悪玉コレステロールと脂質異常症|健診で指摘されたら知っておきたいこと

健診でLDLコレステロールや中性脂肪の数値を指摘された経験はありますか。「要注意」「要再検査」と書かれていても、何が問題なのか、どう対処すればよいのかわからないまま時間が経ってしまうこともあるのではないでしょうか。この記事では、悪玉コレステロールと脂質異常症について、基本的な知識から生活習慣との関係、改善のヒントまでをわかりやすくまとめました。


この記事でわかること

  • 悪玉コレステロール(LDL)と脂質異常症が体にどのような影響をおよぼすのか
  • 食事・運動・減量が脂質の数値にどう関係しているのか
  • 健診の指摘を前向きな生活見直しのきっかけにするための考え方

目次

悪玉コレステロールとは何か

悪玉コレステロールと善玉コレステロールの違い

コレステロールそのものは、体に欠かせない脂質の一種です。細胞膜やホルモンの原料になるなど、体の維持に必要な役割を担っています。ただし、血液中での「運び方」によって、体への影響が変わってきます。

コレステロールは水に溶けないため、リポタンパクという粒子に包まれて血液中を移動します。LDL(低密度リポタンパク)は、肝臓から全身の組織へコレステロールを届ける役割を持ちます。一方、HDL(高密度リポタンパク)は、余ったコレステロールを組織から回収して肝臓へ戻す役割を担います。

LDLコレステロールが「悪玉」と呼ばれるのは、血液中に増えすぎると血管の壁に蓄積しやすく、動脈硬化を進めるリスクがあるからです。HDLコレステロールが「善玉」と呼ばれるのは、その逆の働きをするからです。

「悪玉」という呼び名が一人歩きすることも多いのですが、LDLコレステロールがあること自体は問題ではありません。問題になるのは、必要以上に増えている状態が続くことです。アルコール依存症などで低栄養の人は逆にLDLコレステロールが低い方が多いのです。

LDLコレステロールが高いと何が問題になるのか

LDLコレステロールの値が高い状態が続くと、血管の内壁にコレステロールが少しずつ蓄積していきます。これが動脈硬化の始まりです。

血管の壁にプラーク(脂肪や細胞の塊)が形成されると、血管の内側が狭くなり、血流が妨げられやすくなります。さらに進行すると、プラークが破れて血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な疾患の引き金になることがあります。

LDLコレステロールが高い状態はほとんど自覚症状がないため、健診で初めて気づく方が多いのが実情です。「数値が高くても何も感じない」ということが、かえって見過ごしにつながりやすいポイントでもあります。

中性脂肪が高い場合はどう考えればよいのか

中性脂肪(トリグリセリド)は、食事から摂取したエネルギーを体内に蓄える際に使われる脂質です。糖質や脂肪の摂りすぎ、アルコールの多飲、運動不足などが続くと、血液中の中性脂肪値が上がりやすくなります。

中性脂肪が高い状態は、HDLコレステロール(善玉)の低下とセットになることが多く、動脈硬化リスクをさらに高める方向に働きます。また、膵炎のリスクにも関係するため、非常に高い場合は別の観点での対応も必要になることがあります。

食事・飲酒・体重の影響を受けやすいのが中性脂肪の特徴です。健診前後の食事や生活状況によって変動することもあるため、一度の数値だけで過剰に心配する必要はありませんが、繰り返し高値が続く場合は生活習慣の見直しが勧められます。


脂質異常症とはどんな状態か

脂質異常症は自覚症状が少ないまま進みやすい

脂質異常症は、血液中の脂質(LDLコレステロール・中性脂肪・HDLコレステロールなど)のバランスが乱れた状態を指します。以前は「高脂血症」とも呼ばれていましたが、HDLコレステロールが低い状態も含めて評価するようになり、現在は「脂質異常症」という名称が一般的です。

この疾患の特徴は、ほとんどの場合に自覚症状が出ないことです。頭痛・倦怠感・胸の痛みといった症状は通常ありません。だからこそ、健診の数値が唯一の手がかりになることが多く、健診を受けることの意味が大きくなります。

健診結果でよく見るLDLコレステロールと中性脂肪の見方

健診の結果票には、LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪(トリグリセリド)などが記載されています。一般的な基準として、LDLコレステロールは140mg/dL未満が目安とされており、これを超えると「高LDLコレステロール血症」に分類されます。

