訪問診療の1回の滞在時間は何分くらい?診察の流れと家族の同席

訪問診療の1回の滞在時間は何分くらい?診察の流れと家族の同席

訪問診療における1回の滞在時間は、患者様の容体が安定している場合、おおよそ15分から30分程度が目安となります。もちろん、初回の診療や体調に変化が見られる場合には、30分以上の時間をかけて丁寧に診察を行うこともあります。

医師は限られた時間の中で、診察だけでなく、療養上のアドバイスやご家族との情報共有も大切にしています。

ご家族の同席は必須ではありませんが、患者様の普段の様子を正確に伝えたり、今後のケア方針を相談したりする上で非常に重要な意味を持ちます。この記事では、具体的な時間の目安や当日の流れ、時間を有効に使うためのコツについて詳しく解説します。

目次

訪問診療の1回の平均滞在時間と変動要因

定期的な訪問で容体が安定している場合、滞在時間は概ね15分から30分程度です。初診時や急な体調変化、特別な処置が必要な際は、状況に応じて時間を延長し適切な医療を提供します。

一般的な診察時間の目安は15分から30分

多くの患者様やご家族が最初に気にされるのが、医師や看護師が自宅に滞在する時間の長さではないでしょうか。

定期的に行われる訪問診療(月2回程度)において、患者様の体調が安定している場合、1回の滞在時間は約15分から30分が一般的です。

この時間は一見短く感じられるかもしれません。しかし、病院での外来診察と比較すると、医師と一対一で向き合える時間は十分に確保されています。

医師はこの時間内で、バイタルサインの測定、身体診察、お薬の処方内容の確認を行います。さらに、患者様やご家族との対話の時間もしっかりと設けています。

効率的に見えるかもしれませんが、継続的に診ているからこそ、短時間でも微細な変化を察知することが可能です。

無駄に長く滞在して患者様を疲れさせないよう配慮しながら、必要な医療行為を確実に実施する時間設定となっています。

初診時や病状変化時は時間が長くなる傾向

通常の診察とは異なり、初めて訪問診療を行う「初診」の際は、30分から1時間程度の時間を要することが多くなります。

これは、患者様のこれまでの病歴や生活背景、ご家族の介護状況などを詳細に把握する必要があるためです。信頼関係を築くための最初の対話は非常に重要であり、医師は時間をかけてお話を伺います。

また、普段の訪問診療であっても、発熱や痛みの増強など、何らかの体調変化が見られる場合もあるでしょう。そうしたケースでは、原因を特定するための診察や検査に時間を割きます。

「いつもより時間が長いな」と感じたときは、医師が慎重に状態を確認しているサインとも言えます。このように、滞在時間は画一的なものではなく、その時の患者様の状態に合わせて柔軟に変化します。

処置内容や検査による時間のばらつき

具体的な医療処置の有無も、滞在時間を大きく左右する要因です。聴診や問診だけの診察であれば比較的短時間で済みます。

一方で、点滴、床ずれ(褥瘡)の処置、カテーテル交換、血液検査などが必要な場合は、その分だけ時間が加算されることになります。

状況別に見る訪問診療の滞在時間目安

状況目安時間主な内容
定期診察(安定期)15分〜30分問診、バイタル測定、処方確認
初診時30分〜60分病歴確認、全体把握、契約説明
処置・検査あり30分〜50分点滴、採血、カテーテル交換など
緊急往診時30分〜不定急性期対応、救急搬送の判断など

特に、在宅酸素療法や人工呼吸器の管理を行っている場合、機器のチェックや設定確認も慎重に行うため、どうしても時間は長くなります。

ご家族としては、処置がある日は少し時間に余裕を持ってスケジュールを空けておくと安心です。医療機関側も、あらかじめ処置が必要と分かっている場合には、滞在時間を長めに見積もっています。

