在宅看取りの流れ|最期の数日間に起きることと家族がやるべきことを時系列で解説

在宅での看取りは、ある日突然に始まるものではありません。多くの場合は数週間前から少しずつ体が弱っていき、数日前、そして当日へと段階を追って進んでいきます。
家族がいちばん迷うのは、呼吸が止まった瞬間にどこへ連絡するのかという一点でしょう。救急車ではなく訪問診療の連絡先へ電話するのが基本で、この手順は医師法の定めとも結びついています。
ただし経過には大きな個人差があり、この記事に並べた順のとおりに進むとはかぎりません。時期ごとに何が起こりやすく、家族に何ができるのかを先につかんでおけば、慌てずにそばにいられます。
在宅看取りの流れは大きく4つの時期に分かれる
在宅看取りの流れは、数週間前・数日前・当日・見送ったあとという4つの区切りでとらえると、全体の見通しが立ちます。時期が変われば体に現れる変化も違い、家族に求められる動きも入れ替わっていくでしょう。
| 時期 | 体に現れやすい変化 | 家族の主な動き |
|---|---|---|
| 数週間前 | 眠っている時間が延び、食事と水分の量が自然に減る | 連絡先の整理、本人の希望の聞き取り、役割分担の相談 |
| 数日前 | 呼びかけへの反応が鈍り、手足が冷たくなる | 夜間と休日の連絡手段の再確認、付き添いの交代 |
| 当日 | 呼吸の間隔が乱れ、下顎を動かす呼吸が現れる | そばで声をかけ、無理な処置や移動を避ける |
| 見送ったあと | 呼吸と心臓の動きが止まる | 訪問診療へ連絡し、医師の到着を待って死亡診断を受ける |
数週間前から見送ったあとまでを一本の線でつかむ
在宅での看取りは、体の力が少しずつ抜けていく数週間の助走から始まり、反応が鈍くなる数日間を経て、呼吸の止まる当日を迎えます。そのあとは医療の時間から、手続きと弔いの時間へと静かに移っていくでしょう。
4つの区切りを一本の線としてつかんでおくと、いま自分たちがどのあたりにいるのかが見え、次に何が起きても驚きにくくなります。訪問診療の医師や看護師も、この区切りを共通の目印にしながら説明を組み立てています。
境目はにじんでいて、はっきりした線を引けるわけではありません。数週間前の状態が長く続く方もいれば、数日前の変化が半日のうちに進む方もいます。
書かれた順番のとおりに進むとはかぎらない
経過の個人差は大きく、教科書に並んだ順番をそのままなぞる方のほうがむしろ少数です。ある変化が飛ばされたり、いったん落ち着いてから再び進んだりする場合も珍しくありません。
ですから、書かれたとおりにならないからといって、看取りがうまくいっていないわけではないのです。順番を追うことより、目の前の変化をその都度、医師や看護師へ伝えられる関係を保つほうが役に立ちます。
一時的に食欲が戻ったり、はっきり話せる時間が訪れたりする場合もあります。長く続くとはかぎりませんが、家族にとってはかけがえのない時間になるでしょう。
家族にできる関わりは「する」から「そばにいる」へ移っていく
時期が進むほど、家族にできる医療的な手当ては少なくなっていきます。代わりに増えるのは、そばにいて声をかけ、口の中を湿らせ、体の向きを少し変えるといった日常の手当てです。
何もしてあげられないというもどかしさを訴える家族は多いのですが、静かに付き添う時間そのものが本人を支えています。介護の量ではなく、慣れた居場所を保つ営みが最後の仕事になります。
訪問看護師は、体をふくときの姿勢から、口の中を潤す道具の使い方まで具体的に教えてくれます。手が足りないと感じたら、その場で率直に伝えるとよいでしょう。
亡くなる数週間前に現れる変化と家族が整えておく備え
数週間前に目立つのは、眠っている時間の延びと、食事や水分の量が自然に減っていく変化です。この時期のうちに連絡先と役割分担を決めておくと、あとの数日がずいぶん動きやすくなります。
眠る時間が延び、食べる量が自然に落ちていく
