体重が増えてから、肌の調子が変わった気がする——そう感じている方は、決して少なくありません。夏になると皮膚がただれやすくなった、歩くと太ももが痛い、お尻のあたりが気になる、家族の介護をしていて皮膚のことが心配……。そんな声は、日常のなかに静かに存在しています。
体重と皮膚のトラブルには関係があるのです。ただ、「太っているから仕方ない」でも「痩せれば全部解決する」でもないのが実際のところです。
この記事では、体重と皮膚への負担の関係を、怖がらせるためではなく、少し理解を深めてもらうために書いています。自分や家族の症状に照らしながら、気になるところだけ読んでいただいても構いません。
皮膚トラブルや褥瘡は、体重と無関係ではありません
肥満で皮膚に負担がかかりやすくなる理由
皮膚は体の外側をすべて包んでいる、大きな臓器のひとつです。意外かもしれませんが、皮膚にはバリア機能だけではなく、免疫をつかさどる複雑な機能があることがわかってきたのです。体重が増えると、皮膚が受ける力の種類と量が変わってきます。
まず、体が重くなることで、座る・横になる・歩くといった動作のたびに皮膚にかかる圧迫や摩擦が大きくなりやすくなります。また、体のひだが深くなったり数が増えたりすることで、皮膚どうしが密着する面積が広くなります。密着した部分は汗が蒸発しにくく、蒸れた状態が続きやすくなります。
さらに、体重が増えると体格や熱のこもりやすさの関係なのか、汗の量が増えることがあります。体重が増えてから「汗の量が増えた」「においが気になるようになった」と感じる方がいるのは、こうした変化が背景にある場合があります。
これらは一気に深刻な問題につながるものではありませんが、条件が重なるときに皮膚の状態に影響しやすくなる、という理解が出発点になります。
蒸れ・摩擦・圧迫・動きにくさが重なると起こりやすいこと
皮膚のトラブルは、ひとつの原因だけで起きることはあまりなく、複数の条件が重なったときに出やすくなります。
たとえば、蒸れている状態で摩擦が加わると、皮膚がふやけて傷みやすくなります。圧迫が続いたうえに動きにくさも重なると、血流が滞って皮膚の状態が悪化しやすくなります。こうした「重なり」を理解しておくと、「どの条件を減らせばよいか」という視点で考えやすくなります。
体重が増えることでこれらの条件が一度に揃いやすくなる場面はたしかにあります。ただ、それぞれの条件に対してできることもあります。蒸れを減らす、摩擦を和らげる、同じ姿勢を続けない——そういった日常の工夫が、皮膚の状態を変えることにつながる場合があります。
体重だけで決まるわけではない、という視点も大切です
「太っているから皮膚トラブルが起きる」とも、「痩せれば皮膚の問題は解決する」とも、単純には言えません。
やせている方でも、長時間同じ姿勢が続けば皮膚は傷みます。逆に、体重が多めでも、日頃のケアや環境を整えることでトラブルが起きにくい状態を保っている方もいます。
皮膚のコンディションは、体重だけでなく、栄養状態、水分補給、血流、皮膚の乾燥・湿潤のバランス、動けるかどうか、ケアの方法など、多くの要素の組み合わせで変わってきます。体重はそのうちのひとつの要素、という位置づけで考えておくと、必要以上に自分を責めなくて済みます。
肥満で起こりやすい皮膚トラブルにはどんなものがあるのでしょうか
汗や蒸れで起こりやすいかぶれやただれ
皮膚が重なって密着した部分は、汗が溜まりやすく、蒸れやすい場所になります。お腹のひだの内側、乳房の下、脇の下、股のあたりは特にそうした状態になりやすい部位です。
夏になると、お腹のひだや乳房の下が赤くなってしみる——という経験をお持ちの方もいるかもしれません。蒸れた状態が続くと皮膚がふやけ、表面のバリアが弱くなって、かぶれやただれが起きやすくなります。汗に含まれる成分が刺激になることもあります。
こうしたかぶれは、清潔にしていないから起きるわけではありません。環境の問題です。蒸れやすい条件が揃っているときに出やすく、条件を変えることで落ち着いてくることがあります。
皮膚どうしがこすれて起こる赤みや痛み
