧力がかかり続けることで発生します。圧力による血流障害が皮膚や皮下組織を傷つけ、最終的に潰瘍が生じてしまう状態です。

主に寝たきりの方や車いすを利用する方、活動量が低下している方などがリスクを抱えています。

褥瘡発生には、以下のような要因が重なります。

  • 圧力:身体の同じ部位に持続的な圧迫が生じる
  • 剪断力:皮膚表面と内部の組織がずれる
  • 摩擦:寝返りや移動時に皮膚表面がこすれる
  • 湿気:汗や排泄物による皮膚の浸軟

褥瘡の評価には、段階(Stage)を用いて創傷の深さや組織の状態を把握します。周囲の発赤や痛みの有無、創部の滲出液量などを観察し、適切な治療方法を選択する必要があります。

下の表を参考にすると、褥瘡の進行度を把握しやすくなります。

褥瘡の進行度特徴的な状態
Stage1皮膚に軽度な発赤が生じる
Stage2表皮〜真皮浅層にかけて損傷が生じる
Stage3皮下組織まで及ぶ深い損傷がみられる
Stage4筋肉や骨にまで達する深刻な損傷がある
深達性不明壊死組織で覆われて深さを確認できない場合

いったん重症化すると治癒に長期間を要するので、早期発見と早期治療が重要です。評価を継続しながら、医療的なケアや生活習慣の見直しに取り組むことで改善が期待できます。

陰圧閉鎖療法とは何か

陰圧閉鎖療法(Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)は、褥瘡の治療で注目される方法の1つです。創部に専用のスポンジやパッドを当て、チューブで接続した機器で持続的な陰圧をかけることで創傷治癒を助けます。

従来のガーゼ交換だけでは難しかった重症の褥瘡や慢性的な創傷に対して、創部の浸出液を吸引しながら組織を保護し、治癒を促進する仕組みです。

ドレッシング材を装着して密封し、そこに陰圧をかけるので、清潔な状態を維持しながら有効な治療効果が期待できます。

ガーゼ交換時の痛みや細菌感染のリスクを下げられる利点もあり、創部の管理を円滑に行いたいと考える方にとって重要な選択肢になります。

治療効果のメカニズム

陰圧閉鎖療法の治療メカニズムは、大きく以下の4点に集約されます。

  • 持続的な陰圧による創部への血流改善
  • 創部からの余分な浸出液やデブリ(壊死組織)の除去
  • ドレッシング材と創部の接触により組織を保護
  • 創傷周辺の組織を再生しやすい環境への変化

特に血流が低下していた創傷周辺へ血液が巡りやすくなることで、新しい組織の形成を支えます。治療期間中は、段階的に創部の状態を観察しながら陰圧の強度やドレッシング材を調整します。

次の表は、陰圧閉鎖療法による創部の変化をまとめたものです。

治療前の創部状態陰圧閉鎖療法による改善要素
多量の浸出液が持続する吸引により創部の余分な液体を除去する
デブリや壊死組織が多い陰圧の作用でデブリをはがれやすくする
不十分な肉芽形成血流改善を通じて肉芽組織の増生を促す
細菌感染のリスクが高い閉鎖空間で清潔な環境を維持しやすい

これらを踏まえて治療方針を組み立てると、褥瘡の治癒スピードが向上し、QOLの維持に役立ちます。

在宅での実施可能性

陰圧閉鎖療法は入院患者への実施が多い治療手法ですが、在宅医療の支援体制が整っていれば、利用できる場合があります。いくつかの医療機関や訪問看護ステーションでは、在宅の環境でも機器の操作を指導し、導入を検討しています。

在宅実施を検討する際に注意したい要素は以下のとおりです。

  • 機器の持ち運びや設置のしやすさ
  • チューブやドレッシング材の定期的な交換に関する技術面
  • 医師や看護師による経過観察が可能な連絡体制
  • 患者や家族が感じる負担のバランス

治療に必要な環境や知識を準備しながら、多職種が協力して治療を支える体制づくりが大切です。

陰圧閉鎖療法の適応と禁忌

陰圧閉鎖療法はすべての褥瘡に適用できるわけではありません。治療の適応や注意すべきポイントを理解すると、安心して治療へ踏み出せます。

治療適応となる褥瘡の状態

陰圧閉鎖療法は、以下のような状態の褥瘡に有効なケースが多いと考えられています。

  • Stage2〜3程度で創面が適度に湿潤している
  • 肉芽形成が始まりつつあるが、大量の浸出液がある
  • 組織欠損が深く、従来のガーゼ交換だけでは改善しにくい
  • 他の治療法を行ったが十分な効果が得られず、再発リスクが高い

