介護保険と医療保険– category –
訪問診療では、医師の診察に医療保険を使い、療養上の指導や介護サービスには介護保険を使う場合があります。2つの保険から請求が生じても、同じサービスを重ねて請求しているとは限りません。請求書では、診察にかかる費用と介護サービスの費用を分けて見る必要があります。
訪問看護や訪問リハビリに使う保険は、年齢や要介護認定の有無に加え、病名と急性増悪の有無によって変わります。主治医の指示書とケアプランを照らし合わせ、明細ごとの内訳を確かめることが大切です。
訪問診療は医療保険で受けるのが基本

医師が自宅を定期的に訪れて診察する訪問診療は医療サービスであり、要介護認定の有無にかかわらず医療保険で扱います。
介護保険優先の原則が及ぶ範囲
介護保険優先の原則は、訪問看護や訪問リハビリのように両制度に同種のサービスがある場面で働きます。医師による訪問診療はその対象ではありません。
診察と介護に関する指導は、制度上の区分が異なります。同じ月に医療保険と介護保険の請求があっても、別のサービスに対する費用なら二重払いではありません。
介護保険で算定する療養上の指導
訪問時のすべてが医療保険になるわけではなく、医師や薬剤師による療養上の助言や指導は介護保険で算定する場合があります。
治療と指導で分かれる明細
医師の診察や治療とは別に、在宅生活を続けるための助言を居宅療養管理指導費として扱います。明細に介護保険の記載があっても、区分に沿った請求である場合があります。
訪問看護は条件により使う保険が変わる

要介護認定を受けている方の訪問看護は介護保険が原則ですが、病名や状態などの条件によって医療保険へ切り替わります。判断には年齢だけでなく、認定の有無や主治医の指示内容も関わります。
訪問看護が医療保険へ切り替わる条件
40歳未満の方は原則として医療保険です。要介護認定がある方でも、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当すると、医療保険で訪問看護を受ける扱いになります。年齢だけで決めず、認定の有無と病名を主治医や訪問看護事業所へ伝えて確認してください。
急性増悪時の一時的な切り替え
症状が急に悪化した急性増悪では、主治医が特別指示書を交付すると、原則14日間は医療保険での訪問看護へ切り替わります。医療保険の適用条件は特別指示書だけでなく、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)への該当も含めて確かめてください。
訪問リハビリは同じ月の併用ができない
訪問リハビリは介護保険を優先し、同じ月に医療保険と介護保険の両方で受けることはできません。
例外期間が終わると介護保険へ戻る
別表7の対象や特別訪問看護指示書の期間中は、医療保険へ切り替わる場合があります。期間終了後は介護保険へ戻るため、訪問リハビリの併用禁止と切替日を主治医へ確認してください。
要介護認定がなくても訪問診療は利用できる
要介護認定を受けていない方も、通院が難しく医師が必要と判断した場合は、医療保険で訪問診療を受けられます。
認定後に変わるサービスの区分
認定前は介護サービスを使えませんが、訪問看護や訪問リハビリを医療保険で受ける場合があります。将来、要介護認定を受けても訪問診療は医療保険のままです。
訪問診療は介護保険の利用枠を減らさない

医療保険で受ける訪問診療は、介護保険サービスの月ごとの利用枠に含まれず、ほかの介護サービスの枠を使いません。
枠外でもケアプランへの共有が必要
介護保険で算定する居宅療養管理指導費も、区分支給限度基準額の枠外です。訪問診療の開始時期と頻度は、ケアマネジャーへ共有してケアプランとの重なりを調整します。
医療保険と介護保険で異なる自己負担
自己負担の決まり方は、使う保険によって異なります。割合だけで比べず、利用回数や上限の仕組みも含めて確認します。
| 比べる点 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 負担割合 | 年齢と所得で決まる | 所得に応じて決まる |
| 利用回数 | 原則として回数に制限がある | 支給限度額の枠内で調整する |
| 上限の仕組み | 高額療養費制度がある | 支給限度額を超えた分は全額自己負担になる |
訪問看護の費用は条件ごとに確認
訪問看護に適用される保険に加え、訪問時間や回数も負担額を左右する要素です。医療費が一定の上限を超えるときは、高額療養費制度の対象になる場合があります。
医療保険の訪問看護では、年齢と所得に応じた負担割合に高額療養費制度の上限を重ねて考えます。介護保険では所得に応じた割合と区分支給限度基準額を確かめ、限度額を超える利用分は全額自己負担です。
医療保険と介護保険の内訳は明細で確認