歩くたびに太ももの内側がこすれて痛い、という経験をお持ちの方は少なくありません。体の内側の、皮膚が触れ合う部分——太もも、脇、首のくびれなど——は、日常の動作のたびに摩擦が繰り返されます。
摩擦が続くと皮膚が赤くなり、ひどくなると皮がむけたり、色素沈着が残ったりすることがあります。衣類のサイズが合っていないと、縫い目やゴムが皮膚に当たり続けて、こすれがひどくなる場合もあります。「体型が変わったけれど衣類がそのまま」という状況は、意外とこうしたトラブルの引き金になっていることがあります。
見直しがしやすい部分のひとつでもあります。サイズの合った下着や衣類に替えるだけで、こすれが軽くなることがあります。
間擦疹や真菌感染が起こりやすい場面
皮膚が密着して蒸れた状態が続くと、細菌や真菌(カビの一種)が繁殖しやすい環境になることがあります。「間擦疹(かんさつしん)」とは、皮膚が重なった部分に起きるかぶれのことで、赤み、かゆみ、ただれを伴います。
脇や股のあたりが蒸れて、赤みやかゆみが繰り返す、という経験をされている方のなかには、こうした皮膚の状態が関係していることがあります。蒸れた環境ではカビが育ちやすくなり、かゆみや皮膚の変化が起きやすくなる場合があります。
ここで押さえておきたいのは、これが「不潔だから起きる」問題ではない、ということです。皮膚の環境が、そうしたものが繁殖しやすい条件になっているということです。繰り返す症状については、皮膚科で状態を確認してもらうことで、適切なケアの方向性が見えてくることがあります。
ニオイやじゅくじゅくが気になりやすい理由
蒸れた状態が続くと、細菌が増えやすくなり、においが気になりやすくなることがあります。また、皮膚のバリアが弱まることで、少しの刺激でじゅくじゅくした状態になりやすくなるものです。
においやじゅくじゅくは、皮膚が「このままでは困っている」というサインとして受け取れます。けっして、清潔感がないとか、ケアをさぼっているということではありません。
こうした症状が続くときは、蒸れの原因になっている条件を見直したり、皮膚の状態をひとつ確認してもらったりすることが、次のケアにつながります。
肥満に糖尿病が重なると、皮膚トラブルが長引きやすくなることがあります
肥満によって蒸れやこすれが起きやすい状態に、糖尿病が重なると、皮膚のトラブルが治りにくくなります。
糖尿病では、血糖値が高い状態が続くことで、皮膚のバリア機能が低下したり、細菌や真菌(カビの一種)に対する抵抗力が弱まったりします。そのため、蒸れやすい部位に赤みやかゆみが出たとき、ふつうであれば数日で落ち着くようなトラブルが、じゅくじゅくしたまま長引いたり、繰り返したりしやすくなります。
皮膚の症状が気になるときは皮膚科で状態を診てもらいながら、体重や血糖値を含めた体全体のバランスを少しずつ整えていくことが、皮膚への負担を和らげることにもつながる場合があります。
褥瘡はやせている人だけの問題ではありません
褥瘡はどのようにできるのか
褥瘡(じょくそう)、いわゆる「床ずれ」は、皮膚が長時間にわたって圧迫されることで起きやすくなります。圧がかかり続けると、その部分の血流が滞り、皮膚や下の組織が傷んでいきます。
特に起きやすいのは、骨が皮膚の近くに出ている部位です。お尻の中央(仙骨)、踵、肩甲骨、足首の骨のあたりなどは、横になったり座り続けたりするときに圧が集中しやすい場所です。
圧迫だけでなく、「ずれ」も褥瘡の一因になります。ベッドの頭を高くしているとき、体がずり落ちながら皮膚だけが留まっているような状態が続くと、皮膚が引っ張られて傷みやすくなります。湿り気(蒸れや失禁など)も、皮膚を傷みやすくする条件のひとつです。
こうした条件が重なったときに、褥瘡は起きやすくなります。どんな体型の方にも起こりうることです。
肥満で褥瘡の一因になりうる体圧とずれ
体重が重いほど、皮膚にかかる圧が大きくなる傾向にあります。横になっているときも、座っているときも、同じ姿勢を続けた際に皮膚に集中する力が増えることがあります。
