重度褥瘡(ステージ3・4)は在宅で治せる?訪問診療での処置と入院の判断基準

重度褥瘡(ステージ3・4)は在宅で治せる?訪問診療での処置と入院の判断基準

褥瘡にはその重症度によって、ステージが定義されています。ステージ3・4の重度褥瘡であっても、在宅での治療は決して不可能ではありません。訪問診療による定期的な創傷管理と、訪問看護師による日々のケアを組み合わせ、入院せずに改善へ向かう患者さんは数多くいます。

ただし、骨や筋肉にまで達する深い褥瘡や、感染兆候が強い場合には入院が必要になる場合もあります。

この記事では、在宅で対応できるケースと入院を選ぶべきケースの判断基準を、訪問診療の現場目線でわかりやすく解説します。

目次

そもそも重度褥瘡ステージ3・4とは|在宅で見落としやすい深さの違い

褥瘡のステージ分類は国際的にNPUAP(米国褥瘡諮問委員会)の基準が広く使われており、ステージ3は皮下脂肪層まで、ステージ4は骨・筋肉・腱にまで組織の損傷が及んだ状態を指します。

在宅療養中の患者さんやご家族にとって、見た目だけでは深さの判断が難しいのがこの段階の褥瘡です。

ステージ3は皮下脂肪まで到達した褥瘡

ステージ3の褥瘡は、皮膚の表面だけでなく皮下脂肪層にまで損傷が広がった状態です。傷口にポケット(空洞)を形成することも珍しくなく、外から見えるサイズよりも実際の損傷範囲が大きいケースが多くあります。

ご家族が「小さな穴が開いている程度」と思っていても、医師が確認するとかなり深くまで進行していた、というのはよくある話です。

黄色い壊死組織が傷の底に付着しているときもあり、訪問診療の医師が丁寧に評価する必要があります。

ステージ4は骨や筋肉が露出する危険な状態

ステージ4になると、傷が骨や筋肉、腱にまで達します。感染を起こせば骨髄炎などの重篤な合併症を引き起こす危険性があり、在宅での管理においても慎重な判断が欠かせません。

仙骨部に発生したステージ4の褥瘡では、座骨や仙骨が傷の底に見えることもあります。

こうした状態では、傷の深さ・広さ・感染の有無を総合的に評価した上で、在宅で治療を続けるか入院に切り替えるかの判断をおこないます。

ステージ3とステージ4の違い

項目ステージ3ステージ4
損傷の深さ皮下脂肪層まで骨・筋肉・腱まで
外見上の特徴深いくぼみ、ポケット形成骨・腱が露出することもある
感染リスク中程度非常に高い
在宅管理の難易度条件付きで対応可能医師の頻回な評価が必要

判定が難しい「分類不能な褥瘡」にも注意が必要

壊死組織やかさぶたが傷の底を覆っていて深さが確認できない「分類不能(Unstageable)」な褥瘡も、在宅ではしばしば見られます。

壊死組織を除去するまでステージの正確な判定ができないため、訪問診療医が慎重にデブリードマン(壊死組織の除去)をおこないながら評価を進めます。

見た目が黒いかさぶたで覆われている場合でも、その下にステージ4レベルの深い損傷が隠れていることがあります。ご家族だけの判断で「治りかけ」と思い込まず、必ず医療者に確認しましょう。

重度褥瘡を在宅で治療する条件|訪問診療で対応できるケースとは

結論から言えば、ステージ3・4の重度褥瘡であっても、一定の条件が整えば在宅での治療は十分に可能です。訪問診療医と訪問看護師が連携し、ご家族の協力を得ながら管理体制を構築できるかどうかが鍵になります。

在宅で治療を続けるための3つの前提条件

在宅で重度褥瘡の治療を継続するには、大きく3つの条件をクリアする必要があります。

まず、定期的に訪問する医師と看護師の確保ができる。次に、日常的なケア(体位変換や栄養管理など)をご家族や介護スタッフが担える。そして、万が一の急変時に入院先を確保できる医療連携が整っていることです。

この3つのうち1つでも欠けると、在宅での重度褥瘡管理は困難になります。訪問診療の開始時に、担当医とケアマネジャーを交えて体制をしっかり確認しておくと良いでしょう。

栄養状態が治癒のスピードを大きく左右する

褥瘡の治癒に栄養管理は欠かせません。特にタンパク質やアルブミン値が低い患者さんは、傷の修復に必要な材料が体内で不足するため、どれだけ丁寧に創傷処置をおこなっても治りが遅くなります。

