介護現場と医師が連携する排便ケア – 便失禁・下痢・便秘の包括サポート

介護現場と医師が連携する排便ケア - 便失禁・下痢・便秘の包括サポート

ご自宅で療養生活を送る高齢者にとって、便秘や下痢、便失禁といった排便のトラブルは、非常に身近でありながら深刻な問題です。

これらの問題は、単に不快なだけでなく、食欲不振や脱水、皮膚トラブル、さらにはご本人の尊厳や生活の質(QOL)にも深く関わります。

介護を担うご家族や介護職員だけでは対応が難しく、背景に潜む病気を見逃す危険もあります。

この記事では、在宅介護の現場と訪問診療を行う医師がどのように連携し、排便トラブルに対して包括的なサポートを行っていくかについて、詳しく解説します。

目次

在宅高齢者の排便トラブルの実態と医療連携の必要性

在宅で療養する高齢者の多くが、何らかの排便トラブルを抱えています。これらは加齢に伴う自然な変化の一部であると同時に、様々な病気や服用中の薬剤が影響している可能性もあります。

介護現場でのきめ細かなケアと、医師による医学的評価を結びつけることが、健やかな在宅生活を支える鍵となります。

高齢者に多い便秘・下痢・便失禁の発生状況

加齢とともに、腸の動き(蠕動運動)は弱くなりがちです。

また、食事量の減少、水分の摂取不足、運動不足なども便秘の要因となります。複数の薬剤を服用している場合、その副作用として便秘や下痢が引き起こされることも少なくありません。

一方で、腸の感染症や炎症、あるいは便秘が原因で硬い便の隙間から水様便が漏れ出る「溢流性(いつりゅうせい)下痢」も起こり得ます。

さらに、筋力の低下や認知機能の変化により、便意を感じにくくなったり、うまく排泄できなかったりすることで便失禁に至るケースも見られます。

高齢者の排便トラブル 主な要因

要因の分類具体例考えられる影響
加齢による変化腸の蠕動運動の低下、直腸の感覚低下、肛門括約筋の筋力低下便秘、便失禁
生活習慣食事量・食物繊維・水分摂取の不足、運動不足便秘
薬剤の影響鎮痛薬(医療用麻薬など)、抗コリン薬、一部の降圧薬、抗生物質便秘または下痢

排便トラブルが及ぼす生活の質への影響

排便の問題は、ご本人の生活の質(QOL)に深刻な影を落とします。便秘による腹部の不快感、張り、痛みは食欲不振につながり、低栄養を招く恐れがあります。

下痢や便失禁は、皮膚のただれ(失禁関連皮膚炎)を引き起こすだけでなく、ご本人の自尊心を傷つけ、外出をためらったり、人と会うのを避けたりするなど、社会的な孤立を深める原因にもなります。

排便トラブルがQOLに及ぼす影響

影響の側面具体的な影響ご本人の心情・状況例
身体的苦痛腹痛、腹部膨満感、残便感、肛門周囲の痛み、皮膚炎「お腹が張って苦しい」「食欲がない」「お尻が痛い」
精神的ストレス不安、抑うつ、羞恥心、自尊心の低下「また漏らしたらどうしよう」「家族に申し訳ない」
社会的生活外出の機会が減る、人との交流を避ける、介護負担の増大「臭いが気になるから出かけたくない」「介護の手間を増やしてしまう」

介護現場だけでは対応が難しい理由

介護職員やご家族は、日々のケアの中で排便状況を注意深く観察しています。しかし、排便トラブルの原因は多岐にわたります。

単なる生活習慣の問題なのか、服用中の薬剤の副作用なのか、あるいは大腸がんや腸閉塞といった重大な病気が隠れているのかを判断することは、医学的な知識なしには困難です。

