痩せたいのに続かないのは「意志が弱い」からではありません
痩せたいのに続かないのは、意志が弱いからではありません。 体には食欲を保とうとする仕組みや、体重を維持しようとする働きがあり、自己流のダイエットだけでは続きにくいことがあります。
ダイエット外来は、体重を減らすこと自体が目的ではありません。 肥満に伴う不調や将来の健康リスクを減らし、生活を楽にするために、医師の管理下で無理のない体重管理を行う診療です。
この記事では、ダイエット外来が何のためにあるのか、そして体重を適正に近づけることで期待できる変化を、わかりやすく解説します。
ダイエット外来とは何をする診療か
ダイエット外来は、肥満に伴う不調や健康リスクを減らすための診療です。 医師と一緒に、食事・運動・必要に応じた治療を組み合わせ、一人ひとりに合った形で体重管理を進めます。
自己流のダイエットとの違い
自己流のダイエットは、うまくいく時期があっても、生活や体調の変化で続きにくくなることがあります。 一方、ダイエット外来では次の3点を重視します。
- 安全性:持病や内服薬、体調を確認しながら進める
- 続けやすさ:無理を前提にせず、続けやすい形に整える
- 評価の幅:体重だけでなく、検査値や不調の変化も確認する
どんな人が相談しやすいか
次のような方は、ダイエット外来を相談先として考えやすい方です。
- 健康診断の数値(血圧・脂質・肝機能など)が気になる
- 体重の影響で膝や腰がつらい、疲れやすい
- 食事や運動を頑張っても、思うように変わらない
- 一人では続かず、途中でやめてしまう
- 治療が必要かどうか分からず、まず相談したい
「自分に当てはまるか分からない」という段階でも、まずは現状を整理するところから始められます。
体重が減ると変わっていくこと
適切に体重を減らすことで、血液検査の数値や血圧、体の不調が改善することがあります。 ただし、改善の程度には個人差があり、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
当院のダイエット外来では、受診時に血液検査を行い、必要に応じて経過で再検査します。 その中で、体重の変化に伴い、次のような傾向が見られることがあります。
- コレステロールや中性脂肪などの数値が正常化する
- 肝機能や尿酸値が改善することがある
- 血圧が落ち着き、服薬内容の見直しにつながることがある
- 「歩くのが楽になった」「膝や腰が楽になった」と感じる方がいる
体重は見た目だけでなく、心臓・血管・肝臓・関節など、体の中の負担にも影響します。 その負担が軽くなることで、検査値や症状に変化が出ることがあります。 (体重減少による効果には個人差があり、すべての数値や症状が同じように改善するわけではありません。)
健診の数値や体調の変化が気になる方は、体重だけでなく全体を見ながら確認していくことができます。
自己流が続かないのは、珍しいことではありません
自己流のダイエットが続かないのは、珍しいことではありません。 特に、運動だけで減量しようとすると、時間・体力・生活の制約で継続が難しくなりやすいからです。
運動だけでは痩せにくいことがある理由
「運動すれば痩せるはず」と思っていても、実際には運動だけでは痩せるのは非常に困難です。
私自身、体を動かすのが好きでボクシングジムに通っていますが、運動だけで体重を大きく落とすのは簡単ではありません。 毎日まとまった時間の有酸素運動を続けられれば変化が出ることもありますが、忙しい現代人が日常の中でそれを続けるのは不可能と言っていいでしょう。
また、中年以降は、過度な運動がオーバーワークとなり、怪我のリスクにつながることもあります。 実際に、運動習慣がある方でも、「しっかり運動しているのに、思ったほど体重が減らない」と感じるケースは少なくありません。
大切なのは、「運動が足りないから痩せない」と自分を責めないことです。
もちろん運動は、筋力や心肺機能の維持、ストレス発散、リバウンド予防にとても重要です。 健康という文脈では有酸素運動はとても大事ですが、ダイエットにおいては有酸素運動はあまり有効とは言えません。
例えば、体重60kgの女性がウォーキングのみで1ヶ月で1kg痩せようと思ったら、毎日90分くらい歩く必要がある計算になります。できますか?難しいですよね。天候の悪い日も、疲れていて運動できない日もあるでしょう。また、それだけ歩いたらお腹が空いて余計に食べちゃうよと思ったそこのあなた、私も全く同じです。
だから有酸素運動では痩せないのです。でも、体全体のためにはウォーキングなどの有酸素運動はすごく良いものです。悩ましいですよね。
なぜ私たちの体は太りやすいのか:進化と「飽食」のギャップ
人の体は、もともと飢えに備えてエネルギーを蓄えるようにできています。 そのため、現代のように食べ物が手に入りやすい環境では、太りやすくなることがあります。
人類の歴史の大部分は食べ物がいつでも手に入るわけではなく、飢えとの戦いでした。 食事が十分に摂れず、血糖値が下がった状態が続くと、脳などに深刻な影響が出るため、体には血糖を上げる仕組みがいくつも備わっています。 一方で、血糖を下げるホルモンはインスリンだけです。
