往診料はいくら?保険適用の計算方法と訪問診療料との違い

往診料はいくら?保険適用の計算方法と訪問診療料との違い

往診料の基本点数は720点で、保険適用後の自己負担額は1割負担なら720円、3割負担なら2,160円です。ただし夜間や深夜に往診を受けると加算がつき、金額は大きく変わります。

訪問診療料との違いを正しく把握しておけば、請求書を見て慌てることもありません。

この記事では、往診料の計算方法から各種加算の内容、訪問診療料との違い、医療費を抑える制度の活用法まで、在宅医療の費用に関する疑問を丁寧に解説します。

目次

往診料は保険適用で720点|基本の金額と自己負担額はいくらになるか

往診料は720点で、保険適用前の金額に換算すると7,200円です。自己負担割合に応じて実際に窓口で支払う金額は異なり、3割負担の方で2,160円、1割負担の方で720円が目安となります。

往診料720点は全額で7,200円に相当する

日本の医療費は「診療報酬点数」という仕組みで計算され、1点あたり10円と定められています。往診料は720点なので、720点×10円=7,200円がこの医療行為の本来の費用です。

この金額は全国一律で、どの医療機関でも変わりません。地域による差はなく、大都市でも地方でも同じ点数で算定されます。

自己負担割合は年齢と所得で決まる

公的医療保険に加入している方は、医療費の全額を支払う必要はありません。年齢や所得に応じて「自己負担割合」が決められており、残りは保険でまかなわれます。

70歳未満の方は原則3割負担、70歳から74歳の方は2割負担、75歳以上の方は1割負担が基本です。ただし70歳以上でも現役並みの所得がある方は3割負担になります。

年齢別の自己負担割合と往診料の目安

年齢区分自己負担割合往診料の自己負担額
70歳未満3割2,160円
70〜74歳2割1,440円
75歳以上(一般)1割720円

再診料や処方料も合わせた実際の支払い額

往診を受けた際に支払うのは往診料だけではありません。再診料(75点)や処方箋料(68点)、外来管理加算(52点)など、診察内容に応じた費用が上乗せされます。

たとえば3割負担の方が日中に往診を受け、再診料と処方箋料が加わった場合、720点+75点+68点=863点となり、自己負担額は約2,590円です。検査や注射などを行えば、さらに費用は増えるでしょう。

往診料と訪問診療料はまったく別物|混同すると思わぬ出費につながる

往診料と訪問診療料は名前が似ていますが、制度上はまったく異なる診療報酬です。どちらも医師が患者さんの自宅を訪れて診療する点は同じでも、計画性の有無や算定される点数、加算の内容に大きな違いがあります。

訪問診療は「計画的」で往診は「緊急・臨時」

訪問診療とは、医師が患者さんの状態に合わせて診療計画を立て、定期的に自宅を訪問して診察を行う医療サービスです。通常は月2回、決まった曜日と時間に医師が訪れます。

一方、往診は患者さんやご家族から「体調が急に悪くなった」といった連絡を受け、医師が臨時で駆けつけて行う診療です。予定にない突発的な対応であり、救急車を呼ぶほどではないけれど、すぐに医師に診てもらいたいときに利用します。

訪問診療料は888点で往診料は720点|算定の仕組みが違う

訪問診療料(在宅患者訪問診療料I)は、同一建物居住者以外の場合で888点です。一方の往診料は720点で、点数だけを比べると訪問診療料のほうが高く見えるかもしれません。

しかし往診は緊急対応のため、夜間・休日・深夜に行われることが多く、加算がつく分だけ実際の費用は往診のほうが高額になりがちです。訪問診療は計画的に行われるため、加算の種類が限られます。

在宅時医学総合管理料の有無も費用に大きく影響する

訪問診療を受けている方には、月1回「在宅時医学総合管理料(在医総管)」が算定されます。

在医総管は医師が24時間体制で患者さんの医学管理を行うことへの評価で、点数は医療機関の体制や処方の形態によって異なりますが、おおむね2,000点から5,000点程度です。

