訪問看護は週何回?介護保険・医療保険別の利用回数上限と増やす方法

「訪問看護は週に何回まで受けられるのだろう」と疑問を感じる方は多いようです。利用できる回数は、介護保険と医療保険のどちらを使うかによって大きく変わります。
介護保険なら回数の上限はありませんが、要介護度に応じた支給限度額の範囲内で利用する必要があるでしょう。医療保険の場合は原則として週3回・1日1回が上限です。
ただし特定の疾患に該当する方や、特別訪問看護指示書が交付された方は、週4回以上の利用も認められています。
この記事では、保険の種類ごとの回数上限と、回数を増やすための具体的な方法をわかりやすく解説していきます。
訪問看護は週に何回まで?介護保険と医療保険で上限はまったく違う
訪問看護を利用できる回数は、介護保険を使う場合と医療保険を使う場合で仕組みそのものが異なります。介護保険には回数の上限がなく、医療保険では原則週3回までという制限があると覚えておくとよいでしょう。
訪問看護の利用回数は「どの保険を使うか」で決まる
訪問看護を受ける際、まず確認したいのが「自分はどちらの保険で利用するのか」という点です。介護保険と医療保険では、利用できる回数のルールがまったく違います。
介護保険は要介護認定を受けた方が対象で、ケアプランの範囲内であれば週の回数に制限はありません。一方、医療保険は主治医の指示書にもとづいて利用し、原則として1日1回・週3回までという上限が設けられています。
介護保険と医療保険、あなたはどちらに該当するか
基本的な判断基準は、年齢と要介護認定の有無です。65歳以上で要介護・要支援の認定を受けている方は、原則として介護保険が適用されます。
40歳未満の方や、40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていない方は医療保険の対象です。
ただし、末期がんや難病など「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する方は、要介護認定を受けていても医療保険が優先されるケースがあります。
介護保険と医療保険の対象者の目安
| 区分 | 介護保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 要介護・要支援認定者 | 認定を受けていない方 |
| 40〜64歳 | 特定疾病で認定を受けた方 | 左記以外の方 |
| 40歳未満 | 対象外 | 主治医の指示書がある方 |
回数だけでなく1回あたりの時間にも制限がある
訪問看護では、利用回数に加えて1回あたりの訪問時間にも目安が定められています。介護保険・医療保険ともに、1回の訪問はおおむね20分から90分の範囲です。
時間の長さは、看護師が行うケアの内容や利用者の状態によって変わります。短時間で済む処置であれば20分程度、複数の医療的ケアが必要な場合は60分から90分かかることもあるでしょう。
主治医やケアマネジャーと相談しながら、無理のない時間配分を決めていくことが大切です。
介護保険の訪問看護に回数上限はないが「使える金額の天井」がある
介護保険による訪問看護には、週何回までという回数の上限は設けられていません。ただし、要介護度ごとに定められた支給限度額の中でやりくりする必要があるため、実質的には「お金の枠」が回数を左右する仕組みになっています。
要介護度ごとに決まる支給限度額と訪問看護の関係
介護保険では、要介護度に応じて1か月に利用できるサービスの上限額(区分支給限度基準額)が定められています。たとえば要介護1と要介護5では、利用できる金額の幅に大きな差があります。
訪問看護の費用もこの限度額から差し引かれるため、他の介護サービスをたくさん利用している場合は、訪問看護に回せる予算が少なくなるかもしれません。
限度額を超えた分は全額自己負担になるため、事前にケアマネジャーと相談して計画を立てましょう。
他の介護サービスとの兼ね合いで訪問看護の回数が変わる
デイサービスや訪問介護など、訪問看護以外の介護サービスも支給限度額の中に含まれます。
複数のサービスを組み合わせて利用する方がほとんどですから、訪問看護だけに予算を集中させるのは現実的ではないかもしれません。
そのため、ケアマネジャーが利用者の状態や家族の介護力を踏まえて、全体のバランスを見ながらケアプランを作成します。訪問看護の回数を増やしたい場合は、他のサービスとの優先順位を整理する必要があるでしょう。
同日に2回以上の訪問を受けるなら「2時間ルール」に注意
介護保険の訪問看護には「2時間ルール」と呼ばれる独自の決まりがあります。同じ日に2回以上の訪問を受ける場合、前の訪問終了から次の訪問開始まで原則として2時間以上空ける必要があるというものです。