医師以外のスタッフが関わる場合の所要時間

訪問診療は医師一人で行うこともありますが、多くの場合、看護師やドライバー、時には相談員(ソーシャルワーカー)などが同行します。

複数のスタッフが関わる場合、それぞれの役割分担が明確であればスムーズに進みます。

しかし、多職種での連携確認や、介護サービスとの調整会議(サービス担当者会議)を兼ねる場合などは、滞在時間が長くなることがあります。

また、管理栄養士や歯科医師、薬剤師などが同行・連携する場合も、それぞれの専門的な指導やケアが行われるため、トータルの時間は長くなります。

これらは全て、患者様を包括的に支えるための大切な時間であり、単なる診察以上の価値を持つ時間と言えます。

滞在時間の内訳と医師が行う具体的な医療行為

問診による状態把握から始まり、身体診察、検査、処方や療養指導までを密度の高いスケジュールで行います。各行為は連携し、患者様の生活全体を支える重要な要素です。

問診とバイタルチェックで状態を把握する

医師が到着して最初に行うのが、問診とバイタルサイン(血圧、脈拍、体温、呼吸数など)のチェックです。

これは単に数値を測るだけでなく、患者様の顔色や話し方、表情の変化などを観察する重要な時間でもあります。

「昨夜はよく眠れましたか?」「食事はおいしく食べられていますか?」といった日常会話のような問いかけの中に、医学的な判断材料が含まれています。

看護師が同行している場合は、看護師が先行してバイタル測定を行うこともあります。その間に医師はご家族から前回の訪問以降の様子を伺います。

この導入部分は、診察全体の質を決める土台となるため、リラックスした雰囲気作りも大切にされています。

身体診察と必要な検査の実施

問診で得た情報を元に、医師は身体診察を行います。聴診器で心音や呼吸音を確認したり、お腹に触れて消化管の動きを確かめたり、手足のむくみを見たりします。 必要に応じて、携帯型の機器を用いた超音波検査(エコー)や心電図検査、血液検査などもその場で実施します。

訪問診療における主な医療行為リスト

  • 健康状態の確認(血圧、体温、脈拍、SPO2測定など)
  • 身体診察(聴診、触診、視診、打診など)
  • 必要に応じた検査(採血、尿検査、心電図、超音波検査など)
  • 医療処置(点滴、注射、褥瘡処置、カテーテル管理、酸素療法管理など)
  • 薬剤の処方箋発行および管理指導
  • 療養生活に関する指導(栄養、運動、環境整備などのアドバイス)
  • ご家族への病状説明と介護相談

病院と違って大掛かりな検査機器はありませんが、医師の五感と持ち運び可能な医療機器を駆使して、今の体の状態を正確に診断します。

寝たきりの方であれば、床ずれの有無を確認するために体位を変えることもあります。これらの身体診察は、患者様の負担を最小限に抑えるよう、手際よく行われます。

薬の処方と療養上の指導や助言

診察の最後には、現状に合わせた薬の処方を行います。症状が安定していれば前回と同じ薬を継続しますが、変化があれば薬の種類や量を調整します。 そして、訪問診療で特に重要なのが「療養上の指導・助言」です。これは薬のことだけにとどまりません。

食事の形態、水分の摂り方、リハビリの進め方、室内の環境整備など、生活に直結したアドバイスを行います。 ご家族に対しても、介護の悩みを聞き、医学的な見地から解決策を提案します。この対話の時間は、患者様が自宅で安心して過ごすために欠かせないものです。

訪問診療当日の診察の流れと事前準備

当日は到着連絡から始まり、診察、次回の予約確認までが一連の流れです。ご家族がこの流れを把握することで、医師をスムーズに迎え、より充実した診療時間につながります。

訪問予定時刻の連絡と到着前の準備

訪問診療の当日は、おおよその訪問時間が事前に伝えられていますが、交通状況や前の患者様の診察状況によって多少前後することがあります。

そのため、多くのクリニックでは、到着の15分から30分前くらいに「これから伺います」という連絡を入れることが一般的です。

この連絡を受けたら、ご家族は受け入れの準備を始めます。部屋の換気をしたり、ペットをケージに入れたり、テレビの音を小さくしたりして環境を整えます。

また、お薬手帳や、前回からの体調の変化をメモしたものを用意しておくと、医師到着後すぐに本題に入ることができます。このちょっとした事前準備が、限られた時間を有効に使うための鍵となります。

訪問診療当日の標準的なタイムライン

段階内容ご家族のアクション
訪問前クリニックから到着見込みの連絡部屋の環境を整え、メモなどを準備
到着時医師・スタッフの入室、感染対策出迎え、洗面所の案内(必要な場合)
診察中問診、身体診察、処置状態の報告、診察の補助
診察後病状説明、指導、次回予約不明点の質問、次回の予定確認

