内臓脂肪と皮下脂肪の違いとは?見た目と健康からわかりやすく解説

お腹まわりが気になりだしたとき、「これは内臓脂肪なのか、皮下脂肪なのか」と思ったことはないでしょうか。健診で腹囲を測られたり、体組成計の数値を見せられたりして、「自分の脂肪はいったいどういう状態なんだろう」と感じている方も多いと思います。

内臓脂肪と皮下脂肪は、同じ「脂肪」でも、体のどこにつくか、健康への影響、落ちやすさがそれぞれ異なります。この違いをあいまいなままにしておくと、食事や運動を頑張っていても、何に効いているのかが見えにくくなってしまいます。

この記事では、内臓脂肪と皮下脂肪の違いを整理したうえで、見た目の変化や健康との関わり、食事・運動・生活習慣との関係を、できるだけわかりやすくお伝えします。どちらかを一方的に「悪者」にせず、自分の体の状態を冷静に理解する手がかりになれば嬉しいです。


目次

内臓脂肪と皮下脂肪の違いはどこにあるのか

まずは内臓脂肪と皮下脂肪の違いをひと目で整理

一言でいうと、内臓脂肪はお腹の奥(腸や胃のまわり)につく脂肪、皮下脂肪は皮膚のすぐ下につく脂肪です。場所が違うため、見た目への出方も、健康との関わり方も、落ちやすさも変わってきます。

よく混同されますが、体重が重い人に必ずしも内臓脂肪が多いとは限りませんし、見た目がそれほど太っていなくても内臓脂肪が多いこともあります。体の外側から触れてつまめるのは皮下脂肪で、内臓脂肪は触れることができません。体型や体重だけで判断しにくいのはこのためです。

内臓脂肪はお腹の奥につきやすい脂肪

内臓脂肪は、腸や胃など消化器系の臓器を包むように存在し、胃や腸などの内臓のまわりにつく脂肪です。腸間膜や大網など腹腔内の脂肪を含む概念として扱われます。

内臓脂肪が増えると、腹部が前に張り出してくることがあります。いわゆる「ぽっこりお腹」のうち、硬めで張った感じのものは内臓脂肪が多いサインのことがあります。皮膚の上からつまもうとしてもあまりつまめない場合、脂肪がお腹の内側に多い可能性が考えられます。

内臓脂肪はCTスキャンで正確に測れますが、健診では腹囲(おへその高さで測るウエスト周囲径)や体組成計の数値を代わりに用いることが多いです。

皮下脂肪は皮膚の下につきやすい脂肪

皮下脂肪は皮膚のすぐ下、筋肉の外側についている脂肪です。お腹を指でつまんだときにつまめる部分がこれにあたります。太もも、腰まわり、腕の内側、背中など、体のさまざまな場所につきます。

皮下脂肪は見た目の体型に直接反映されやすく、「体がふっくらしてきた」「服のサイズが変わった」と感じるときは、皮下脂肪の増加が関わっていることが多いです。触ると柔らかく、女性は男性に比べてつきやすい傾向があるとされています。

皮下脂肪には体を寒さから守ったり、衝撃を吸収したりする役割もあります。内臓脂肪に比べると代謝面での影響は穏やかですが、増えすぎると体型の変化や、体を動かしにくいといった支障につながることもあります。

見た目の変化と健康への影響は同じではない

内臓脂肪が多い人がすぐ病気になるわけでも、皮下脂肪が多い人が健康上まったく問題ないわけでもありません。ただ、それぞれが見た目と健康に与えるパターンは異なります。

内臓脂肪は健康面への影響(血糖や血圧、脂質異常など)が話題になりやすく、皮下脂肪は見た目の悩みに直結しやすい。大まかにはこう整理できます。どちらが「より悪い」という話ではなく、それぞれの特性を知ることが、自分に合った対策を考えるうえで役立ちます。


そもそも脂肪がつくことは悪いことなのか

脂肪は体を守るためにも必要なもの

脂肪というと「ない方がいい」と思いがちですが、体にとってなくてはならない存在です。体温を保ち、臓器を衝撃から守り、ビタミンの吸収やホルモンの合成にも関わっています。脂肪がまったくない状態は、健康にとってむしろ危険です。

