褥瘡を早く治すための栄養管理|亜鉛・タンパク質の摂取と補助食品の活用

褥瘡(床ずれ)の治癒を早めるには、外用薬や体位変換だけでは不十分です。傷を修復する力は体の内側、つまり日々の「栄養」から生まれます。
特に亜鉛とタンパク質は皮膚の再生に直結する栄養素であり、食事での摂取が難しい場合は栄養補助食品を上手に活用することで回復を後押しできます。
この記事では、訪問診療の現場で実際に用いる栄養管理の考え方から、具体的な食材や補助食品の選び方まで、ご家族や介護者の方が今日から取り組める内容をまとめます。
褥瘡と栄養の関係を正しく知り、治癒への道を一歩ずつ進めていきましょう。
褥瘡がなかなか治らないのは「栄養不足」が原因かもしれない
褥瘡の治りが遅いとき、原因として見落とされがちなのが全身の栄養状態です。どれほど適切な外用治療を行っても、体の中に傷を修復するための材料が不足していれば、新しい皮膚組織はなかなか作られません。
特に高齢者や寝たきりの方は食事量が減りやすく、慢性的な低栄養に陥っている場合も多いです。
褥瘡と低栄養の悪循環を断ち切る
褥瘡ができると体は傷の修復にエネルギーとタンパク質を大量に消費します。ところが、もともと栄養状態が悪い方の場合、修復に必要な栄養が追いつかず、褥瘡はさらに悪化します。
悪化した褥瘡は体力をいっそう奪い、食欲低下を招くという悪循環に陥りがちです。この負の連鎖を止めるためには、まず栄養評価を行い、不足している栄養素を的確に補うことが出発点になります。
訪問診療では血液検査でアルブミン値などを確認し、栄養状態を客観的に把握することが治療の第一歩です。
血清アルブミン値が示す傷の治りやすさ
栄養状態を評価する代表的な指標が血清アルブミン値です。アルブミンは肝臓で合成されるタンパク質で、値が3.5g/dL未満になると低栄養と判断されます。
褥瘡の治癒との関連性は深く、アルブミン値が低いほど創傷の治りが遅くなることが報告されています。
褥瘡の治癒スピードと栄養指標の関連
| アルブミン値 | 栄養状態 | 褥瘡への影響 |
|---|---|---|
| 3.5g/dL以上 | 正常範囲 | 治癒が進みやすい |
| 3.0〜3.4g/dL | 軽度低栄養 | 治癒がやや遅延する |
| 2.5〜2.9g/dL | 中等度低栄養 | 治癒が明らかに遅延 |
| 2.5g/dL未満 | 高度低栄養 | 治癒困難・悪化リスク大 |
訪問診療で行う栄養スクリーニングの流れ
訪問診療では、褥瘡の診察時に必ず栄養状態の評価も同時に行います。体重の変化、食事の摂取量、血液検査の結果を総合的に見て、どの栄養素がどの程度不足しているかを判断します。
MNA-SF(簡易栄養状態評価表)などのスクリーニングツールを用いることで、短時間でも体系的な栄養評価が可能です。
こうした評価結果に基づいて、食事内容の見直しや栄養補助食品の導入を具体的に提案していきます。褥瘡の治療は「塗り薬と体位変換」だけではなく、栄養管理が土台になるという認識が大切です。
褥瘡の治癒を早めるタンパク質の摂り方と目標量
褥瘡の治癒にもっとも深く関わる栄養素がタンパク質です。傷口に新しい肉芽組織や皮膚を形成するには、アミノ酸という原材料が十分に供給される必要があります。
褥瘡がある方のタンパク質必要量は、健康な方よりも多く設定されるのが一般的です。
褥瘡がある方の1日のタンパク質目標量
日本褥瘡学会のガイドラインでは、褥瘡のある患者さんに対して体重1kgあたり1.25〜1.5gのタンパク質摂取を推奨しています。たとえば体重50kgの方であれば、1日あたり62.5〜75gのタンパク質が目標です。
これは健康な高齢者の推奨量(体重1kgあたり約1.0g)と比べてかなり多い数値です。
腎機能に問題がなければ積極的な摂取が勧められますが、腎臓に疾患がある方は主治医と相談のうえで目標量を調整してください。
良質なタンパク質を効率よく摂れる食材の選び方
タンパク質は量だけでなく「質」も大切です。体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含む食品を「良質なタンパク質」と呼び、動物性タンパク質がこれに該当します。
