精神科訪問診療の料金はいくら?自立支援医療の活用と自己負担の目安

精神科訪問診療の料金はいくら?自立支援医療の活用と自己負担の目安

精神科訪問診療の料金は、健康保険の3割負担で1回あたり約2,000円〜5,000円が一般的な目安です。さらに自立支援医療制度を利用すれば、自己負担を1割にまで抑えられるケースも少なくありません。

「思っていたより高いのでは」と不安を感じている方も多いでしょう。

この記事では、訪問診療にかかる費用の内訳から自立支援医療の申請方法、負担軽減に役立つ公的制度まで、料金にまつわる疑問をひとつずつ丁寧に解説していきます。

目次

精神科訪問診療の料金は1回あたり2,000円〜5,000円が目安になる

精神科の訪問診療を受けた場合、3割負担の方であれば1回あたりの自己負担額はおおむね2,000円〜5,000円程度に収まります。金額に幅があるのは、診療内容や加算項目によって算定される点数が異なるためです。

3割負担なら月2回の訪問で4,000円〜10,000円程度の計算になる

精神科訪問診療は、多くの場合月2回の頻度で行われます。1回あたり2,000円〜5,000円ですから、月額では4,000円〜10,000円が目安になるでしょう。

初診時には初診料が加算されるため、やや高くなる傾向があります。2回目以降は再診料をベースに算定されるため、初回よりは負担が軽くなるのが一般的です。

診療内容や訪問頻度で料金は上下する

訪問診療では、医師による診察に加えてカウンセリングや薬の調整、血液検査などを行う場合があります。それぞれに応じた診療報酬が加算されるため、受ける内容によって料金が変わるのは自然なことです。

訪問頻度についても、症状が安定している方は月1回、状態に波がある方は週1回など、主治医と相談しながら柔軟に調整できます。頻度が増えれば月額の負担も大きくなる点は覚えておきたいところです。

精神科訪問診療の1回あたりの費用目安

負担割合1回あたり月2回の場合
3割負担約2,000〜5,000円約4,000〜10,000円
2割負担約1,300〜3,300円約2,600〜6,600円
1割負担(自立支援)約700〜1,700円約1,400〜3,400円

交通費や処方薬代が別途かかるケースもある

訪問診療の料金には、基本的に医師の移動にかかる交通費は含まれています。ただし、遠方への訪問や特殊な事情がある場合には別途請求される医療機関もあるため、契約前に確認しておくと安心でしょう。

処方された薬の代金は、訪問診療の料金とは別に薬局で支払います。ジェネリック医薬品を選べば薬代をかなり抑えられるので、薬剤師に相談してみてください。

精神科訪問診療の費用内訳を押さえておけば不安はぐっと減る

請求書に並ぶ項目の意味がわかるだけで、「なぜこの金額なのか」という不安は驚くほど小さくなります。精神科訪問診療の費用は、大きく分けて3つの柱で構成されています。

基本の柱は「在宅患者訪問診療料」

訪問診療の費用で中心となるのが、在宅患者訪問診療料です。これは医師が患者さんの自宅を訪問して診察を行うことに対して算定される基本的な診療報酬にあたります。

点数は訪問先や患者さんの状態、同一建物内で何人診察するかによって変動します。おおよそ800点〜900点前後で、3割負担の場合は2,400円〜2,700円程度です。

精神科の加算項目が上乗せされる場合もある

精神科特有の加算として「精神科在宅患者支援管理料」や「通院・在宅精神療法」が算定されることがあります。これらは精神科の専門的な治療や管理に対して設けられた項目です。

加算の有無や金額は、患者さんの病状や提供される医療サービスの内容によって決まります。すべての患者さんに一律で加算されるわけではないため、具体的な金額は医療機関に確認するのが確実でしょう。

処方箋料や検査料も含めた総額を確認しておこう

薬を処方する際の処方箋料(68点=3割負担で約200円)や、定期的な血液検査にかかる検査料も費用に含まれます。これらは1回あたりの金額は小さいものの、毎月積み重なると無視できない額になることもあるでしょう。