特に女性では、皮下脂肪が一定量あることが月経機能の維持にも関係しているとされています。過度なダイエットで体脂肪が過剰に減少すると体調に影響することがあるのも、脂肪が体の維持に必要だからです。

問題になりやすいのは脂肪の量とつく場所

脂肪そのものではなく、量が過剰になること、そして場所によっては体の機能に影響が出やすいことが問題です。必要量を超えて蓄積し続けたとき、特に内臓まわりに集中したとき、体のバランスが崩れやすくなります。

体脂肪率でみると、一般的に男性は25%以上、女性は30〜35%以上になると肥満の目安とされることが多いですが、数字だけで状態のすべてが決まるわけではありません。体重や体脂肪率が基準内でも、内臓脂肪が多めになっている場合もあります。

どちらか一方だけを悪者にしないほうがよい理由

「内臓脂肪が危険」「皮下脂肪は見た目だけの問題」という言い方がされることがありますが、実際にはそれほど単純ではありません。両方の脂肪が過剰に増えている場合もありますし、それぞれへの対策が重なる部分も多いです。

どちらかだけを標的にして焦って減らそうとするより、食事・運動・睡眠・ストレスといった生活習慣全体を少しずつ整える方向の方が、長く続けやすく結果にもつながりやすいです。脂肪を「敵」ではなく「体の状態を示すサイン」として見ると、取り組み方も変わってきます。


内臓脂肪が気にされやすいのはなぜか

健診で内臓脂肪や腹囲を指摘されやすい背景

健康診断ではウエスト周囲径(腹囲)を測定し、男性85cm以上、女性90cm以上だとメタボリックシンドロームの診断基準の一つに該当します。この腹囲の基準は内臓脂肪の蓄積をおおまかに反映するとされているため、健診で内臓脂肪について話題にされる機会が増えています。

腹囲が基準を超えているだけでメタボリックシンドロームと診断されるわけではありませんが、血糖・血圧・脂質のいずれかの異常が重なると、医師から生活習慣の改善を勧められることになります。「健診でお腹まわりを注意されて初めて意識した」という方も普段の外来でよく見ます。

内臓脂肪は生活習慣病との関係が話題になりやすい

内臓脂肪が増えると、脂肪細胞からさまざまな物質が放出されるとされており、血糖の調節や血圧、血中の脂質に影響することが研究で示されています。このため、内臓脂肪の増加は2型糖尿病・高血圧・脂質異常症などと関連が深いと言われています。

ただし、内臓脂肪が多いから必ずこれらの病気になるというわけではなく、あくまでリスクが高まりやすいという話です。すでに異常を指摘されている方は医師に相談しながら対策を進めることになりますが、指摘がない段階でも、増えすぎないよう意識しておくことには意味があります。

体重がそれほど多くなくても注意したいことがある

「体重は標準なのに、健診で脂肪を指摘された」という経験がある方もいます。体重が少なめでも内臓脂肪が増えていることがあり、特に筋肉量が少ない方や、食生活の乱れや運動不足が続いている場合に見られることがあります。

いわゆる「隠れ肥満」や「やせメタボ」と呼ばれる状態がこれにあたります。見た目や体重だけで安心せず、腹囲や体組成の数値も一緒に確認しておくと、自分の体の状態をより正確に把握できます。


皮下脂肪が見た目の悩みにつながりやすい理由

お腹や太もも二の腕に変化が出やすい

皮下脂肪は体全体につきますが、お腹のつまめる部分、太ももの外側や内側、二の腕の内側、腰まわりに変化が出やすいです。鏡を見たときに「以前と体型が変わった」と感じる部位は、皮下脂肪の増加を反映していることが多いです。

女性では下半身や腰まわりにつきやすい傾向があり、男性はお腹まわりに内臓脂肪と皮下脂肪の両方がつきやすいとされています。ただし個人差は大きく、年齢やホルモンの変化によっても変わります。

