施設入居時等医学総合管理料(施医総管)とは?在医総管との違いと算定要件

施設入居時等医学総合管理料(施医総管)とは?在医総管との違いと算定要件

施設入居時等医学総合管理料(施医総管)とは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの施設に入居している患者さんに対して、医師が計画的に訪問診療を行い、総合的な医学管理を実施した場合に算定する診療報酬です。

似た名称の在宅時医学総合管理料(在医総管)と混同しやすいものの、対象となる患者さんの生活の場が「自宅か施設か」で明確に区分されています。

この記事では施医総管の算定要件や在医総管との違いを、在宅診療の現場経験をもとにわかりやすく解説します。

目次

施設入居時等医学総合管理料(施医総管)は施設入居者への訪問診療を評価する制度

施医総管は、施設で暮らす患者さんのもとへ医師が定期的に訪問し、総合的な医学管理を行った場合に月1回算定できる診療報酬です。診療報酬上の区分番号はC002-2で、在宅医療の「医学管理料」に分類されます。

施医総管は診療報酬コードC002-2に該当する

施設入居時等医学総合管理料は、診療報酬点数表のC002-2に収載されています。在宅時医学総合管理料(C002)と対になる形で設けられた制度で、どちらも在宅療養計画に基づく計画的な訪問診療と医学管理を評価するものです。

「施設入居時等」という長い名称のため、医療現場では「施医総管」や「施設総管」と略されることが多いでしょう。介護報酬側の「居宅療養管理指導」とは別の制度ですので、混同しないよう注意が必要です。

施設で暮らす高齢者のもとへ医師が定期的に訪問する

施医総管を算定する前提として、医師が施設へ足を運び、計画的に訪問診療を実施していなければなりません。単発の往診だけでは算定できず、在宅療養計画を立てたうえで継続的な診療を行う必要があります。

在宅医療における診療報酬は「訪問して診察した行為への評価(訪問料)」と「総合的な医学管理への評価(管理料)」に分かれています。施医総管はこの後者にあたり、訪問診療料とセットで算定する仕組みです。

施医総管の概要

項目内容
区分番号C002-2
算定回数月1回
対象患者施設入居者等で通院困難な者
届出先地方厚生局
算定可能な医療機関診療所・在支病・200床未満の病院

算定できる医療機関は診療所と200床未満の病院に限られる

施医総管を届け出ることができるのは、診療所、在宅療養支援病院(在支病)、および許可病床数が200床未満の病院(在支病を除く)です。200床以上の大規模病院は対象外となります。

また、ケアマネジャーや社会福祉士など、保健医療・福祉サービスとの連携調整を担う職員を配置していること、在宅医療を担当する常勤医師が在籍していることも施設基準として求められます。

月1回の算定で包括的な医学管理が評価される

施医総管の点数は月1回に限り算定します。訪問回数が月2回以上か月1回か、また単一建物診療患者さんの人数が何人かによって点数が細かく区分されています。

「単一建物診療患者」とは、同じ建物の中で施医総管や在医総管を算定している患者さんの合計人数を指します。施設では複数の入居者をまとめて診ることが多いため、この人数区分が算定額に大きく影響するのです。

施医総管の対象になる施設はどれ? 有料老人ホームからグループホームまで

施医総管を算定できるのは、特定の種類の施設に入居している患者さんに限られます。すべての高齢者施設が対象になるわけではないため、どの施設が該当するのかを正確に把握しておきましょう。

有料老人ホームとサ高住は施医総管の代表的な対象施設

有料老人ホーム(介護付き・住宅型・健康型)およびサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居している患者さんは、施医総管の対象になります。どちらも近年増加が著しい施設類型で、訪問診療の依頼件数も多い傾向にあります。

住宅型有料老人ホームやサ高住では外部の在宅医療サービスを利用する入居者が多く、施医総管の算定機会が特に多い施設といえるでしょう。

特別養護老人ホーム(特養)でも施医総管を算定できる

特別養護老人ホームに入所している患者さんも施医総管の対象です。

ただし特養には配置医師がいるため、配置医師以外の医師が訪問診療を行う場合や、末期の悪性腫瘍など特定の状態にある患者さんへの算定に限定されるケースがあります。

給付調整告示との関係で算定の可否が変わるため、特養における施医総管の運用は事前に各地方厚生局の取り扱いを確認しておくと安心です。

認知症対応型グループホームの入居者も対象に含まれる

認知症対応型共同生活介護事業所、いわゆるグループホームの入居者にも施医総管は算定できます。グループホームは1ユニット5〜9人の少人数制で共同生活を送る施設で、認知症の高齢者が多く暮らしています。