また、頑固な便秘に対する摘便(指で便をかき出す処置)や、繰り返す下痢への対応は、介護者にとって大きな負担となります。

医師との連携が求められる背景

排便トラブルを「年齢のせい」と片付けず、その背景にある医学的な原因を特定し、適切に対処することが重要です。

特に在宅療養中の高齢者は、複数の疾患を抱え、多くの薬剤を服用していることが一般的です。

訪問診療を行う医師が定期的に関与し、全身状態を評価した上で排便管理を行うことで、不要な苦痛を取り除き、重篤な状態への進行を防ぐことができます。

介護と医療が情報を共有し、一体となってサポートする体制が求められます。

便秘・下痢・便失禁の医学的評価とトリアージ

排便トラブルへの対応は、まずその状態を医学的に正しく評価することから始まります。

すべての症状が同じように対応されるわけではなく、緊急性や原因に応じて、対応の優先順位(トリアージ)を判断し、適切な介入につなげる必要があります。

それぞれの症状の医学的定義と分類

医学的には、便秘、下痢、便失禁はそれぞれ定義があります。例えば、便秘は単に「便が出ない日数」だけでなく、「排便時の苦痛」や「残便感」なども含めて総合的に判断します。

下痢は便の水分量が異常に増加した状態を指し、急性と慢性に分類されます。

便失禁は、本人の意思に反して便が漏れてしまう状態であり、その原因(便意の有無、便の性状など)によって対応が異なります。

主な排便トラブルの医学的定義の目安

症状定義の目安主な分類
便秘排便回数の減少(例:週3回未満)や、排便困難(強くいきむ、硬い便、残便感)がある状態。機能性(腸の動きが悪いなど)、器質性(腸に病気がある)
下痢便中の水分量が著しく増加し、泥状〜水様便が頻回に見られる状態。急性(発症から2週間以内)、慢性(発症から4週間以上)
便失禁本人の意思とは関係なく、固形便、液状便、またはガスが肛門から漏れる状態。切迫性(便意はあるが間に合わない)、漏出性(便意なく漏れる)など

緊急性の高い症状の見極め方

排便トラブルの中には、迅速な医療対応が必要な危険な兆候(レッドフラッグサイン)が隠れていることがあります。これらを見逃さないことが、在宅医療において極めて重要です。

緊急受診や検査を要する危険なサイン

危険なサイン(例)疑われる重篤な状態求められる対応
激しい腹痛、嘔吐、全く便もガスも出ない腸閉塞(イレウス)速やかな医師への連絡、緊急の画像検査(病院)
突然の血便(特に鮮血や黒色便)消化管出血(胃潰瘍、大腸がん、虚血性腸炎など)速やかな医師への連絡、全身状態の評価
高熱を伴う下痢、血性下痢感染性腸炎(O-157など)、炎症性腸疾患医師の診察、便培養検査など

医師による診断と評価のプロセス

訪問診療の医師は、まずご本人や介護者から詳しくお話を伺います(問診)。いつからどのような症状があるか、便の性状、回数、食事内容、服用中の薬剤などを確認します。

次に、お腹の音を聴いたり、触ったりして状態を評価します(身体所見)。必要に応じて、在宅で血液検査や腹部超音波検査(エコー)を行うこともあります。

これらの情報から、症状の原因を推定し、治療方針を立てます。

薬剤性や疾患による排便異常の識別

高齢者の排便トラブルでは、薬剤の副作用が原因であることも多いです。また、糖尿病、甲状腺機能低下症、パーキンソン病などの全身性疾患が、腸の動きに影響を与えている場合もあります。

医師は、現在治療中の病気や服用薬のリストを確認し、排便異常との関連を慎重に評価します。

排便に影響を及ぼす可能性のある主な薬剤

薬剤の種類(例)主な影響代表的な薬剤名
医療用麻薬(オピオイド)便秘(腸の動きを強く抑制)モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど
抗コリン作用のある薬便秘(腸の動きを弱める)一部の風邪薬、抗精神病薬、頻尿治療薬など
抗生物質下痢(腸内細菌のバランスが崩れる)広域スペクトルの抗生物質など

検査が必要となるケースの判断基準

問診や診察、在宅での簡易検査だけでは原因が特定できない場合や、先に挙げたような危険な兆候がある場合は、病院での精密検査が必要となります。

例えば、体重減少を伴う便秘や血便が続く場合は大腸がんを疑い、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を手配します。