一日のうち横になっている時間が延び、起きていても会話が途切れがちになります。体が使うエネルギーそのものが減っていくため、食欲の低下は病気の悪化というより、自然な流れの一部だといえます。
無理に食べさせようとすると、むせて肺を傷める心配が出てきます。本人が欲しがるものを、欲しがる量だけ、口を湿らせる程度に差し出すやり方へ切り替えていきましょう。
体重が落ち、腕や足が細くなる見た目の変化も進みます。介護する側にはつらい光景ですが、点滴で栄養を足せば流れが変わるとはかぎらないため、量や中身は主治医と相談しながら決めていきます。
痛みや息苦しさを和らげる手立てはある
痛みや息苦しさが強くなってきたら、我慢させずに主治医へ伝えます。医療用麻薬をはじめとする薬で和らげる手立てがあり、自宅でも病院と同じ考え方に沿って量を調整できます。
医療用麻薬が寿命を縮めるのではないか、という心配はよく耳にするところです。緩和ケアの領域では症状に合わせて少量から増やしていく使い方が広く用いられており、眠気が強すぎるときは量や種類を組み替えます。
痛みの強さは本人にしか分かりません。表情がゆがむ、体をこわばらせる、うめき声がもれるといった様子も手がかりになりますので、気づいた時刻とあわせて書き留めておくと伝わりやすくなります。
連絡先と役割分担を1枚の紙にまとめておく
夜中に何かが起きたとき、慌てて電話帳を探す事態は避けたいところです。訪問診療と訪問看護の連絡先を大きな字で書き出し、電話機のそばと冷蔵庫の扉の両方に貼っておきます。
- 訪問診療の日中と夜間、それぞれの電話番号
- 訪問看護ステーションの24時間つながる窓口
- ケアマネジャーと担当ヘルパー事業所
- 遠方に住む家族の携帯番号と、到着までのおおよその時間
- かかりつけ薬局と、相談先に決めた葬儀社
誰が付き添い、誰が仕事へ出て、誰が遠方から駆けつけるのかも、あらかじめ決めておけば迷いが減るはずです。役割を紙に書き出しておけば、当日に電話をかける人が自然に決まります。
本人の希望をもう一度聞き直す時間をつくる
話せる力が残っているうちに、どこで過ごしたいか、何をしてほしくないかを聞いておきます。厚生労働省が平成30年3月に改訂した人生の最終段階の医療とケアに関するガイドラインも、本人による意思決定を基本に据えています。
一度決めたら変えられないわけではなく、気持ちが揺れるのはむしろ自然です。前と違う希望が出てきたら、その都度、訪問診療の医師や看護師へ伝え直せば足ります。
本人が言葉にできなくなったあとは、家族が「本人ならどう考えるだろうか」を推し量る役目を担います。以前の言葉を思い出す手がかりとして、短いメモや録音を残しておくと支えになるでしょう。
数日前のサインと在宅看取りで家族が確かめること
数日前になると、呼びかけへの反応が鈍り、水分もほとんど口に入らなくなります。この段階からは夜間の連絡手段を確かめ直し、付き添いの体制を組み替える時期に入ります。
呼びかけへの反応が鈍り、うとうとする時間が増える
声をかけてもすぐには返事がなく、目を開けてもまた閉じてしまう状態が続きます。眠っているようでいて、周囲の気配は届いている場面も多く、手を握ると指先がわずかに動く方もいます。
つじつまの合わない話をしたり、いない人の名前を呼んだりする場合もあります。しかられたと感じさせない受け答えを選び、否定せずに話を合わせておくと、本人が落ち着きやすくなります。
飲み込みが難しくなり、薬の形も変わる
錠剤が飲み込めなくなったら、貼り薬や坐薬、口の中で溶ける薬などへ切り替える方法があります。飲めない薬を無理に押し込まず、訪問診療の医師と薬剤師へ早めに相談しておきましょう。
水分もほとんど入らなくなりますが、この時期の脱水は苦痛に直結するとはかぎらないと考えられています。むしろ口の中の乾きのほうがつらいので、スポンジブラシや綿棒で湿らせるケアが役に立ちます。
好きだった飲み物を凍らせ、小さくくだいて舌にのせる工夫を選ぶ家族もいます。飲み込む力が落ちている以上、量は少しずつにとどめ、むせたらすぐにやめる約束にしておきます。