また、ずれも起きやすくなる場合があります。体が重いぶん、ベッドのなかでのずれが起きやすく、それが皮膚への負担につながることがあります。こうした「圧の大きさ」と「ずれ」が重なるとき、褥瘡の一因になる可能性が出てきます。
ただ、これは「体重が重ければ必ず褥瘡になる」という話ではありません。体位変換でこまめに圧を分散する、クッションやマットレスで体圧を広く受け止めるなど、条件を変えることで対応できる部分があります。
長時間同じ姿勢や動きにくさが重なるとき
褥瘡において、体重以上に大きく影響するのが「動けない状態が続く」ことです。自分でこまめに体を動かせる方であれば、自然に体位が変わって圧が分散されます。しかし、何らかの理由で動きにくくなっているとき——病気、術後の安静、足腰の痛み、介助がないと動けない状態——は、圧が一箇所に集中し続けやすくなります。
体が大きい場合、介護する側が体位を変えるのが体力的に難しくなることがあります。「体位を変えようとしてもうまく動かせなくて、そのままにしてしまうことがある」という介護者の声は、珍しいことではありません。これは介護する側の怠慢ではなく、環境と体力の問題です。
動きにくさと体重が重なるとき、それが皮膚の状態に影響しやすくなる条件になりえます。だからこそ、ひとりで抱え込まない環境を作ることが、皮膚のケアにも直接つながってきます。
介護や在宅療養で気をつけたいポイント
在宅療養や介護の場面で皮膚を守るために、特に意識しておくとよいことがあります。
まず、皮膚の観察です。踵、仙骨(お尻の中央の骨のあたり)、足首の骨、肩甲骨まわりは、横になっていると特に圧がかかりやすい場所です。寝たきりに近い生活が続いているとき、踵やお尻の皮膚が赤くなってきた、という変化に気づいたら、それは早めに状態を確認するひとつのサインです。
体圧を分散するためのクッションやマットレス(体圧分散マットレスと呼ばれます)は、状態に応じてケアマネジャーや訪問看護師に相談することで、適切なものを選ぶ手助けをしてもらえます。体位変換の方法や頻度についても、医療・介護の専門職に相談できます。一人で全部やろうとしなくていい、という場面のひとつです。
こんな変化があるときは、早めに状態を見直したほうがよいことがあります
赤みが続く、広がる、繰り返す
蒸れやこすれによる一時的な赤みは、ケアをすることで落ち着いてくることがあります。ただ、赤みが数日経っても引かない、範囲が広がってきた、一度良くなったのにまた繰り返すという場合は、皮膚の状態を確認してもらうほうが安心です。
褥瘡の初期は、皮膚が赤くなった状態(発赤)として現れることがあります。指で押すと白くなる赤みであれば血流は保たれていますが、押しても赤みが消えない場合は皮膚の状態がより深刻になってきているサインのことがあります。
「様子を見ていたが変化がない」「自分でのケアでは追いつかない感覚がある」というときは、ひとつの判断の目安になります。
傷が治りにくい、じゅくじゅくする、膿やニオイがある
傷やただれが、1〜2週間経っても良くならない、じゅくじゅくが続いている、膿のようなものが出てくる、においがひどくなってきた——こうした状態は、皮膚の感染が関係している可能性があります。
自分でのケアで対応しきれないかもしれない、と感じるときは、皮膚科やかかりつけ医に状態を診てもらいましょう。「大したことないかな」と迷ったとしても、確認してもらうことに遠慮は要りません。
強い痛みや発熱があるとき
皮膚のトラブルに、強い痛みや発熱が伴う場合は、皮膚だけの問題にとどまらない可能性があります。こうしたときは、早めに医療機関に相談することが安心です。「褥瘡かどうかわからないが、熱が出てきた」「皮膚が赤くなっていて、触ると熱くて痛い」というときは、ためらわずに相談していいタイミングです。
自分や家族だけでケアしきれないと感じるとき
「毎日皮膚を観察してケアしているけれど、これで合っているのかわからない」「家族の体が大きくて、体位変換がうまくできない」——そう感じているとしたら、それはもう十分、専門の人に相談していい状況です。
