訪問診療の電話相談は再診料がかかる?「電話再診」の請求ルールと条件

訪問診療の電話相談は再診料がかかる?「電話再診」の請求ルールと条件

訪問診療を受けている最中に、電話で医師へ相談したら再診料を請求されて驚いた。そんな経験をお持ちの方は少なくないでしょう。

電話による医師への相談であっても、一定の条件を満たせば「電話再診」として再診料75点(自己負担3割で約230円)が発生します。ただし、すべての電話相談に再診料がかかるわけではありません。

この記事では、訪問診療における電話再診の請求ルールや算定条件、オンライン診療との違い、患者さんとして気をつけるべきポイントまで、わかりやすく解説します。

目次

電話一本で再診料が発生する?訪問診療での「電話再診」の基本を押さえよう

訪問診療を受けている患者さんやそのご家族が医師に電話で治療上の相談をした場合、条件を満たせば再診料75点が算定されます。単なる事務連絡や予約変更の電話には再診料はかかりません。

「電話再診」とは何か|外来の再診料との関係

電話再診とは、すでに医療機関を受診したことがある患者さんやその看護にあたっている方が、電話で治療上の意見を求めて医師から指示を受けた場合に算定される再診料です。診療報酬上は通常の再診料と同じ75点で評価されます。

対面での再診と同じ扱いになる点が、多くの方にとって意外に感じるかもしれません。しかし、医師が電話越しであっても医学的判断を行い、治療上の指示を出している以上、それは立派な「診療行為」にあたります。

訪問診療の患者さんが電話で相談するとき、再診料はどう扱われるのか

訪問診療を受けている患者さんの場合、定期的な訪問日以外に体調が変化して電話で医師に相談するケースが多いでしょう。

たとえば、急な発熱や腹痛があったときに電話で状況を伝え、医師が薬の変更や対応の指示を出すと、その電話が「電話再診」として扱われることがあります。

ただし、在宅時医学総合管理料(在医総管)を算定している患者さんの場合は、電話での医療相談が管理料に含まれるため、別途電話再診料を算定できない場面もあります。

ご自身がどの料金体系で訪問診療を受けているか、確認しておくと安心です。

電話再診と通常の電話相談の違い

項目電話再診通常の電話相談
内容医師が治療上の指示を行う事務的な連絡・予約変更など
再診料75点(算定される)発生しない
医学的判断ありなし

電話再診が成立するための大前提は「初診が済んでいること」

電話再診を算定するためには、その医療機関ですでに初診を受けていなければなりません。一度も受診したことのない医療機関に電話で相談しても、電話再診にはなりません。

訪問診療を受けている方であれば、すでに初診は済んでいるはずですから、この条件は通常クリアしているといえるでしょう。

電話再診の点数と自己負担額はいくらになるのか

2024年6月の診療報酬改定で再診料は75点に改定されました。電話再診も同じく75点で、1点10円として計算すると750円です。患者さんの自己負担割合によって実際の支払い額は変わります。

再診料75点の計算方法と負担割合ごとの金額

再診料75点は金額に換算すると750円です。このうち患者さんが窓口で支払う金額は、自己負担割合によって異なります。1割負担の方で約80円、2割負担なら約150円、3割負担なら約230円という計算になります。

なお、電話再診には端数が発生するため、実際の窓口負担には四捨五入が適用される場合があります。正確な金額は医療機関の会計窓口で確認してください。

電話再診だけで請求が終わるケースと他の費用が加わるケース

電話再診で医師が指示のみを行った場合は、再診料75点だけの算定で終わることが多いでしょう。一方で、電話再診の結果として処方が必要になった場合は、処方料や薬剤料などが別途加算されることもあります。

ただし、電話再診による処方は原則として限定的な運用となっています。コロナ特例が終了した2023年8月以降、電話再診のみでの処方箋発行はできなくなりました。

処方が必要な場合は対面診療やオンライン診療(情報通信機器を用いた診療)への切り替えが求められます。

在医総管を算定中の患者さんは電話再診料が発生しない場合もある

在宅時医学総合管理料(在医総管)を算定している患者さんの場合、電話による療養相談は管理料に含まれるとされることがあります。

そのため、訪問診療を定期的に受けている方は、電話で相談しても別途再診料が発生しないケースも珍しくありません。

ただし、新たな疾患に対する臨時の電話相談であれば、電話再診として算定される余地もあります。算定の判断は医療機関側が行うため、気になる場合は事前に担当医や事務スタッフに聞いておくとよいでしょう。