2時間未満で再訪問した場合は、前回の訪問時間と合算して1回分とみなされます。ただし、緊急時の訪問や20分未満の短時間訪問、看護師と理学療法士など異なる職種による訪問は例外として扱われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本ルール | 訪問間隔を2時間以上空ける |
| 2時間未満の場合 | 前回と合算して1回扱い |
| 例外となるケース | 緊急時・20分未満の訪問・異職種訪問 |
医療保険の訪問看護は「週3回・1日1回」が原則のライン
医療保険を使った訪問看護は、原則として1日1回・週3回が上限です。しかし、特定の疾病に該当する方や、主治医から特別訪問看護指示書が交付された方は、この上限を超えて利用できる場合があります。
基本は週3回まで、1回あたり30分〜90分が目安
医療保険での訪問看護は、1回の訪問につき30分から90分、週3回までが標準的な利用パターンです。実際の現場では、1回あたり60分程度で利用されるケースが多いといわれています。
この上限は、医療資源を効率的に配分するために設けられた制度上のルールです。週3回で十分な方もいれば、病状の変化によって回数が足りなくなる方もいるでしょう。
厚生労働大臣が定める疾病等(別表7・8)に該当すれば週4回以上の訪問も受けられる
「厚生労働大臣が定める疾病等」として指定された病気や状態に該当する方は、週4回以上の訪問看護を受けることが認められています。これは一般に「別表7」「別表8」と呼ばれる一覧に記載された疾病です。
具体的には、末期の悪性腫瘍(がん)、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類ステージ3以上)などが含まれます。
該当する場合は1日に複数回の訪問も可能になるため、主治医に確認してみましょう。
別表7に含まれる代表的な疾病
| 疾病名 | 補足 |
|---|---|
| 末期の悪性腫瘍 | いわゆる末期がん |
| 多発性硬化症 | 神経系の難病 |
| 筋萎縮性側索硬化症 | ALSとも呼ばれる |
| パーキンソン病 | 重症度ステージ3以上が対象 |
| 人工呼吸器を使用中の方 | 在宅での呼吸管理が必要 |
精神科訪問看護の回数にも独自のルールがある
精神疾患をお持ちの方が利用する精神科訪問看護にも、回数に関する特有のルールが設けられています。
原則は医療保険と同じ週3回までですが、症状が不安定な時期には週4回以上の訪問が認められることもあります。
また、自立支援医療制度を併用すると、自己負担額を1割に軽減できる場合があります。所得に応じて月額の上限額も設定されるため、経済的な負担を心配されている方は主治医や訪問看護ステーションに相談してみてください。
訪問看護の回数を増やしたいときに家族ができる具体的な手続き
「もう少し訪問看護の回数を増やせないだろうか」と感じたら、介護保険か医療保険かによって相談先と手続きの流れが異なります。どちらの場合も、利用者の状態が変化していることを具体的に伝えてください。
介護保険の場合はケアマネジャーへの相談が第一歩
介護保険で訪問看護を利用している方は、まず担当のケアマネジャーに連絡しましょう。「夜間の体位変換が難しくなった」「褥瘡(じょくそう=床ずれ)の管理が必要になった」など、具体的な変化を伝えると対応がスムーズです。
ケアマネジャーは、他の介護サービスとの兼ね合いを調整しながらケアプランを見直してくれます。
支給限度額の範囲内で回数を増やせるかどうか、あるいは他のサービスの利用頻度を変更する余地があるかどうかを一緒に検討してもらえるでしょう。
医療保険の場合は主治医に訪問回数の見直しを依頼する
医療保険で訪問看護を受けている方は、主治医への相談が欠かせません。訪問看護の回数は、主治医が発行する「訪問看護指示書」の内容にもとづいて決まるためです。
「症状が悪化して週3回では対応しきれない」「痰の吸引が頻繁に必要になった」など、回数増加が必要な理由を訪問看護師にも伝えておきましょう。
訪問看護ステーションから主治医への報告書に詳しい情報を記載してもらうと、医師が判断しやすくなります。
区分変更申請で要介護度が上がれば利用枠も広がる
利用者の身体状況が以前より悪化しているなら、要介護度の区分変更申請を検討する価値があります。要介護度が上がれば支給限度額も増えるため、訪問看護に充てられる予算の幅が広がるからです。
区分変更申請は、市区町村の介護保険担当窓口で手続きできます。主治医の意見書や認定調査が改めて必要になりますが、現在の要介護度と実態がかけ離れていると感じたら、ケアマネジャーに相談してみてください。
