在宅医療チームの構成と役割|薬剤師やケアマネとの多職種連携– category –

訪問診療の基礎知識在宅医療チーム体制

在宅医療は医師や看護師、介護の専門職が1つのチームとなり、患者さんと家族を支える仕組みを指します。

病気や障害を抱えながら住み慣れた自宅で過ごすためには、医療と介護が密接に連携し合う体制が欠かせません。

各専門家が情報を共有し、役割を分担することで、病院と同等の質の高いケアを自宅で受けることが可能になります。

自分たちに合ったチーム作りの重要性を理解し、それぞれの専門職が果たす役割について詳しく見ていきましょう。

在宅医療チームの連携体制|主治医とケアマネジャーの役割分担

在宅医療の連携体制は、主治医が医療面を統括し、ケアマネジャーが介護サービス全体の調整を担うことで機能します。

主治医は定期的な訪問診療を通じて全身の健康状態を管理し、適切な治療方針を決定する責任があります。

一方でケアマネジャーは、本人や家族の希望を汲み取り、必要な介護サービスを組み合わせた計画を立てます。

チーム運営を支える3つの柱

  • 主治医の役割:病状の診断、薬の処方、訪問看護や各専門職への指示書の作成。
  • ケアマネジャーの役割:ケアプランの作成、介護サービスの調整、多職種会議の進行。
  • 連携の仕組み:ICTツールや連絡帳を用いた病状の変化や生活状況の即時共有。

主治医とケアマネジャーが密に連絡を取り合う体制があれば、入院の判断やサービスの変更も迅速に行えます。

家族だけで抱え込まずに済むよう、この2つの窓口が連携を深めることが安心な在宅生活の土台となります。

連携体制について詳しく見る
在宅医療チームの連携体制とは|主治医とケアマネの役割分担

訪問薬剤師がチームに加わる利点|服薬管理と副作用の早期発見

訪問薬剤師がチームに加わると、自宅での正確な服薬管理が実現し、副作用などのトラブルを未然に防ぎやすくなります。

高齢の患者さんは服用する薬の種類が多くなりがちで、飲み忘れや重複による健康被害のリスクが常にあります。

訪問薬剤師による主な管理内容

サポート項目具体的な内容期待できる効果
服薬管理薬の仕分け・セット飲み忘れの防止
副作用確認体調変化の聞き取り重症化の回避
主治医連携処方内容の調整提案身体負担の軽減

薬剤師は定期的に自宅を訪問し、残薬の整理やカレンダーへのセットを行い、本人の服薬状況を詳しく把握します。

薬の専門家が生活の場に介入するおかげで、身体の状態に合わせた飲み方の工夫や提案が可能になります。

飲み込みが難しい場合には、薬の形状を粉薬やゼリー状に変更する相談を主治医と行い、安全な治療環境を整えます。

薬剤師が加わるメリットについて詳しく見る
訪問薬剤師がチームに加わるメリット|薬の管理と副作用の早期発見

誤嚥性肺炎を予防する訪問歯科|口腔ケアと導入手順

訪問歯科による専門的な口腔ケアは、高齢者の健康を脅かす誤嚥性肺炎の予防に直結する重要な役割を果たします。

口の中を清潔に保つことは、単なる衛生管理だけでなく、全身の免疫力や食事を摂る力の維持に大きく関わります。

訪問歯科診療の導入の流れ

段階実施内容担当者
相談受付現在の悩みを確認ケアマネジャー
初回診療口腔内の状態評価歯科医師
継続指導清掃や訓練の実施歯科衛生士

歯科医師や歯科衛生士が自宅で入れ歯の調整や専門的な清掃を行って、噛む機能や飲み込む力を支えます。

こうした専門的なケアは栄養状態の改善を助け、本人の意欲を高めるきっかけにも繋がります。

主治医と歯科が情報を共有しながらケアを進めるため、持病がある方でも安心して治療を継続できるのが強みです。

訪問歯科について詳しく見る
誤嚥性肺炎のリスクを減らす訪問歯科、チーム医療としての口腔ケアと導入手順

在宅における訪問リハビリテーション|医師との情報共有で高まる効果

訪問リハビリテーションは、実際の生活環境に合わせた訓練を行うため、日常生活の動作を改善する効果が非常に高いサービスです。

理学療法士や作業療法士が医師の指示に基づいて自宅を訪れ、廊下の段差やトイレの形状に合わせた練習を繰り返します。

他職種との情報連携の目的

連携相手共有する内容主な目的
主治医動作の回復状況治療方針の更新
福祉用具店歩行器の適合性転倒事故の予防
訪問看護痛みや疲労感体調に応じた訓練

担当者は身体機能の変化を逐一主治医へ報告し、そのデータに基づいた適切なリハビリ計画を組み立てます。

住み慣れた環境で自分らしく動けるようになることが、患者さんの自信回復や生活の質の向上を支えます。

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在宅医療における訪問リハビリテーション、医師との情報共有で高まる効果

