訪問診療の夜間・休日加算と深夜往診料|時間外対応の料金体系と請求額

訪問診療の夜間・休日加算と深夜往診料|時間外対応の料金体系と請求額

訪問診療を利用している方やご家族にとって、夜間や休日に容態が急変したときの費用は大きな心配事でしょう。時間外の訪問診療や往診には、通常の診療報酬に加えて「夜間加算」「休日加算」「深夜加算」が上乗せされます。

この記事では、加算ごとの対象時間帯や点数、1割負担・3割負担での具体的な請求額の目安を丁寧に解説します。制度を正しく把握しておくと、いざというときの経済的な不安を和らげられるはずです。

目次

訪問診療の夜間加算・休日加算とは?通常料金との違い

訪問診療の夜間加算・休日加算とは、通常の診療時間外に医師が患者さんの自宅を訪れた際、基本の診療報酬に上乗せされる追加料金です。加算の種類によって対象時間帯と点数が異なるため、自己負担額にも差が生じます。

夜間加算が適用される時間帯は18時から22時まで

夜間加算は、原則として18時から22時までの時間帯に行われた訪問診療に対して算定されます。日中の診察が終了したあとの時間帯に医師が訪問した場合、通常の訪問診療料にプラスして夜間加算の点数が加わる仕組みです。

医療機関によっては標榜する診療時間が異なるため、18時より前に診療時間が終了している場合は「時間外加算」として扱われるケースもあります。自分が利用している医療機関の診療時間を事前に確認しておくとよいでしょう。

休日加算は日曜・祝日・年末年始に適用される

休日加算の対象となるのは、日曜日、国民の祝日、そして12月29日から1月3日までの年末年始です。これらの日に訪問診療や往診が行われた場合、休日加算として所定の点数が上乗せされます。

なお、土曜日は休日加算の対象外です。土曜の午後に訪問診療を受けた場合、その医療機関の診療時間外であれば「時間外加算」が算定される可能性がありますが、休日加算とはなりません。

夜間加算・休日加算・時間外加算の対象時間帯

加算の種類対象時間帯・曜日おもな適用場面
夜間加算18時〜22時夕方以降の定期訪問・臨時往診
休日加算日曜・祝日・年末年始休日の緊急往診や定期訪問
時間外加算医療機関の診療時間外土曜午後など診療時間外の訪問
深夜加算22時〜翌6時深夜帯の緊急往診

通常の訪問診療費に加算される金額の計算方法

訪問診療の請求額は「基本となる訪問診療料+各種加算」で算出されます。たとえば在宅患者訪問診療料(I)は月2回の定期訪問で888点(1点=10円)ですが、夜間に実施された場合はさらに夜間加算の点数が加わります。

自己負担割合が1割の方であれば加算分は数百円程度ですが、3割負担の方は千円以上の上乗せになることも珍しくありません。加算の有無で月々の医療費が変動するため、料金の仕組みを把握しておくと家計管理に役立ちます。

定期訪問と臨時往診では加算のルールが異なる

「訪問診療」は計画に基づいて定期的に医師が自宅を訪れる診療形態で、「往診」は患者さんの求めに応じて臨時に訪問するものです。

両者では算定する診療報酬の項目が異なり、往診のほうが時間外・休日・深夜の加算点数が高く設定されています。

急な体調変化で夜間に往診を依頼した場合は、定期訪問の夜間加算よりも高い点数が算定されるため、請求額に大きな差が出るときがあります。どちらの形態で訪問を受けたかは、明細書で確認できます。

深夜往診料はいくらかかる?22時以降の往診で発生する費用の内訳

深夜往診料は、22時から翌朝6時までの深夜帯に医師が往診を行った際に算定される料金です。夜間加算や休日加算と比べて点数が高く設定されているため、自己負担額もそのぶん大きくなります。

深夜往診料の算定基準と対象時間帯

深夜加算は22時から翌朝6時までの8時間が対象です。この時間帯に患者さんやご家族から連絡を受け、医師が実際に自宅に出向いて診察した場合に深夜加算が適用されます。

注意したいのは、22時より少し前に連絡しても、医師が到着した時刻が22時を過ぎていれば深夜扱いになる場合がある点です。到着時刻を基準とする医療機関が多いため、連絡のタイミングと実際の加算区分がずれるときもあります。

深夜帯の往診で加わる具体的な点数

往診料の基本点数は720点ですが、深夜加算が加わると2,700点の加算となり、合計で3,420点となります。1点を10円で換算すると34,200円が医療費の総額です。