1か月のうちに両方の保険を使うと、医療機関や介護事業所など複数の支払い先から請求が届く場合があります。
明細で見分ける手がかり
- 保険の種類 … 医療保険と介護保険のどちらで算定したかを確かめる
- サービス名 … 訪問診療、訪問看護、居宅療養管理指導などの区分を見る
- 利用日と回数 … 指示書やケアプランに記載された予定と照合する
- 請求元 … 医療機関、訪問看護事業所、介護事業所のどこから届いたかを分ける
明細の項目だけで判断しにくいときは、医療保険分を主治医へ、介護保険分をケアマネジャーへ確認します。診療報酬と料金体系を分けて尋ねると、請求の根拠を整理しやすくなります。
よくある質問
- 訪問診療で医療保険と介護保険の請求が同じ月に届くのはなぜですか?
-
医師の診察は医療保険、療養上の助言や介護サービスは介護保険というように、別の内容をそれぞれ算定する場合があるためです。明細に記載されたサービス名と利用日を確認し、請求元と照合すると内訳を確かめられます。
- 訪問診療を始める前にケアマネジャーへ何を伝えればよいですか?
-
開始予定日と訪問頻度を伝え、利用予定の医療機関名も共有してください。訪問看護や訪問リハビリを利用中なら、主治医の指示書の期間も伝えると、ケアプランとの重なりや保険の切替時期を確認しやすくなります。
- 訪問診療の途中で要介護認定を受けたら手続きは変わりますか?
-
医師による訪問診療の扱いは変わりませんが、訪問看護や訪問リハビリなどは介護保険へ切り替わる場合があります。認定結果が届いたら主治医とケアマネジャーへ伝え、開始日を確認してください。
- 訪問診療の保険区分は家族だけで判断できますか?
-
保険区分は、病名や現在の状態を踏まえ、要介護認定の有無と指示書の内容によって決まるため、ご家族だけで判断するものではありません。医療サービスは主治医、介護サービスはケアマネジャーに確認し、双方の説明が一致しているか確かめます。
- 訪問診療の明細に疑問がある場合はどこへ相談しますか?
-
まず明細を発行した医療機関や事業所へ、項目名と利用日を示して尋ねてください。医療保険と介護保険の区分がまたがる内容は、主治医とケアマネジャーの双方へ確認すると経緯を整理できます。
-
介護保険と医療保険
訪問看護が医療保険になる条件とは?対象疾患・急性増悪・特別指示書の適用ルール
訪問看護で医療保険が適用される条件を解説。対象疾患一覧・急性増悪時の切り替え・特別訪問看護指示書の仕組みから介護保険との違い、手続きや費用負担まで詳しくまとめています。 -
介護保険と医療保険
訪問看護は医療保険と介護保険どちらが安い?負担額の比較と適用条件を解説
訪問看護は医療保険と介護保険どちらが安いか、自己負担額の違いを年齢・疾患・要介護度別に比較。適用条件の見分け方や高額療養費制度など負担を軽減する公的制度もわかりやすく解説。 -
介護保険と医療保険
訪問看護の別表8とは?特別管理加算の対象と別表7との違い
訪問看護の別表8は特別管理加算の対象となる状態一覧です。別表8に該当する具体的な疾患や状態、加算IとIIの金額の違い、別表7との判定基準の違いをわかりやすく解説しています。 -
介護保険と医療保険
訪問リハビリは介護保険と医療保険どちらが優先?併用禁止のルールと例外を解説
訪問リハビリの介護保険優先の原則とは何か、医療保険が適用される例外ケースを詳しく解説。別表7の疾病一覧や特別訪問看護指示書の仕組み、保険ごとの回数・費用の違いがわかります。 -
介護保険と医療保険
居宅療養管理指導費とは?訪問診療の一部に介護保険が適用される理由と単位数
居宅療養管理指導費とは何か、訪問診療で介護保険が適用される理由と職種別の単位数、自己負担額の目安、利用条件までわかりやすく解説しています。 -
介護保険と医療保険
訪問看護の別表7(厚生労働大臣が定める疾病等)とは?医療保険が適用される病名一覧
厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当すると訪問看護が医療保険で利用可能に。対象となる20の病名一覧や制度の仕組み、確認方法を在宅療養の視点からわかりやすく解説します。 -
介護保険と医療保険
要介護認定なしでも訪問診療は利用可能?医療保険のみで受ける在宅医療
要介護認定なしでも訪問診療は医療保険のみで利用可能です。対象条件や費用の目安、手続きの流れ、往診との違いまで在宅医療の疑問をわかりやすく解説します。 -
介護保険と医療保険
区分支給限度基準額とは?訪問診療の居宅療養管理指導はケアプランに含まれるかを解説
訪問診療は介護保険の区分支給限度基準額に含まれず医療保険で請求されます。ケアプランへの影響や訪問看護との違い、自己負担の軽減策まで詳しく解説。 -
介護保険と医療保険
訪問診療は医療保険?介護保険?費用の内訳と併用のルールを解説
医療保険と介護保険の違いを幅広く解説。対象者や保険料の仕組み、訪問サービスの利用方法や費用負担を比較しながら、効果的な併用と使い分けのポイントをまとめることで、在宅療養の計画づくりをサポートします。