ケアマネジャーや訪問看護師、皮膚・排泄ケアの専門家(皮膚・排泄ケア認定看護師)など、在宅での皮膚ケアや褥瘡管理を専門に行う人たちがいます。一人で全部やろうとしなくて大丈夫です。相談できる人がいることを知っているだけで、少し気持ちが楽になることがあります。
皮膚トラブルや褥瘡を防ぐために、日常でできること
清潔を保ちながら、乾燥しすぎないようにする
皮膚のケアで大切なのは、清潔を保つことと、洗いすぎて乾燥させないことのバランスです。皮膚のひだの部分は汗や皮脂が溜まりやすいため、やさしく洗うことで蒸れや雑菌の繁殖を抑えやすくなります。一方、強くこすりすぎると皮膚の表面を傷め、バリアが弱まってしまいます。
保湿については、乾燥している部位には保湿剤を使うのが助けになりますが、蒸れやすい部分に保湿剤を厚く塗ると逆に蒸れを悪化させることがあります。部位によって使い方を変えることを意識してみると良いかもしれません。
「毎日完璧にやる」必要はありません。やさしく、蒸れを減らすことを意識するだけでも、皮膚の状態に変化が出ることがあります。
蒸れにくい衣類や寝具を選ぶ
素材の選び方は、蒸れやすさに影響します。綿や吸湿性の高い素材は、汗を吸って蒸れを軽くする助けになります。ポリエステルなど化学繊維のものは、サラサラした感触のものでも、皮膚に密着して蒸れやすい場合があります。
締め付けの強い下着や、サイズが合っていない衣類は、皮膚への圧迫や摩擦を増やします。体型が変わったときに衣類のサイズを見直すことは、皮膚へのやさしさにつながります。
寝具についても、通気性のよいものを選ぶことで、長時間横になっているときの蒸れを軽くできることがあります。
こすれや圧迫を減らす工夫をする
皮膚が密着して蒸れやすい部分(お腹のひだ、乳房の下、股など)に、ガーゼや吸湿パッドを挟むことで蒸れを吸収し、皮膚どうしの接触を和らげることができます。市販の製品でも対応できることが多く、試してみやすい方法のひとつです。
太ももの内側がこすれる場合は、スパッツやインナーショーツなど、皮膚を保護するものを間に入れることで摩擦を軽くできることがあります。
また、長時間同じ場所に圧がかかる姿勢を避けることも、こすれや圧迫を減らすことにつながります。
長時間同じ姿勢を避け、体位をこまめに変える
座りっぱなし、横になりっぱなしの状態が続くと、皮膚の一部に圧が集中し続けます。在宅療養や介護の場面では、2時間を目安に体位を変える(体位変換)ことが、褥瘡の予防に助けになると考えられています。
もちろん、毎回2時間ぴったりでなくてはならない、ということではありません。できるときにできる範囲で、体位を変えることを習慣にしてみることが、皮膚への圧を分散する助けになります。完璧にやろうとしなくてよいです。少しでも動けることに意味があります。
自力での体位変換が難しい場合は、体圧分散マットレスやクッションを活用することで、圧が一箇所に集中するのを和らげることができます。
無理のない範囲で動きやすさを保つ
体を動かすこと自体が、皮膚への圧を自然に分散します。椅子に座り直す、少し立つ、短い距離を歩く——それだけでも、同じ部位への圧が長く続くことを防ぐ助けになります。
体重が増えると関節への負担が増えたり、動くこと自体がつらくなったりすることがあります。だからこそ「激しい運動をしなければ」と思う必要はなく、日常のなかで少しずつ動ける機会を作ることが、皮膚にとっても体全体にとっても助けになります。
動きやすさを保つことは、皮膚のためだけでなく、生活全体の質とつながっています。
体重管理は、皮膚の負担を減らすための選択肢のひとつです
痩せればすべて解決する、という話ではありません
ここまで見てきたように、皮膚トラブルや褥瘡は、体重だけが原因で起きるわけではありません。姿勢、動けるかどうか、皮膚のケア、環境、栄養状態——さまざまな条件が絡み合っています。
「とにかく痩せれば皮膚の問題は解決する」という考え方は、実際にはそれほど単純ではありません。体重を減らしても、皮膚のケアが合っていなければトラブルは続くこともありますし、逆に体重に変化がなくても、ケアや環境を整えることで症状が落ち着くこともあります。