入居者の認知機能の低下に伴い、通院が難しくなるケースは少なくありません。そのような場面で施医総管を活用した定期的な訪問診療が力を発揮します。

短期入所生活介護(ショートステイ)利用者も忘れずに

意外と見落とされがちですが、短期入所生活介護や介護予防短期入所生活介護のサービスを受けている方も施医総管の対象に含まれます。

ショートステイの利用中に継続的な医学管理が必要になった場合に備え、算定要件を把握しておきましょう。

ただし短期間の利用となるため、計画的な訪問診療と在宅療養計画の作成という算定要件を満たせるかどうかは個別に判断が必要です。

施医総管の対象施設一覧

施設種別根拠法等
養護老人ホーム老人福祉法
軽費老人ホーム(A型)老人福祉法
特別養護老人ホーム老人福祉法
有料老人ホーム老人福祉法
サービス付き高齢者向け住宅高齢者住まい法
認知症対応型共同生活介護事業所介護保険法
短期入所生活介護事業所介護保険法

在医総管と施医総管を比較すると「対象患者の居場所」が決定的に違う

在宅時医学総合管理料(在医総管)と施設入居時等医学総合管理料(施医総管)は制度の骨格が似ていますが、対象となる患者さんがどこで生活しているかという一点で明確に区分されます。両者を併算定することもできません。

在医総管は自宅で療養する患者さんだけが対象

在医総管(C002)は、自宅で療養生活を送っている通院困難な患者さんに対して、計画的な訪問診療と総合的な医学管理を行った場合に算定します。この場合の「自宅」には、施医総管の対象施設以外の住まいが該当します。

たとえば一戸建てやマンションなど一般的な住居で暮らしている方は在医総管の対象です。施設入居者以外のすべての在宅患者さんが在医総管のカバー範囲といえます。

施医総管は施設に入居している患者さんだけが対象

一方、施医総管(C002-2)は前述のとおり有料老人ホームやサ高住、グループホームなどの施設に入居している通院困難な患者さんを対象とします。自宅で療養している患者さんには算定できません。

施設は1か所に多くの入居者が生活しているため、1回の訪問で複数の患者さんを診察できるという特徴があります。この点が点数区分にも反映されています。

在医総管と施医総管の主な違い

比較項目在医総管(C002)施医総管(C002-2)
対象患者自宅で療養する者施設入居者等
算定回数月1回月1回
点数の傾向やや高め在医総管より低め
併算定同一患者への併算定は不可

点数と単一建物診療患者の数え方は両者で異なる

在医総管も施医総管も、訪問回数や単一建物診療患者の人数に応じて点数が決まる構造は共通しています。しかし施医総管のほうが全体的に点数は低く設定されています。施設では効率的に複数患者を診療できるためです。

たとえば在支診(病床あり)が月2回以上訪問し、単一建物診療患者が1人の場合、在医総管は4,585点であるのに対し、施医総管は3,185点となっています(令和6年度改定後)。

在医総管と施医総管は同時に算定できない

同一の患者さんに対して在医総管と施医総管を同月に算定することはできません。診療報酬上の通則でも「在宅時医学総合管理料を算定している患者については施設入居時等医学総合管理料は算定しない」と明記されています。

患者さんが月の途中で自宅から施設へ移った場合など、判断に迷う場面もあるかもしれません。そのようなケースでは月末時点の生活場所を基準にして算定するのが原則です。

施医総管の算定要件で押さえるべき条件をすべてまとめた

施医総管を正しく算定するには、患者要件・計画要件・訪問要件の3つの柱を満たさなければなりません。どれか1つでも欠けると算定が認められないため、漏れなく確認してください。

通院困難な施設入居者であることが前提になる

施医総管を算定できるのは、施設に入居していてかつ「通院が困難」な患者さんです。独歩で家族や介助者の助けを借りずに通院できる方は対象外とされています。

通院困難の判断は画一的な基準があるわけではなく、患者さんの身体状態や認知機能、移動手段の有無などを総合的に判断します。

ただし、安易な算定を防ぐため、通院可能な方への算定は審査で返戻されるリスクが高いことを認識しておきましょう。

患者さんの同意を得て在宅療養計画を作成する

施医総管の算定にあたっては、個々の患者さんごとに在宅療養計画を作成し、患者さん本人(または家族)から同意を得ることが求められます。計画には診療方針や訪問頻度、急変時の対応方法などを記載します。

