在宅人工呼吸器の災害対策と電源確保|停電時に命を守るための事前準備と地域連携

災害は、いつ私たちの日常を奪うかわかりません。突然の停電に見舞われたとき、在宅で人工呼吸器を使用している方には、即座に命の危険が迫ります。
不安を感じるかもしれませんが、正しい知識と具体的な備えがあれば、そのリスクを大幅に減らせます。
この記事では、今すぐできる電源確保の方法から、地域と連携した避難計画までを網羅しました。大切な家族を守るために、一緒に「想定外」をなくしていきましょう。
停電したらどうなる?人工呼吸器ユーザーに迫る命の危機を直視する
停電が発生したその瞬間から、人工呼吸器ユーザーには待ったなしの危険が降りかかります。ここでは、電源が失われることで具体的にどのようなリスクが生じるのかを解説します。
人工呼吸器が止まる恐怖と呼吸不全の進行リスク
多くの在宅用人工呼吸器には、緊急時に備えて内部バッテリーが搭載されています。しかし、その稼働時間は決して長くありません。機種や設定にもよりますが、数時間程度で切れてしまうことがほとんどです。
停電が数日続いた場合、内部バッテリーだけでは到底持ちこたえることができません。バッテリーが切れれば、当然ながら呼吸の補助は完全に停止します。
自発呼吸が弱い方や、全くない方の場合、これは直ちに命に関わる事態です。二酸化炭素が体内に溜まり、意識を失う「ナルコーシス」や、酸素不足による心停止のリスクが急激に高まります。
特に恐ろしいのは、夜間の就寝中に停電が起きたケースです。暗闇の中でアラーム音に気づくのが遅れれば、予備電源への切り替えすら間に合わないかもしれません。
酸素濃縮器は即停止!ボンベ残量の枯渇問題
人工呼吸器とセットで酸素濃縮器を使っている方は、さらに注意が必要です。酸素濃縮器は、コンセントからの電気が断たれると、その瞬間に動作を停止します。
ほとんどの濃縮器にはバッテリーがないため、停電と同時に酸素の供給がゼロになります。このとき頼りになるのは、自宅に備蓄してある酸素ボンベだけです。
電源喪失時の各医療機器への影響と対応
| 医療機器名 | 停電時の挙動 | 必要な初期対応 |
|---|---|---|
| 人工呼吸器 | 内部バッテリーへ自動切替(機種による) | バッテリー残量確認、外部電源の準備 |
| 酸素濃縮器 | 即時停止(警報鳴動) | 酸素ボンベへの切り替え、流量調整 |
| 電動吸引器 | 即時停止(AC電源のみの場合) | 足踏み式・手動式吸引器の使用 |
| パルスオキシメーター | 使用可(乾電池式の場合) | 予備電池の確保、SpO2モニタリング継続 |
しかし、ボンベの本数には限りがあります。過去の災害では、道路が寸断されて業者の配送車が来られず、ボンベが底をつく事例が多発しました。酸素がなければ、いくら呼吸器が動いていても命をつなぐことは難しくなります。
痰が引けない?加温加湿器が使えない?見落としがちな合併症
呼吸器本体や酸素だけでなく、周辺機器の電源も忘れてはいけません。特に深刻なのが、電動吸引器が使えなくなることです。
痰を自分で出せない方にとって、吸引器は命綱そのものです。停電で吸引ができなくなれば、気道が痰で詰まり、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こす危険性が跳ね上がります。
また、加温加湿器も電気を多く使うため、非常時には停止せざるを得ません。冷たく乾いた空気が直接肺に入り続けると、気道を痛めたり、痰が硬くなって詰まりやすくなったりします。
どれを選べばいい?命綱となる外部バッテリーと発電機の確実な準備
内部バッテリーの限界を知った上で、私たちが用意すべきなのが「外部電源」です。数日間の停電を生き抜くために、どのくらいのスペックのものを選べばよいのか、具体的な基準をお伝えします。
消費電力と稼働時間から逆算!あなたに必要な容量は?