体重が減っても見た目の変化が乏しいと感じることがある

「体重は減ったのに、見た目が変わった気がしない」という経験をした方もいると思います。皮下脂肪は体重計の数字より時間差で変化することがあり、また体重が落ちるときに筋肉も一緒に減っていると、体型の締まりが感じにくくなることがあります。

内臓脂肪が先に減少し、皮下脂肪の変化が後からついてくるパターンもあります。体重だけを指標にしていると変化が見えにくくなりやすいのはこのためです。

見た目の悩みと健康の悩みは分けて考えると整理しやすい

見た目の変化を気にしている方と、健診結果を気にしている方では、そもそも意識している問題が違います。見た目が気になるなら皮下脂肪への対策が中心になりやすく、健診の数値が気になるなら内臓脂肪への対策が話題になりやすい。この2つを分けて整理すると、何から取り組むかが見えてきます。

ただ実際には、両方を並行して気にしている方がほとんどですし、対策として取り組む内容(食事・運動・生活習慣)は重なる部分が多いです。どちらかを完全に無視してよいという状況は少ないと考えておくと現実的です。


なぜ内臓脂肪はつきやすいのか

食べすぎや間食が続くとお腹まわりに出やすい

内臓脂肪は、エネルギー摂取が消費を上回ったときに蓄積されます。特に糖質や脂質の多い食事が続いたり、間食が習慣になっていたりすると、お腹まわりへの蓄積が出やすいとされています。食後に血糖値が急激に上がりやすい食事パターンも、内臓脂肪のつきやすさに関係すると考えられています。

「特別なものを食べているわけではないのに」と感じる方も多いですが、日々のちょっとした積み重ねが長期間続くことで、じわじわと増えていくことがあります。

運動不足と筋肉量の低下が影響しやすい

活動量が少ない生活が続くと、消費エネルギーが減って脂肪がつきやすくなります。また、筋肉量が少ないと基礎代謝(安静にしていても使われるエネルギー量)が低下するため、脂肪を燃やしにくい状態になりやすいです。

デスクワーク中心の方や、通勤が車で完結している方は、意識しないと一日の活動量がかなり少なくなりがちです。短時間の運動を週に数回行うことも意味がありますが、日常の中でこまめに動く習慣が積み重なることも同様に効果があります。

睡眠不足やストレスも脂肪のつき方に関わる

睡眠が不足すると、食欲をコントロールするホルモンのバランスが乱れ、食べすぎにつながりやすいとされています。また、強いストレスが続くとコルチゾールというホルモンが分泌されやすくなり、内臓脂肪のつきやすさに影響するとされています。

「食事や運動は気をつけているのにお腹まわりが気になる」という場合、睡眠やストレスが一因になっていることもあります。脂肪のつき方は食事と運動だけで決まるものではないと知っておくと、取り組む視野が広がります。

年齢とともに内臓脂肪が増えやすくなることがある

加齢に伴い、筋肉量は自然と減少する傾向があります。筋肉量が減ると基礎代謝が下がり、以前と同じ食生活・活動量でも体脂肪が増えやすくなります。女性では更年期以降のホルモンバランスの変化が、脂肪のつく場所に影響することもあります。

「若いころは太らなかったのに最近お腹まわりが…」と感じている方は多いですが、これはある程度自然な体の変化でもあります。ただ、変化に合わせて生活習慣を見直すことで、過剰な蓄積は抑えられます。


皮下脂肪が落ちにくいのはなぜか

皮下脂肪は体にため込まれやすく減り方がゆるやか

皮下脂肪は内臓脂肪に比べて、一般的に落ちにくいとされています。内臓脂肪は代謝が活発で食事・運動の改善に比較的早く反応しやすいのに対し、皮下脂肪は体にとってより長期間保存される性格が強く、変化がゆっくりです。

「食事を見直しているのにお腹のつまめる部分が変わらない」と感じても、内臓脂肪が先に減っている可能性があります。見た目の変化が体重や内臓脂肪の変化より後からついてくることは珍しくありません。