- ケアマネジャーへの相談(介護保険の場合)
- 主治医への訪問回数見直しの依頼(医療保険の場合)
- 区分変更申請の検討(要介護度と実態のずれがあるとき)
- 自費サービスの併用(公的保険だけでは足りない場合)
特別訪問看護指示書があれば週4回以上・最長14日間の連続利用も可能に
病状が急変した場合や、退院直後で集中的なケアが必要な場合には、主治医から「特別訪問看護指示書」を交付してもらうと、通常の週3回という上限を超えた訪問看護を受けられます。
特別訪問看護指示書は急な病状悪化に対応する切り札
特別訪問看護指示書とは、主治医が「一時的に頻回な訪問看護が必要」と判断した際に発行する指示書です。通常の訪問看護指示書とは別に交付され、この指示書がある期間中は週4回以上の訪問や、14日間の連続利用が認められます。
たとえば、退院直後で体調が不安定な時期や、急に症状が悪化して手厚い看護が必要な場面で活用されます。
介護保険で訪問看護を利用していた方でも、特別訪問看護指示書が出ている期間中は医療保険が優先される点も押さえておきましょう。
交付される条件と有効期間を正しく把握しておこう
特別訪問看護指示書の有効期間は、交付日から最長14日間です。月に1回の交付が原則で、主治医が利用者の状態を診察したうえで「頻回な訪問看護が必要」と判断した場合に限り発行されます。
有効期間が過ぎれば、通常の訪問看護指示書にもとづく回数制限に戻ります。14日間の集中的なケアで病状が落ち着くこともあれば、再度の交付が必要になる場合もあるでしょう。
特別訪問看護指示書の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交付頻度 | 原則として月に1回 |
| 有効期間 | 交付日から最長14日間 |
| 利用回数 | 週4回以上の訪問が可能 |
| 適用保険 | 医療保険が優先される |
月2回の交付が認められる特別なケース
原則として月1回の交付ですが、一定の条件を満たす方には月2回の交付が認められることがあります。対象となるのは、「気管カニューレを使用している方」と「真皮を超える褥瘡(じょくそう)がある方」です。
月2回交付された場合、最長で28日間の連続利用が可能になります。在宅で重度の医療的ケアを続ける方にとって、非常に心強い制度といえるでしょう。
該当するかどうか迷った場合は、主治医や訪問看護ステーションに確認してください。
介護保険と医療保険の訪問看護回数を比べると違いは歴然
介護保険と医療保険、それぞれの訪問看護における回数制限や自己負担の割合は大きく異なります。両方の制度を見比べると、自分や家族がどちらの保険でどの程度の訪問看護を受けられるのかが明確になるでしょう。
回数上限・訪問時間・自己負担割合の違いを整理した
介護保険と医療保険のもっとも大きな違いは、回数制限の有無です。介護保険には回数の上限がなく支給限度額の範囲内で柔軟に設定できるのに対し、医療保険は原則として週3回・1日1回という明確な枠があります。
自己負担の割合も異なります。介護保険は原則1割(所得により2〜3割)で、医療保険は年齢や所得に応じて1〜3割です。どちらの保険を使うかによって毎月の費用感も変わるため、事前に試算しておくと安心でしょう。
どちらの保険が適用されるかは年齢と疾患で決まる
繰り返しになりますが、65歳以上で要介護認定を受けている方は介護保険が原則です。ただし、末期がんや特定の難病に該当する方は年齢に関係なく医療保険が優先されます。
40歳から64歳で特定疾病により要介護認定を受けた方は介護保険の対象ですが、別表7・8に該当する疾病を持つ場合は医療保険に切り替わることもあります。
制度が複雑に感じるかもしれませんが、主治医やケアマネジャーが適切な保険を案内してくれるので安心してください。
医療保険が優先される具体的な条件とは
医療保険が優先されるケースは、大きく分けて3つあります。
1つ目は、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当する場合。2つ目は、特別訪問看護指示書が交付されている期間。3つ目は、精神科訪問看護を利用する場合です。
これらに該当すると、要介護認定を受けていても医療保険が適用されるため、週3回を超える訪問が可能になるケースがあります。制度の切り替わりに伴う手続きは、訪問看護ステーションや主治医が対応してくれるでしょう。
| 比較項目 | 介護保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
| 回数上限 | なし(限度額内) | 原則 週3回・1日1回 |
| 1回の訪問時間 | 20〜90分 | 30〜90分 |