1割負担であれば約3,420円、3割負担の方は約10,260円が自己負担額の目安となります。さらに在宅ターミナルケアや特定の管理料が加わるケースもあり、実際の請求額はもう少し高くなることも考えられます。

1割負担・3割負担で変わる深夜往診の自己負担額

自己負担額は、加入している健康保険の負担割合によって大きく異なります。75歳以上の後期高齢者で現役並み所得に該当しない方は原則1割負担、現役世代は3割負担が基本です。

深夜の往診は1回あたりの医療費が高額になりやすいため、月単位でみると高額療養費制度の上限に達する場合もあります。上限を超えた分は申請によって払い戻しを受けられるので、制度の利用も視野に入れておきましょう。

負担割合別の深夜往診費用の目安

項目1割負担の場合3割負担の場合
往診料(720点)約720円約2,160円
深夜加算(2,700点)約2,700円約8,100円
合計の自己負担目安約3,420円約10,260円

時間外対応の料金体系|加算の種類と診療報酬点数を整理しよう

時間外の訪問診療・往診にかかる加算は「時間外加算」「休日加算」「深夜加算」の3種類に大別されます。それぞれの点数を正しく把握しておけば、請求書を受け取ったときに内容を確認しやすくなるでしょう。

時間外加算・休日加算・深夜加算の3つに分かれている

診療報酬上、時間外の対応は大きく3区分で扱われます。時間外加算は医療機関の診療時間外すべてを対象としますが、夜間・休日・深夜に該当する場合はそれぞれ専用の加算が優先して適用されます。

つまり、日曜日の21時に往診を受けた場合は「休日加算」と「夜間加算」の両方ではなく、休日加算のみが適用される仕組みです。重複して算定されることはありません。

在宅患者訪問診療料に上乗せされる加算点数の一覧

在宅患者訪問診療料(I)の基本点数は、同一建物で1人の場合888点、同一建物で複数人の場合213点です。定期的な計画訪問に対してはこの基本点数を軸に、時間帯に応じた加算が上乗せされます。

定期訪問の加算は往診に比べると控えめに設定されているため、急な往診を依頼するよりも計画的な訪問診療のほうが費用を抑えやすい傾向にあります。

在宅患者訪問診療料(I)の時間外加算点数

加算区分加算点数10割の金額換算
時間外加算650点6,500円
休日加算1,300点13,000円
深夜加算2,300点23,000円

往診料に含まれる時間外・休日・深夜の加算点数

往診料は基本が720点で、加算額は訪問診療料よりも高い水準です。往診は患者さんの急な求めに応じて行われるため、医師の負担が大きく、それが診療報酬に反映されています。

休日の往診では1,440点、深夜の往診では2,700点がそれぞれ加算されます。10割換算で14,400円〜27,000円の加算となるため、負担割合に応じた自己負担額もかなりの金額になりえます。

在宅療養支援診療所かどうかで加算額は変わる

在宅療養支援診療所(在支診)は、24時間体制で在宅医療を提供できる医療機関として届け出た診療所のことです。在支診は緊急往診に対する加算として「緊急往診加算」を算定でき、夜間325点、深夜では650点が別途加わります。

一方、在支診以外の医療機関から往診を受けた場合は、緊急往診加算の点数が低く設定されていることが多いです。ただし在支診のほうが基本の管理料が高めに設定されるケースもあるため、トータルで比較する視点が大切です。

夜間・休日の訪問診療で請求される金額の目安をシミュレーション

加算の点数だけを見ても実際にいくらかかるのかイメージしにくいかもしれません。負担割合ごとに代表的なケースをシミュレーションすると、費用感をつかみやすくなります。

1割負担の方が夜間帯に訪問診療を受けた場合の費用例

75歳以上で1割負担の方が、定期訪問で20時に医師の訪問を受けたケースを想定します。在宅患者訪問診療料(I)が888点、夜間加算(訪問診療)が650点とすると、合計は1,538点です。

1割負担の自己負担額は約1,540円となります。通常の日中訪問(888点=約890円)と比べると、約650円の差額です。月2回のうち1回が夜間にずれこんだ場合、月々の負担増は数百円程度にとどまります。

3割負担の方が休日に緊急往診を受けた場合の費用例

現役世代で3割負担の方が、日曜日に発熱のため緊急往診を依頼した場合を考えましょう。往診料720点に休日加算1,440点を加えると2,160点で、さらに在支診であれば緊急往診加算325点が加わり合計2,485点です。

3割負担で計算すると約7,460円の自己負担額となります。診察内容に応じて処置料や薬剤料が加算される場合もあるため、実際の請求額は8,000〜10,000円程度になる可能性があります。