医師到着から診察開始までの手順

医師とスタッフが到着したら、まずは手洗いと感染対策を行います。その後、患者様の枕元へ移動し、挨拶を交わしてから診察がスタートします。

基本的には、患者様がリラックスできるいつもの場所(ベッドや布団、リビングの椅子など)で診察を行います。無理に移動する必要はありません。

医師はまずご家族や患者様の話に耳を傾け、それから身体診察へと移ります。

ご家族は医師のそばにいて、適宜質問に答えたり、医師の指示に従って患者様の衣服をまくるのを手伝ったりします。医師は患者様のプライバシーにも配慮しながら進めますので、安心して任せてください。

診察終了後の片付けと次回予約の確認

診察や処置が終わると、医師はカルテに記録を残し、本日のまとめと次回までの方針を説明します。

使った医療器具や廃棄物は医療機関側が持ち帰りますので、ご家族が処分する必要はありません。

最後に、次回の訪問日時を決定します。通常は定期的なスケジュールが組まれていますが、祝日や医師の学会出席などで変更になる場合はこの時に調整します。

また、薬の処方箋が発行される場合は、その場で受け取るか、提携する薬局へFAXしてもらう手配を確認します。全ての確認が終わり、スタッフを見送って訪問診療は終了となります。

家族の同席が必要な理由とメリット

医師が正確な診断と適切な治療計画を立てるために同席は重要です。ご本人が伝えきれない情報を補完し、将来のケア方針を共有することで、療養の質と安心感が向上します。

患者の普段の様子を正確に伝える役割

ご高齢の患者様や認知症のある患者様の場合、ご自身の体調変化を言葉で正確に医師に伝えることが難しいケースがあります。

「大丈夫です」と言っていても、実際には食欲が落ちていたり、夜眠れていなかったりすることもあります。このような時、常にそばにいるご家族の情報提供が診断の命綱となります。

「昨日から少し咳が増えた」「歩くときにふらつくようになった」といった、生活者ならではの気づきを医師に伝えてください。そうすることで、病気の早期発見や悪化防止につながります。

医師が見ているのは「訪問時の点」としての姿ですが、ご家族は「生活という線」を知っています。この二つの視点を合わせるために、同席が必要なのです。

家族同席の主なメリット整理

メリット詳細効果
情報の正確性本人が言えない細かな変化を伝達誤診防止、早期発見
方針の共有治療ゴールやケア方針のすり合わせ納得感のある医療、信頼関係構築
不安の解消疑問点の即時解決、緊急時対応の確認介護者の精神的負担軽減

今後の治療方針やケアに関する相談

在宅医療では、単に病気を治すことだけでなく、「どのように過ごしたいか」「最期をどこで迎えたいか」といった人生の選択に関わる相談も重要になります。

このような深いテーマについては、医師とご家族が膝を突き合わせて話し合う必要があります。

診察に同席することで、現在の病状を踏まえた上で、将来の予測や準備すべきことについて医師から直接説明を受けることができます。

また、介護の負担が増してきた場合に、どのようなサービスを追加すべきか、医療的な介入をどこまで望むかといった方針決定も、同席の場であればスムーズに行えます。

緊急時の対応方法を確認し安心感を得る

在宅療養中、ご家族が最も不安に感じるのは「急変時にどうすればよいか」という点です。

訪問診療の際に同席していれば、具体的なシチュエーションを想定して医師に質問することができます。

「熱が〇度以上出たら電話すべきですか?」「転倒した時は動かしてもいいですか?」など、日頃の不安を解消する絶好の機会です。

医師から明確な基準を示してもらうことで、ご家族の精神的な負担は軽くなります。安心感を持って日々の介護にあたるためにも、同席して直接アドバイスを受けることは大きなメリットとなります。

家族が同席できない場合の対応と連携方法

毎回のご家族の同席が難しい場合でも、連携ツールや介護スタッフの協力で情報共有は可能です。「不在でも関心を持っている」という姿勢を伝える仕組みを作りましょう。

事前に情報をノートやメモに残しておく

ご家族が同席できない日は、医師に伝えたいことを事前にメモにまとめて、患者様の枕元や分かりやすい場所に置いておく方法が有効です。

「最近、便秘気味です」「足のむくみが気になります」など、箇条書きで構いません。これにより、医師はその点を重点的に診察することができます。

医師からの回答はメモに残されたり、電話で報告されたりします。多くの在宅療養の現場では「連絡ノート」を活用しています。

同席不可時の連携ツール・手段

  • 自宅に設置した「医療・介護連携ノート」の活用
  • 診察前の質問メモと、医師からの回答メモ
  • ケアマネジャーや訪問看護師による代理同席
  • 診療終了後の電話報告(クリニックへ要依頼)
  • 医療介護専用のICT連携アプリやメール報告