訪問診療では定期的な血液検査でアルブミン値やプレアルブミン値をモニタリングし、管理栄養士と連携して栄養補助食品の導入や食事内容の見直しをおこないます。

経口摂取が難しい場合は、経管栄養の検討も含めて総合的に判断します。

介護力と住環境が在宅治療の成否を分ける

在宅でのケアにおいて、ご家族や介護スタッフの「介護力」は治療結果に直結します。2時間ごとの体位変換や、毎日のガーゼ交換など、継続的なケアがどこまで可能かを事前に確認しなければなりません。

住環境としては、エアマットレスの導入、介護用ベッドの設置スペース、清潔な処置環境の確保が求められます。

訪問看護師がご家族にケアの方法を指導し、無理のない範囲で分担を決めていくのが一般的な流れです。

確認項目在宅で対応可能入院を検討
栄養状態アルブミン値2.5g/dL以上アルブミン値2.0g/dL未満
介護力体位変換が定期的に可能介護者不在の時間が長い
医療連携訪問診療・訪問看護が確保済医療体制が整っていない
感染兆候局所にとどまっている全身性の発熱や敗血症疑い

訪問診療で実際におこなう褥瘡処置の流れ|デブリードマンから被覆材の選択まで

在宅での褥瘡処置は、傷の状態を評価するアセスメントから始まり、壊死組織の除去、洗浄、適切な被覆材の選択という一連の手順を訪問のたびに繰り返します。

処置の内容はDESIGN-R®という評価スケールに基づいて記録し、治癒の経過を客観的に追跡します。

傷の評価はDESIGN-R®を用いて数値で管理する

DESIGN-R®は、褥瘡の深さ(Depth)、滲出液(Exudate)、大きさ(Size)、炎症・感染(Inflammation/Infection)、肉芽組織(Granulation tissue)、壊死組織(Necrotic tissue)、ポケット(Pocket)の7項目を点数化して評価する日本発のスケールです。

訪問のたびにスコアを記録すると、治療が正しい方向に進んでいるかどうかを数値で確認できます。

スコアが下がっていれば改善傾向にあり、上がっていれば治療方針の見直しが必要だというサインです。

デブリードマンで壊死組織を取り除く

壊死した組織が傷の表面に残っていると、新しい組織の再生を妨げるだけでなく、細菌の温床になってしまいます。

訪問診療医はメスやハサミを用いた外科的デブリードマンをおこなうほか、壊死組織を自然に溶かす自己融解型の方法も状況に応じて選択します。

外科的デブリードマンは出血を伴う場合もあるため、患者さんの全身状態や抗凝固薬の使用状況を確認した上で慎重に進めます。

痛みを伴うときには局所麻酔を使用する場合もあり、患者さんの苦痛をできる限り軽減しながら処置をおこないます。

在宅でおこなう主な創傷処置の種類

処置内容目的適用場面
外科的デブリードマン壊死組織の物理的除去壊死組織が厚く付着している場合
自己融解デブリードマンハイドロジェル等で壊死組織を軟化・除去出血リスクが高い場合
陰圧閉鎖療法(NPWT)肉芽形成促進、滲出液管理広範囲の肉芽形成が必要な場合
湿潤環境の維持創面の乾燥防止と治癒促進ほぼすべての褥瘡に適用

被覆材と外用薬は傷の状態に合わせて選ぶ

褥瘡治療に使う被覆材は一種類ではなく、傷の状態によって使い分けます。

滲出液が多い時期にはフォーム材やアルギン酸塩被覆材を、肉芽が盛り上がってきた時期にはハイドロコロイドを選択するのが一般的です。

外用薬についても、感染を伴う場合にはカデキソマーヨウ素やスルファジアジン銀を含む製品を使い、肉芽形成を促したい段階ではトラフェルミン(遺伝子組換え型bFGF)などを用いるときがあります。

訪問診療医は傷の経過に応じてこれらをきめ細かく切り替えていきます。

入院が必要と判断されるのはこんなとき|在宅治療の限界ライン

在宅での褥瘡治療にも限界はあります。感染が全身に波及している場合や、大量の出血が止まらない場合、そして保存的治療では改善が見込めず外科手術が必要な場合には、速やかに入院へ切り替えなければなりません。外来のみで対応可能なのか、訪問診療が必要か、さらに入院が必要なのか判断する必要があります。