往診だけを臨時で受ける場合、在医総管は算定されません。月々の基本料金が発生しない代わりに、急な往診のたびに往診料と加算が発生する形になります。

往診料と訪問診療料の比較

項目往診料訪問診療料
基本点数720点888点
診療の性質臨時・緊急計画的・定期的
頻度の制限制限なし原則 週3回まで
在医総管の算定なしあり
同意書不要必要

夜間・休日・深夜の往診料加算で費用は大きく変わる

往診は患者さんの急変時に行われるため、診療時間外の対応が少なくありません。時間帯や曜日に応じた加算が往診料に上乗せされ、基本の720点を大幅に上回る金額になることがあります。

緊急往診加算は325点から850点まで幅がある

医療機関が標榜する診療時間内であっても、外来診療を中断して往診に向かう場合には「緊急往診加算」が算定されます。この加算は、往診を行う医療機関の種類によって金額が変わります。

一般的な診療所で325点、在宅療養支援診療所(在支診)で650点、さらに機能強化型の在支診であれば850点が加算されます。720点の往診料に緊急往診加算850点が加わると合計1,570点、金額にして15,700円です。

夜間や休日に往診を頼むと1,700点の加算がつくことも

夜間(午後6時から午後10時)や休日に往診を受ける場合、機能強化型の在支診では最大1,700点の加算がつきます。一般の診療所でも405点が上乗せされるため、時間帯による費用の差は無視できません。

時間帯別の往診加算一覧

時間帯一般の診療所機能強化型 在支診
緊急(診療時間内)325点850点
夜間・休日405点1,700点
深夜485点2,700点

深夜帯の往診加算は最大2,700点|知らないと驚く金額になる

午後10時から翌朝6時までの深夜帯に往診を受けると、加算額はさらに跳ね上がります。機能強化型の在支診では2,700点が加算され、往診料720点と合わせると3,420点、つまり34,200円です。

3割負担の方でも約10,260円、1割負担の方でも約3,420円の窓口負担となります。深夜の往診を依頼する際は、費用面も含めて心の準備をしておくと安心でしょう。

往診料の自己負担額を正しく計算できれば不安は消える

往診料の計算は「点数×10円×自己負担割合」というシンプルな式で求められます。加算や他の診療行為を含めた合計点数がわかれば、自分がいくら支払うかを事前に把握できます。

「点数×10円×自己負担割合」で求められる

計算の手順はとてもシンプルです。まず、往診料720点に各種加算の点数を足して合計点数を出します。次に合計点数に10円をかけると医療費の総額が出ます。

最後にご自身の自己負担割合(1割・2割・3割)をかければ、窓口で支払う金額がわかります。

たとえば、夜間に在支診から往診を受けた場合、往診料720点+夜間往診加算1,700点+再診料75点=2,495点です。医療費総額は24,950円、3割負担で7,490円(10円未満四捨五入)になります。

3割負担と1割負担で金額はこれだけ違う

同じ往診でも、自己負担割合が異なると支払い額は3倍近くの差になります。日中に一般的な診療所から往診を受けた場合、往診料720点+緊急往診加算325点+再診料75点=1,120点で、医療費は11,200円。3割負担なら3,360円、1割負担なら1,120円です。

75歳以上の方は1割負担が基本のため、往診の費用負担は比較的軽い傾向にあります。一方、現役世代の方は3割を負担するため、夜間や深夜帯の往診では1万円を超えるケースも珍しくありません。

交通費は保険の対象外|別途実費がかかる

見落としがちなのが、往診に要した交通費です。診療報酬の規定では「往診に要した交通費は患者の負担」と明記されています。保険が適用されるのはあくまで医療行為に対する点数であり、医師が移動するための費用は自己負担です。

交通費の金額は医療機関によってまちまちで、数百円から数千円程度が一般的です。事前に確認しておくと、請求時に慌てずに済みます。

往診時の費用シミュレーション(3割負担の場合)