手足が冷たくなり、皮膚の色が変わってくる
心臓から送り出される血液の量が減るため、指先や足先から冷たくなっていきます。皮膚がまだらに紫がかったり、膝のあたりに網目のような模様が浮かんだりするのも、この時期に多い変化です。
湯たんぽや電気毛布で温めたくなりますが、感覚が鈍っているため低温やけどの危険があります。毛布を一枚かける程度にとどめ、手のひらで包んで温めるほうが安全です。
夜間と休日の連絡手段をもう一度確かめる
ここから先は、夜間や休日に容態が変わる場面を想定しておく必要があります。訪問診療の夜間窓口が診療所に直接つながるのか、それとも当番の医師や代行の電話番号に転送されるのかを確かめておきます。
訪問看護ステーションに24時間の連絡体制を頼んでいるかどうかも、この時期に整理しておきたい点です。電話をかけてよい時間帯を家族が勝手に決めてしまうと、必要な連絡が遅れかねません。
| 数日前に見られる変化 | 家庭での受け止め方 | 連絡したほうがよい目安 |
|---|---|---|
| 呼びかけへの反応が鈍い | 否定せずに話を合わせ、静かな環境を保つ | 急に興奮して転倒の危険があるとき |
| 薬を飲み込めない | 無理に押し込まず、いったん中止して相談する | 痛み止めが飲めなくなったとき |
| 水分が入らない | 口の中を湿らせるケアに切り替える | むせ込みが続いて息苦しそうなとき |
| 手足が冷たく色が変わる | 毛布を軽くかけ、手のひらで包んで温める | 短時間で顔色まで変わってきたとき |
息を引き取る当日の流れと家族の過ごし方
当日にできるのは、処置を増やす方向の関わりではありません。呼吸の形が変わり、間隔が不規則になっていくなかで、そばに座って声をかけ、静かな環境を保つ関わりが中心になります。
| 当日に現れる様子 | 体の中で起きていること | 家族にできる関わり |
|---|---|---|
| 呼吸が深くなったり浅くなったりする | 呼吸を調節する働きが弱まっている | 上半身を少し起こし、部屋の空気を入れ替える |
| あごを動かして息を吸う | 通常の呼吸の筋肉が働きにくくなっている | 体位をととのえ、そばで手を握って声をかける |
| のどの奥でゴロゴロと音が鳴る | 唾液や分泌物を飲み込めず、のどに残っている | 顔を横に向け、吸引を繰り返さずに看護師へ相談する |
| 尿がほとんど出なくなる | 腎臓へ流れる血液の量が減っている | おむつの交換を最小限にし、体の動かしすぎを避ける |
呼吸の間隔が不規則になり、下顎を動かす呼吸が現れる
深い呼吸と浅い呼吸が交互に現れ、十数秒ほど息が止まってはまた始まる形になる場合があります。さらに進むと、あごを上下に動かして息を吸うような呼吸が見られ、これは下顎呼吸と呼ばれています。
下顎呼吸が現れてからの時間には幅がありますが、多くは残された時間が短くなってきた合図と受け止められています。遠方の家族へ連絡するなら、この段階が一つの区切りになるでしょう。
のどの奥で音が鳴っても、本人が苦しいとはかぎらない
のどにたまった分泌物が空気で震えて音が出る状態は、死前喘鳴と呼ばれています。聞いている家族にはとてもつらく響きますが、本人が同じだけ苦しさを感じているとはかぎりません。
吸引の器械を何度も入れると、粘膜を傷つけて出血したり、かえって分泌物が増えたりします。顔を横に向けて自然に流れる姿勢をつくり、必要かどうかは訪問看護師の判断にゆだねましょう。
耳は最後まで働くと考えて、いつもの声で話しかける
意識がはっきりしなくなっても、聴覚は比較的あとまで保たれると考えられています。返事がないからと枕元で深刻な相談を始めるより、いつもどおりの声で名前を呼ぶほうが本人には届きます。
伝えたい言葉があるなら、飾らずに短く伝えれば十分です。孫の声を聞かせたり、好きだった音楽を小さくかけたりする過ごし方を選ぶご家庭も少なくありません。