訪問診療医は、地域の病院と連携し、必要な検査がスムーズに受けられるよう調整する役割も担います。

介護現場で直面する排便ケアの課題

日々ご本人に接する介護職員やご家族は、排便トラブルの第一発見者であることが多いです。しかし、そのサインをどのように受け止め、どう対応すればよいか、多くの課題に直面しています。

日常的な観察で気づくべきポイント

介護を行う上で、排便状況の観察は健康管理の基本です。便の回数だけでなく、その「状態」を記録することが重要です。

医療や介護の現場では、「ブリストル便形状スケール」という世界共通の指標を用いて便の硬さや形状を評価し、情報を共有することがあります。

  • 便の回数と量
  • 便の形状と硬さ(例:硬いコロコロ便、軟便、水様便)
  • 便の色(例:黒色、赤色、白色)とにおい
  • 排便時の様子(例:強くいきむ、痛みを訴える)
  • 腹部の状態(例:張っている、ゴロゴロ鳴る)

ブリストル便形状スケール(簡易的な説明)

タイプ(1〜7)形状の特徴一般的な状態
タイプ1〜2コロコロした硬い便、ソーセージ状だがゴツゴツ便秘(硬い便)
タイプ3〜4表面にひび割れ、または滑らかでバナナ状正常(理想的な便)
タイプ5〜7柔らかい半固形便、泥状便、水様便下痢傾向(軟便〜下痢)

介護職員が抱える対応の難しさ

介護施設や訪問介護の現場では、多くの利用者を限られた時間の中でケアする必要があります。排便ケアは時間がかかり、特に便失禁や頑固な便秘への対応は精神的・身体的な負担が大きくなります。

また、「この症状はすぐに医師に報告すべきか」「下剤の調整をどう提案すればよいか」といった医学的判断の境界線で悩むことも少なくありません。

対応が個々の職員の経験に左右されてしまい、ケアの質が一定しないことも課題です。

  • 対応に時間がかかり、他のケア業務を圧迫する
  • 便失禁の処理に伴う精神的ストレス
  • 医師への報告基準(どの程度の便秘・下痢で連絡するか)が不明確
  • 利用者や家族の希望(「下剤は嫌だ」など)と、必要なケアとの間で板挟みになる

ご家族からの相談内容と不安

在宅介護を行うご家族からも、排便に関する多くの相談が寄せられます。

「毎日便が出ないと不安」「下剤を使い続けると効かなくなるのでは?」「おむつかぶれが治らないが、どう洗えばよいか」「便秘と下痢を繰り返して対応に困る」。

これらの不安に対し、介護職員は共感しつつも、医学的な根拠に基づいた明確な回答が難しい場面もあります。ご家族の不安を軽減するためにも、医師との連携が重要です。

医師と介護職の効果的な連携体制

排便トラブルのような日常的かつ医学的な問題を解決するには、介護職と医師が「チーム」として機能することが必要です。

効果的な連携体制を築くことで、問題の早期発見と適切な対応が可能になります。

情報共有の方法とタイミング

連携の基本は、正確な情報共有です。介護職は「いつ、どのような便が、どれくらい出て、ご本人はどのような様子だったか」を客観的に記録し、医師に伝えます。

医師はそれらの情報と医学的所見を統合して、方針を決定します。

報告のタイミングは、訪問診療の定期的な訪問時に合わせるほか、緊急性の高い症状(前述の危険なサインなど)が見られた場合は、即座に連絡を取る必要があります。

医師へ報告すべき排便に関する重要情報

観察項目具体的な観察ポイント特に注意すべき変化
便の性状・回数ブリストルスケールでの評価、回数の増減急な下痢、水様便、硬いコロコロ便が続く
随伴症状腹痛、嘔吐、発熱、食欲不振、いきみ、残便感激しい腹痛、嘔吐、発熱
便の色・その他黒色便、血便(鮮血、粘血便)、白色便いつもと違う色の便、血液の付着