卵、鶏むね肉、魚、乳製品はアミノ酸スコアが高く、少量でも効率的にタンパク質を補給できます。
ただし、噛む力や飲み込む力が衰えた方にとって、肉や魚をそのまま食べるのは困難な場合があります。ひき肉を使った料理やプリン状に加工された高タンパク食品など、食べやすい形態で提供する工夫が欠かせません。
食事量が少ない方のタンパク質補給の工夫
高齢者の多くは1回の食事量が少なく、通常の献立だけでは目標量に届かないときがあります。
そのような場合は、間食を活用してタンパク質を上乗せする方法が有効です。ヨーグルト、チーズ、豆乳、卵豆腐など、少量でタンパク質を含む食品を1日の中で小分けにして提供しましょう。
また、味噌汁にきな粉やスキムミルクを加える、おかゆに卵を落とすといった方法も日常の食事に取り入れやすい工夫です。食べる楽しみを損なわない範囲で、無理なく栄養価を高めることを意識してみてください。
| 食材(100gあたり) | タンパク質量 | 特徴 |
|---|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし) | 約23g | 低脂肪・高タンパク |
| 卵(Mサイズ1個=約50g) | 約6.2g | 必須アミノ酸バランスが良い |
| 鮭 | 約22g | アスタキサンチンも含有 |
| 木綿豆腐 | 約7g | 植物性で消化しやすい |
| ヨーグルト(無糖) | 約3.6g | 間食として取り入れやすい |
亜鉛不足が褥瘡の回復を妨げる――毎日の食事でしっかり補う方法
亜鉛は皮膚の細胞分裂やコラーゲンの合成に深く関わるミネラルであり、不足すると傷の治りが著しく遅くなります。高齢者は亜鉛の摂取量と吸収率がともに低下しやすいため、意識的に補う必要があります。
亜鉛が褥瘡の回復に欠かせない生理学的な理由
亜鉛は体内で300種以上の酵素反応に関わっていますが、褥瘡治療の文脈で特に注目すべきは細胞増殖とコラーゲン合成への関与です。
傷口が治る過程では、線維芽細胞が活発に増殖して新しい結合組織を作ります。亜鉛はこの線維芽細胞の増殖を促進し、同時に免疫細胞の働きもサポートすることで創部の感染防御にも寄与します。
亜鉛が欠乏すると、肉芽組織の形成が遅延するだけでなく、免疫機能の低下から感染リスクも高まります。褥瘡の治癒には「亜鉛が足りているかどうか」が大きな分かれ道になります。
亜鉛を多く含む食品と1日の推奨摂取量
成人男性の亜鉛推奨摂取量は1日11mg、成人女性は8mgとされています。褥瘡のある方はこれを上回る摂取が望ましく、日本褥瘡学会では亜鉛の積極的な補充を推奨しています。
亜鉛を豊富に含む食品
| 食品 | 亜鉛含有量(100gあたり) | 食べ方の工夫 |
|---|---|---|
| 牡蠣 | 約14mg | 缶詰やオイル漬けも活用 |
| 豚レバー | 約6.9mg | レバーペーストにすると食べやすい |
| 牛赤身肉 | 約5.0mg | ひき肉で調理すると噛みやすい |
| かに | 約4.9mg | ほぐし身をおかゆに混ぜる |
| 納豆 | 約1.9mg | 朝食に手軽に取り入れられる |
亜鉛の吸収を高める食べ合わせと避けたい食べ合わせ
亜鉛はビタミンCやクエン酸と一緒に摂ると吸収率が高まります。たとえば、牡蠣にレモンを絞って食べる組み合わせは理にかなっています。
一方で、食物繊維やフィチン酸(穀物や豆類に含まれる)は亜鉛の吸収を阻害する性質があります。
玄米は白米に比べて亜鉛の吸収率が低くなるため、褥瘡の治療中は白米を選ぶほうが得策です。
また、カルシウムのサプリメントを亜鉛と同じタイミングで摂ると互いの吸収を妨げるため、時間をずらして飲むようにしましょう。
亜鉛やタンパク質だけでは足りない――褥瘡治療に必要なビタミン・ミネラル
褥瘡を治すための栄養は、亜鉛とタンパク質だけでは完結しません。ビタミンC、ビタミンA、鉄分など複数の微量栄養素が連携して傷の修復を支えています。
これらが1つでも大きく不足すると、治癒の速度は目に見えて落ちます。
ビタミンCはコラーゲン合成の「原動力」になる