自己負担割合ごとの電話再診料の目安

負担割合再診料(75点)の自己負担備考
1割約80円75歳以上の多くの方
2割約150円一定所得以上の75歳以上
3割約230円現役並み所得の方

訪問診療中の電話相談で「電話再診」が認められる条件とは

電話再診が認められるには、患者さん側から治療上の意見を求め、医師がそれに対して適切な指示を出したという事実が必要です。定期的な医学管理を前提とした電話では算定できません。

患者さんからの求めがあり、医師が治療上の指示を出すことが条件になる

電話再診の算定で最も大切な条件は、「患者または看護にあたっている者からの求めに応じて、医師が治療上必要な指示を行ったこと」です。医療機関側から一方的に電話をかけて指導した場合は、この条件を満たしません。

訪問診療の現場では、ご家族やヘルパーから電話が入るケースも多いでしょう。患者さん本人だけでなく、看護にあたっている方からの電話であっても電話再診は成立します。

「定期的な医学管理」を前提とした電話では算定できない

電話再診には「定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない」という制限があります。

たとえば、毎週決まった曜日に電話で状態確認を行うような運用は、定期的な医学管理とみなされる可能性が高く、電話再診としての算定は認められません。

あくまでも、患者さんの病状に変化があったときや、突発的に治療上の判断が必要になった場合に限られるとお考えください。

電話再診が認められる場合・認められない場合

  • 認められる:急な発熱で患者さんから相談があり、医師が解熱剤の使用を指示した
  • 認められる:転倒して痛みが出たため家族が電話し、医師が対応を指示した
  • 認められない:毎週月曜に医師側から電話して体調を確認している
  • 認められない:次回の訪問診療の日程を変更するためだけの電話

同一日の診療に付随する電話は別途算定されない

訪問診療を行った同じ日に、帰宅後に電話で追加の質問をした場合は、原則としてその電話は当日の診療に付随する一連の行為とみなされます。そのため、別途の電話再診料は算定されません。

同様に、一定時間ごとに病状報告を受けるような電話も、再診料の対象にはなりません。あくまで「新たな医学的判断が求められた電話」に限り、電話再診が成立するとお考えください。

電話再診では算定できない加算がある|請求時の注意点を確認しよう

電話再診で再診料75点は算定可能ですが、通常の対面再診で加算できる項目のうち、多くが電話再診では算定できません。患者さん側も、請求内容に不明点があれば医療機関に確認する権利があります。

外来管理加算52点は電話再診では加算できない

対面での再診時に算定されることが多い外来管理加算(52点)は、電話再診では認められていません。外来管理加算は、医師が丁寧な問診や身体診察を行い、病状や療養上の注意点を説明した場合に加算されるものです。

電話では身体診察ができないため、外来管理加算の趣旨にそぐわないという判断から、算定が除外されています。

地域包括診療加算や感染対策関連の加算も対象外になる

地域包括診療加算(28点または21点)、外来感染対策向上加算(6点)、サーベイランス強化加算(1点)なども、電話再診では算定できません。

医療機関によっては、対面診療時にはこれらの加算を含めた金額を請求していることがあるため、電話再診の請求額が対面時より安くなるのは自然なことです。

逆に、電話再診でこれらが含まれていた場合は、念のため確認してみてもよいかもしれません。

電話再診で算定できる加算には時間外・休日・深夜がある

一方で、電話再診であっても算定が認められる加算もあります。時間外加算(65点)、休日加算(190点)、深夜加算(480点)、夜間・早朝等加算(50点)は、条件を満たせば電話再診でも加算可能です。

夜間や休日に急な体調変化で電話した場合、再診料に加えてこれらの加算がつくことがあります。請求明細を確認する際の参考にしてください。

電話再診時に算定できない主な加算

加算の名称点数電話再診での算定
外来管理加算52点不可
地域包括診療加算128点不可
地域包括診療加算221点不可
外来感染対策向上加算6点不可
医療情報取得加算32点不可