自己流ダイエットで焦るほど続きにくくなる

「早く痩せたい」と思って極端な食事制限をすると、脂肪より先に筋肉が落ちやすくなります。筋肉が落ちると代謝が下がり、長期的にはかえって脂肪が落ちにくい体になってしまうことがあります。また、過度な制限は続きにくく、元の食事に戻ったときにリバウンドしやすくなります。

焦って短期間で結果を出そうとするほど体への負担が増し、続けにくくなる。皮下脂肪対策ではこの点が特に影響しやすいです。

体重だけを見ていると変化を見失いやすい

体重計の数字が変わらない時期でも、体の中では変化が起きていることがあります。脂肪が少し減っても筋肉量が増えていれば体重は維持されますし、むくみの増減で体重が数日のうちに大きく変動することもあります。

毎日の体重に敏感になりすぎると一喜一憂しやすく、変化の全体像が見えにくくなります。体重は参考の一つとして見ながら、腹囲や体組成、体の動かしやすさなども合わせて確認していくと、変化を把握しやすくなります。


食事や運動はどちらの脂肪にどう関わるのか

食事の見直しは内臓脂肪対策の基本になる

内臓脂肪は食事の影響を受けやすく、エネルギー摂取の過剰や糖質・脂質の偏りが積み重なると増えやすいとされています。逆に言えば、食事を整えることが内臓脂肪を減らすうえでの基本的な一手になります。

「これを食べるだけで脂肪が落ちる」という食材はありませんが、全体的な摂取エネルギーを少し抑えながら栄養バランスを整えていくことが現実的な方向です。極端な食事制限より、長く続けられる食べ方を探す方が効果は出やすいです。

有酸素運動は内臓脂肪を減らす助けになりやすい

ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車など、継続的に行う有酸素運動は内臓脂肪を減らすうえで有効とされています。一回の運動量より週単位での継続が重要で、週末だけ集中して行うより毎日少しずつ続ける方が効果が出やすいとも言われています。

激しい運動でなくても、早歩き程度で継続すれば変化につながります。まず生活の中で歩く機会を増やすことが、現実的なスタートになります。私は最近、テーブル付きのエアロバイクをアマゾンで買いました。それをYouTubeなどを観ている間に漕ぐのです。今までなんとなくダラダラ観ていた時間をバイクを漕ぐという運動に変化させました。

筋トレや活動量アップは皮下脂肪対策でも大切

筋肉量を維持・増やすことで基礎代謝が上がり、長期的に脂肪が燃えやすい体に近づきます。皮下脂肪対策では、有酸素運動だけでなく筋力トレーニングを組み合わせることが効果的とされています。

激しいトレーニングが必要なわけではなく、スクワットや腕立て伏せ、軽いトレーニングを週2〜3回続けることが現実的な目標です。筋肉を落とさずに脂肪を減らすことで、体重の変化が小さくても体型の変化が感じられやすくなります。

みなさん、夜寝る前に歯磨きをすると思います。私はその時にスクワットをするようにしています。それによって歯磨きの時間を飽きずに過ごすことができ、筋力トレーニングを習慣化できます。どんな小さな運動であっても「しないよりはマシ」なのです。

ひとつの方法だけでなく組み合わせで考える

食事だけ、運動だけ、睡眠だけを変えるより、複数を少しずつ組み合わせる方が、脂肪への働きかけとしては現実的です。一つに絞って完璧にしようとするより、生活全体をほんの少し整えていく方向の方が、無理なく続けられます。

先ほどの「YouTube観ながらバイク」や「歯磨きスクワット」もそうですが、習慣の中に組み込むことで、苦痛無く自然な運動ができるようになります。

内臓脂肪を減らしたいと思っても、忙しさや活動量の少なさで続かないことは珍しくありません。地域に合わせた考え方は、富士市・富士宮市でダイエットを考えている方へでもまとめています。


内臓脂肪と皮下脂肪を減らしたいときの食事の考え方

極端に減らすより続けやすい食事に整える

「食事を我慢する」方向だけでは続きにくいです。摂取エネルギーを極端に削ると体が省エネモードになり、かえって脂肪が落ちにくくなることがあります。何を食べるかよりも、どのくらい続けられるかが食事改善では長期的にものを言います。