往診の状況合計点数自己負担額(3割)
日中・一般診療所約1,120点約3,360円
夜間・在支診約2,495点約7,490円
深夜・機能強化型約3,495点約10,490円

往診料が高額になっても高額療養費制度で自己負担を抑えられる

深夜の往診や検査・処置が重なると、1回の往診で医療費が高額になるケースがあります。そのようなときでも、高額療養費制度を利用すれば、ひと月あたりの医療費に上限が設けられるため、過度な負担を避けられます。

高額療養費制度を使えば月々の上限が決まる

高額療養費制度とは、ひと月の医療費が一定の限度額を超えた場合に、超過分が後から払い戻される制度です。すべての公的医療保険に共通する仕組みで、往診や訪問診療の費用も対象になります。

たとえば月に複数回の往診を受けたり、入院と往診が重なったりした場合でも、自己負担限度額以上は支払わなくてよい仕組みです。在宅療養を続ける方にとって、大きな安心材料になるでしょう。

所得区分ごとの自己負担限度額

限度額は年齢と所得によって段階的に設定されています。70歳未満で年収が約370万円から770万円の方であれば、ひと月の自己負担限度額は80,100円に医療費の1%を加えた金額です。

70歳未満の方の高額療養費 自己負担限度額

所得区分月額の自己負担限度額
年収約1,160万円以上252,600円+(医療費−842,000円)×1%
年収約770万〜1,160万円167,400円+(医療費−558,000円)×1%
年収約370万〜770万円80,100円+(医療費−267,000円)×1%
年収約370万円以下57,600円
住民税非課税世帯35,400円

限度額適用認定証を事前に取得しておくと窓口負担が軽くなる

高額療養費制度は原則として後から払い戻される仕組みですが、「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。

認定証は加入している健康保険の窓口で申請できます。在宅療養が長期にわたる見込みがある方は、早めに取得しておくと急な往診で高額な支払いを求められても安心です。

マイナ保険証を利用すれば、認定証がなくても窓口負担が限度額までに抑えられる医療機関も増えています。

往診を依頼するときに知っておきたい条件と注意点

往診はいつでも誰でも自由に依頼できるわけではありません。保険で往診料を算定するためにはいくつかの条件があり、医療機関との関係性によって受けられる加算の種類も変わってきます。

患者さんや家族から直接医療機関へ連絡する必要がある

往診料は、患者さん本人またはご家族など看護にあたる方が、医療機関に電話などで直接往診を依頼し、医師が必要性を認めた場合に算定されます。医療機関のほうから「様子を見に行きましょう」と提案する形は、制度上は往診にあたりません。

連絡を受けた医師が「往診が必要」と判断したら、できるだけ速やかに患者さんのもとへ向かいます。依頼から診療までの具体的な時間に規定はありませんが、緊急性に応じた対応が求められます。

医療機関から16km以内が原則

保険適用で往診を受けるには、医療機関と患者さん宅の距離が原則16km以内でなければなりません。16kmを超える場合は、特殊な事情がない限り保険での算定が認められません。

離島や山間部など地理的に医療機関が限られる地域では例外的な扱いもあります。ご自身のお住まいから通える範囲にある医療機関がどこなのか、事前に把握しておくと緊急時に慌てずに済みます。当院でも山間部の医療機関の無い地域では16kmを超えて診療に伺っています。

在宅療養支援診療所とそれ以外で加算額が異なる

往診を行う医療機関が「在宅療養支援診療所(在支診)」かどうかで、算定できる加算の点数が大きく変わります。在支診とは、24時間連絡・対応が可能で、緊急往診や看取りの体制を整えた診療所のことです。

在支診からの往診は加算が手厚い反面、費用も高くなります。費用を重視するか、24時間対応の安心感を重視するかは、ご家族の状況に合わせて判断することが大切です。

在宅診療の月額費用を少しでも抑えるための工夫

在宅で療養を続けると、医療費が毎月かかり続けます。往診料だけでなく訪問診療料や管理料、薬剤費も含めた総額を把握し、使える制度をしっかり活用すると家計への負担を軽くできます。