初めて訪問診療を受ける際には「月額の総額はどれくらいになりますか」と率直に聞いてみることをおすすめします。多くの医療機関は快く概算を教えてくれるはずです。

費用を構成する主な診療報酬項目

項目名概算点数3割負担の目安
在宅患者訪問診療料800〜900点約2,400〜2,700円
通院・在宅精神療法330〜400点約990〜1,200円
処方箋料68点約200円

自立支援医療を使えば精神科訪問診療の自己負担は1割で済む

自立支援医療制度を利用すると、精神科訪問診療にかかる医療費の自己負担割合が3割から1割に軽減されます。経済的な不安を大幅にやわらげてくれる、精神疾患のある方にとって心強い味方です。

自立支援医療(精神通院医療)は精神疾患のある方を守る公的制度

自立支援医療の「精神通院医療」は、統合失調症やうつ病、双極性障害、不安障害など継続的な通院治療が必要な精神疾患を対象とした公的制度です。外来だけでなく、訪問診療や訪問看護、デイケアなども対象に含まれます。

対象となる疾患は幅広く、てんかんや発達障害、認知症なども含まれるため、「自分は対象にならないのでは」と思い込まず、まずは主治医に相談してみることが大切です。

所得に応じて月額上限が決まるので高額になりすぎない

自立支援医療では、自己負担が1割になるだけでなく、世帯の所得に応じて月額の自己負担上限額が設定されます。上限を超えた分はそれ以上支払う必要がないため、医療費が青天井に膨らむ心配はありません。

住民税非課税世帯であれば月額上限が2,500円または5,000円に抑えられます。一定所得以上の世帯でも上限は設けられるため、制度を知っているかどうかで家計への影響は大きく変わってくるでしょう。

所得区分ごとの自己負担上限額

所得区分月額上限
生活保護世帯0円
住民税非課税(低所得1)2,500円
住民税非課税(低所得2)5,000円
住民税課税(中間所得層)5,000〜10,000円
一定所得以上20,000円

精神科の訪問診療にも自立支援医療は問題なく使える

「訪問診療には自立支援医療が使えないのでは?」という声を耳にすることがありますが、精神科の訪問診療も自立支援医療の対象に含まれます。通院と同じ扱いで1割負担が適用されるので安心してください。

ただし注意点がひとつあります。自立支援医療は、あらかじめ指定した医療機関と薬局でしか適用されません。訪問診療を行う医療機関を「指定医療機関」として登録する手続きが必要です。

自立支援医療の申請は3つの書類を揃えれば始められる

自立支援医療の申請は、必要書類を揃えてお住まいの市区町村の窓口に提出するだけで完了します。手続き自体はシンプルなので、身構える必要はありません。

申請に必要な書類は診断書・健康保険証・申請書の3点

申請に必要なのは、主治医が作成する「自立支援医療診断書(精神通院医療用)」、健康保険証のコピー、そして市区町村の窓口で受け取る申請書の3つです。診断書には所定の様式があるため、主治医にその旨を伝えれば作成してもらえます。

診断書の作成には3,000円〜5,000円程度の文書料がかかるのが一般的です。この費用は自立支援医療の対象外になりますが、長い目で見れば十分に元が取れる投資といえるでしょう。

申請窓口は住所地の市区町村にある障害福祉課

書類が揃ったら、お住まいの市区町村の障害福祉課(自治体によって名称は異なります)に提出します。郵送での受付に対応している自治体もあるため、窓口に出向くのが難しい場合は事前に電話で確認してみてください。

家族やケアマネジャーなど代理人による申請も可能です。本人が外出困難な状況にある場合でも手続きを進められるので、周囲の方に相談してみるとよいかもしれません。

有効期間は1年で更新手続きも忘れずに

自立支援医療の有効期間は原則として1年間です。期限が切れる前に更新手続きを行わないと、再び3割負担に戻ってしまいます。多くの自治体では有効期限の3か月前から更新申請を受け付けています。

更新の際は、2年に1度は新しい診断書が必要になります。それ以外の年は診断書なしで更新できるので、手間はそれほどかかりません。医療機関が更新時期を教えてくれる場合もあるため、主治医や事務スタッフに一声かけておくと安心です。