一日の食事を大幅に変えようとするより、まず一番乱れやすい時間帯や内容を一つ見直すことから始める方が、負担が少なく続けやすいです。

甘い飲み物や夜遅い食事を見直すだけでも変わることがある

食事改善の中で比較的取り組みやすいのは、甘い飲み物を減らすことと、夜遅い食事の時間を整えることです。清涼飲料水やジュースには思いのほか多くの糖質が含まれており、習慣的に飲んでいる場合はそこだけでもエネルギー量がかなり変わることがあります。

夜遅い食事は、総摂取量が増えやすいことや睡眠の質を下げやすいことも含めて、体重管理に不利に働くことがあります。夕食の時間を少し前にずらすだけでも変化につながることがあります。「大きく変えなければ意味がない」と思う必要はなく、小さな見直しでも積み重なれば変わってきます。

たんぱく質・食物繊維・主食のバランスを意識する

毎食ある程度たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)を確保することで、筋肉量を保ちながら脂肪を減らしやすくなります。食物繊維(野菜・きのこ・海藻など)は血糖値の急激な上昇を抑えたり、腸内環境を整えたりする働きがあります。

主食(ご飯・パン・麺)を完全にやめる必要はありませんが、量を少し調整したり食べる順番を意識したりすることで、食後の血糖の上がり方をゆるやかにすることができます。極端な糖質制限より、バランスを崩さない範囲で整えていく方が体への負担も少なくて済みます。

外食や忙しい日でも続けやすい工夫を考える

毎日自炊で完璧な食事を作るのは、多くの方にとって現実的ではありません。外食でも定食系を選ぶ、コンビニでたんぱく質が入ったものを選ぶ、揚げ物よりシンプルな調理のものを選ぶなど、ゆるやかな意識の積み重ねで十分です。

完璧を目指して疲れてしまうより、7〜8割うまくいけばよいという感覚で続けられる方が、長い目で見れば変化につながりやすいです。


内臓脂肪と皮下脂肪を減らしたいときの運動の考え方

まずは歩く時間を増やすところからでよい

運動を始めようとすると、ジムに通ったり特別なプログラムをこなさなければという気持ちになりがちです。ただ、まずは歩く時間を増やすことから始めるだけで十分です。1日合計30分程度の歩行を意識するだけでも、継続すれば内臓脂肪への働きかけにつながることがあります。

エスカレーターより階段を使う、一駅分歩く、昼休みに少し歩くなど、日常の動作の中に歩きを加えることが、最も続けやすい方法の一つです。

息が上がりすぎない運動でも積み重ねに意味がある

「脂肪を燃やすには高強度の運動が必要」というイメージがありますが、ゆっくりペースの有酸素運動でも継続することに意味があります。息が上がりすぎず会話ができる程度の強度を長めに続けることが、内臓脂肪の減少には有効とされています。

毎回激しく追い込む必要はなく、続けられる強度で週に複数回行う方が、長期的な変化につながりやすいです。

筋肉を保ちながら減量すると見た目も整いやすい

体重が落ちるとき、筋肉量も一緒に減ると、なんとなく体型が締まらない印象になりやすいです。筋力トレーニングを取り入れて筋肉量を維持しながら体脂肪を減らすことで、見た目の変化が感じやすくなります。

週2〜3回から始めれば十分で、自体重を使ったスクワット・腕立て・腹筋などでも取り組めます。過度に追い込む必要はなく、継続できる範囲でこつこつ続けることが大切です。

短期間で結果を求めすぎないことが続けるコツ

「1ヶ月で何キロ落とす」という目標は、達成できなかったときにモチベーションが下がりやすいです。体の変化には時間がかかりますし、スピードも人それぞれです。

3ヶ月・半年という単位で緩やかに変化していることを確認しながら続けていく感覚の方が、無理なく取り組めます。体重の変化だけでなく、体の動かしやすさや体調の変化も合わせて見るようにすると、続ける実感が持ちやすくなります。