かかりつけ医に訪問診療を依頼して計画的に管理する

急な往診を繰り返すよりも、かかりつけ医に訪問診療を依頼し、定期的に状態を管理してもらうほうが長期的にはコストを抑えやすくなります。計画的な診療によって病状の悪化を防げれば、緊急の往診や入院を避けられるからです。

  • 訪問診療で定期的に体調をチェックしてもらう
  • 病状が安定すれば往診の回数を減らせる
  • 薬の処方も計画的に行えるため無駄が出にくい

自治体の医療費助成制度を活用する

お住まいの自治体によっては、高齢者や障害のある方を対象に、医療費の自己負担分を助成する独自の制度を設けていることがあります。

往診や訪問診療の費用も助成対象になるケースが多いため、役所の窓口やウェブサイトで確認してみてください。

特に65歳以上の方が対象になる制度や、特定の疾患を持つ方への助成制度は見落とされがちです。申請しないと適用されない制度がほとんどなので、該当する可能性がある方は積極的に問い合わせてみましょう。

訪問看護やリハビリとの連携で入院を防ぐ

在宅療養では、医師の訪問診療だけでなく、訪問看護師やリハビリの専門職と連携して生活全体を支えることが大切です。看護師が定期的に訪問して体調の変化を早期に察知できれば、急な悪化を防ぎやすくなります。

入院すると医療費は一気に跳ね上がります。在宅で安定した療養を続けることが、結果的にもっとも費用を抑える方法といえるでしょう。

介護保険サービスとの組み合わせも含め、ケアマネジャーと相談しながら療養計画を整えることをおすすめします。

よくある質問

往診料の基本点数は何点で、保険適用後の自己負担額はいくらですか?

往診料の基本点数は720点で、保険適用前の金額は7,200円です。自己負担額は加入している保険の負担割合によって変わり、3割負担の方で2,160円、2割負担の方で1,440円、1割負担の方で720円になります。

ただし往診料だけでなく、再診料や処方箋料、時間帯による加算なども合算されるため、実際の支払い額はこれより高くなるのが一般的です。

往診料と訪問診療料はどのように違いますか?

往診料は、患者さんやご家族からの依頼を受けて医師が臨時で自宅に駆けつけたときに算定される720点の診療報酬です。

一方、訪問診療料は医師が診療計画に基づいて定期的に患者さん宅を訪問した際に算定され、基本点数は888点になります。

往診は突発的な対応であるのに対し、訪問診療は予定された計画的な診療という違いがあります。在宅時医学総合管理料の算定有無も異なるため、月々の費用構造が大きく変わります。

往診料に夜間や深夜の加算がつくと、自己負担額はどのくらいになりますか?

夜間(午後6時から午後10時)に往診を受けた場合、一般の診療所では405点、機能強化型の在宅療養支援診療所では1,700点の加算がつきます。

深夜帯(午後10時から午前6時)になると、加算は485点から最大2,700点に上がります。

たとえば機能強化型の在支診から深夜に往診を受けた場合、往診料720点+深夜加算2,700点+再診料75点=3,495点となり、3割負担で約10,490円の自己負担が発生します。

往診料に交通費は含まれていますか?

往診料に交通費は含まれていません。診療報酬の規定では、往診に要した交通費は患者さん側が負担すると定められています。保険が適用されるのは医療行為に対する点数のみで、医師の移動にかかる費用は別途実費となります。

交通費の金額は医療機関ごとに異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。数百円から数千円程度が一般的な範囲です。

往診料が高額になったとき、医療費を軽減できる制度はありますか?

高額療養費制度を利用すれば、ひと月の医療費が所得に応じた限度額を超えた分について、後から払い戻しを受けられます。往診の費用もこの制度の対象です。

事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払いを限度額までに抑えることもできます。加入している健康保険の窓口で申請が可能なので、在宅療養を始める際に準備しておくと安心です。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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