電話再診とオンライン診療は何が違うのか

電話再診は音声のみのやりとりで再診料75点を算定するのに対し、オンライン診療は映像と音声を用いた診療で、より幅広い医学管理料の算定が認められています。両者は似ているようで、制度上の扱いが大きく異なります。

オンライン診療は映像と音声を使い、施設基準の届出が必要になる

オンライン診療(情報通信機器を用いた診療)では、スマートフォンやタブレットなどを用いて映像と音声の両方で医師とやりとりします。医療機関は厚生労働省が定める施設基準を満たし、地方厚生局への届出を行わなければなりません。

電話再診はこのような届出が不要です。電話一本で医師に相談でき、特別な機器や設定も必要ありません。高齢の患者さんにとっては、電話のほうが使いやすいと感じる方も多いでしょう。

電話再診では処方箋の発行ができない制限がある

2023年8月にコロナ特例措置が終了して以降、電話再診のみでの処方箋発行は認められなくなりました。処方が必要な場合は、対面での診療またはオンライン診療に切り替える必要があります。

電話再診とオンライン診療の比較

項目電話再診オンライン診療
通信手段音声のみ(電話)映像と音声
届出不要施設基準の届出が必要
再診料75点75点
処方箋発行不可(特例終了後)可能
医学管理料算定不可一部算定可能

訪問診療の患者さんにとっての電話再診のメリットとデメリット

電話再診は手軽に医師へ相談できる反面、処方ができないという制限があります。一方、オンライン診療は処方も可能ですが、端末の操作や通信環境の整備が必要です。

訪問診療を受けている方にとっては、急な体調変化の一次対応として電話再診を活用し、必要に応じて往診やオンライン診療につなげるという流れが現実的といえるでしょう。

担当の医療機関がどの方法に対応しているか、事前に確認しておくと安心です。

在宅医療で電話再診を受けるときに知っておきたい患者さん側の心構え

電話再診は患者さんやご家族にとって便利な手段ですが、いくつかのポイントを押さえておくことで、よりスムーズに医師との連携が取れます。事前に伝える内容を整理しておくだけで、電話の内容がぐっと充実するものです。

電話する前に伝えたい症状や経過をメモしておく

電話では対面と違い、医師が患者さんの表情や顔色を見ることができません。そのぶん、言葉で伝える情報がすべてになります。

いつから症状が出たか、どのような痛みか、体温や血圧の数値はどうか、こうした情報をメモしておくと、限られた通話時間で効率よく相談できます。

特に訪問診療の患者さんは、ご家族やヘルパーが代わりに電話するケースも多いでしょう。本人の状態を正確に伝えるためにも、事前の準備は大切です。

再診料が発生するかどうかを事前に確認しても失礼ではない

「電話したら料金がかかりますか」と聞くのは、決して失礼なことではありません。患者さんとして、自分がどのような費用を負担するのかを把握しておくことはごく自然な行為です。

医療機関側も、患者さんが費用面で不安を感じていることは十分に承知しています。遠慮せずに確認してください。

夜間や休日の電話には追加の加算がつくことがある

緊急時はためらわず電話するべきですが、夜間や休日に電話した場合は時間外加算や休日加算が上乗せされることがあります。深夜帯(22時から6時)にかかると深夜加算480点が加わり、再診料と合わせて555点(約5,550円)になる場合もあります。

もちろん、体調が急変したときには時間帯を気にせず電話することが最優先です。費用のことは後から確認すれば十分ですので、まずはお体を守ることを第一に考えてください。

電話再診時の時間帯別加算の目安

  • 診療時間内:加算なし(再診料75点のみ)
  • 時間外(診療時間外):時間外加算65点が追加
  • 休日(日曜・祝日):休日加算190点が追加
  • 深夜(22時〜6時):深夜加算480点が追加