中性脂肪は150mg/dL未満が基準値とされており、それ以上が続く場合は生活習慣の関与を疑います。HDLコレステロールは40mg/dL未満の場合に「低HDLコレステロール血症」とされ、これも脂質異常症の一形態です。

ただし、これらの数値はあくまで目安です。他の病気のリスクや生活背景との組み合わせで、医師が総合的に判断するものであり、数値だけで善し悪しを決めるわけではありません。

脂質異常症と診断されるのはどのようなときか

脂質異常症は、血液検査の結果が一定の基準を超えた場合に診断されます。LDLコレステロールが140mg/dL以上、中性脂肪が150mg/dL以上に加えて、随時採血 175mg/dL以上、HDLコレステロールが40mg/dL未満、といった状態が該当します。

一度だけ基準を超えた場合でも、食事・飲酒・ストレスなどの一時的な影響が含まれることもあります。そのため、再評価することもよくあります。もちろん、一度の検査値異常であっても、ビックリするような高値であれば、すぐに治療を開始します。

診断を受けた後の対応は、数値の程度・他の病気のリスク・年齢・家族歴などによって変わります。すぐに薬が必要なケースもあれば、まず生活習慣の改善から始めるケースもあり、一律ではありません。

健診項目どこから注意?よくある背景生活改善のポイント早めに相談したい目安
LDL(悪玉)コレステロール140mg/dL以上体重増加、脂っこい食事、遺伝的体質など脂身や乳脂肪を控える、食べすぎを減らす、減量を進める何年も高い、かなり高値、家族歴が強い
HDL(善玉)コレステロール40mg/dL未満運動不足、喫煙、内臓脂肪の増加など歩く時間を増やす、禁煙、体重管理他の生活習慣病も重なっている
中性脂肪空腹時150mg/dL以上 / 随時175mg/dL以上飲酒、甘い物、炭水化物のとりすぎ、肥満などお酒・ジュース・間食・夜食を見直す高値が続く、血糖や肝機能も悪い

悪玉コレステロールや中性脂肪を放置するリスク

動脈硬化が進むと将来どのような病気につながるのか

動脈硬化は、血管の壁が硬くなり弾力を失っていく変化です。LDLコレステロールや中性脂肪の高値が続くと、この変化が静かに、しかし確実に進行していきます。

動脈硬化が進んだ先で起こりうる代表的な病気は、狭心症・心筋梗塞(冠動脈への影響)、脳梗塞・一過性脳虚血発作(脳血管への影響)などです。これらはいずれも、発症すると後遺症を残したり、命に関わることもある疾患です。

ただし、脂質異常症があれば必ずこうなる、ということではありません。他のリスク因子(高血圧・血糖値の異常・喫煙・肥満など)と重なることで、リスクが高まりやすくなります。

まだ症状がない段階から見直す意味

「症状がないのに対処する意味があるのか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、動脈硬化を含む生活習慣病の多くは、症状が出る段階にはすでに変化が相当進んでいる患者さんもよく見かけます。

症状が出る前に対処できるのが、健診や定期的な血液検査の大きな役割です。生活習慣を見直す、あるいは必要に応じて医療的なサポートを受けるといった選択は、数値が高めの段階だからこそ意味を持ちます。

早期に取り組むほど、生活の変化だけで改善できる余地も大きくなります。脅かしたいわけではなく、「今が動ける段階」と捉えてほしいという趣旨です。

体重増加や内臓脂肪と脂質異常症の関係

体重の増加、とくに腹部の内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症と深く関係しています。内臓脂肪が増えると、脂肪組織から放出される脂肪酸が増え、肝臓での中性脂肪の産生が促進されます。その結果、血中の中性脂肪が上がり、HDLコレステロールが低下しやすくなります。

内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンが効きにくい状態)とも関係しており、血糖値の異常や脂質の乱れが同時に現れるメタボリックシンドロームの背景にもなります。

「少し体重が増えただけ」と感じていても、脂質の数値に変化が出ることがあります。健診での数値変化と体重変化を合わせて振り返ってみることは、原因を考えるうえで参考になります。


脂質異常症の原因として多いもの

食べすぎや飲酒など食生活の影響

脂質異常症の原因として最も多く関わるのが、食生活の乱れです。飽和脂肪酸(肉の脂身・バター・揚げ物など)の摂りすぎはLDLコレステロールを上げやすく、糖質や甘い飲み物・アルコールの多飲は中性脂肪を上げやすい傾向があります。