傷の深さや感染の有無、周辺組織の状態を総合的に判断して適用範囲を決定します。治療計画を立てるためには医師による診察が欠かせないので、複数の治療選択肢を検討しながら相談すると安心です。

禁忌事項と注意点

陰圧閉鎖療法には適切な適応の裏側で、実施を避けた方が良い事例や注意したい事柄も存在します。たとえば下の表のような状態は慎重に判断します。

状況理由
未コントロールの感染症がある先に感染管理やデブリ処置を優先する必要がある
悪性腫瘍が混在する創傷腫瘍の進行リスクを高める可能性がある
創部付近に血管・神経の露出陰圧負荷による損傷リスクが高い
播種性の骨髄炎が疑われる局所治療のみでは対応が難しく全身管理が必要

上記のほかにも、周辺皮膚の状態が脆弱だったり、著しい出血のリスクがある場合などは医師の判断が必要です。治療に踏み切る前に、体調や血液データなどを含めて確認を行いましょう。

治療開始前の評価項目

陰圧閉鎖療法を開始する前に、総合的な評価を行うと安全な治療計画を立てやすくなります。医療者がチェックする代表的な項目は以下のとおりです。

  • 褥瘡の深さや大きさ
  • 創面の壊死組織やデブリの有無
  • 感染の有無や細菌検査の結果
  • 周辺皮膚の状態(炎症、湿疹、浮腫など)
  • 患者の全身状態(栄養状態、合併症、生活動作レベルなど)
  • 家族や介護者のサポート体制

陰圧閉鎖療法は総合的な治療プランの一部として位置づけることが大切です。創傷そのものだけでなく、栄養ケアやスキンケア、体位変換など生活習慣に関わる対策とも併用すると効果が高まります。

他の治療法との比較

褥瘡の治療には、陰圧閉鎖療法以外にもいくつかの方法があります。たとえば、従来のガーゼ交換や湿潤療法(モイスチャーケア)などです。それぞれに特徴があるので、症例や患者の希望に合わせて選びます。

次の表は、陰圧閉鎖療法と従来治療の特徴を比較したものです。

項目陰圧閉鎖療法従来のガーゼ交換や湿潤療法
治療期間短く済む可能性がある創面の状態によっては長引くことがある
感染管理閉鎖空間を維持しやすいガーゼ交換が頻繁になるケースがある
患者負担機器管理が必要だが交換回数は少なめガーゼ交換で痛みが発生する可能性がある
費用面機器レンタル費などが発生する材料費以外に特に大きな出費は少ない

褥瘡のステージが軽度な場合や、家族がガーゼ交換に慣れている場合は従来の治療でも十分効果を得やすいです。一方で、深部まで及んだ褥瘡や治りづらい褥瘡がある場合は陰圧閉鎖療法を検討すると回復を早められる可能性があります。

治療効果の予測因子

陰圧閉鎖療法で良好な結果を得るための鍵となる予測因子はいくつか存在します。治療を成功に導くには次のような条件を意識するとよいでしょう。

  • 創部のデブリや壊死組織の適切な除去が完了している
  • 感染コントロールが十分に行われている
  • 患者の栄養状態が良好である
  • 血行障害のリスクが管理されている
  • 定期的に体位変換や圧抜きが実施されている

これらの点を包括的に管理すると、創傷自体の治癒力を高めやすくなります。

陰圧閉鎖療法の実施手順

在宅環境で陰圧閉鎖療法を導入するためには、機器の使い方や創部の準備、日常的なフォロー体制などを考慮する必要があります。治療手順を把握しておくと、担当の医師や看護師ともスムーズに連携できます。

使用する機器と材料

陰圧閉鎖療法で使用する主な機器は、陰圧を発生させるポンプと、その負圧を創部に伝えるチューブ、そして創部を覆うドレッシング材です。

ドレッシング材には特別なフォーム材やパッドがあり、吸引による損傷を防いだり、分泌液をコントロールする役割を果たします。

機器と材料の一例をまとめた表を示します。

機器・材料特徴
陰圧ポンプ持続的あるいは間欠的に負圧をかける
チューブ(吸引チューブ)ポンプと創部を連結し、吸引を行う
ドレッシング材創面を保護し、陰圧を効率的に伝える
皮膚保護材パッド周囲の皮膚を保護するために使用する

在宅で使用できるポータブル機器もあるので、在宅診療を取り入れる方の負担は軽減されつつあります。ただし機器の管理や消耗品の交換に費用がかかる場合があるので、事前に担当の医療機関や保険制度を確認すると安心です。