これはご家族、医師、訪問看護師、ヘルパーなどが情報を書き込む交換日記のようなものです。ご家族が不在でも、このノートを通じてチーム全員と情報を共有することができます。

ケアマネジャーや介護スタッフへの代行依頼

訪問診療の時間に合わせて、ケアマネジャーや訪問看護師、あるいはヘルパーに入ってもらうよう調整するのも一つの方法です。 プロの介護スタッフが同席することで、医学的な指示を正確に受け取ってもらえますし、普段の介護状況を医師に詳しく伝えてもらうこともできます。

特にケアマネジャーは、医療と介護の橋渡し役として重要な存在です。ご家族が同席できない事情を相談し、診察時の立ち合いをお願いしておけば、後で詳しく報告を受けることができ安心です。

電話や連絡帳を活用した診療後の報告共有

診察終了後に、医師やクリニックのスタッフから電話で報告をもらうように依頼することも可能です。 特に病状に変化があった場合や、薬の変更があった場合には、電話での直接説明を希望しておくと良いでしょう。

最近では、ICTツール(医療介護連携SNSなど)を導入しているクリニックも増えています。セキュリティの守られたチャットアプリなどを通じて、診察結果や処方内容がご家族のスマートフォンに届く仕組みです。

どのような手段で報告を受け取るのが一番スムーズか、契約時や初回の面談時にクリニックと相談し、ルールを決めておくことが大切です。

滞在時間を有効に使うための家族の工夫

限られた時間を活かすには、ご家族による事前準備が欠かせません。伝えたいことを整理し、スムーズに診察に入れる環境を整えることで、医師は医療行為や対話に多くの時間を使えます。

質問事項や気になる症状をまとめておく

医師を前にすると、聞きたかったことを忘れてしまったり、遠慮して言い出せなかったりすることはよくあります。これを防ぐために、質問事項は事前にメモに書き出しておきましょう。

家族ができる事前準備チェックリスト

項目具体的なアクション
情報の整理質問メモの作成、体温・血圧記録の準備
環境の整備部屋の換気・照明、椅子の用意、ペットの管理
患者様の準備着脱しやすい服装、排泄を済ませておく
書類の準備お薬手帳、保険証類、他職種の記録ファイル

「食欲」「睡眠」「排泄」「痛み」など、項目ごとに気になったことを数日前から記録しておくと、より具体的で正確な情報を伝えられます。 また、優先順位をつけておくことも大切です。時間が限られている場合、最も心配なことから先に相談することで、解決したい悩みを確実に医師に届けることができます。

診察しやすい環境や服装を整える

スムーズな診察のためには、物理的な環境作りも重要です。医師が座るスペースを確保し、照明を明るくしておきます。

患者様の服装については、腕まくりがしやすい服や、前開きの服を選んでおくと、血圧測定や聴診がスムーズに進みます。

冬場など寒い時期は、部屋を暖めておくことで、肌を露出する診察時の負担を減らせます。ペットを飼っている場合は、診察中は別室やケージに入れておくのがマナーであり、安全確保のためにも必要です。

こうした細やかな配慮が、質の高い診療時間を生み出します。

お薬手帳や介護記録をすぐに提示できるようにする

お薬手帳、介護保険証、健康保険証などは、必要な時にすぐ出せるようまとめておきましょう。

特に他の病院(眼科や皮膚科など)を受診して新しい薬が出た場合、飲み合わせの確認が必要になるため、お薬手帳の提示は必須です。

また、訪問看護やデイサービスの利用記録ファイルがある場合は、それも医師に見てもらえるよう準備しておきます。医師はそれらの記録から、リハビリの進み具合や日中の過ごし方を把握します。

情報の透明性を高めることで、チーム全体の連携が強化され、より適切な医療提供につながります。

訪問診療と往診の違いによる時間的特徴

計画的な訪問診療に対し、往診は緊急対応の側面が強く、状況に応じた時間の変動が大きくなります。滞在時間や時間の読みやすさにも違いがあることを理解しておきましょう。

計画的な訪問診療は時間が読みやすい

ここまで解説してきた内容は、主に「訪問診療」に関するものです。訪問診療は、事前に計画されたスケジュールに沿って行われるため、開始時間も終了時間もある程度予測が可能です。