敗血症や骨髄炎が疑われるなら迷わず入院

褥瘡から細菌が血流に入り込んで全身性の感染症(敗血症)を起こすと、命に関わる緊急事態です。

38.5度以上の高熱が続く、悪寒や震えがある、意識レベルが低下している、といった症状が見られる場合には、直ちに入院治療が必要になります。

また、ステージ4の褥瘡が長期間にわたって骨に接触している場合、骨髄炎を併発するリスクが高まります。

MRI検査や血液培養など、在宅ではおこなえない精密検査が必要になるため、こうした合併症が疑われた段階で病院へ搬送する判断をくだします。

在宅でのデブリードマンでは対応しきれない壊死の広がり

壊死組織が広範囲に及んでいる場合や、筋膜壊死(壊死性筋膜炎)のような急速に進行する組織壊死が疑われる場合、在宅でのデブリードマンでは到底追いつきません。

手術室での大規模な壊死組織除去や、皮弁形成術などの外科的再建が必要になります。

特に壊死性筋膜炎は数時間単位で進行する恐ろしい疾患であり、発見したら一刻も早い外科的介入が求められます。訪問診療医が処置中に「おかしい」と感じた場合には、その場で救急搬送を手配するときもあります。

2週間以上改善しない褥瘡は治療方針の再検討が必要

適切な処置を続けているにもかかわらず、2週間以上にわたってDESIGN-R®スコアが改善しない場合には、治療方針の見直しが必要です。

在宅での限界と考えて入院を検討するか、あるいはWOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)にコンサルテーションを依頼して別のアプローチを模索するかの判断を迫られます。

治りが悪い背景には、栄養不足、圧迫除去の不十分さ、血流障害、糖尿病の血糖コントロール不良など、さまざまな要因が隠れています。

訪問診療医はこうした全身的な要因も含めて包括的に評価し、必要であれば入院先の医療機関と連携して紹介をおこないます。

症状・状態推奨される対応緊急度
38.5度以上の発熱が持続即時入院
傷の周囲に急速な発赤・腫脹拡大当日中に医師へ連絡・入院検討
大量出血が止まらない救急搬送非常に高い
2週間以上DESIGN-R®改善なし治療方針の再検討・紹介
骨が露出し感染兆候あり入院で精密検査

在宅褥瘡管理で欠かせない多職種連携|訪問診療チームの構成と各専門職の動き

在宅での褥瘡治療は、医師一人でおこなうものではありません。

訪問看護師、薬剤師、管理栄養士、ケアマネジャー、さらには福祉用具の専門相談員まで、多くの専門職が一つのチームとして連携し、在宅でも病院に近い質の治療が実現します。

訪問診療医は全体の治療方針を決める司令塔

訪問診療医は定期的に患者さんの自宅を訪問し、褥瘡の状態を直接確認して治療方針を決定します。

DESIGN-R®による評価、デブリードマンの実施、外用薬や被覆材の処方、そして入院が必要かどうかの判断も訪問診療医が担います。

加えて、訪問診療医は褥瘡だけでなく患者さんの全身管理も同時におこないます。

糖尿病や心不全など基礎疾患のコントロール、薬剤の調整、疼痛管理など、褥瘡の治癒に影響を与えるあらゆる要素に目を配るのが在宅医の仕事です。

訪問看護師が毎日の処置と観察を支える

医師の訪問が週1~2回であるのに対し、訪問看護師は必要に応じて毎日でも訪問できます。実際の創傷処置、ガーゼ交換、傷の写真記録、体位変換の指導など、日々のケアの中心を担うのは訪問看護師です。

在宅褥瘡治療にかかわる主な専門職

  • 訪問診療医(治療方針の決定、デブリードマン)
  • 訪問看護師(毎日の創傷処置、状態観察)
  • WOCナース(褥瘡管理の専門的アドバイス)
  • 管理栄養士(栄養評価と食事指導)
  • 薬剤師(外用薬の管理、服薬指導)
  • ケアマネジャー(介護サービス全体の調整)
  • 福祉用具専門相談員(エアマットレス等の選定)

看護師は傷の変化にいち早く気づく存在でもあります。「昨日と比べて滲出液の色が変わった」「傷の周りの発赤が広がっている」といった微妙な変化を医師に報告するため、早期に治療方針の修正ができるのです。