創部の前処置

陰圧閉鎖療法を実施する前には、以下のポイントを中心とした前処置が必要です。

  • デブリの除去
  • 感染コントロール
  • 創部周囲の皮膚清潔化
  • 患者の痛みや不安への配慮

前処置を丁寧に行うほど治療効果が高まりやすいです。たとえば壊死組織が多い場合はデブリードマンで除去し、必要に応じて抗生剤を使って感染を抑えます。

創部周囲の洗浄や保護にも気を配り、皮膚が傷ついたり剝離したりしないように注意します。

  • デブリ除去後に消毒液で周囲をきれいにする
  • 発赤や浸軟が著しい部位があれば必要に応じて治療を優先する
  • 処置時の痛みは鎮痛剤などで適宜コントロールする

創部だけでなく、患者がストレスを感じずに治療を受けられる環境を整えることも大切です。

機器の設定と管理

陰圧ポンプは、持続的に一定の負圧をかけるモードと、間欠的に負圧をかけるモードがあります。モード選択は医師の指示に従いながら設定します。目安として、創面に合わせて圧力を調整することが一般的です。

さらにポンプの作動状況を定期的にチェックし、異音や警告サインがないかを確認します。過度の負圧は周囲組織を傷つけるおそれがあるので、血液の混入や著しい痛みが生じた場合は調整が必要です。

ポンプ本体やチューブは清潔に保ち、故障や閉塞が起こらないように注意しましょう。

ドレッシング材の選択

ドレッシング材は、創部の状態や治療方針にあわせて複数の種類があります。フォーム材、ガーゼ状のパッド、ゲルタイプなど、それぞれ吸収力や保護力に違いがあります。

治療効果を高めるためには、密着性や水分バランスを適切に保てるドレッシング材を選ぶことがポイントです。

ドレッシング材交換のタイミングは、創部からの浸出液の量や汚染の有無を考慮します。創部が落ち着いている段階であれば交換回数を減らし、患者の負担を軽減することも可能です。

交換時には吸引チューブや周囲皮膚の状態もチェックし、異常があればすぐに担当医療者へ連絡します。

在宅での管理とモニタリング

在宅療養中に陰圧閉鎖療法を進める場合、日常的な観察やメンテナンスが大切です。頻繁な通院が難しい方にとって、訪問看護や地域の介護サービスと連携しながら安心して継続できる体制をつくると良い結果が出やすくなります。

日常的な観察ポイント

在宅で陰圧閉鎖療法を実施する場合、以下の観察内容に重点を置くと安全です。

  • ドレッシング材のズレや剝がれがないか
  • 吸引チューブに閉塞や詰まりがないか
  • ポンプの警告ランプやエラー表示の有無
  • 創部や周辺の皮膚が赤くなったり、痛みが増していないか
  • 浸出液の色や量、においなどが変化していないか

患者本人やご家族がこれらのポイントを確認し、気になることがあれば早めに連絡するとトラブルを回避しやすいです。

次の表は、日常観察をスムーズに行うためのチェック項目例です。

チェック項目確認内容
ドレッシング材の密着剥がれや隙間が生じていないか
チューブの状態折れ曲がりや閉塞がないか
ポンプ作動音・表示異常音やエラー表示がないか
創部周辺の皮膚発赤や腫れ、痛みの増強がないか
浸出液の変化色・量・においに異常がないか

小さな変化を見逃さずに対応すれば、治療中断や重症化を防げる確率が高まります。

アラーム対応とトラブルシューティング

陰圧ポンプは機器トラブルや圧力異常を検知した場合、アラームや警告ランプで知らせます。代表的なトラブルとしては、チューブの閉塞、ドレッシング材の密着不良、電源切れなどが挙げられます。

対処方法の例を以下にまとめます。

  • チューブに液体や血液が詰まっている場合:清拭して詰まりを取り除くか、予備のチューブと交換する
  • ドレッシング材の密着不良:空気の漏れを防ぐために追加で密封テープを貼る
  • 電源切れ:予備バッテリーや電源コードを常備し、残量を定期的に確認する

何らかの対応が難しいと感じた時は、主治医や看護師に連絡し指示を仰ぐと安心です。

  • 緊急時に利用できる連絡先や訪問診療のダイヤルをメモしておく
  • 予備のドレッシング材や部品を準備しておく
  • 夜間や休日に備えたサポート体制を確認する

こうした備えで不測の事態にスムーズに対処しやすくなります。

創部の評価方法

治療期間中は定期的に創部を評価し、効果をチェックします。具体的には、以下の点に注目すると改善状態を把握しやすくなります。

  • 肉芽組織の形成状態(赤く健康的な肉芽が広がっているか)
  • 創面のサイズや深さの変化
  • 浸出液の減少、もしくは増加の有無
  • 感染兆候の消失や軽減
  • 周囲皮膚のトラブルの有無

変化が緩やかであっても定期的に記録し、比較することが治療経過の把握に役立ちます。訪問看護師の経過観察と患者・家族の自己チェックを組み合わせて、見逃しを防ぎましょう。