バッテリー選びで失敗しないための第一歩は、容量の計算です。「大容量だから大丈夫」と感覚で選ぶのは非常に危険です。
まずは、お使いの人工呼吸器や加湿器の消費電力(ワット数)を確認してください。例えば、50Wの機器を20時間動かしたいなら、計算上は1000Whの電力が必要です。
ただし、電気を変換する際にロスが出るため、実際には表記容量の7割程度しか使えない場合もあります。そのため、計算値の1.5倍程度の余裕を持った容量を選ぶのが鉄則です。
精密機器を守るために「正弦波」出力は絶対条件
人工呼吸器は、非常にデリケートな精密医療機器です。電気なら何でも良いわけではありません。電源を選ぶときは、必ず「正弦波(サイン波)」を出力できる製品を選んでください。
安価な発電機の中には、「矩形波」や「修正正弦波」という、波形がカクカクした電気を出すものがあります。これを使ってしまうと、呼吸器が誤作動を起こしたり、最悪の場合は故障して止まってしまったりします。
パッケージや仕様書に「正弦波」と明記されているかを、購入前に必ず確認しましょう。これは、命を守るための譲れない条件です。
騒音や排気ガス問題をクリアする!電源の賢い使い分け
電源には、大きく分けて「ポータブル電源(蓄電池)」と「発電機」の2種類があります。それぞれに長所と短所があるため、状況に合わせて使い分けるのが賢い方法です。
主な非常用電源の特徴比較
| 電源の種類 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| ポータブル電源(大容量) | 室内使用可、静音、操作が簡単 | 使い切ると再充電が必要、自然放電がある |
| カセットガス発電機 | 燃料の入手・保管が容易、長期間保存可 | 排気ガスが出るため屋外限定、音が大きい |
| ガソリン発電機 | 高出力、長時間の連続運転が可能 | 燃料の管理が難しい(劣化・引火)、メンテナンスが必須 |
| カーインバーター | 車のエンジンで発電可能、移動中も使用可 | ガソリン残量に依存、正弦波対応製品が必要 |
発電機は燃料さえあれば電気を作り続けられますが、大きな音と排気ガスが出ます。そのため、家の中やマンションのベランダでは絶対に使えません。
一方、ポータブル電源は無音で排気ガスも出ないので、枕元に置いても安全です。しかし、使い切ったら終わりという弱点があります。
おすすめなのは、夜間や室内ではポータブル電源を使い、昼間に屋外で発電機を回してポータブル電源を充電するという「ハイブリッド運用」です。これなら、長期の停電にも耐えうる体制が整います。
車は走る発電所!電気自動車やハイブリッド車で在宅避難を乗り切る
もしご自宅に車があるなら、それは強力な防災グッズになります。特に電動車は、単なる移動手段ではなく、命をつなぐための巨大なバッテリーとして活躍します。
コンセントはある?あなたの車の給電能力を確認しよう
最近の電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)には、車内にAC100Vコンセントがついているものが増えています。まずはご自身の車を確認してみてください。
重要なのは「最大出力」です。1500Wの出力があれば、人工呼吸器と吸引器を同時に動かしながら、スマホの充電まで余裕でこなせます。
ガソリン満タンのハイブリッド車なら、一般家庭の数日分の電力を供給できる能力を持っています。高価なポータブル電源を何台も買い足すよりも、車を活用する方が経済的で現実的かもしれません。
自動車を非常用電源として使うためのチェックリスト
- 所有する車にAC100Vコンセントがあるか、またはV2L対応か確認する
- 最大出力が1500Wであることを確認する(100W程度だと呼吸器には不十分な場合がある)
- 人工呼吸器まで届く長さの延長コード(ドラムコード等)を車載しておく
- ガソリン車・HVの場合は、排気ガスが家に入らないよう駐車向きに注意する
- EV・PHVの場合は、バッテリー残量をこまめにチェックする習慣をつける
家の中に電気を引き込む!V2LとV2Hという選択肢
車にコンセントがないタイプでも諦める必要はありません。急速充電ポートに差し込んで電気を取り出す「外部給電器(V2L)」という機器があります。
さらに進んで、「V2H(VehicletoHome)」という設備を自宅に導入すれば、車の電気をそのまま家の分電盤に送れます。これなら、延長コードを引き回すことなく、いつもの部屋のコンセントがそのまま使えます。