泣いてはいけない、と気を張る必要もありません。取り繕った空気より、家族がふだんどおりに過ごす空気のほうが、本人にとっては安心できる時間になります。
付き添いは交代し、家族も休んでおく
いつ息を引き取るかは誰にも読めないため、家族全員が眠らずに張りつく体制は長続きしません。交代で仮眠をとり、食事をきちんと済ませておくほうが、結果として最後まで付き添えます。
ふと目を離した数分の間に旅立つ場面は、実際によく起こります。看取れなかったと自分を責める家族は多いのですが、そばにいた時間の積み重ねまで消えるわけではありません。
呼吸が止まったら家族がまずかける電話と、救急車を呼ばない理由
呼吸と脈が止まったと感じたら、最初にかける先は119番ではなく訪問診療の連絡先です。在宅での看取りと決めている場合、主治医が駆けつけて死亡を確認し、死亡診断書を交付する流れになります。
最初の電話は訪問診療か訪問看護の窓口へ
夜間であっても、あらかじめ渡されている番号へそのままかけて差し支えありません。多くの診療所は看取りの時期に入った時点で連絡の手順を家族へ説明しており、電話を待っている側でもあります。
訪問看護ステーションが先に到着し、体をととのえながら医師の到着を待つ形もよくあります。どちらへ先にかけるかは診療所ごとに決めているので、事前に確かめておくと迷いません。
深夜だから朝まで待とうと考える必要はありません。連絡が遅れると、そのぶん死亡を確認する時刻の判断が難しくなり、家族の側にも待つ時間が増えてしまいます。
119番通報が別の手続きにつながってしまう理由
救急車を要請すれば、救急隊は救命を目的として駆けつけ、心肺蘇生や搬送の準備を始めます。自宅で穏やかに見送ると決めていた場面では、その動きが本人と家族の希望からずれてしまいます。
主治医が死亡を確認する流れから外れると、死体の検案という別の手続きに入る場合もあります。医師法第21条は、検案して異状があると認めたときは24時間以内に所轄警察署へ届け出るよう定めています。
もちろん、家族が動転して119番へかけてしまっても責められるものではありません。その場合でも、かかりつけの訪問診療へ続けて連絡し、状況を伝えるほうが話は早く整理されます。
医師が着くまでは体をそのままにしておく
着替えさせたり、体を動かして整えたりする作業は、医師の確認を終えてからで間に合います。まだ温かいうちに何かしてあげたい気持ちは自然ですが、まずは静かに待つ時間としてください。
点滴の針や医療機器も、そのままにしておいて差し支えありません。医師や看護師が到着したあと、体をふき、身支度をととのえる流れへ一緒に進んでいきます。
電話で伝えると話が早く進む内容
動転していると、名前と用件だけで言葉が続かなくなるものです。次の内容をメモに書いて電話機のそばへ置いておけば、読み上げるだけで用件が伝わります。
- 本人の氏名と、いま電話をかけている人の続柄
- 呼吸が止まったと気づいた、およその時刻
- 最後に見たときの様子と、そのときの時刻
- いま自宅にいる家族の人数と、玄関の鍵の状態
気づいた時刻は、あとで死亡診断書に書かれる時刻を判断する材料になります。正確な時計の時刻でなくてかまわないので、覚えているままを伝えれば足ります。
死亡診断までの流れと医師法が定めている決まり
自宅で亡くなった場合でも、診療を続けてきた医師が死亡を確認できれば死亡診断書が交付されます。24時間以内に診察を受けていなかったからといって、警察を呼ばなければならないわけではありません。
医師法第20条のただし書が認めている範囲
医師法第20条は「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方箋を交付し」てはならないと定めたうえで、ただし書を置いています。診療中の患者さんが受診後24時間以内に死亡した場合の死亡診断書は、この限りでないという内容です。