ビタミンCはコラーゲンを体内で合成する際に欠かせない補酵素です。コラーゲンは肉芽組織の骨格となるタンパク質であり、ビタミンCが不足すると新しい組織の形成が滞ります。
さらにビタミンCには抗酸化作用があり、傷口の炎症を抑えて治癒環境を整える働きも担っています。
果物や野菜を毎日の食事にしっかり取り入れるのが基本ですが、調理時に加熱しすぎるとビタミンCは壊れやすいという弱点があります。
生で食べられるいちごやキウイフルーツ、あるいは短時間の加熱で済むブロッコリーなどを上手に活用してください。
ビタミンAが皮膚の再生と免疫防御を支える
ビタミンAは上皮細胞の分化と増殖を促し、皮膚のバリア機能を維持する栄養素です。褥瘡の治癒過程では、傷口を新しい上皮で覆う「上皮化」の段階でビタミンAの需要が高まります。
レバー、うなぎ、にんじん、ほうれん草などに豊富に含まれており、脂溶性ビタミンのため油と一緒に摂ると吸収が良くなります。
にんじんのバター炒めやほうれん草のソテーは、ビタミンAを効率よく摂取できる調理法です。
鉄分は酸素を傷口に届ける「運搬役」
鉄分はヘモグロビンの構成要素であり、血液を通じて傷口に酸素を届ける働きを担っています。酸素が十分に供給されないと細胞の増殖や代謝は停滞するため、貧血のある方は褥瘡の治りが遅くなりがちです。
鉄分にはヘム鉄(動物性食品)と非ヘム鉄(植物性食品)があり、ヘム鉄のほうが吸収率は高くなります。
非ヘム鉄を摂る場合は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が向上します。たとえば、小松菜のおひたしにレモン汁をかけるだけでも効果があります。
褥瘡治療を支えるビタミン・ミネラルの
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| ビタミンC | コラーゲン合成・抗酸化 | いちご、キウイ、ブロッコリー |
| ビタミンA | 上皮細胞の再生・免疫維持 | レバー、にんじん、ほうれん草 |
| 鉄分 | 酸素の運搬・細胞代謝 | レバー、あさり、小松菜 |
| 銅 | コラーゲンの架橋形成 | 牡蠣、ナッツ類、ココア |
| ビタミンE | 抗酸化・血行促進 | アーモンド、かぼちゃ、ツナ |
食事だけでは限界がある――褥瘡に効果的な栄養補助食品の選び方
食事だけで褥瘡治療に必要な栄養素をすべて賄うのは、現実的に難しいケースが多くあります。
食欲低下、嚥下障害、消化機能の衰えなどが重なると、通常の食事から十分な栄養を摂取するのは困難です。そのようなときに頼りになるのが、医療現場でも広く使われている栄養補助食品です。
医療現場で使われる経口栄養補助食品(ONS)の種類
経口栄養補助食品(ONS=Oral Nutritional Supplements)は、少量で高いエネルギーとタンパク質を摂取できるように設計された製品です。
液状タイプ、ゼリータイプ、パウダータイプなど形態はさまざまで、患者さんの嚥下機能や嗜好に合わせて選べます。
褥瘡がある方には、タンパク質に加えて亜鉛やビタミンCが強化された褥瘡対応タイプの製品が適しています。
代表的な商品としてはアイソカルやメイバランス、ブイ・クレスなどがあり、いずれも少量(125〜200mL程度)で効率よく栄養を摂れます。
褥瘡治療に特化した栄養補助食品を比較する
褥瘡治療を目的とした栄養補助食品は、一般的な総合栄養食品と比べてアルギニン(アミノ酸の一種)や亜鉛、ビタミンCが強化されている点に特徴があります。
アルギニンはコラーゲンの前駆体であるプロリンの合成に関わり、創傷治癒を促進する作用が複数の研究で確認されています。
褥瘡対応の主な栄養補助食品
| 製品名 | 特徴 | 形態 |
|---|---|---|
| ブイ・クレスCP10 | コラーゲンペプチド・亜鉛配合 | ドリンクタイプ |
| アバンド | HMB・アルギニン・グルタミン配合 | パウダータイプ |
| アイソカルジェリーArg | アルギニン強化・少量高栄養 | ゼリータイプ |
| メイバランスArgMiniカップ | アルギニン・亜鉛・ビタミンC配合 | ドリンクタイプ |
栄養補助食品を継続するための3つのポイント