呼吸器周りの配線を変えずに済むので、パニックになりがちな災害時でも、普段通りの環境でケアを続けられるのが最大のメリットです。
ガソリン残量が命の残量!災害を想定した車の管理
車を電源として使うためには、燃料や電気が入っていなければ意味がありません。「ガソリンが半分になったら満タンにする」というルールを、日常から徹底してください。
また、災害時に車がどこにあるかも重要です。浸水リスクのある場所に停めていたり、ガレージの奥でコードが届かなかったりしては使えません。
ハザードマップを確認し、安全な場所に駐車することや、十分な長さの屋外用延長コードを準備しておくことが、いざという時の明暗を分けます。
機械が止まっても諦めない!アンビューバックを使いこなす手技と覚悟
どんなに準備をしていても、想定外のトラブルで全ての電源が尽きる可能性はゼロではありません。そんな絶体絶命のピンチで、最後の最後に命を繋ぐのは「人の手」です。
クローゼットの奥では意味がない!枕元への常備を徹底する
アンビューバック(用手人工呼吸器)は、どこに置いてありますか?もしクローゼットの奥深くにしまってあるなら、今すぐ出してください。
停電による呼吸器停止は、予告なく突然やってきます。真っ暗闇の中で、パニックになりながら探している時間はありません。
必ずベッドサイドや人工呼吸器のすぐ横など、手を伸ばせば届く「定位置」に置いてください。外出時も必ずバッグに入れて持ち歩く。それが、命を守るための最低限のルールです。
家族全員ができますか?実践的な用手換気のトレーニング
アンビューバックがあるだけでは、残念ながら命は救えません。適切に揉んで空気を送り込む「技術」が必要です。
患者さんの肺の硬さによって、必要な力加減やリズムは一人ひとり違います。普段ケアをしているお母さんだけでなく、お父さんや兄弟、ヘルパーさんも含めて、実際に揉んでみる練習が必要です。
「どのくらい握れば胸が上がるか」「苦しくないリズムはどれくらいか」。訪問看護師さんにお願いして、定期的に手技をチェックしてもらいましょう。体で覚えた感覚だけが、非常時の焦りを鎮めてくれます。
アンビューバック管理のポイント
- ベッドサイドの目立つ場所、手の届く場所に常に置いてあるか
- マスクやジャバラなどの部品に劣化や亀裂がないか定期確認する
- 外出用のバッグにも必ず予備セットを入れているか
- 家族全員が「どのくらい揉めば胸が上がるか」の感覚を知っているか
- 酸素配管への接続方法を理解しているか(酸素供給が必要な場合)
長期戦に備える!交代要員の確保と地域の手
手動での換気は、想像以上に体力を消耗します。5分や10分なら一人でできても、救助が来るまで何時間も続けるのは不可能です。
疲れて手が止まれば、それは直ちに命の危険を意味します。だからこそ、家族内で交代しながら行う体制や、近隣の方に手伝ってもらう準備が必要です。
「何かあったら手を貸してほしい」と、日頃から周囲に伝えておくこと。孤立せず、誰かとつながっていることが、アンビューバックを揉み続ける力を生み出します。
一人で抱え込まない!地域と連携して作る「逃げ遅れゼロ」の避難計画
在宅人工呼吸器ユーザーは、災害時に自力で逃げることが難しい「避難行動要支援者」です。行政任せにするのではなく、自分たちから声を上げ、具体的な計画を作っていく必要があります。
ケアマネジャーと相談!あなただけの「個別避難計画」
「個別避難計画」とは、災害時に誰が助けに来て、どこへ、どうやって逃げるかを決めた計画書です。これは、ケアマネジャーや相談支援専門員と一緒に作成します。
まだ作成していない方は、担当のケアマネジャーに「災害時の計画を立てたい」と相談してみてください。移動手段はどうするのか、避難先での電源確保はどうするのか。
一つひとつ具体的に話し合い、紙に書き出していくプロセス自体が、防災力を高める訓練になります。
電源とケア環境を確保できる「福祉避難所」への登録
一般的な学校の体育館などの避難所は、人工呼吸器ユーザーにとっては過酷すぎます。電源の保証はなく、衛生面やプライバシーの確保も困難だからです。
目指すべきは、高齢者施設や障害者施設などに設置される「福祉避難所」です。しかし、ここは発災直後にいきなり行って入れる場所ではありません。
一般避難所と福祉避難所の違い
| 項目 | 一般避難所(指定避難所) | 福祉避難所 |