訪問診療における排便状況の報告システム

情報をスムーズに共有するため、多くの在宅医療の現場では「連絡ノート(連携ノート)」を活用しています。

訪問介護職員、訪問看護師、ご家族が日々の様子を記入し、訪問診療医がそれを確認して指示やコメントを書き込みます。

最近では、ICT(情報通信技術)を活用し、チャットツールや専用のアプリを用いて、リアルタイムに写真(便の状態など)や情報を共有する取り組みも進んでいます。

多職種カンファレンスでの連携

排便ケアは、医師と介護職だけで完結するものではありません。

例えば、食事内容については管理栄養士、服薬管理については薬剤師、腸の動きを活発にするための運動については理学療法士や作業療法士、そしてケアプラン全体を管理するケアマネジャーといった、多職種が関わります。

定期的に「サービス担当者会議」や「カンファレンス」を開き、排便ケアの方針について共通の理解を持つことが、一貫したサポートにつながります。

緊急時の連絡体制と対応フロー

在宅療養では、夜間や休日に状態が急変することも想定されます。特に腸閉塞や消化管出血が疑われる場合は、一刻も早い対応が必要です。

訪問診療クリニックは、24時間365日対応可能な連絡体制(オンコール体制)を整えていることが一般的です。

介護職やご家族は、どのような状態の時に、どこへ連絡すればよいかをあらかじめ確認し、緊急時の対応フローを共有しておくことが重要です。

訪問診療による排便トラブルへの包括的サポート

訪問診療医が関わることで、排便トラブルに対して医学的根拠に基づいた、多角的かつ継続的なサポートが可能になります。対症療法だけでなく、根本的な原因の改善を目指します。

定期的な医学的評価と治療方針の調整

医師が定期的にご自宅を訪問し、全身状態を診察することで、排便トラブルの背景にある変化を早期に察知できます。

例えば、脱水の兆候はないか、腹部の張りはどうか、服用薬の変更が影響していないかなどを評価します。その上で、介護現場からの情報に基づき、治療方針(薬物療法や生活指導)を微調整し続けます。

薬物療法の適切な管理と副作用モニタリング

便秘薬(下剤)には多くの種類があり、作用の仕方が異なります。医師はご本人の状態や便秘のタイプ(腸の動きが悪いのか、便が硬いのかなど)に応じて、最適な薬剤を選択・調整します。

自己判断で市販薬を使用したり、以前処方された薬を漫然と使い続けたりすると、かえって症状を悪化させる(下痢が止まらない、電解質異常をきたすなど)危険があります。

医師による適切な処方管理と、副作用が出ていないかの継続的なモニタリングが重要です。

主な便秘薬の種類と特徴

分類主な作用特徴
酸化マグネシウム便に水分を含ませて柔らかくする(浸透圧性下剤)高齢者では高マグネシウム血症に注意が必要。
刺激性下剤腸の蠕動運動を直接刺激する効果が強いが、長期連用で耐性が生じやすい。頓用(必要な時だけ)での使用が多い。
新規便秘薬腸の水分分泌を促す、腸の動きを調整するなど(多様)作用が穏やかで、長期使用しやすいものが多い。

食事・水分・運動指導の医学的アドバイス

排便コントロールの基本は、薬物療法だけでなく生活習慣の改善です。

しかし、高齢者の場合、心臓病や腎臓病で水分制限が必要な方、飲み込む力(嚥下機能)が低下している方、麻痺などで運動が困難な方もいます。

医師や、医師の指示を受けた訪問看護師、管理栄養士が、ご本人の医学的な状態を踏まえた上で、「どの程度の水分を」「どのような形態の食物繊維を」「どの程度の運動を」行うべきか、具体的かつ安全なアドバイスを行います。

  • 安全な水分摂取量の設定(持病を考慮)
  • 食物繊維の種類(水溶性・不溶性)と形態(刻み食、とろみなど)の調整
  • ベッドサイドでできる腹部マッサージや腸腰筋の運動指導