つまり、前日に診察を受けていた方が翌朝に亡くなったようなときは、改めて診察をしなくても死亡診断書を交付できます。訪問診療で定期的に診てもらっている場合、この形に当てはまる場面が少なくありません。
24時間を超えていても死亡診断書を受け取れる
厚生労働省は平成24年8月31日付の通知「医師法第20条ただし書の適切な運用について」で、この点を明確にしています。医師が死亡の際に立ち会っておらず、生前の診察後24時間を経過した場合の扱いを示した通知です。
同じ通知は、死亡後に改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関連する死亡だと判定できる場合には死亡診断書を交付できる、と述べています。24時間を過ぎたら一律に警察へ、という理解は誤りだと分かります。
在宅での看取りを支える土台になっている通知なので、家族の側も要点だけ知っておくと安心につながります。不安が残るなら、看取りの時期に入った段階で主治医へ直接尋ねておくのが早道です。
死亡診断書と死体検案書はどこで分かれるのか
先ほどの通知は、生前に診療していた傷病に関連する死亡だと判定できない場合には死体の検案を行うことになる、とも記しています。そのうえで、死体に異状があると認められる場合には警察署へ届け出なければならないと続きます。
| 区分 | 医師が交付する場面 | 根拠となる定め |
|---|---|---|
| 死亡診断書 | 診療していた傷病に関連する死亡だと医師が判定できたとき | 医師法第20条ただし書と、平成24年8月31日付の厚生労働省通知 |
| 死体検案書 | 生前に診療していた傷病との関連を判定できないとき | 同通知(改めて診察したうえで検案へ移る) |
| 警察署への届出 | 検案して死体に異状があると医師が認めたとき | 医師法第21条(24時間以内に所轄警察署へ届け出る) |
訪問診療を受けながら在宅で最期を迎えた方の多くは、一つ目の区分に収まります。長く診てきた医師が経過を把握しているからこそ、関連する死亡だと判定できるわけです。
医師が到着してから行う確認
到着した医師は、呼吸と心臓の停止、そして瞳孔の反応を確かめ、死亡を確認した時刻を告げます。テレビドラマのように慌ただしい場面ではなく、多くは10分ほどの静かな時間です。
そのあと死亡診断書が書かれ、家族へ手渡されます。書類の受け取りが終われば、体をきれいにととのえる時間へ移り、家族も一緒に手を添えられます。
見送ったあとに家族が進める手続きと気持ちの整理
死亡診断書を受け取ったら、死亡届の提出という次の流れへ進みます。期限や届出先は戸籍法で定められており、葬儀社が代行してくれる場面も少なくありません。
死亡診断書を受け取り、死亡届を出すまで
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出すると戸籍法第86条が定めています。届書には診断書または検案書を添えるとも書かれているため、死亡診断書は大切に扱ってください。
| 手続き | 定められている内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 死亡届の期限 | 死亡の事実を知った日から7日以内に提出する | 戸籍法第86条 |
| 届出をする人 | 同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋や土地の管理人など | 戸籍法第87条 |
| 届出をする場所 | 本人の本籍地または届出人の所在地に加え、死亡した土地でも提出できる | 戸籍法第25条・第88条 |
死亡診断書は年金や保険の手続きでも求められるため、提出前にコピーを数枚とっておくと後々あわてません。原本は死亡届と一体の用紙になっており、市区町村へ出したあとは戻ってこないためです。
葬儀社への連絡と自宅での安置
医師の確認が終わったあとで葬儀社へ連絡すれば、寝台車の手配や安置の準備が動き始めます。深夜でも受け付けている社が多く、事前に相談先を決めていれば電話一本で進みます。