|---|---|---|
| 対象者 | 地域住民全員 | 要配慮者(高齢者・障害者等)とその家族 |
| 開設時期 | 発災直後から開設 | 必要性が判断されてから開設(数日後の場合も) |
| 設備環境 | 体育館などが主、電源確保は不確実 | バリアフリー、電源確保、相談員配置などが期待できる |
| 利用方法 | 直接訪問して避難 | 原則として事前登録や自治体の調整が必要 |
多くの自治体では、事前の登録や調整が必要です。役所の障害福祉課に問い合わせ、自分が対象になる施設や手続きについて確認しておきましょう。平時から「私はここにいます」と手を挙げておくことが重要です。
顔の見える関係が命を救う!近隣住民とのつながり
大地震が起きた直後、救急車や役所の職員はすぐには来られません。その空白の時間に命を救ってくれるのは、向こう三軒両隣の住民です。
「この家には人工呼吸器を使っている人がいる」。それを知ってくれている人が近所に一人でもいれば、安否確認や避難の手助けをしてくれるかもしれません。
プライバシーの問題はありますが、民生委員や自治会長など、信頼できるキーパーソンには情報を伝えておくことを強くお勧めします。地域の防災訓練に参加して顔を見せておくのも、立派な防災活動です。
初対面の支援者に命を託す!災害時情報共有カードで伝えるべき必須項目
避難所などの混乱した現場では、いつもの医療スタッフがそばにいるとは限りません。初めて会うボランティアや救護スタッフに、短時間で病状とケア方法を伝えなければなりません。
人工呼吸器の設定値と処置内容を「見える化」する
口頭で全てを説明するのは不可能ですし、聞き間違いのリスクもあります。そこで役立つのが「災害時情報共有カード」です。
ここには、単なる病名だけでなく、治療に直結する数値を記載します。呼吸器の機種名、換気モード、設定圧、呼吸回数、アラーム設定などです。
また、吸引の回数やカテーテルのサイズ、酸素の流量など、日々のケアに欠かせない情報も網羅しておきます。これがあれば、代替機への交換が必要になった時もスムーズに対応できます。
写真付きが一番伝わる!電源と配線のマニュアル
医療機器に詳しくない人が支援に入ってくれることも想定しましょう。「どこのコードをどこに繋げばいいか」を言葉で説明するのは至難の業です。
外部バッテリーの接続方法や、回路の組み方などを写真に撮り、カードと一緒にファイルしておくと非常に親切です。視覚的な情報は、誰が見ても分かりやすく、ミスのない支援につながります。
災害時情報共有カードに記載すべき主な項目
- 基本情報(氏名、生年月日、血液型、緊急連絡先)
- 主治医・医療機関・訪問看護・機器メーカーの連絡先
- 人工呼吸器の設定値(モード、圧、回数、FiO2等)のコピー
- 使用している電源の種類と接続方法の写真
- 常用薬リストとお薬手帳のコピー
- 予備物品(回路、カニューレ、吸引チューブ)の保管場所
情報は生もの!定期的な更新が命を守る
お子さんの成長や病状の変化に合わせて、呼吸器の設定は変わっていきます。古い情報のままのカードでは、適切な処置が受けられません。
半年に一度、あるいは設定が変わるたびにカードの中身を見直してください。また、連絡先リストも最新の状態に保つことが大切です。常に「今の状態」を伝えられるようにしておくことが、命を守る責任です。
パニックを防ぐ予行演習!家族全員で挑むリアルな停電シミュレーション
頭で分かっているのと、実際にできるのとは全く違います。いざという時、恐怖で体がすくんでしまわないように、平時のうちに「体で覚える」訓練が必要です。
ブレーカーを落としてみる!本番さながらの遮断訓練
訪問看護師さんや臨床工学技士さんが来ている時に、一度家のブレーカーを実際に落としてみてください。突然の暗闇、鳴り響くアラーム音。この状況を一度でも体験しておくと、精神的な安定に大きく役立ちます。
その状態で、懐中電灯をつけ、呼吸器のバッテリーを確認し、外部電源につなぎ替える。一連の動作を誰がやるのか、どのくらい時間がかかるのか、タイムトライアル形式でやってみましょう。
「夜間」や「嵐の日」を想像したシナリオで挑む
災害は、条件の良い昼間に起こるとは限りません。家族が寝静まった深夜かもしれませんし、外で嵐が吹き荒れている時かもしれません。
手元の小さな明かりだけで吸引ができるか。雨戸を閉め切って外の音が聞こえない中で、アラーム音に気づけるか。あえて厳しい条件を設定して訓練すると、本当の意味での対応力が身につきます。