電話再診のトラブルを防ぐために医療機関に確認すべきこと

電話再診をめぐるトラブルの多くは、「知らないうちに費用が発生していた」という認識のズレから生まれます。事前に確認しておくだけで、不要な行き違いを防げます。

訪問診療の契約時に電話対応の料金体系を確認する

訪問診療を開始するときには、定期的な訪問の費用だけでなく、電話相談や緊急時の対応にどのような費用が発生するのかも確認しておきましょう。

在医総管の算定対象かどうかによって、電話相談が追加費用なしで対応してもらえるのか、それとも電話再診として別途請求されるのかが変わってきます。

訪問診療で事前に確認しておきたい電話対応のポイント

問い合わせに対応するスタッフは医療機関によって違いますので、誰に聞いたら良いかは担当事務員もしくは担当医に聞いてみましょう。医師は費用に関しては知らないことが多いです。

確認事項チェック内容
電話相談の費用再診料が発生する条件
緊急時の連絡先夜間・休日の連絡方法
在医総管の適用電話相談が含まれるか

請求明細書を定期的に確認して不明な項目は質問する

医療機関から届く請求明細書(レセプト)には、算定された項目と点数が記載されています。電話再診が算定されている場合は「再診料」として記載されるのが一般的です。

身に覚えのない再診料が記載されていた場合は、遠慮せず医療機関に問い合わせましょう。多くの場合、いつの電話に対する算定なのかを丁寧に説明してもらえます。

往診との違いも把握しておくと安心できる

電話で相談した結果、医師が「直接診察が必要」と判断した場合は往診に切り替わることがあります。往診は患者さんからの緊急の求めに応じて医師が訪問するもので、訪問診療(計画的な定期訪問)とは異なる料金体系です。

電話再診で対応が完結することもあれば、往診に発展することもある。この流れを理解しておくと、医療費の変動にも落ち着いて対応できるでしょう。

よくある質問

電話再診の再診料は訪問診療の費用とは別に請求されるのですか?

在宅時医学総合管理料(在医総管)を算定している場合は、電話による療養相談が管理料に含まれることがあるため、別途の再診料が発生しないケースもあります。

一方、在医総管を算定していない場合や、管理料の範囲外にあたる臨時の相談であれば、電話再診として75点が別途請求される場合もあるでしょう。

ご自身の料金体系については、担当の医療機関に直接お尋ねいただくのが確実です。訪問診療の契約時に電話対応の費用についても確認しておくと、後から慌てずに済みます。

電話再診で薬の処方箋を出してもらうことはできますか?

2023年8月にコロナ特例措置が終了して以降、電話再診のみで処方箋を発行することは原則として認められなくなりました。処方が必要な場合は、対面での診察、または情報通信機器を用いたオンライン診療に切り替える必要があります。

訪問診療を受けている方で薬の追加や変更が急に必要になった場合は、医師に電話で相談したうえで、臨時の往診やオンライン診療の手配を依頼するとよいでしょう。

電話再診は家族が代わりに電話した場合でも再診料がかかりますか?

患者さん本人だけでなく、看護にあたっているご家族やヘルパーなどが電話で治療上の相談を行い、医師が指示を出した場合も電話再診として算定される場合があります。

診療報酬の規定では「患者又はその看護に当たっている者」からの求めに応じた場合と定められています。

訪問診療ではご家族が窓口となって連絡を取ることが多いため、ご家族からの電話であっても医学的な指示が伴えば再診料が発生することをあらかじめ知っておくと安心です。

電話再診の費用は高額療養費制度の対象に含まれますか?

電話再診で発生した再診料も医療保険の対象となる診療報酬ですので、高額療養費制度の計算に含まれます。月ごとの医療費が自己負担限度額を超えた場合は、超過分について払い戻しを受けることが可能です。

訪問診療を定期的に受けている方は、訪問診療料や管理料に加えて電話再診料も合算されるため、限度額に達しやすくなる月もあるかもしれません。制度の詳細はお住まいの自治体窓口や加入している健康保険組合にお問い合わせください。

電話再診は1日に何回まで算定されるのですか?

原則として、電話再診の再診料は1日に1回の算定です。同じ日に複数回電話をしたとしても、2回目以降の電話は初回の再診に付随する一連の行為とみなされることが多く、追加の再診料は発生しないのが通常の運用です。

ただし、まったく別の傷病について異なる診療科に相談した場合など、例外的に算定されるケースもゼロではありません。不明な点がある場合は、請求明細を確認のうえ医療機関にお尋ねください。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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