生活習慣を整えると脂肪のつき方は変わるのか

睡眠不足が食欲や体重管理に影響することがある

睡眠時間が短くなると、食欲を増やすグレリンというホルモンが増え、食欲を抑えるレプチンというホルモンが減るとされています。この変化が食べすぎにつながりやすくなり、結果として脂肪がつきやすい状態を招くことがあります。

睡眠時間だけでなく、質も関係します。夜遅くまでスマートフォンを見ていたり、就寝直前に食事をしたりする習慣は、睡眠の質を落としやすいです。7時間前後を意識するだけでも、体重管理のしやすさが変わることがあります。

ストレスが強いと食事や行動の乱れにつながりやすい

強いストレスが続くと、コルチゾールが多く分泌されやすくなり、内臓脂肪のつきやすさに影響するとされています。また、ストレスが食欲の変化や暴飲暴食、運動する気力の低下につながることもあります。

「ストレスを完全になくす」ことは難しいですが、ストレスと自分の食行動の関係に気づいているだけでも、少し意識的に対処しやすくなります。食事・運動の改善と並行して、意識的に休息をとることも、脂肪対策の一部として考えてよいと思います。

体重だけでなく腹囲や日常習慣も一緒に見る

脂肪の状態を管理するうえでは、体重だけを追いかけるより、腹囲の変化・日常の活動量・食事のパターン・睡眠時間なども一緒に見ていく方が、実態を把握しやすいです。

毎日の体重変動に敏感になりすぎるよりも、週単位・月単位での傾向を見ていく方が、精神的にも続けやすくなります。


自分の脂肪の状態をどう見ればよいのか

体重だけではわからないことが多い

体重は手軽にわかる指標ですが、内臓脂肪が多いのか皮下脂肪が多いのか、筋肉量はどうなのかは体重計からはわかりません。体重が同じでも、体組成が大きく異なる場合があります。

私たちはつい体重にこだわりがちですが、体重を首からぶら下げて生活するわけではありません。同じ体重でも脂肪が多い人と筋肉が多い人では見た目が全然違ってくるものです。

体重は食事・水分・排泄・むくみなどの影響を受けやすく、一日の中で1〜2kg程度変動することも珍しくありません。毎日の数字より週単位の傾向を見る方が、実態に近づけます。

腹囲・体組成計・健診結果はそれぞれ見方が違う

腹囲(ウエスト周囲径)は内臓脂肪の蓄積をおおまかに反映する指標として使いやすく、測定も簡単です。体組成計は体脂肪率・骨格筋量・内臓脂肪レベルなどを推計できますが、機器や測定条件によって数値が変わるため、傾向を見る用途に向いています。健診結果は血糖・血圧・脂質など、内臓脂肪の影響が出やすい数値を総合的に確認するうえで参考になります。

それぞれが別の側面を示しているため、一つの指標だけに頼るより、複数を組み合わせて傾向として把握することが現実的です。

数字に振り回されすぎず変化の流れを見ることが大切

指標の数字はあくまで状態を把握するための手段です。数字の改善を目的にしすぎると、日常生活が窮屈になり、続けにくくなります。

3ヶ月前と比べて腹囲が少し減ってきた、体の動かしやすさが変わってきた、健診の数値が少し改善してきた。そういった変化の流れを大切にする方が、長く続けやすいです。

体重の変化がなかったとしても、今まで入らなかった服が入るようになった、ベルトの穴が一つ縮んだ、という変化はよく見られます。


医療機関に相談したほうがよいのはどんなときか

体重やお腹まわりが増え続けている

食事に気をつけているつもりでも、体重や腹囲が半年・1年単位で増え続けているときは、見落としている要因がある可能性があります。生活習慣の見直しだけでは改善しにくい場合、現状を医師に確認してもらうのも良い方法です。

健診で血糖・血圧・脂質の異常を指摘された

これらのいずれかで異常を指摘されており、内臓脂肪の蓄積も疑われる場合は、自己流での対処だけでなく医師との連携が必要になることがあります。生活習慣の改善で数値が改善するケースも多いですが、どの程度の状態なのかを医師に評価してもらうことが、安心して取り組む第一歩になります。