医師もその日のルートや患者様の状態を把握した上で訪問するため、落ち着いて診察を進めることができます。

ご家族にとっても、いつ医師が来るか分かっているため、生活のリズムを崩さずに予定を立てやすいというメリットがあります。

定期的な管理を行う場であるため、時間的なイレギュラーは比較的少ないのが特徴です。

緊急時の往診は状況次第で時間が大きく変動

一方、「往診」は、患者様の急変時などに臨時で要請を受けて訪問するものです。救急車を呼ぶほどではないが、すぐに医師に診てほしいという状況で行われます。

往診の場合、どのような処置が必要かは現場に行くまで完全には予測できません。点滴だけで済む場合もあれば、精密検査が必要で救急搬送の手配を行うことになる場合もあります。

訪問診療と往診の時間的特徴の比較

種類訪問のタイミング時間の予測滞在時間の傾向
訪問診療定期的・計画的予測しやすい安定時は15-30分
往診突発的・緊急時予測しにくい状況により大きく変動

そのため、滞在時間は30分で終わることもあれば、数時間に及ぶこともあります。

また、到着時間についても、他の診療との兼ね合いで「〇時頃になります」と幅を持たせた案内になることが多く、待機時間が発生することを理解しておく必要があります。

24時間対応における時間外対応の実際

在宅療養支援診療所などは24時間365日の対応体制をとっていますが、夜間や休日の緊急往診は、当直医が対応することがあります。

主治医以外の医師が来る場合、カルテ情報は共有されていますが、改めて状況確認を行うため、診察時間が長引くことがあります。

また、夜間は薬局が開いていないこともあるため、手持ちの薬で対応するか、院内処方の薬を医師が持参するかなど、薬の受け渡しに関する調整にも時間を要することがあります。

緊急時は「時間」よりも「適切な対応」が最優先されるため、ご家族も時間の長さよりは、落ち着いて状況を見守ることが大切です。

よくある質問

訪問診療の利用を検討されている方や、始めたばかりの方から寄せられる疑問にお答えします。ご家族の不安を解消できるよう、具体的な視点でまとめました。

毎回同じ医師が来てくれるのですか?

基本的には主治医制をとっているクリニックが多く、毎回同じ医師が担当します。しかし、医師の学会出席や休暇、あるいは24時間体制を維持するためのチーム医療制を採用しているクリニックでは、別の医師が訪問することもあります。

その場合でも、電子カルテ等を通じて患者様の情報は詳細に共有されていますので、継続性のある診療を受けることができます。もし「どうしても同じ先生が良い」という希望がある場合は、契約時に相談してみましょう。

診察中に他の家族が同席しても良いですか?

もちろん構いません。むしろ、キーパーソンとなる方以外のご家族(例えば、遠方から帰省中のお子様やお孫様など)が同席することは歓迎されます。

普段介護に関わっていないご家族が医師の話を聞くことで、病状への理解が深まり、メインで介護されている方のサポートにつながることも多いためです。部屋の広さなどの問題がなければ、ぜひ同席して情報を共有してください。

交通事情で到着時間が遅れることはありますか?

はい、あります。訪問診療は車で移動することが多いため、交通渋滞や天候、あるいは前の患者様の容体急変による対応などで、予定時間が前後することがあります。

大幅に遅れる場合(通常は30分以上)は、クリニックから事前に電話連絡が入ることが一般的です。

待ち時間が長くなると不安になるかと思いますが、前の患者様への丁寧な対応を行っている結果でもありますので、ご理解いただければ幸いです。

訪問日時の変更は柔軟に対応してもらえますか?

ご家族の都合や、デイサービスの予定変更などで訪問日時を変更したい場合は、早めに連絡すれば調整可能です。ただし、医師のスケジュールには限りがあるため、必ずしも希望通りの日時に変更できるとは限りません。

特に当日の変更は難しい場合が多いです。予定が分かった段階で、できるだけ数日前までにはクリニックへ相談することをお勧めします。

診療費の支払いはその場でするのですか?

訪問診療の現場で現金のやり取りをすることは、基本的にはありません。

多くのクリニックでは、1ヶ月分の診療費をまとめて計算し、翌月に口座振替(引き落とし)や銀行振込、あるいはクレジットカードで支払うシステムを採用しています。

診察のたびにお財布を用意する必要がないため、患者様やご家族の手間が省け、医師も診療に集中することができます。詳細な支払い方法や締め日については、契約時に事務スタッフから説明があります。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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