作成した計画書は患者さん側へ交付するとともに、カルテにもその写しを保管しておく必要があります。計画書がないまま算定していると、指導監査で指摘されるおそれがあるため注意してください。

訪問回数と単一建物診療患者数で点数が決まる

施医総管の点数を決定する要素は大きく2つあります。1つ目は月あたりの訪問診療回数(月2回以上か月1回か)、2つ目は単一建物診療患者の人数です。

令和6年度改定後は、単一建物診療患者の区分が「1人」「2〜9人」「10〜19人」「20〜49人」「50人以上」の5段階に細分化されました。人数が多いほど1人あたりの点数は低くなる傾向があります。

  • 月2回以上の訪問診療を行った場合
  • 月1回の訪問診療を行った場合
  • 月2回以上のうち1回以上がオンライン診療の場合
  • 月1回の訪問+隔月でオンライン診療の場合

令和6年度の診療報酬改定で施医総管はどう変わった?

令和6年(2024年)の改定では、施医総管の点数区分がさらに細かくなり、頻回訪問に対する減算規定も新たに設けられました。改定内容を正しく理解して、日々の算定に反映させることが求められます。

単一建物診療患者の区分が細分化された

従来は「1人」「2〜9人」「10人以上」の3区分だった単一建物診療患者数が、令和6年度改定で5段階に増えました。

「10〜19人」「20〜49人」「50人以上」という中間区分が新設され、大規模施設での訪問診療の実態をより正確に反映する形になっています。

施設の規模が大きいほど1人あたりの点数は抑えられる方向に改定が進んでおり、効率的な訪問と丁寧な個別管理のバランスが一層問われるようになりました。

頻回訪問に該当する場合の60/100減算に注意

直近3か月の訪問診療回数が2,100回を超える医療機関に対しては、施医総管の点数を60/100に減算する規定が新設されました。大量の訪問診療を行う、いわゆる「施設特化型」の在宅クリニックに対する適正化措置です。

ただし一定の要件を満たす医療機関は減算の対象外となります。具体的には、年間の看取り実績が20件以上あること、施医総管の算定患者割合が7割以下であること、要介護3以上の患者割合が5割以上であることなどが条件です。

令和6年度改定による主な変更点

変更内容改定前改定後
人数区分3段階5段階
減算規定なし2,100回超で60/100
点数水準旧点数若干の引き下げあり

情報通信機器を用いた診療の組み合わせも評価対象に

月2回以上の訪問診療のうち1回以上を情報通信機器(いわゆるオンライン診療)で実施した場合にも、施医総管を算定できる点数区分が設けられています。

対面診療とオンライン診療を組み合わせることで、患者さんの負担を軽減しながら継続的な管理を行えるメリットがあります。

さらに、月1回の訪問診療に加えて隔月でオンライン診療を行う場合の点数区分も用意されています。施設側の受け入れ体制やインターネット環境を整えておくと、柔軟な運用が可能になるでしょう。

施医総管に上乗せできる加算を見落とさないために

施医総管には複数の加算項目が用意されており、医療機関の体制や診療実績に応じて追加の点数を算定できます。加算の取り漏れは医療機関の経営に直結するため、該当する加算がないか定期的に確認しましょう。

在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で手厚い緩和ケアを評価する

在宅での緩和ケアに実績のある医療機関が算定できる加算です。単一建物診療患者が1人の場合は300点、2〜9人の場合は150点が上乗せされます。令和6年度改定では10人以上の区分も新たに設定されました。

この加算を算定するには、在宅緩和ケア充実診療所・病院として地方厚生局へ届け出ている必要があります。がん患者さんの在宅療養を積極的に支える体制がある医療機関が対象です。

在宅療養実績加算は看取りや重症児への対応実績に応じて上乗せされる

在宅療養実績加算は1と2の2段階があり、年間の看取り件数や重症児への診療実績などに応じて算定します。実績加算1の場合、単一建物診療患者が1人なら225点の上乗せとなります。

地域で在宅医療の中核を担い、夜間・休日も含めた対応体制を構築している医療機関にとって、この加算は重要な収入源の1つといえます。

在宅データ提出加算と在宅医療情報連携加算も活用したい

在宅データ提出加算は、診療データを継続的に厚生労働省へ提出している医療機関に対して50点が加算される制度です。データ提出の実務負担はあるものの、毎月の加算額を考えれば積極的に取り組む価値があります。

在宅医療情報連携加算(100点)は、他の医療機関の関係職種がICTを使って患者さんの情報を記録・共有し、それを活用して医師が医学管理を行った場合に算定できます。多職種連携の推進を後押しする加算として注目されています。