現代の食環境では、外食・加工食品・惣菜を活用する機会が多く、気づかないうちに脂質や糖質の摂取量が増えていることも少なくありません。「特別なものを食べているわけではない」と感じていても、習慣的な食べ方の積み重ねが数値に影響していることがあります。

脂質の数値は、風邪薬みたいに数日でガラッと変わるものではありません。ですが、食事や体重の変化が2〜3か月後の採血に出てくる方は珍しくありません。健診で引っかかった直後より、次の採血で「あ、ちゃんと変わるんだ」と実感する人は私の経験上でもよく見かけます。

運動不足と脂質異常症の関係

身体活動の低下も、脂質異常症の原因として無視できません。運動不足はエネルギー消費を低下させ、体脂肪の蓄積につながるだけでなく、HDLコレステロール(善玉)を低下させる方向にも働きます。

逆に言えば、適度な有酸素運動はHDLコレステロールを上げる効果が期待でき、中性脂肪を下げる効果も比較的早く現れやすくなります。デスクワークが中心の方や、日常的に歩く機会が少ない方は、意識的に体を動かす習慣を持つことが脂質改善の一助になります。

体質や年齢だけでなく生活習慣も影響する

「自分は体質だから」と感じている方もいるかもしれません。確かに、遺伝的な要因でLDLコレステロールが上がりやすい体質の方はいます。家族性高コレステロール血症と呼ばれる状態がその代表です。

ただし、多くの場合は体質だけが原因ではなく、生活習慣が重なって数値が上がっています。加齢に伴いコレステロール代謝が変化することもありますが、食事・運動・体重管理といった生活習慣が数値に与える影響は、年齢を問わず絶大です。「年齢だからしかたない」と諦めずに、改善できる部分を見ていくことが大切です。

糖尿病や甲状腺の病気など背景に別の病気が隠れていることもある

脂質異常症の中には、別の疾患が背景にある「二次性脂質異常症」と呼ばれるケースもあります。甲状腺機能低下症・糖尿病・腎臓病・肝臓病などが代表的で、これらの疾患があると脂質代謝に影響が出ることがあります。

この場合、生活習慣の改善だけでは数値がなかなか下がらないこともあります。健診で脂質の数値を指摘された際に、甲状腺や血糖の検査も合わせて行われることがあるのはこのためです。

「食事に気をつけているのに数値が下がらない」という場合、背景に別の疾患がないかを確認することも、一つの視点になります。


悪玉コレステロールは食事でどこまで改善できるか

脂っこい物を控えるだけでは不十分なことがある

「揚げ物を減らせばコレステロールが下がる」というイメージを持っている方は多いと思います。もちろん、飽和脂肪酸の多い食品を控えることは有効です。ただし、食事からのコレステロール摂取量よりも、体内での合成量の方が血中LDLコレステロールへの影響が大きいとする研究も多く、「脂っこいものを控えるだけ」では十分でないケースもあります。

食事全体のバランス、特に糖質の量・食物繊維の摂取量・食べる順序なども、脂質の代謝に影響します。個人の体質や現在の食生活によって効果も異なるため、「何を減らすか」だけでなく「何を増やすか」という視点も大切です。

食物繊維やたんぱく質を意識した食事の整え方

食物繊維は、腸内でコレステロールの吸収を抑える働きが期待されています。野菜・きのこ・海藻・豆類・全粒穀物などに多く含まれており、日々の食事に意識的に取り入れることが勧められます。

たんぱく質は筋肉の維持に必要なだけでなく、食事の満足感を高め、糖質や脂質の過剰摂取を防ぐうえでも役立ちます。魚・大豆製品・鶏肉など、脂肪の少ないたんぱく源を意識することが、脂質改善の食事の基本的な方向性の一つになります。

魚に含まれるEPA・DHAといった不飽和脂肪酸は、中性脂肪を下げる効果が報告されています。週に数回、魚を食事に取り入れることも参考にしてみてください。

外食や間食が多い人が見直したいポイント

外食が多い方は、塩分・脂質・糖質が知らないうちに過多になりやすい傾向があります。定食を選ぶ際はご飯の量を少し減らす、丼よりも定食を選ぶ、揚げ物を週に何回食べているかを意識する、といった小さな工夫から始めることが現実的です。

間食については、甘い飲み物・スナック菓子・洋菓子などが中性脂肪を上げる要因になりやすいため、習慣的に摂っている場合は量や頻度を見直す余地があります。ただし、無理に禁じるよりも「代替できるものを探す」方が続きやすいことが多いです。