自立支援医療の申請から利用開始までの流れ

手順内容目安期間
1主治医に診断書を依頼1〜2週間
2市区町村窓口へ申請当日
3審査・認定約1〜2か月
4受給者証の交付・利用開始交付後すぐ

精神科の訪問診療と外来通院、費用を比べると見え方が変わる

訪問診療は外来通院より割高に感じるかもしれません。しかし、通院にかかる交通費や付き添いの人件費、通院そのものに伴う身体的・精神的な負担を含めて考えると、印象はかなり違ってきます。

1回あたりの診療報酬は訪問診療のほうが高めに設定されている

診療報酬の点数だけを見ると、訪問診療は外来通院より高めです。医師が患者さんの自宅まで出向く手間や移動時間が評価されているためで、これは制度上の正当な差といえます。

3割負担の場合、外来の再診料は約700〜1,500円程度であるのに対し、訪問診療は2,000円〜5,000円。単純な比較では訪問診療が2〜3倍ほど高くなる計算です。

通院にかかる交通費や時間的な負担を加えると差は縮まる

外来通院の場合、自宅から病院までの交通費が毎回発生します。タクシーを利用する方であれば往復で3,000円〜5,000円かかることも珍しくありません。付き添いの家族が仕事を休んで同行しているなら、その機会損失も考慮すべきでしょう。

精神疾患をお持ちの方の中には、外出そのものが大きなストレスになる方もいます。通院の負担が原因で治療を中断してしまえば、症状が悪化し、結果的により高額な医療費がかかるリスクも出てきます。

外来通院と訪問診療の費用比較(3割負担・月2回の場合)

項目外来通院訪問診療
診療費(月額)約1,400〜3,000円約4,000〜10,000円
交通費(月額)約1,000〜10,000円原則なし
付き添い等の負担ありなし

通院が困難な方にとって訪問診療は長期的にメリットが大きい

通院困難な方が治療を継続できること自体が、精神科においては何よりも大切です。訪問診療であれば自宅で診察を受けられるため、通院が途切れるリスクを減らせます。

症状が安定すれば訪問頻度を減らし、いずれは外来通院に切り替えることも可能です。「いまの自分に合った治療のかたち」として訪問診療を選ぶことは、決して贅沢な選択ではありません。

自己負担をもっと減らしたい!精神科訪問診療で使える公的制度

自立支援医療だけでなく、ほかにも医療費の負担を軽くできる公的制度がいくつか存在します。制度を組み合わせることで、自己負担をさらに小さくできる可能性があります。

高額療養費制度で月ごとの上限を超えた分は払い戻される

高額療養費制度は、1か月間に支払った医療費の自己負担額が上限を超えた場合に、超過分が払い戻される仕組みです。精神科訪問診療で発生する費用も対象になります。

上限額は年齢や所得によって異なりますが、70歳未満で年収約370万円以下の方であれば月額57,600円が上限となります。この制度は申請すれば利用でき、加入している健康保険の窓口で手続きが可能です。

自治体独自の障害者医療費助成を使えば負担ゼロも見えてくる

お住まいの自治体によっては、独自の障害者医療費助成制度を設けているところがあります。精神障害者保健福祉手帳の所持者を対象に、医療費の自己負担分を全額または一部助成してくれる制度です。

助成内容は自治体によって大きく異なるため、まずはお住まいの市区町村の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。自立支援医療との併用が可能な自治体であれば、実質的に自己負担ゼロで訪問診療を受けられることもあるでしょう。

精神障害者保健福祉手帳で受けられる税制優遇や割引サービス

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、医療費の助成以外にもさまざまな優遇を受けられます。所得税や住民税の障害者控除が適用されるほか、公共交通機関の割引や携帯電話料金の減免なども活用できます。

手帳の取得に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれど、手帳を持つことで日常生活の経済的負担が軽くなれば、治療に専念しやすい環境が整います。取得を迷っている方は、主治医やソーシャルワーカーに気持ちを打ち明けてみてください。

精神科訪問診療と併用できる主な公的制度

  • 自立支援医療(精神通院医療)
  • 高額療養費制度
  • 自治体独自の障害者医療費助成
  • 精神障害者保健福祉手帳による税制優遇
  • 生活保護制度の医療扶助