栄養補助食品は飲んですぐ効果が出るものではなく、毎日継続して摂取することで初めて結果につながります。
しかし、味に飽きてしまったり、量が負担に感じたりして続かないケースが少なくありません。
継続のコツは、まず「飲みやすい味と形態の製品を選ぶ」です。フレーバーの種類が豊富な製品を選べば味の変化をつけやすくなります。
次に「摂取するタイミングを固定すること」も大切で、食事と食事の間のおやつの時間に組み込むと習慣化しやすいです。そして「担当医や管理栄養士に定期的に相談すること」で、状態の変化に応じた製品の見直しが可能になります。
自宅でできる褥瘡の栄養管理――介護者が押さえておきたい食事づくりの基本
訪問診療で栄養管理の方針が示されても、実際に毎日の食事を用意するのは介護者であるご家族です。
限られた時間と労力の中で、褥瘡に適した栄養バランスの食事をどう作るか。ここでは無理なく実践できる具体的な方法をお伝えします。
「たんぱくリッチ」を意識した献立づくり
褥瘡のある方の食事で最も意識したいのは、毎食タンパク質を含むおかずを入れることです。
朝食に卵、昼食に魚、夕食に肉というように、3食それぞれにタンパク源を配置するだけで、1日の総摂取量は大きく変わります。
主食であるご飯やパンにはタンパク質があまり含まれていないため、主菜(メインのおかず)を確実に用意することを優先してください。副菜に豆腐や納豆を添えれば、さらにタンパク質の上乗せが可能です。
飲み込みが難しい方への調理の工夫
嚥下機能が低下している方の場合、食材を細かく刻む、とろみをつける、ムース状にするなどの調理の工夫が必要です。
とろみ剤を使えば味を変えずに飲み込みやすい形態にでき、市販のとろみ調整食品はドラッグストアでも入手できます。
タンパク質を含む食材のうち、卵は加熱すると柔らかくまとまりやすいため嚥下食に向いています。
茶碗蒸しや卵とじは、高タンパクで飲み込みやすい料理の代表格です。魚はほぐして出汁と合わせ、片栗粉でとろみをつけると安全に食べやすくなります。
水分と食物繊維の管理も忘れない
褥瘡のある方は便秘になりやすく、便秘は腹部の圧迫感による食欲低下を招きます。適切な水分摂取と食物繊維の補給で排便リズムを整える工夫も、間接的に栄養状態の改善に貢献します。
ただし、先述のとおり食物繊維(特にフィチン酸を含むもの)は亜鉛の吸収を妨げる面があるため、食物繊維の摂取と亜鉛の摂取は時間をずらすのが理想的です。
朝食で野菜や果物から食物繊維を摂り、昼食や夕食で亜鉛を多く含む食材を重点的に摂るなど、1日の中でメリハリをつけてみてください。
- 卵料理(茶碗蒸し、卵焼き、温泉卵)
- ひき肉を使った肉料理(鶏つくね、ミートソース)
- 魚のあんかけ・煮魚
- 豆腐のあんかけや白和え
- ヨーグルトやプリンなどの間食
訪問診療で受けられる褥瘡の栄養サポート体制を知っておこう
褥瘡の栄養管理は、介護者だけで抱え込む必要はありません。訪問診療では医師を中心に、管理栄養士や訪問看護師、薬剤師がチームとなって在宅での栄養管理を支援しています。
管理栄養士による在宅での栄養指導の内容
- 血液検査データに基づく個別の栄養計画の作成
- 嚥下機能に合わせた食事形態の提案
- 栄養補助食品の種類・量・タイミングの調整
- 介護者への調理方法のアドバイス
在宅での栄養指導は、管理栄養士が自宅を訪問して行う場合と、訪問診療の医師を通じて間接的に指導を受ける場合があります。
管理栄養士が直接訪問する「在宅患者訪問栄養食事指導」は、主治医からの指示に基づいて実施され、患者さんの生活環境や嗜好を踏まえた具体的な栄養プランを立ててもらえます。
冷蔵庫の中身を一緒に確認しながら献立を考えてくれることもあり、机上の栄養指導とは異なる実践的なサポートが受けられる点が特長です。
訪問看護師と薬剤師が果たす栄養面でのサポート
訪問看護師は褥瘡の処置を行いながら、食事摂取量や体重の変化を定期的にモニタリングします。
「最近食事が進んでいない」「体重が減ってきている」といった変化をいち早く察知し、主治医に報告して迅速な対応につなげます。
薬剤師は服薬指導の際に、薬と食事・サプリメントの飲み合わせに注意が必要なケースをチェックしています。