深夜の緊急往診における請求額のシミュレーション

深夜2時に在支診の医師が緊急往診を行った場合、往診料720点+深夜加算2,700点+緊急往診加算(深夜)650点で、合計4,070点となります。10割換算で40,700円です。

1割負担の方で約4,070円、3割負担の方では約12,210円が目安となります。深夜の往診は1回の費用が大きいため、翌月の高額療養費制度の適用条件に該当しないかどうかを確認するのがおすすめです。

  • 夜間の定期訪問(1割負担):約1,540円前後
  • 休日の緊急往診(3割負担):約7,460〜10,000円前後
  • 深夜の緊急往診(1割負担):約4,070円前後
  • 深夜の緊急往診(3割負担):約12,210円前後

在宅患者が時間外の加算負担を少しでも軽くするためにできること

夜間や深夜の往診は費用がかさみがちですが、事前の備えや制度の活用によって経済的な負担を抑える方法はいくつかあります。日頃からできる対策を取り入れておくと安心です。

かかりつけ医の診療時間内にできるだけ相談しておく

体調の変化に気づいた段階で、日中のうちにかかりつけ医に電話で相談しておくと、夜間の緊急往診を回避できる場合があります。「夜になったら悪化しそう」と感じたときは、早めに連絡することが費用を抑える第一歩です。

また、定期訪問の日に気になる症状をまとめて相談しておけば、臨時の往診が必要になるリスクそのものを減らすことにもつながるでしょう。

訪問看護ステーションとの連携で深夜の往診を減らす

訪問看護師が定期的にケアに入っている場合、夜間の容態変化に対して看護師が電話で助言してくれることがあります。医師の往診が必要かどうかを看護師に判断してもらえるため、不要な深夜往診を防ぐ効果が期待できます。

訪問看護との連携による負担軽減の例

場面連携なしの場合連携ありの場合
夜間の発熱すぐに往診を依頼看護師に電話相談→必要時のみ往診
薬の副作用の疑い不安で深夜に連絡事前に対処法を共有済み
痛みの増強深夜の緊急往診頓服薬で対応→翌日受診

24時間対応の在宅療養支援診療所を選ぶメリット

在宅療養支援診療所は24時間いつでも連絡がつき、必要に応じて往診してもらえる体制を整えています。緊急時にスムーズな対応を受けられるだけでなく、普段の管理が行き届いているぶん、深夜の突発的な往診の回数が減る傾向があります。

在支診は管理料がやや高めに設定されているものの、頻繁に時間外の往診が必要な患者さんにとっては、トータルで見ると費用を抑えられるケースも少なくありません。

高額療養費制度を活用して月ごとの負担を抑える

高額療養費制度とは、ひと月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超過分が払い戻される公的制度です。深夜往診が複数回重なった月など、医療費がかさんだときには積極的に活用したい仕組みといえます。

上限額は年齢や所得に応じて設定されており、70歳以上の一般所得者であれば月額18,000円(外来)が目安です。限度額適用認定証をあらかじめ取得しておけば、窓口での支払いが上限額までに抑えられます。

訪問診療の緊急往診と夜間往診で押さえておきたい請求の流れ

夜間や休日に往診を受けたあと、実際に請求書が届くまでの流れを把握しておくと、加算の内容にも納得しやすくなります。明細書の見方を含めて、請求に関するポイントを整理しましょう。

電話連絡から医師が到着するまでの対応手順

体調が急変した際はまず医療機関の緊急連絡先に電話します。在支診であれば24時間対応の専用番号が用意されている場合がほとんどです。電話では症状の内容、体温や血圧などのバイタル情報を簡潔に伝えましょう。

医師が往診の必要性を判断し、到着までの間に行うべき応急処置を指示してくれます。到着後は診察と必要な処置が行われ、診療内容に応じた料金が後日請求される流れです。

往診後に届く明細書で加算内容を確認する方法

往診が終わると、後日郵送もしくは次回の訪問時に明細書が手渡されます。明細書には「往診料」「深夜加算」「緊急往診加算」など、算定された項目ごとの点数が記載されています。

記載内容に疑問がある場合は、遠慮なく医療機関の事務スタッフに問い合わせてください。加算の対象時間帯や算定条件について丁寧に説明してもらえるはずです。

医療費控除の対象になる訪問診療の交通費

確定申告で医療費控除を申請する際、訪問診療にかかった自己負担額は控除の対象に含まれます。加えて、通院のために利用した公共交通機関の交通費も控除対象です。

在宅医療の場合、患者さんが移動するわけではないため交通費は発生しにくいですが、訪問診療の自己負担額そのものが年間10万円を超えるケースは珍しくありません。夜間・深夜の加算がかさんだ年は、確定申告を忘れずに行いましょう。