食生活を支える管理栄養士|居宅療養管理指導によるサポート

管理栄養士による居宅療養管理指導は、病状に合わせた栄養バランスを整え、低栄養状態の改善を具体的に支えます。

自宅での食事制限は家族にとっても負担が大きく、何をどれだけ食べれば良いか判断に迷う場面が少なくありません。

専門的な視点からアドバイスを受けると、無理なく継続できる豊かな食生活を目指すことが可能になります。

管理栄養士による支援の特徴

  • 病態別指導:糖尿病や腎臓病に合わせた具体的な塩分や糖分の制限方法。
  • 食事の工夫:噛む力に合わせて食材を刻む、とろみを付ける等の調理指導。
  • 補助の活用:市販の栄養補助食品や宅配弁当を上手に取り入れる提案。

管理栄養士が主治医や訪問看護師と体重の推移を共有することで、より精度の高い栄養管理が実現します。

美味しく食べる喜びを維持する取り組みは、本人の生命力を引き出すだけでなく、家族の心のゆとりにも結びつきます。

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食事の悩みを解決する管理栄養士|居宅療養管理指導で変わる在宅生活

医療保険適用の訪問マッサージ|同意書が必要な理由と導入基準

医療保険適用の訪問マッサージは、歩行困難な方の痛みや関節の固まりを和らげ、身体機能の維持を目的として行われます。

リハビリテーションとは異なるアプローチで身体の緊張を解き、血行を促進させて苦痛の緩和を図ります。

導入を判断する際の確認事項

確認ポイント詳細な内容判断の基準
身体の制限関節が固まっている日常生活に支障あり
外出の程度自力で通院できない寝たきりや歩行困難
医療の必要性医師の同意がある治療の一環と認める

利用には主治医の発行する同意書が必要であり、これはマッサージが治療の一環であることを医師が判断するためのものです。

マッサージ師が定期的にお宅を訪問し、身体に触れるケアを行うと、孤独感の解消や精神的な安定も期待できます。

主治医との連携体制を整えることで、体調の変化にも柔軟に対応しながら安全にサービスを継続できます。

訪問マッサージについて詳しく見る
医療保険適用の訪問マッサージ、医師の同意書が必要な理由と導入の判断基準

Q&A

在宅医療チームを作るには誰に相談すればよいですか?

まずは担当のケアマネジャー、あるいは地域の包括支援センターへ問い合わせてください。

すでに訪問診療を利用している場合は、クリニックの相談窓口や医師に希望を伝えると、適切な専門職を紹介してもらえます。

多職種が自宅に来ることで家族の負担は増えませんか?

訪問の頻度や時間帯は、生活リズムに合わせて調整できます。

むしろ専門家が関わることで介助のコツを学べたり、薬の管理を任せられたりするため、結果的に介護の負担は軽くなるケースがほとんどです。

夜間や休日に体調が急変した場合はどうなりますか?

多くの在宅医療チームは24時間365日の連絡体制を整えています。

あらかじめ緊急時の連絡先や対応ルールが共有されているため、主治医や訪問看護師が電話一本で指示を出し、必要に応じて往診に駆けつけます。

リハビリとマッサージは同時に併用できますか?

目的が異なるサービスであるため併用は可能です。

身体機能の向上を目指すリハビリと、痛みの緩和を目的とするマッサージを組み合わせると、より効果が望める場合もあります。担当者に相談してみましょう。

チームのメンバーを途中で変更することは可能ですか?

可能です。患者さんや家族との相性は非常に重要です。ケアマネジャーに相談すれば、事業所の変更や担当者の交代を柔軟に検討してくれます。

納得できるチーム体制を構築することが、長期的な安心に繋がります。

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