無理な食事制限より続けやすい工夫が大切

極端な食事制限は、短期間で数値を変えようとするものの、続かないことが多く、精神的な負担も大きくなります。長期的に見れば、大きく変えようとするよりも、毎日続けられる小さな改善を積み重ねる方が効果的です。

「完璧にやらなければ意味がない」と思うと、少しでも乱れたときに全部投げ出してしまいがちです。「8割うまくいけばよい」くらいの構えで、長く続けることを優先してください。


運動と減量は脂質異常症にどう役立つのか

体重が少し減るだけでも改善が期待できる理由

体重を大きく落とさなければ数値は変わらないと思われがちですが、実際には体重が数%程度減るだけでも、脂質の数値に改善が見られることがあります。とくに内臓脂肪が多い方では、体重が少し落ちるだけで中性脂肪の低下やHDLコレステロールの上昇が観察されることがあります。

「目標体重まで落とさないと意味がない」ということはありません。今より少し体を動かし、食事を少し整えることで、数値が変化し始める症例を見ることは多く、ダイエットの威力を感じます。

有酸素運動と筋力トレーニングの考え方

脂質改善に有効な運動として、有酸素運動(ウォーキング・水泳・軽いジョギングなど)がよく挙げられます。継続的な有酸素運動は、HDLコレステロールを上げ、中性脂肪を下げる効果が期待できます。

一方、筋力トレーニングは基礎代謝の維持・向上に役立ち、体脂肪を減らしやすい体をつくるうえで補完的な役割を持ちます。どちらか一方だけでなく、組み合わせることが理想的ですが、まずは毎日30分程度のウォーキングから始めるだけでも十分な出発点になります。

特別なジムや器具がなくても、エレベーターより階段を使う、少し遠い駅まで歩く、といった日常の積み重ねも継続しやすい形の運動です。

中性脂肪が高い人ほど減量の効果を実感しやすい

中性脂肪は、食事・運動・体重の変化に比較的早く反応する脂質です。そのため、生活習慣を改善した際に、LDLコレステロールよりも先に数値が変化することも少なくありません。

中性脂肪が高い方が食事を見直し、運動を始め、少し体重が落ちた段階で「数値が下がった」という実感を得やすいのはこのためです。最初の変化を感じることが、次の行動への動機になることも多いです。

生活習慣の改善が続かないときに見直したいこと

「わかってはいるけれど続かない」という声はとても多いです。これは意志力の問題ではなく、日常生活の中で変化を維持するための仕組みができていないことが多いです。

たとえば、目標が曖昧なまま「食事を気をつける」と決めても、何をどう変えるかが具体的でないと行動は続きません。結果が出るまでに時間がかかる場合、モチベーションを維持するのが難しくなります。

「何のために変えるのか」「何なら続けられるか」を具体的に整理し直すことが、継続の入口になります。一人では難しいと感じたときに、医療機関に受診するのも一つの選択肢です。


薬を飲む前に生活改善だけで様子を見てもよいのか

まず食事と運動を優先しやすいケース

脂質の数値が基準をやや超えている程度で、心血管疾患のリスクがそれほど高くない場合は、まず生活習慣の改善を数ヶ月試みることが一般的な流れになります。食事・運動・禁煙・適正体重の維持といった取り組みを続けることで、薬を使わずに数値が改善する方も少なくありません。

生活習慣の改善と薬は対立するものではなく、どちらを優先するか・どのタイミングで組み合わせるかを、状況に応じて判断するものです。

早めに薬を検討したほうがよいケース

一方で、LDLコレステロールが非常に高い場合(たとえば180mg/dL以上など)や、すでに心筋梗塞・脳梗塞を経験している方、糖尿病・高血圧・喫煙などのリスク因子が重なっている方は、生活改善と並行して薬の開始を早めに検討する方がよいことがあります。

家族性高コレステロール血症が疑われる場合も、早期からの薬物療法が推奨されることがあります。いずれも担当医との相談が基本になりますが、「薬を使うこと=諦め」ではなく、リスクを管理するための一つの手段として捉えることが大切です。

自己判断で放置しないほうがよい理由

「どうせ症状がないから」「もう少し様子を見てから」という考えは自然な心理です。ただし、脂質異常症は無症状のまま動脈硬化を進めるため、自覚症状がないことを放置の理由にするのは少しリスクがあります。