たとえば、亜鉛製剤と一部の抗生物質は同時に服用すると吸収が低下する場合があるため、服用のタイミングを調整する助言を行います。
多職種連携で褥瘡の治癒をチームで後押しする
褥瘡治療は1人の専門職だけでは完結せず、多職種が情報を共有しながら連携して取り組むことで効果が高まります。
訪問診療の主治医が治療方針を決め、訪問看護師が日々の状態を観察し、管理栄養士が栄養計画を立て、薬剤師が薬の管理をサポートする。この連携の中で、介護するご家族の負担を軽減しながら治癒を目指す体制が整います。
褥瘡に悩んでいる方やそのご家族は、遠慮なく訪問診療チームに相談してみてください。栄養に関する小さな疑問でも、専門職に聞くことで思わぬ改善のきっかけが見つかる場合があります。


よくある質問
- 褥瘡の栄養管理で亜鉛を摂りすぎた場合、体に悪い影響はあるのか?
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亜鉛は必要な栄養素ですが、過剰摂取には注意が必要です。1日40mgを超える量を長期間摂り続けると、銅の吸収が妨げられて銅欠乏性の貧血を引き起こす可能性があります。
また、吐き気や腹痛といった消化器症状が出ることもあります。サプリメントで補う場合は自己判断で量を増やさず、主治医や管理栄養士に相談して適切な摂取量を守ることが大切です。
- 褥瘡の栄養補助食品はどのタイミングで飲むのが効果的か?
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栄養補助食品は食事と食事の間、つまり間食の時間帯に摂るのがおすすめです。食事の直前や直後に飲むと満腹感で主食の摂取量が減ってしまい、結果的に総カロリーが変わらない場合があります。
午前10時や午後3時のおやつの時間に飲む習慣をつけると、1日のエネルギーとタンパク質の総摂取量を無理なく増やせます。冷やすと飲みやすくなる製品も多いため、お好みの温度で試してみてください。
- 褥瘡の栄養管理を始めてからどのくらいで効果を実感できるのか?
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栄養管理の効果が褥瘡の治癒に反映されるまでには、一般的に2〜4週間程度かかります。
栄養状態の改善は血液検査の数値(アルブミン値など)に先に表れるケースが多く、その後に創面の変化として目に見える形で現れます。
ただし、褥瘡の深さやサイズ、全身状態によって個人差は大きいため、短期間で劇的な変化がなくても栄養管理を継続することが回復への近道です。定期的な訪問診療での経過観察を続けていきましょう。
- タンパク質の摂取量を増やすと腎臓に負担がかかる場合はどう対応すればよいか?
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腎機能が低下している方にとって、タンパク質の過剰摂取は腎臓への負担を増大させる恐れがあります。
慢性腎臓病(CKD)を合併している場合は、褥瘡治療で求められるタンパク質量と腎臓を守るための制限量のバランスをとる必要があります。
このような場合は必ず主治医と管理栄養士が連携して、腎機能の数値を見ながら個別に摂取量を調整します。アミノ酸バランスの良い良質なタンパク質を選ぶと、少ない量でも効率的に体に活用してもらえる工夫が可能です。
- 褥瘡予防の段階から亜鉛やタンパク質を意識して摂取すべきか?
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褥瘡は発生してから対処するよりも、予防の段階から栄養管理に取り組むほうがはるかに効率的です。
寝たきりの状態や長時間の車椅子使用など褥瘡のリスクが高い方は、普段から亜鉛やタンパク質を意識的に摂取しておくと、皮膚の抵抗力を維持できます。
低栄養の状態で褥瘡が発生すると治療に長い期間を要するため、予防的な栄養管理は結果的に患者さんとご家族双方の負担を軽減します。
訪問診療を受けている方は、褥瘡がない段階でも栄養状態を定期的にチェックしてもらうとよいでしょう。
今回の内容が皆様のお役に立ちますように。