食事や運動を続けても改善しにくい

数ヶ月、食事と運動を続けているにもかかわらず体重や体組成が改善しない場合、甲状腺機能の低下など別の医学的な要因が関係していることもあります。「頑張っているのに変わらない」という状況が続くときは、一度医療機関で確認することも選択肢に入れてみてください。

自己流の制限でつらさや不調が出ている

食事を極端に制限していたり、無理な運動を続けていたりして、疲労感・倦怠感・めまい・気分の落ち込みなどが出ているときは、その方法が体に合っていない可能性があります。体への負担が大きい状態で続けることは、長期的には回復力を下げることにもつながりかねません。


一人で悩み続けるより今の状態を整理して相談する方法もある

見た目の悩みと健康面の不安は分けて相談できる

「見た目が気になる」ことと「健康面で不安がある」ことは、どちらも正当な理由です。両方を整理して話せる場があると、何を優先して取り組めばよいかが見えやすくなります。

情報が多すぎて何が正しいかわからなくなることは、誰にでもあります。そういうとき、現状を誰かに整理してもらうだけでも、次の一歩が踏み出しやすくなることがあります。

無理な減量ではなく続けやすい方針を考えることが大切

医療機関でのダイエット相談は、「できるだけ早く体重を減らす」ためのものではありません。その人の生活習慣・体の状態・目標に合わせて、続けやすい方針を一緒に考えることが中心です。

短期間で結果を出すことより、1年・2年単位で体の状態を少しずつ改善していくことに意味があります。

必要に応じて医療の力を借りる選択肢もある

食事・運動・生活習慣の改善が基本ですが、薬物療法や専門的な栄養指導など、医療的なアプローチが選択肢になることもあります。こうした選択肢は、状態や希望に応じて医師と相談しながら判断していくものです。

当院の外来でも高血圧、コレステロール異常などの保険診療とダイエット外来の自費診療を併用している方がいて、相乗効果が出ているように見受けられます。私たちはプロとしてたくさんの患者さんを診ていくなかで、たくさんの経験やアイディアを蓄積しているものです。

「まず現状を整理したい」という段階からでも相談できる環境があることを、頭の片隅に置いておいてもらえればと思います。内臓脂肪・皮下脂肪のどちらが気になっていても、自分の体の状態を正確に知るところから始めることが、変化への最初の一歩になります。

【参考文献】

・メタボリックシンドローム診断基準検討委員会「メタボリックシンドロームの定義と診断基準」日本内科学会雑誌; 2005; 94: 188–203.
厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪型肥満」
・日本肥満学会『肥満症診療ガイドライン2022』ライフサイエンス出版, 2022.
・日本肥満学会「肥満症診断基準2011」肥満研究; 2011; 17(臨時増刊号): 1–78.
・Muramoto A, et al. “Three percent weight reduction is the minimum requirement to improve health hazards in obese and overweight people in Japan.” Obes Res Clin Pract. 2014; 8: e466–475.
・Matsuzawa Y, et al. “Adiponectin and metabolic syndrome.” Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2004; 24: 29–33.
・Hotamisligil GS. “Inflammation and metabolic disorders.” Nature. 2006; 444: 860–867.
・Spiegel K, et al. “Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite.” Ann Intern Med. 2004; 141: 846–850.
・Taheri S, et al. “Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index.” PLoS Med. 2004; 1: e62.
・Ross R, et al. “Reduction in obesity and related comorbid conditions after diet-induced weight loss or exercise-induced weight loss in men.” Ann Intern Med. 2000; 133: 92–103.
・Vissers D, et al. “The effect of exercise on visceral adipose tissue in overweight adults: a systematic review and meta-analysis.” PLoS One. 2013; 8: e56415.
・Strasser B, et al. “Resistance training in the treatment of the metabolic syndrome: a systematic review and meta-analysis of the effect of resistance training on metabolic clustering in patients with abnormal glucose metabolism.” Sports Med. 2010; 40: 397–415.
・Epel ES, et al. “Stress and body shape: stress-induced cortisol secretion is consistently greater among women with central fat.” Psychosom Med. 2000; 62: 623–632.
・Cruz-Jentoft AJ, et al. “Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis.” Age Ageing. 2019; 48: 16–31.
厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第3.2版)」2021年.