生活改善を始めることは今すぐできます。そして、自分の状態がどのくらいのリスクにあるかを把握するためにも、一度医療機関で確認を受けることをお勧めします。「薬を飲まされる」という不安よりも、「今の自分の状態を知る」という目的で受診することが、前向きな選択につながります。


どんな人が医療機関に相談したほうがよいか

健診でLDLコレステロールや中性脂肪を繰り返し指摘されている人

一度だけの指摘であれば様子を見ることもありますが、健診のたびに同じ項目を指摘されている場合は、生活習慣に改善が必要な部分があるか、体質的な要因が強いかのいずれかである可能性があります。

繰り返しの指摘を「毎年のこと」として流さず、一度きちんと評価を受けることで、自分のリスクの全体像が見えやすくなります。

体重増加や腹囲の増加が気になっている人

ここ数年で体重が増えた、特に腹囲が増えてきたと感じている場合、内臓脂肪の蓄積による脂質異常症・血糖値の異常・高血圧が重なっているメタボリックシンドロームの状態にある可能性があります。

体重の変化と健診結果の変化を合わせて確認してみることが、現状を理解する一助になります。

家族歴や高血圧や血糖値の異常もある人

親や兄弟姉妹に心筋梗塞・脳梗塞の既往がある場合、あるいは高血圧や血糖値の異常も指摘されている場合は、脂質異常症による動脈硬化リスクが個別に高まっている可能性があります。

このような方は、脂質の数値だけでなく総合的なリスク評価を受けることが重要です。複数のリスク因子が重なる場合ほど、早めの対応が大切になります。

生活改善を頑張っても数値が下がらない人

食事に気をつけ、運動も続けているのに数値が変わらない、という方もいます。この場合、背景に二次性脂質異常症や家族性高コレステロール血症がある可能性を考える必要があります。

「努力が足りない」ということではなく、生活習慣だけでは改善しにくいタイプの脂質異常症であることもあります。原因を正確に把握するためにも、医療機関での評価を受けることが適切です。

健診で脂質異常を指摘され、「何から始めればよいか迷う」という方は、地域向けに整理した富士市・富士宮市でダイエットを考えている方へもあわせてご覧ください。


生活改善が難しいときは医療のサポートを使うという考え方

一人では続けにくい食事や減量を整理して進める方法

「食事を変えたい」「体重を落としたい」と思っていても、何から始めればよいかわからなかったり、変化が感じられないうちにモチベーションが落ちてしまうことはよくあることです。

医療機関での生活習慣相談や減量外来では、現在の食事内容・生活リズム・身体の状態を踏まえたうえで、個別の方針を一緒に整理してもらうことができます。漠然とした「頑張る」ではなく、自分の生活に合わせた具体的な取り組みを見つけやすくなるのが、専門家のサポートを使う利点の一つです。

数値だけでなく生活背景に合わせて方針を考える大切さ

脂質異常症の改善は、同じ数値でも人によって最適な方法が異なります。勤務形態・食環境・家族の食事・身体的な状態・他の持病の有無など、それぞれの生活背景によって、取り組める内容が変わります。

「教科書通りの食事管理」が全員に同じように効くわけではなく、生活の中で無理なく続けられる形を見つけることが、長期的な改善につながります。自分の状況に合わせた方針を一緒に考えてくれる場があることは、一人で取り組む場合とは異なる支えになります。

ダイエット外来は減量だけでなく生活習慣の立て直しを相談できる場でもある

ダイエット外来というと、体重を落とすことだけを扱う場所というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際には、体重・食生活・運動習慣・脂質や血糖の数値など、生活習慣全体を見ながら方針を考える場として機能することもあります。

「ダイエットをしたい」という動機でなくても、「健診の数値が気になる」「食生活を整えたいが一人では難しい」「体重が増えてきて脂質も悪化している」といった相談を持ち込むことができます。健診の結果を持参して、まず話を聞いてもらうだけでも、方向性が見えやすくなることがあります。


悪玉コレステロールと脂質異常症は早めの見直しが大切

健診結果をきっかけに食事と運動を見直す

健診でLDLコレステロールや中性脂肪を指摘された瞬間は、少し気持ちが重くなるかもしれません。ただ、その数値はいまの自分の体の状態を教えてくれているサインでもあります。

「要注意」という結果は、今なら変えられる可能性があることを示しています。食事を少し整える、歩く時間を増やす、飲酒の頻度を見直す、といった小さな変化が、じわじわと数値に影響していきます。すべてを一度に変えなくていいので、今日できる一つのことから始めてみてください。