医療費控除に含められるおもな費用

費用の種類控除の可否備考
訪問診療の自己負担額対象加算分も含む
処方された薬の費用対象薬局での支払い分
通院時の交通費対象公共交通機関に限る
差額ベッド代対象外入院時の特別室料

夜間・休日の訪問診療を安心して利用するための事前準備

いざというとき慌てずに対応するためには、日頃からの準備がものを言います。費用面の知識に加えて、家族の間で連絡体制を整えておく工夫が安心材料になります。

緊急時の連絡先を家族全員で共有しておく

かかりつけ医の緊急連絡先、訪問看護ステーションの番号、救急相談窓口(#7119)などをリストにまとめ、冷蔵庫や電話のそばなど目につく場所に貼っておくと、夜間の急変時にも落ち着いて行動できます。

  • かかりつけ医の緊急連絡先(24時間対応かどうかも確認)
  • 訪問看護ステーションの夜間対応番号
  • 救急安心センター(#7119)
  • ケアマネジャーの連絡先

お薬手帳や保険証は枕元にまとめて準備する

深夜に往診を受ける際、医師はまず現在服用している薬の情報を確認します。お薬手帳と保険証、限度額適用認定証があれば、枕元や寝室のわかりやすい場所にまとめておくと受け渡しがスムーズです。

紙のお薬手帳だけでなく、スマートフォンのお薬手帳アプリに情報を入れておくと、万一手帳が見つからないときにも役立ちます。

「どんな症状なら夜間に連絡してよいか」を主治医に確認しておく

「こんなことで夜中に電話してよいのだろうか」と悩み、連絡をためらう方は少なくありません。日中の診察時に「どのような状態になったら夜間でも連絡してほしいか」を具体的に主治医と話し合っておくと、判断に迷うことが減ります

たとえば「38.5度以上の発熱が続くとき」「呼吸が著しく苦しいとき」など、目安を紙に書き出しておけば、ご家族も対応しやすくなります。

遠慮せず連絡してよい基準を明確にしておくことが、結果として適切なタイミングでの受診につながるはずです。

よくある質問

訪問診療の夜間加算は何時から何時まで適用される?

訪問診療の夜間加算は、原則として18時から22時までの時間帯に適用されます。ただし、医療機関が定めている診療時間によって「時間外加算」との区別が変わることがあります。

たとえば17時で診療を終了する医療機関の場合、17時から18時の間は時間外加算として算定される場合もあるため、利用中の医療機関に個別に確認しておくと安心です。

深夜往診料と夜間加算はどちらが高い?

深夜往診料のほうが夜間加算よりも高額です。往診料に対する深夜加算は2,700点であるのに対し、夜間の往診に対する加算は1,440点にとどまります。

22時を境に加算区分が切り替わるため、21時台の往診と22時を過ぎた往診では自己負担額に大きな差が生じます。緊急性の判断にもよりますが、時間帯による費用の違いを知っておくと心構えができるでしょう。

訪問診療の休日加算は土曜日にも適用される?

土曜日は休日加算の対象にはなりません。休日加算が適用されるのは日曜日、国民の祝日、そして12月29日から1月3日までの年末年始のみです。

土曜日の午後に訪問診療を受けた場合、医療機関の診療時間外であれば「時間外加算」が算定されることがありますが、休日加算とは異なる区分で扱われます。

訪問診療の時間外加算は高額療養費制度の対象になる?

訪問診療の時間外加算を含む自己負担額は、高額療養費制度の対象に含まれます。ひと月の医療費が自己負担上限額を超えた場合、申請すれば超過分の払い戻しを受けることができます。

とくに深夜の往診が複数回あった月は、上限額に達しやすくなります。事前に限度額適用認定証を取得しておくと、窓口での支払いが上限額までに抑えられるので手続きの手間も軽減されます。

訪問診療で夜間に往診を依頼するときの正しい連絡方法は?

夜間に往診を依頼する場合は、かかりつけ医の緊急連絡先に電話するのが基本です。在宅療養支援診療所であれば24時間対応の専用番号が用意されていることがほとんどなので、契約時にその番号を控えておきましょう。

電話の際は患者さんの氏名、現在の症状、体温や血圧などのバイタル情報を簡潔に伝えてください。医師や看護師が往診の必要性を判断し、到着までの応急処置を指示してくれます。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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