まず、今の状態のままでもできることがある、という視点を持っておくことが出発点です。
それでも体重管理が助けになる場面はあります
一方で、体重が変わることで皮膚の状態が変わってくることもあります。
体重が減ると、皮膚にかかる圧が軽くなります。お腹のひだが浅くなることで蒸れやすい面積が減ったり、太ももの内側のこすれが起きにくくなったりする場合があります。動きやすくなることで、こまめに体を動かせるようにもなります。汗の量が変わり、においや蒸れが落ち着いてくることもあります。
「体重管理によって皮膚への負担が減ってきた」と感じる方がいるのは、こうしたルートを通じての変化です。すべての問題が解決するわけではないけれど、一助になる場面はたしかにあります。
若い時の体重管理が、将来の糖尿病リスクを減らし、皮膚トラブルのリスクを低下させるのです。ほかの記事でも述べていますが、脂肪も皮膚も体のなかで最も大きな臓器で、ほかの臓器との密接な関係の中で連携をしています。皮膚の状態、体重を調整することで、無用なトラブルを避けることができます。
食事・活動・治療を無理なく考えることが大切です
体重管理を考えるときに、焦って無理なダイエットをする必要はありません。急激な体重減少は、栄養不足や筋肉の減少を招き、かえって皮膚のバリアを弱めたり、体力を落としたりすることがあります。
食事の内容を少し見直す、日常の動きを少し増やす、必要に応じて医療の力を借りる——こうした段階的な考え方が、無理なく続けやすいものになります。
体重のことで悩んでいるとき、ひとりで答えを出そうとしないでください。
実際の臨床現場で出会う症例
若い時から肥満傾向の方は汗をかく季節に皮膚の折り返し部分にあせもができる人が、糖尿病になってその症状が一年中続く症例もあります。その場合は皮膚の治療と糖尿病のトラブルを同時に治療する必要があり、時に治療に難渋することもあります。
糖尿病患者さんの褥瘡も感染しやすいからか治療が困難を極めることが多く、頻回な看護と治療が必要なことがよくあります。
このようなトラブルにならないように、血糖コントロールと皮膚のケアを若い時からしっかりと行うようにしていくのが大事です。
皮膚の悩みも体の負担も、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です
気になる症状が続くときは相談先を持っておく
皮膚のトラブルが続くとき、まず気軽に相談できるのは皮膚科やかかりつけ医です。「これくらいで相談していいのか」と思うことでも、専門の目で見てもらうことで方向性が見えてくることがあります。
介護中の家族の皮膚が心配なときは、ケアマネジャーや訪問看護師に声をかけることができます。在宅での皮膚ケアや褥瘡の予防・管理を専門にしている訪問看護師もいます。「何か変だと思っているけれど、何をすればいいかわからない」という段階で相談してもいいのです。
相談できる窓口を知っておくこと、それだけでも少し気持ちの余裕につながることがあります。
体重と皮膚の両方を一緒に考えるという方法
体重のことと皮膚のことを、別々に考えていると、どちらも行き詰まりやすくなることがあります。ダイエット外来では、体重管理の相談とあわせて、体への負担全体について話し合える場合があります。「皮膚のこともあって体重が気になっている」「介護している家族のことも含めて相談したい」という方が、ひとつの窓口で話を整理できることもあります。
症状があるときはまず皮膚科やかかりつけ医に相談しながら、体重や生活全体の見直しをどう進めるか迷ったときには、そうした相談先を持っておくことが選択肢のひとつになります。
皮膚の悩みは、体型に関係なく誰にでも起こりうることです。ただ、体重と皮膚の状態が無関係でもないことも知っておいていただけると、症状が出たときに自分を責めすぎず、でも「できることがある」と思える手がかりになると思います。気になることがあれば、ひとりで抱えず、相談できるところに声をかけてみてください。
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