火葬は死亡から24時間を経過したあとでなければ行えないと、墓地、埋葬等に関する法律第3条が定めています。自宅か安置施設で一晩を過ごす前提になるため、部屋の温度や布団の準備を早めに相談しておきます。
医療機器や介護用品、残った薬の返却
介護ベッドや車いす、酸素の器械などは、レンタル元や事業者へ返す段取りが必要です。訪問診療とケアマネジャーへ連絡すれば、引き取りの日程をまとめて調整してもらえます。
残った薬、とりわけ医療用麻薬は、自己判断で捨てずに薬局や診療所へ返します。返却の方法は取り扱う薬によって違うため、渡された薬袋ごと持参するのが確実です。
片づけを急がなければと焦る家族もいますが、数日おいてからで差し支えありません。部屋の様子をしばらく残しておきたいと望むなら、その気持ちを事業者へ伝えて時期をずらしてもらえます。
振り返りの時間を家族で持つ
看取りを終えた家族が、あれでよかったのだろうかと問い直す時期は必ず訪れます。訪問診療や訪問看護では、後日あらためて訪問し、経過を一緒に振り返る場を設けている事業所もあります。
- 最期の数日に何が起きていたのかを、医療者から説明してもらう
- 迷った判断について、当時の状況を一緒に確かめ直す
- 眠れない、食べられないといった自分の不調を率直に話す
悲しみの現れ方は人それぞれで、期限を区切れるものでもありません。家族の中で反応が違っても、どちらが正しいという話ではないと知っておくだけで、互いに責めずにすみます。
よくある質問
- 在宅看取りで呼吸が止まったとき、救急車を呼んではいけないのですか?
-
禁じられているわけではありませんが、自宅で見送ると決めているなら、最初の連絡先は訪問診療の窓口が基本です。救急隊は救命を目的に動くため、望んでいなかった蘇生や搬送につながる場合があります。
すでに119番へかけてしまったときも、続けて主治医へ連絡し、在宅で看取る方針だと伝えてください。落ち着いて状況を説明できれば、そこから通常の流れへ戻せます。
- 在宅看取りの最期の数日間、点滴は続けたほうがよいのでしょうか?
-
一律の答えはなく、その方の状態によって判断が変わります。体が水分を処理しきれなくなっている段階では、点滴の量が多いとむくみや痰の増加につながる場合があると考えられています。
やめるか続けるかの二択で考えず、量を絞る、皮下から少量入れるといった調整の幅もあります。何を目的に行うのかを主治医と話し合ったうえで決めていきましょう。
- 在宅看取りで、家族が席を外している間に亡くなった場合はどうなりますか?
-
気づいた時点で訪問診療へ連絡すれば、これまでと同じ流れで死亡確認と死亡診断書の交付へ進みます。最後に様子を見た時刻を覚えているかぎりで伝えれば、医師が判断の材料にします。
看取れなかったと自分を責める家族は多いのですが、そばで過ごしてきた日々の重みが減るわけではありません。悔いが残るなら、その気持ちも訪問診療の医師や看護師へ話してみてください。
- 在宅看取りを選んだあとで、途中から入院へ切り替えられますか?
-
切り替えは可能です。症状が自宅で抑えきれなくなったときや、介護する家族が限界に近づいたときには、主治医が受け入れ先の病院と調整します。
あらかじめ入院先の見当をつけておけば、急な判断でも動きやすくなります。看取りの時期に入る前に、どこへ運ぶかを含めて相談しておくと家族の負担が軽くなります。
- 在宅看取りのあと、死亡診断書はいつ受け取れますか?
-
医師が到着して死亡を確認したあと、その場で書かれて手渡されるのが一般的です。夜間に亡くなった場合も、医師が訪問した時点で交付されるため、翌朝まで待つとはかぎりません。
受け取ったら記載内容に誤りがないか、氏名と生年月日をその場で確かめておくと安心です。死亡届と一体の用紙なので、提出前にコピーをとっておくと後の手続きで役立ちます。


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