ケアマネジャーと福祉用具の専門家がご家族の負担を軽減する

在宅での褥瘡ケアは長期戦になることが多く、ご家族の負担は想像以上に大きなものです。

ケアマネジャーはショートステイやデイサービスの利用を調整してご家族のレスパイト(休息)を確保しつつ、在宅ケアの継続を支えます。

福祉用具の専門相談員は、褥瘡の予防と治療に直結するエアマットレスの選定や、介護用ベッドの背上げ角度の調整など、環境面からのサポートをおこないます。

圧力分散性能の高い体圧分散マットレスを適切に導入するだけで、褥瘡の治癒速度が大きく変わることもあります。

体位変換と圧迫除去は治療の土台|正しいポジショニングで褥瘡の悪化を防ぐ

どんなに優れた創傷処置をおこなっても、褥瘡の原因である「圧迫」を除去しなければ傷は治りません。

体位変換とポジショニングは褥瘡治療の土台であり、在宅ケアにおいてご家族が最も深くかかわる部分でもあります。

2時間ごとの体位変換が基本だが、個別に調整が必要

従来から「2時間ごとの体位変換」が標準的なケアとして推奨されてきましたが、実際には患者さんの状態やマットレスの種類によって適切な間隔は変わります。

高機能のエアマットレスを使用している場合は、4時間間隔でも十分な圧力分散が得られるケースもあるのです。

ご家族にとって夜間の2時間ごとの体位変換は大きな負担になります。訪問看護師と相談しながら、現実的に継続できるスケジュールを組み、必要に応じて介護サービスの夜間対応を利用することも選択肢に入れてみてください。

ポジショニングクッションの使い方で効果が変わる

体位変換をしても、クッションの当て方が不適切だと別の場所に新たな褥瘡ができてしまうことがあります。

仙骨部の褥瘡を避けるために側臥位にしたら、今度は大転子部に圧力が集中してしまった、という失敗は珍しくありません。

30度側臥位(背中を約30度傾けた姿勢)は、仙骨部にも大転子部にも圧力がかかりにくいポジションとして広く推奨されています。

訪問看護師から正しい角度とクッションの配置を教わり、実践できるようにしておくことが重要です。

車椅子での座位時間の管理も忘れてはならない

寝たきりの方だけが褥瘡のリスクを負うわけではありません。車椅子で長時間座ったまま過ごしている方も、坐骨や仙骨に持続的な圧力がかかるため褥瘡が発生・悪化するリスクを抱えています。

車椅子使用時は、1時間に1回はプッシュアップ(手で体を持ち上げて圧を抜く動作)をおこなうか、座位時間自体を制限するなどの対策が必要です。

座面にも体圧分散クッションを使用し、クッションが劣化していないか定期的に確認します。

体位・場面褥瘡リスク部位推奨される対策
仰臥位(あおむけ)仙骨部、かかとかかとの浮上、30度側臥位への変換
側臥位大転子部、くるぶし30度側臥位、クッション挿入
車椅子座位坐骨、仙骨体圧分散クッション、定期的なプッシュアップ
ギャッジアップ仙骨部(ずれ力)30度以内の角度維持、背抜き

在宅褥瘡治療の経過はどのくらいかかる?|ステージ別の治癒期間と回復の目安

ステージ3の褥瘡であれば数か月、ステージ4であれば半年以上かかるケースも珍しくなく、在宅での褥瘡治療は長い道のりになると最初から覚悟しておくほうがよいでしょう。

焦らず、日々のケアを地道に続けることが完治への一番の近道です。

ステージ3の褥瘡は3か月から6か月が一つの目安

  • ポケットがない浅いステージ3:2~3か月
  • ポケットを伴うステージ3:4~6か月
  • 栄養状態が悪い場合のステージ3:6か月以上

栄養状態が良好で、適切な体圧管理とこまめな創傷処置がおこなわれている場合、ステージ3の褥瘡は3か月程度で肉芽組織が充填され、その後上皮化(皮膚の再生)が進みます。