よくある質問(FAQ)

内臓脂肪と皮下脂肪は、自分で見分けることができますか?

ある程度の目安はありますが、自分だけで正確に見分けるのは簡単ではありません。お腹をつまんだときにつまめるのは主に皮下脂肪で、内臓脂肪はお腹の奥につくため、外から直接触ることはできません。お腹が前に張り出しているのに、あまりつまめない場合は、内臓脂肪が多い可能性があります。とはいえ、見た目だけでは判断しきれないため、腹囲や体組成計の数値、必要に応じて医療機関での評価をあわせて考えるのが得策です。

体重は標準なのにお腹だけ出ている場合、内臓脂肪が多いのでしょうか?

その可能性はあります。体重が標準範囲でも、筋肉量が少なかったり、運動不足や食生活の乱れが続いていたりすると、内臓脂肪が増えていることがあります。いわゆる「隠れ肥満」や「やせメタボ」と呼ばれる状態です。見た目がそれほど太っていなくても安心とは言い切れないので、体重だけでなく腹囲や体脂肪、健診結果もあわせて確認しましょう。

内臓脂肪と皮下脂肪では、どちらが先に落ちやすいですか?

一般的には、内臓脂肪のほうが先に減りやすいとされています。そのため、体重は少し減っていても、見た目の変化はまだ乏しいと感じることがあります。これは内臓脂肪が先に減って、皮下脂肪の変化が後からついてくることがあるためです。体重計の数字だけで一喜一憂するより、腹囲や服のゆとり、体調の変化も一緒に見ていくほうが、無理なく続けやすくなります。

食事だけでも内臓脂肪は減らせますか? それとも運動が必要ですか?

食事の見直しだけでも内臓脂肪の減少につながることはあります。ただ、より無理なく続けやすく、リバウンドしにくい形を目指すなら、運動や睡眠、生活リズムの見直しも組み合わせるのが現実的です。この記事でも、どちらか一つだけを極端に頑張るより、生活習慣全体を少しずつ整えることが大切だと説明しています。脂肪を急いで落とすというより、増えやすい生活パターンを修正していく発想のほうがうまくいくものです。

健診で腹囲を指摘されたら、どの時点で医療機関に相談したほうがよいですか?

腹囲を指摘された時点で、すぐに深刻な病気というわけではありません。ただ、腹囲の増加に加えて、血糖・血圧・脂質の異常も指摘されている場合は、一度相談したほうがよいタイミングです。また、体重はそれほど多くないのに腹囲が増えている、生活改善を始めても変化が出にくい、といった場合も医療機関に相談する価値があります。早めに状況を整理しておくと、遠回りしにくくなります。健診は「叱られる場」ではなく、方向修正のきっかけです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

新井隆康のアバター 新井隆康 富士在宅診療所 院長

米国スタンフォード大学にて幹細胞を用いた心筋再生と細胞のマルチモダリティイメージングの研究に従事。
分子細胞学、ES細胞の培養とウィルスベクターによる遺伝子操作、動物モデルによる実験、MRIの撮像プロセスそのものの研究していくなかで、機械工学に関しても幅広い知識を習得しました。
同時に米国医師免許(USMLE/ECFMG)を取得しました。

帰国後は東京都内の在宅クリニックにて研鑽を積み、その後2016年に富士在宅診療所を開業し、約10年間にわたり末期がん、神経難病、生活習慣病などを幅広く診療し、地域医療の最前線を担ってきました。現在の富士在宅診療は常勤医5名体制で、年間の看取り数は200名程度の規模に成長しました。
現在は、訪問診療をメインに据えながら、外来の保険診療およびダイエット外来に注力し、全身を診られる医師として地域医療の旗手を担っていきます。

目次