主な加算の点数一覧(単一建物診療患者1人の場合)

加算名点数
在宅緩和ケア充実診療所・病院加算300点
在宅療養実績加算1225点
在宅療養実績加算2150点
在宅データ提出加算50点
在宅医療情報連携加算100点

施医総管の届出から算定までの流れを医療機関の視点で押さえる

施医総管は届出制の診療報酬であり、事前に地方厚生局への届出が受理されなければ算定を開始できません。届出から算定開始まで、やるべきことを順番に見ていきます。

地方厚生局への届出に必要な書類を揃える

施医総管の届出には、施設基準の適合を証明するための書類一式が必要です。常勤医師の勤務表や連携担当者(ケアマネジャー・社会福祉士等)の配置状況を示す資料を準備しましょう。

在宅療養支援診療所や在支病の届出をまだ行っていない医療機関でも、一般の診療所として施医総管を届け出ることは可能です。ただしその場合、算定できる点数区分は限定されます。

  • 施設基準に係る届出書
  • 常勤医師の勤務実績表
  • 連携調整担当者の配置を示す書類
  • 緊急時の連絡体制に関する資料

ケアマネジャーや多職種との連携体制を整える

施医総管の施設基準では、ケアマネジャーや社会福祉士など保健医療・福祉サービスとの連携調整を担う者の配置が求められています。

配置するだけでなく、実際に施設の介護スタッフやケアマネジャーと日常的に情報交換できる体制を構築することが大切です。

訪問診療の結果や治療方針の変更は、その都度施設側と共有しましょう。情報共有を怠ると患者さんの急変時に適切な対応が遅れるリスクが生じます。

算定漏れを防ぐための日常業務チェック体制を作る

施医総管は月1回の算定ですが、訪問回数のカウントや単一建物診療患者数の確認など、毎月の作業が発生します。事務スタッフと医師が連携し、訪問実績の記録とレセプト入力を照合するフローを定着させましょう。

特に単一建物診療患者の人数は月ごとに変動する可能性があるため、訪問のたびに正確な人数を把握しておくことが請求時のミスを防ぐ決め手になります。在宅療養計画書の更新時期も管理表などで一元化しておくと安心です。

よくある質問

施設入居時等医学総合管理料(施医総管)を算定できる医療機関の条件は何ですか?

施医総管を届け出ることができるのは、診療所、在宅療養支援病院、および許可病床数が200床未満の病院です。200床以上の大規模病院は算定の対象外になります。

加えて、在宅医療を担当する常勤医師が在籍し、ケアマネジャーや社会福祉士など多職種との連携調整を担う職員を配置していることが施設基準として必要です。

施医総管と在医総管を同じ患者に対して同月に算定することはできますか?

同一の患者さんに対して施医総管と在医総管を同じ月に算定することはできません。診療報酬の通則により、在医総管を算定している患者さんには施医総管は算定しないと定められています。

患者さんが月の途中で自宅から施設へ転居した場合でも、月末時点での生活場所をもとにどちらか一方のみを算定する形になります。

施医総管の単一建物診療患者数はどのように数えればよいですか?

単一建物診療患者数とは、同じ建物に住む患者さんのうち、その月に施医総管または在医総管を算定する患者さんの合計人数を指します。自院だけでなく特別な関係にある医療機関の患者数も合算する必要があります。

令和6年度の改定で「1人」「2〜9人」「10〜19人」「20〜49人」「50人以上」の5段階に区分が細分化されました。訪問のたびに正確な人数を確認し、月末時点で点数区分を確定させてください。

施医総管はオンライン診療と組み合わせて算定することができますか?

月2回以上の診療のうち1回以上を情報通信機器(オンライン診療)で実施した場合の点数区分が設けられており、対面とオンラインの組み合わせでも施医総管を算定できます。

また、月1回の対面訪問に加え、隔月でオンライン診療を行う場合の点数区分も用意されています。施設のインターネット環境やタブレット端末の整備状況を事前に確認しておくとスムーズに運用できるでしょう。

施医総管の算定にあたって在宅療養計画書は必ず作成しなければなりませんか?

施医総管を算定する場合は個々の患者さんごとに在宅療養計画書を作成し、患者さん本人または家族の同意を得たうえで交付することが求められます。計画書なしに算定すると、指導監査で指摘を受ける対象となります。

計画書には訪問診療の頻度や診療方針、急変時の連絡先・対応方法などを具体的に記載してください。作成した計画書の写しはカルテにも保管しておく必要があります。

訪問診療の訪問エリアと頻度に戻る

訪問診療の基礎知識TOP

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

目次