精神科訪問診療の料金で損しないために事前に確認しておくべきこと

せっかく制度を利用していても、事前の確認不足で余計な出費が生じてしまうことがあります。訪問診療を始める前に押さえておきたいポイントを整理しました。

医療機関によって算定項目が異なるので見積もりを依頼しよう

訪問診療の料金は全国一律の診療報酬に基づいて計算されますが、実際にどの項目を算定するかは医療機関ごとに異なります。同じ疾患でも、ある医療機関では加算が付き、別の医療機関では付かないということが起こり得ます。

契約前に「月額でだいたいいくらになりますか」と見積もりを依頼するのは、まったく失礼なことではありません。誠実な医療機関であれば、丁寧に説明してくれるはずです。

見積もり時に確認しておきたいポイント

  • 月額の概算費用と訪問回数
  • 交通費の有無と金額
  • 夜間・休日対応時の追加料金
  • 自立支援医療の利用可否

かかりつけ薬局を決めておけば薬代の管理がラクになる

精神科の訪問診療では、処方箋を受け取った後に薬局で薬を購入する流れになります。かかりつけ薬局を1か所に決めておくと、薬の飲み合わせチェックや残薬の管理がスムーズになるだけでなく、自立支援医療の指定薬局としても登録できます。

薬局によっては自宅まで薬を届けてくれる「薬剤師訪問サービス」に対応しているところもあります。外出が難しい方は、こうしたサービスを活用すると通院の手間を一層減らせるでしょう。

制度の併用で自己負担ゼロまで到達する方もいる

自立支援医療で1割負担にしたうえで、自治体の医療費助成制度を併用すると、残りの1割分もカバーされて自己負担が実質ゼロになるケースがあります。生活保護を受給している方は、医療扶助により自己負担なしで訪問診療を受けられます。

どの制度が使えるかは、お住まいの地域や世帯の所得状況によって異なるため、市区町村の窓口やソーシャルワーカーに相談してみてください。「自分にも使える制度があるかもしれない」と思って行動するだけで、結果は変わってきます。

よくある質問

精神科訪問診療の料金に交通費は含まれていますか?

精神科訪問診療の料金には、原則として医師の移動にかかる交通費が含まれています。診療報酬のなかに訪問にかかるコストが組み込まれているためです。

ただし、訪問先が通常の診療圏外にある場合や、離島・山間部など特殊な事情がある場合には、別途交通費を請求される医療機関も一部存在します。不安であれば、契約前に交通費の扱いについて確認しておくと安心でしょう。

自立支援医療の申請中でも精神科訪問診療は受けられますか?

自立支援医療の審査には通常1〜2か月ほどかかりますが、申請中であっても精神科訪問診療を受けること自体は可能です。認定前に支払った医療費については、自治体によっては遡って適用してくれる場合もあります。

遡及適用の可否は自治体ごとに対応が異なるため、申請時に窓口で「認定前にかかった費用はどうなりますか」と確認しておきましょう。

精神科訪問診療の料金は医療機関によって違いがありますか?

診療報酬の単価自体は全国共通ですが、どの加算項目を算定するかは医療機関の体制や治療方針によって変わります。そのため、同じ疾患であっても請求額に差が出ることは珍しくありません。

複数の医療機関を比較検討する場合は、月額の概算を事前に尋ねてみるとよいでしょう。料金だけでなく、医師との相性や対応エリア、緊急時のサポート体制なども含めて総合的に判断することが大切です。

自立支援医療と精神障害者保健福祉手帳は同時に申請できますか?

自立支援医療と精神障害者保健福祉手帳は、同時に申請することが可能です。どちらも精神科の主治医による診断書が必要になりますが、兼用の様式が用意されている自治体も多く、診断書を1通で済ませられるケースもあります。

同時申請すれば文書料の節約にもなりますし、窓口に行く回数も減らせます。主治医に相談のうえ、できるだけまとめて手続きを進めるとよいでしょう。

精神科訪問診療を途中でやめた場合に違約金は発生しますか?

精神科訪問診療は保険診療であるため、一般的に違約金や解約金といった費用は発生しません。症状が改善して通院に切り替える場合や、ほかの医療機関に変更する場合でも、自由に中止や変更ができます。

ただし、医療機関によっては独自の契約条項を設けている場合もゼロではありません。心配であれば契約時に「途中で中止した場合の費用はどうなりますか」と確認しておくと、後から困ることがなくなるでしょう。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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