生活改善だけで難しい場合は医療機関に相談する

生活習慣の改善を試みても数値が変わらない、どこから手をつければよいかわからない、一人では続けられないと感じる場合は、医療機関に相談することを検討してみてください。

あまり一般的な方法ではありませんが、コレステロールを下げる治療を保険診療で行い、自費のダイエット外来と併用する方法も考えられます。実際に当院の外来でもそういった患者さんはいらっしゃいます。脂質異常症そのものは保険診療で評価・治療されることが一般的です。一方で、体重増加や生活習慣の乱れが背景にある場合には、減量支援や生活習慣の立て直しが脂質異常性の改善を後押しすることがあります。必要な治療の組み合わせは、現在の数値や合併症の有無によって異なります。ることがあります。

受診は「悪化してから行くところ」ではなく、「気になっているうちに相談できる場所」でもあります。健診の結果票を手に、まず話を聞いてもらうことが、現状を整理するための第一歩になります。

【参考文献】

・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版」
・厚生労働省 e-ヘルスネット(脂質異常症)

よくある質問(FAQ)

LDLコレステロールが150mg/dLと言われましたが、すぐに薬が必要ですか?

一概には言えませんが、150mg/dLという値は基準(140mg/dL未満)をやや超えた状態です。他のリスク因子(高血圧・血糖値・喫煙・家族歴など)がない場合は、まず数ヶ月の生活習慣改善を試みることが多いです。ただし、すでに心臓や脳の血管病変がある方、リスク因子が重なっている方は早めに医師と相談することが大切です。自己判断で放置せず、一度かかりつけ医に確認してみてください。

健診で毎年コレステロールを指摘されますが、症状がないので放置してもよいですか?

症状がないことは、リスクがないこととは異なります。脂質異常症は無症状のまま動脈硬化を進める疾患であるため、「何も感じないから大丈夫」という判断は少し危うい側面があります。毎年指摘されているのであれば、一度きちんと評価を受け、現状のリスクを把握することをお勧めします。

食事を変えれば悪玉コレステロールは下がりますか?どのくらいかかりますか?

食事の改善がLDLコレステロールに影響することはありますが、その効果は個人差があります。飽和脂肪酸の摂取を減らし、食物繊維を増やす食事を3〜6ヶ月継続することで、数値に変化が見られることがあります。ただし、体質的にLDLコレステロールが上がりやすい方や、家族性高コレステロール血症の方は、生活習慣だけでは限界があることもあります。

中性脂肪が高い場合、コレステロールとは別に考えたほうがよいですか?

中性脂肪とLDLコレステロールはそれぞれ異なるメカニズムで影響しますが、どちらも動脈硬化リスクに関係します。中性脂肪は食事・飲酒・運動・体重の変化に比較的早く反応するため、生活習慣の改善効果が出やすい側面があります。両方が高い場合は、それぞれの原因を考えながら総合的に取り組むことが大切です。

ダイエット外来はどんな人が行くところですか?肥満でないと相談できませんか?

ダイエット外来は、体重を落とすことだけが目的の場所ではありません。健診の数値が気になる、食生活を整えたいが自己流では続かない、体重と脂質の数値が両方気になっているといった状況でも相談できます。BMIが高くない方でも、内臓脂肪の蓄積や生活習慣の見直しを目的に受診することは可能です。まず話を聞いてもらうことで、自分に合った方向性を考えるきっかけになります。

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この記事を書いた人

新井隆康のアバター 新井隆康 富士在宅診療所 院長

米国スタンフォード大学にて幹細胞を用いた心筋再生と細胞のマルチモダリティイメージングの研究に従事。
分子細胞学、ES細胞の培養とウィルスベクターによる遺伝子操作、動物モデルによる実験、MRIの撮像プロセスそのものの研究していくなかで、機械工学に関しても幅広い知識を習得しました。
同時に米国医師免許(USMLE/ECFMG)を取得しました。

帰国後は東京都内の在宅クリニックにて研鑽を積み、その後2016年に富士在宅診療所を開業し、約10年間にわたり末期がん、神経難病、生活習慣病などを幅広く診療し、地域医療の最前線を担ってきました。現在の富士在宅診療は常勤医5名体制で、年間の看取り数は200名程度の規模に成長しました。
現在は、訪問診療をメインに据えながら、外来の保険診療およびダイエット外来に注力し、全身を診られる医師として地域医療の旗手を担っていきます。

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