停電シミュレーション実施チェックシート
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 明かりの確保 | 停電と同時に自動点灯するライトは作動したか?手元用ライトはすぐに手に取れたか? |
| 機器の動作確認 | 呼吸器は内蔵バッテリーに切り替わったか?外部電源への接続はスムーズに行えたか? |
| 酸素・吸引の確保 | 酸素ボンベへの切り替え手順に迷いはなかったか?手動吸引器などの準備はできたか? |
| 連絡体制 | 家族や医療機関への連絡手順(シミュレーション)は確認できたか? |
「うまくいかなかったこと」こそが最大の収穫
シミュレーションをやると、必ず失敗や課題が見つかります。「コードが短かった」「電池が切れていた」「スイッチの場所がわからなかった」。それでいいのです。
本番で失敗すれば命に関わりますが、訓練での失敗は改善のチャンスです。見つかった課題を一つひとつ潰していくこと。その積み重ねが、家族の命を守る鉄壁の備えとなります。
よくある質問
- 在宅人工呼吸器の内部バッテリーだけで何時間もちますか?
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在宅人工呼吸器の内部バッテリーの持続時間は、機種や設定(加湿の有無や換気圧の高さ)、バッテリーの劣化具合によって大きく異なります。
一般的には新品の状態で2時間から8時間程度が目安とされていますが、過信は禁物です。
経年劣化により、実際の稼働時間はカタログ値よりも短くなる傾向があります。必ずご自身が使用している機器の説明書を確認し、定期点検の際にメーカーや業者に実測値を確認してもらうことが重要です。
内部バッテリーはあくまで一時的なバックアップと考え、長時間の停電には外部電源の準備が必須です。 - 在宅人工呼吸器にキャンプ用の安価な発電機を使っても大丈夫ですか?
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結論から言うと、在宅人工呼吸器に安価な発電機を使用するのは避けるべきです。
非常に危険な賭けになります。安価な発電機の多くは、出力される電気の波形が「矩形波」や「修正正弦波」であり、家庭用コンセントの滑らかな「正弦波」とは異なります。
精密医療機器である人工呼吸器にこれらの荒い電源を使用すると、誤作動や故障の原因となり、最悪の場合、動作が停止してしまう恐れがあります。
発電機やポータブル電源を準備する際は、必ず「正弦波(SineWave)」を出力できるインバーター制御付きの製品を選んでください。 - 災害時に在宅人工呼吸器と併用する酸素ボンベが尽きたらどうすればいいですか?
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災害時に酸素ボンベが枯渇することは、命に関わる重大なリスクです。
まずは、普段から予備のボンベを多めに確保しておくのが基本中の基本です。しかし、それでも足りなくなった場合は、速やかに酸素業者や医療機関に連絡を取り、配送が可能か確認してください。
通信が途絶えたり配送が困難な場合に備え、地域の「重点継続医療機関」や「災害拠点病院」の場所を事前に把握しておくことも重要です。いざという時はそこへ避難することで、酸素供給を受けられる可能性があります。
また、自治体の保健師にあらかじめ酸素が必要であることを伝え、優先的な支援を要請しておくのも有効な手段です。 - 避難所へ移動する際、在宅人工呼吸器はどうやって運べばいいですか?
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在宅人工呼吸器を移動させる際は、専用のキャリングバッグや、機器をしっかりと固定できる車椅子・ストレッチャーを使用します。
精密機械なので、衝撃を与えないよう細心の注意が必要です。運ぶ必要があるのは機器本体だけではありません。
外部バッテリー、アンビューバック、予備回路、吸引器なども一緒に持ち出すため、かなりの重量と荷物量になります。人力だけでこれらを運ぶのは現実的に困難な場合が多いでしょう。
福祉車両の手配や、近隣の方に荷物持ちを手伝ってもらうなど、マンパワーの確保が不可欠です。
避難訓練の際に実際に持ってみて、無理なく移動できるか確認しておいてください。