ただし、ポケットが深い場合や糖尿病を併発している場合は6か月以上かかるときもあります。

傷のサイズが小さくなっていく速度は一定ではなく、初期に急速に縮小した後、残り数センチがなかなか閉じないという経過をたどることが多いです。

この「最後の一歩」に時間がかかるのは正常な経過であり、ご家族も焦らず見守ることが大切です。

ステージ4は半年から1年以上の長期戦を覚悟する

ステージ4の褥瘡は組織の損傷が深いため、治癒までに半年から1年以上かかるケースが大半です。

特に高齢で低栄養の患者さんでは、「完全に治す」よりも「これ以上悪化させない」「感染を防ぐ」を目標に管理するケースもあります。

在宅で治療を続ける場合、毎月のDESIGN-R®スコアの推移を追いながら、わずかでも改善傾向にあるかどうかを確認します。劇的な変化がなくても、スコアが少しずつ下がっていれば治療はうまくいっていると判断できます。

治癒経過に影響を与える全身的な要因を見逃さない

褥瘡の治癒スピードは局所の処置だけで決まるものではなく、全身の状態が大きく影響します。

低アルブミン血症、貧血、糖尿病、末梢血管疾患、ステロイドの長期使用、加齢による免疫力の低下など、治癒を遅らせる全身的な要因は多岐にわたります。

訪問診療医はこうした全身要因を定期的に評価し、血糖コントロールの改善、貧血の是正、栄養状態の底上げなど、褥瘡治療を下支えする全身管理を同時に進めます。

「傷だけを診る」のではなく「人全体を診る」のが訪問診療の強みです。

よくある質問

重度褥瘡のステージ3・4は訪問診療だけで完治させられるのか?

ステージ3であれば、訪問診療と訪問看護を組み合わせた在宅治療で完治に至るケースは少なくありません。

ステージ4の場合は完治まで1年以上かかることもありますが、栄養管理と体圧分散が十分におこなわれていれば、在宅のまま大幅な改善が見込めます。

ただし、骨髄炎や敗血症などの合併症を起こした場合には入院治療が必要になります。訪問診療医が定期的に評価し、在宅で続けるか入院に切り替えるかを適切に判断します。

在宅での重度褥瘡ケアにおいて家族がおこなうべき処置内容は何か?

ご家族が日常的に担う処置としては、定期的な体位変換、おむつ交換時の皮膚の清潔保持、栄養バランスのとれた食事の提供が中心になります。

創傷処置(ガーゼ交換や洗浄)は訪問看護師が指導した範囲でおこなう場合が多く、無理にご家族だけで高度な処置をおこなう必要はありません。

大切なのは傷の変化を観察し、異臭・発赤の拡大・発熱など気になる症状があれば速やかに訪問看護師や訪問診療医に連絡することです。早めの報告が重症化を防ぐ最大のポイントになります。

重度褥瘡の訪問診療では医師はどのくらいの頻度で自宅を訪問するのか?

訪問診療医の訪問頻度は患者さんの状態によって異なりますが、重度褥瘡の管理中は通常、週1回から2回の訪問が基本です。

感染兆候がある場合や、デブリードマンを段階的に進めている時期には、週2回以上の訪問をおこなうときもあります。

訪問診療医の訪問日以外は、訪問看護師が創傷処置と状態観察を担います。緊急時には電話やオンラインで医師に連絡できる体制を整えておくと、ご家族も安心して在宅ケアを続けられます。

訪問診療中の重度褥瘡で感染が疑われたときにどんな症状に注意すべきか?

感染を疑うサインとしては、傷の周囲の発赤や腫脹の拡大、傷からの膿性浸出液や悪臭、38度以上の発熱、患者さんの全身倦怠感や食欲低下があります。

これらの症状が1つでも見られたら、すぐに訪問看護師または訪問診療医に連絡してください。特に高齢者では、感染があっても発熱しないときがあります。

「なんとなく元気がない」「食事の量が急に減った」といった非特異的な変化も感染の初期サインである場合があるため、日頃から患者さんの様子をよく観察しておきましょう。

重度褥瘡の在宅治療で使用するエアマットレスはどのように選べばよいか?

ステージ3・4の重度褥瘡の場合、圧切替型(エアセルが交互に膨張・収縮するタイプ)の高機能エアマットレスが推奨されます。

体重やBMI、褥瘡の部位に合わせて圧力設定を調整できるモデルが望ましく、福祉用具の専門相談員に相談すれば適切な機種を選定してもらえます。

介護保険を利用してレンタルできる場合が多いため、ケアマネジャーに確認してみてください。

マットレスの上にさらに厚手のシーツやパッドを重ねると圧分散効果が弱まるため、使い方についても訪問看護師の指導を受けると良いでしょう。

今回の内容が皆様のお役に立ちますように。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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