治療効果の判定基準

陰圧閉鎖療法による褥瘡治療の効果を判定するタイミングは、通常1〜2週間を目安とすることが多いです。明らかな改善が見られる場合は、そのまま継続しながら追加治療や他のケアが必要かどうかを判断します。

効果判定の際に注目するポイントは以下のような点です。

  • 創面の縮小や肉芽組織の増生
  • 創傷周辺の発赤や腫脹の軽減
  • 浸出液量や性状の変化
  • 感染に関する検査データの改善
  • 患者の痛みや不快感の軽減度合い

複数の要素を総合的に見極めながら継続や中止を検討し、必要なら別の方法を組み合わせてさらなる改善を目指します。

治療中止の判断

陰圧閉鎖療法を中止するタイミングは、治療効果が十分に得られた場合と、何らかの問題で継続が難しい場合に大きく分けられます。十分に改善した場合は、通常の創傷管理へ切り替えます。

逆に以下のような問題が発生した場合は、続行するリスクが高まるので医師が再検討します。

  • 深刻な感染症の発症や再燃
  • 出血量の増加や止血困難
  • ドレッシング材や機器が原因で皮膚障害が生じた
  • 患者の負担(疼痛やストレス)が大きすぎる

症状の悪化を防ぐために、迅速な判断で別の治療法に切り替えるケースがあります。どの段階で治療を続けるか、やめるかは医療者と患者・家族がよく相談して決定するとスムーズです。

多職種連携による継続的なケア

陰圧閉鎖療法を含む褥瘡治療は、一度の処置だけで終わるものではありません。治療を継続するあいだ、多職種が連携して包括的に支える仕組みをつくることで、より良い在宅生活につなげやすくなります。

医師の役割と指示内容

在宅診療において医師は、陰圧閉鎖療法の適応判断、陰圧設定や使用機器の選定、治療期間中の経過観察など、重要な役割を担います。

患者の全身状態を把握し、褥瘡以外の合併症にも目を配りながら、必要に応じて薬剤の処方や各種検査を指示します。

また、創部の変化や痛みの状況など患者や家族からの報告をもとに、治療の継続や切り替えを判断します。指示内容をわかりやすく伝え、看護師や介護職員への情報共有を行うことも大切です。

看護師による管理とケア

在宅の場面では訪問看護師が中心となり、褥瘡の状態を日常的に観察しながら機器の管理やドレッシング材の交換を行います。

患者や家族とのコミュニケーションを通じて、治療に伴う不安を軽減したり、トラブルを早期に発見します。創部の変化をこまめにレポートし、医師と相談しながらケアの方向性を調整します。

看護師は以下のような活動を行います。

  • 創部や周囲皮膚の観察と評価
  • 機器の正常動作やチューブのチェック
  • 交換手順や衛生管理の実践・指導
  • 生活アドバイスや体位変換の支援

これらをこまめに行い、安全と治療効果の両立をサポートします。

介護職員の観察ポイント

施設や在宅で介護を提供する介護職員も、褥瘡や陰圧閉鎖療法に関する基本的な知識を身につけると役立ちます。

日頃のケアや生活援助の場面で、患者の姿勢や皮膚の状態を意識的にチェックすると早期発見がしやすいです。気づいたことを看護師や医師に報告し、チームで情報を共有すると対応が迅速になります。

特に注意すべき要素は次のとおりです。

  • ベッド上や車いす上での姿勢変化のタイミング
  • 患者が痛みを訴えた箇所の確認
  • 皮膚の色や浮腫の有無
  • おむつ交換や入浴介助時の皮膚状態

小さな変化を察知し、適切に報告することで治療効果を高める力となります。

家族への指導と支援

在宅療養では、家族がケアの実務に関わるケースが多いです。陰圧閉鎖療法の機器操作やドレッシング材の管理など、専門的な作業を担当する可能性があります。

看護師や医師は家族へわかりやすく説明し、不安を軽減する工夫を行います。

家族が理解しておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 機器の基本操作方法と点検時のチェック項目
  • 緊急時の連絡先や連絡方法
  • 消耗品の保管と衛生管理
  • 食事や排泄など日常生活の援助で気をつけること
  • 創部に過度な圧迫をかけない環境づくり

患者本人の意思を尊重しつつ、家族が協力しやすい仕組みを整えると負担を少なく治療を継続しやすくなります。

在宅で褥瘡治療を行うことは、患者のQOLを高める有意義な選択肢です。陰圧閉鎖療法を取り入れる場合は、医師、看護師、介護職員、家族が一丸となって安全面や治療効果を確かめながら進めることが大切です。

創部の改善だけでなく、生活全体の質の向上を目指し、個々の状況に合ったアプローチを組み立ててみてはいかがでしょうか。

以上

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 所長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 所長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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