便失禁に対する専門的アプローチ

便失禁はご本人の尊厳に深く関わる問題であり、専門的な対応が必要です。

医師はまず、下痢が原因であれば下痢を治療し、便秘による溢流性のものであれば便秘を解消するなど、原因の特定と治療を行います。

同時に、肛門周囲の皮膚を保護するためのスキンケア指導(清拭方法、保湿剤・撥水クリームの使用)を訪問看護師などと連携して行います。

場合によっては、骨盤底筋体操などのリハビリテーションを指導することもあります。

排便ケアに関するよくある質問

ここでは、在宅での排便ケアと医療連携に関して、ご家族や介護職員の方からよく寄せられる質問についてお答えします。

下剤を毎日使うのは癖になりますか?

「癖になる」という表現は、主に刺激性下剤を長期間連用した場合に、腸がその刺激に慣れてしまい効果が弱まること(耐性)を指すことが多いです。

しかし、高齢者の便秘治療では、便を柔らかくする薬(酸化マグネシウムなど)や、新しいタイプの作用が穏やかな便秘薬を組み合わせて、腸に過度な負担をかけずに排便リズムを作ることを目指します。

医師の管理下で、ご本人の状態に合った薬剤を適切な量で使用する限り、過度に心配する必要はありません。自己判断で量を増やしたり中止したりせず、医師に相談することが大切です。

便秘と下痢を繰り返すのはなぜですか?

いくつかの原因が考えられます。一つは、頑固な便秘により腸内に硬い便が溜まり、その隙間を水分がすり抜けて漏れ出る「溢流性下痢(いつりゅうせいげり)」です。

この場合、原因は便秘なので、下痢止めを使うとかえって悪化します。医師が診察し、摘便や浣腸で硬い便を取り除いた上で、便秘の治療を行います。

その他、薬剤の副作用、腸内環境の乱れ、あるいは過敏性腸症候群(IBS)のような疾患の可能性も考えられます。医師による正確な診断が必要です。

訪問診療では、排便のためにどんな検査ができますか?

ご自宅で可能な検査には限りがありますが、排便トラブルの原因を探る上で重要な情報は得られます。

例えば、脱水や炎症、腎機能(薬剤の調整に必要)などを調べるための「血液検査」や、腹水、腸の動き、便の溜まり具合、尿路(尿閉)などを視覚的に評価する「腹部超音波(エコー)検査」が可能です。

また、感染性腸炎が疑われる場合は「便培養検査」も行えます。

大腸カメラやCT検査など、より精密な検査が必要と医師が判断した場合は、地域の連携病院と調整し、検査を手配します。

認知症があり、便意をうまく伝えられません。どう対応すればよいですか?

認知症が進行すると、便意を感じにくくなったり、感じてもうまく言葉で表現できなかったりすることがあります。介護する方は、ご本人の「サイン」に気づくことが重要です。

例えば、そわそわと落ち着かなくなる、お腹を触る、急に不機嫌になる、トイレ以外の場所でズボンを下ろそうとするといった行動が、便意のサインである可能性があります。

また、医師や訪問看護師と連携し、日々の排便記録から排便パターンを把握し、食後など便意が起こりやすい時間帯にトイレへ誘導する「定時誘導」を試みることも有効な方法です。

便失禁で皮膚が荒れてしまいます。良いケア方法はありますか?

便(特に下痢便)や尿が皮膚に長時間付着すると、皮膚がふやけてバリア機能が失われ、炎症(失禁関連皮膚炎、いわゆる「おむつかぶれ」)を起こしやすくなります。

ケアの基本は「洗浄・保湿・保護」です。洗浄時は、ゴシゴシこすらず、微温湯で優しく洗い流すか、専用の洗浄剤を使います。

洗浄後は、水分を優しく押さえるように拭き取り、必ず保湿剤で皮膚の潤いを保ちます。

さらに、便や尿が直接皮膚に触れないよう、撥水性のあるクリーム(保護クリーム)を塗布することが非常に効果的です。

どのような薬剤やクリームが適切か、医師や訪問看護師が皮膚の状態を評価した上でアドバイスします。

今回の内容が皆様のお役に立ちますように。
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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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