つまり、私たちの体は「不足」には強く備えてきた一方で、「いつでも食べられる環境」には十分に適応しきれていないと考えられます。
人類が飽食を経験し始めたのは、ごく最近です。 日本でもこの60年くらいでしょうか。そのため、「食べたい」という欲求に抗いにくいこと自体が、体の仕組みになっているのです。
だからこそ、根性論で片づけるのではなく、体の仕組みを理解したうえで医療で支えることに意味があります。 それが、ダイエット外来の役割の一つです。
なぜダイエット外来を始めたか:二つのきっかけ
この外来を始めた背景には、体重管理が見た目だけでなく、月経・妊娠・睡眠・日常生活のしやすさに関わると実感した診療経験があります。 ここでは、そのきっかけとなった二つの例を紹介します。
※個人が特定されない形で要点のみを記載しています。
妊娠を望む方の「まず体重を」という産婦人科医からの指摘
30代半ばの妊娠希望の女性が、産婦人科の医師から「まず体重を減らすように」とアドバイスされ、受診されました。 体重は120kg台で、生理不順があり、年に数回しか生理が来ない状態でした。
婦人科検査で明らかな疾患は見つからず、ダイエット外来での取り組みを続けた結果、体重が大きく減少し、生理周期が整ってきたという経過をたどりました。それでもまだ体重は90kg台であり、妊娠はできるかもしれませんが、妊娠中のリスクを考えるともっと減らしたいところです。
体重とホルモンバランスは、密接に関係することがあります。 適正体重に近づくことで、体が本来のリズムを取り戻す例を、診療の中で実感しました。
睡眠時無呼吸と肥満:一つの原因、多くの不調
呼吸器クリニックで睡眠時無呼吸症候群の診療に関わった際、治療(CPAPなど)を受ける方の多くに、体重の課題がありました。 また、次のような不調が重なっていることも少なくありませんでした。
- コレステロールや中性脂肪が高い
- 血圧が高い
- 肝機能の数値が上がっている
- 腰痛や膝痛がある
- 血糖コントロールが悪い
実際、体重を適正に近づけることで、多くの問題の軽減につながります。
当院の外来でも、体重の変化に伴って検査値や不調が改善する方を見ています。 実は私自身もそうでした。体重が70kg台後半のときはコレステロールが高く、健康診断でいつも指摘されていましたが、70kgを切ってくるとコレステロールの数値が正常化したのです。 趣味のボクシングでも、フットワークが軽くなり、縄跳びで息があがることもなくなり、長く運動することができるようになりました。 肥満は見た目だけの問題ではなく、体全体の負担になりうるのです。
訪問診療でお年寄りを診療していても、過体重の方の多くに腰椎や膝関節の変形が見られることがあります。
ダイエット外来が大切にしている考え方
ダイエット外来では、体重だけを見ません。 私たちが大切にしているのは、次の3つです。
- 体重だけでなく、検査値・体調・生活のしやすさも見る
- 無理を前提にしない
- 医療の力で食欲や代謝を支える
「頑張れ」で押し切るのではなく、続けられる形に整えることを重視します。 医療の力も使いながら、無理のない範囲で食事や活動量を管理していく。これが基本方針です。
健康に長生きし、人生を楽しむために
ダイエット外来の目的は、体重を減らすこと自体ではなく、肥満に伴う不調や将来の健康リスクを減らし、生活を楽にすることです。 それが結果的に、ファッション、運動、生活、食事を楽しむことにつながるのです。
肥満は、見た目だけでなく、検査値、血圧、関節の痛み、疲れやすさ、日常生活のしやすさに影響することがあります。 そして、自己流で難しいと感じる方ほど、医療のサポートが役立つことがあります。
人生は、素敵な服を着て、楽しく運動して、おいしいものを楽しみ、前向きに生きてこそです。
一人で続けるのが難しいと感じる方は、医療に伴走してもらう方法も選択肢にしてください。
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院長プロフィール
「最先端の科学」と「10年間の地域医療」が導き出した答え
米国スタンフォード大学にて幹細胞を用いた心筋再生と細胞のマルチモダリティイメージングの研究に従事。
分子細胞学、ES細胞の培養とウィルスベクターによる遺伝子操作、動物モデルによる実験、MRIの撮像プロセスそのものの研究していくなかで、機械工学の基礎を修めました。
同時に米国医師免許を取得しました。
帰国後は東京都内の在宅クリニックにて研鑽を積み、その後2016年に富士在宅診療所を開業し、約10年間にわたり末期がん、神経難病、生活習慣病などを幅広く診療し、地域医療の最前線を担ってきました。現在の富士在宅診療は常勤医5名体制で、年間の看取り数は200名程度の規模に成長しました。
現在は、訪問診療をメインに据えながら、外来の保険診療を行うと同時に、ダイエット外来でも見た目だけでなく、将来の病気や生活のしやすさまで見据えた医学的サポートを大切にしています。