| 自己負担割合 | 原則1割 | 年齢・所得により1〜3割 |
| 利用の柔軟性 | ケアプラン次第で調整可 | 指示書の内容に準拠 |
訪問看護の回数で悩んだら、ひとりで抱えずまず専門家へ相談を
訪問看護の回数に関する悩みは、制度の仕組みが複雑なだけにひとりで解決しようとすると行き詰まりがちです。主治医・ケアマネジャー・訪問看護ステーションの3者は、いずれも相談窓口として頼れる存在です。
主治医・ケアマネジャー・訪問看護ステーションへの相談窓口
訪問看護の回数を見直したいと感じたら、まず日頃から接する機会の多い訪問看護師に伝えてみましょう。
訪問看護師は利用者の状態を間近で見ているため、回数変更の必要性を主治医やケアマネジャーに適切に伝えてくれます。
主治医には診察の際に直接相談することもできますし、ケアマネジャーには電話一本で連絡できます。「回数を増やしたい」「今の回数で足りているか不安」など、率直な気持ちを伝えることが、状況改善への近道です。
- 訪問看護師に日々の状態変化を伝える
- 主治医に診察時やオンラインで回数の相談をする
- ケアマネジャーにケアプランの見直しを依頼する
自費の訪問看護という選択肢も視野に入れてみよう
公的保険の枠内だけでは回数が足りない場合、自費(全額自己負担)で訪問看護を利用する方法もあります。自費であれば利用回数や時間の制限がなく、保険診療と組み合わせて利用することも可能です。
費用は事業所ごとに異なりますが、1回あたり数千円〜1万円程度が目安になるでしょう。24時間対応の自費サービスを提供している訪問看護ステーションもあるため、夜間や早朝の見守りが必要な場合にも検討できます。
家族と医療チームが連携すれば在宅療養はもっと安心できる
訪問看護の回数を適切に設定するうえで、家族の声は欠かせない判断材料です。「朝の着替えの介助が大変になった」「痰の吸引に不安がある」といった日常の困りごとを具体的に共有してください。
医療チーム全体で情報を共有し、必要に応じて回数や時間の調整を行うことで、在宅での暮らしはぐっと安定します。制度をうまく活用しながら、無理のない在宅療養を続けていきましょう。
よくある質問
- 訪問看護を介護保険で利用する場合、週に何回まで受けられますか?
-
介護保険による訪問看護には、週何回までという回数の上限は設けられていません。ケアマネジャーが作成するケアプランにもとづいて、必要な回数を設定する仕組みです。
ただし、要介護度に応じた支給限度額の範囲内で利用する必要があります。限度額を超えた分は全額自己負担になりますので、他の介護サービスとのバランスを考えながら計画を立てるとよいでしょう。
- 訪問看護を医療保険で利用する場合の1日あたりの回数制限はどうなっていますか?
-
医療保険による訪問看護は、原則として1日1回・週3回が上限です。1回あたりの訪問時間は30分から90分の範囲内で設定されます。
ただし、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7・8)に該当する方は、1日に複数回の訪問を受けることが認められています。該当するかどうかは主治医に確認してみてください。
- 訪問看護の特別訪問看護指示書が交付されるとどのくらいの期間利用できますか?
-
特別訪問看護指示書が交付されると、交付日から最長14日間にわたって週4回以上の訪問看護を受けられます。交付は原則として月に1回です。
気管カニューレを使用している方や真皮を超える褥瘡がある方は、月に2回の交付が認められる場合があります。その場合は最長28日間の連続利用が可能になります。
- 訪問看護の回数を増やしたい場合、最初にどこに相談すればよいですか?
-
介護保険で利用中の方は、担当のケアマネジャーに相談するのが第一歩です。ケアプランの見直しを通じて、支給限度額の範囲内で回数を増やせるかどうかを検討してもらえます。
医療保険で利用中の方は、主治医に訪問看護指示書の内容変更を相談してください。訪問看護師にも日頃の状態変化を伝えておくと、主治医への報告がスムーズになります。
- 訪問看護を公的保険の上限を超えて利用する方法はありますか?
-
公的保険の枠を超えて訪問看護を利用したい場合は、自費(全額自己負担)での利用を検討してみてください。自費であれば回数や時間の制限がなく、保険診療と併用することもできます。
費用は訪問看護ステーションごとに異なりますが、1回あたり数千円から1万円程度が一般的な目安です。夜間・早朝対応や外出付き添いなど、保険ではカバーしにくいサービスを受けられる場合もあるでしょう。


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