在宅での看取りの問題点と対策|家族が直面する課題とその乗り越え方

自宅の寝室で在宅療養を続ける高齢者と、そばで見守る家族や訪問する医療者の姿を示す医療イメージ

自宅で最期までという願いをかなえるうえで壁になるのは、家族の覚悟の不足ではなく、支える仕組みが整っているかどうかです。

夜間や休日に連絡がつく医療機関があるか、息づかいが急に変わったときに誰へ電話するか、独りで暮らす人を誰が見守るか。整えるべき点は、あらかじめ形が決まっています。

制度の側にも、24時間の体制を届け出た診療所や、夜間もつながる訪問看護、介護と看護を組み合わせた仕組みが用意されています。

亡くなったあとの手続きまで含めて、家族が直面しやすい課題と、その乗り越え方を順に並べ直していきます。

目次

在宅での看取りの問題点は気持ちより仕組みの側に表れる

在宅の看取りでつまずく原因の多くは、家族の愛情や覚悟の不足ではなく、支える体制の隙間にあります。医療の確保、急変時の判断、介護と住まい、死後の手続きという四つの場面で、起きやすい行き違いは形が違います。

場面つまずきやすい点備えの方向
医療の確保夜間や休日に電話を取ってくれる先が決まっていない24時間の体制を届け出た診療所と訪問看護を先に押さえる
急変時の判断呼吸や顔色が変わった瞬間に何が正しいか分からない話し合った内容と連絡の順序を紙にして貼っておく
介護と住まい担い手が足りず、部屋の広さや動線も整っていない福祉用具の貸与や短期入所で負担を分け合う
死後の手続き誰に連絡すればよいか分からず反射的に119番を押す書面で渡された連絡先へかける段取りを決めておく

在宅の看取りで24時間つながる先を確保できるか

最初の関門は、夜間や休日に電話を取ってくれる医療機関を見つけられるかどうかであり、日中の外来と同じ感覚で探すと行き詰まります。

厚生労働省の告示「特掲診療料の施設基準等」は、在宅療養支援診療所の基準として、24時間連絡を受ける保険医または看護職員をあらかじめ指定し、その連絡先を文書で患家へ提供すると定めています。

逆にいえば、夜間の連絡先を書面で受け取っていない状態は、体制がまだ組めていない合図でしょう。契約の前に、誰がどの時間帯を担うのかを尋ねておくと、あとで慌てずにすみます。

急変したとき家族だけで判断できますか?

息づかいや顔色が変わった瞬間に、家族が医学的な判断を迫られる場面は避けられません。ただし判断そのものを家族が背負う必要はなく、電話をかける先さえ決まっていれば足ります。

困るのは、決めていなかったために反射的に119番を押し、本人の望みと違う経過へ進んでしまう展開です。搬送先では救命が優先され、自宅へ戻る話し合いを一からやり直す形になります。

誰へ、どの順番で、何を伝えるか。この三つを紙に書いて電話の横へ貼っておけば、真夜中でも迷いはかなり減ります。

介護の担い手と住まいが持ちこたえるか

医療がつながっても、介護が回らなければ在宅の療養は続きません。夜間の見守り、排泄や清潔の手当て、食事の支度が、少人数の家族へ一気に集中しがちです。

住まいの側にも制約があり、ベッドを置ける場所、トイレまでの動線、階段の有無が、そのまま介護の重さに変わってきます。福祉用具の貸与や住宅の改修は介護保険の給付にあるため、早めに相談すると備えが間に合います。

亡くなったあとの手続きまでが在宅の看取り

在宅の看取りは、息を引き取った瞬間で終わりではありません。医師の診察を受け、死亡診断書を受け取り、役所へ死亡届を出すまでが一続きの流れになります。

戸籍法第86条は、死亡の届出を届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に行うと定め、届書には診断書または検案書を添えるよう求めています。

この段取りを知らないまま夜を迎えると、警察へ連絡すべきか迷う家族が出てきます。手続きの筋道をあらかじめ聞いておけば、最後の時間を落ち着いて過ごせるはずです。

在宅の看取りを左右する24時間体制の問題点

支える医療機関を選ぶ段階で、在宅の看取りが続くかどうかは大きく決まります。厚生労働省の告示は、24時間の連絡・往診・訪問看護と、緊急時に入院できる病床の確保を、在宅療養支援診療所の基準として並べています。

在宅療養支援診療所の届出があるかどうか

在宅で最期まで過ごす計画を立てるなら、在宅療養支援診療所として届け出ている医療機関かどうかが手がかりになります。この届出は地方厚生局へ行うものであり、名乗りだけの言葉ではありません。

告示は、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保し、往診担当医の氏名や担当日などを文書で患家へ提供するといった対応を求めています。

さらに手厚い区分もあり、在宅医療を担当する常勤の医師を3名以上置き、緊急の往診や在宅での看取りで相当の実績を持つ診療所が当たります。規模の大小より、夜間に実際に動ける人数が確保されているかを見ます。

求められる体制告示が定めている中身家族が確かめておく点
24時間の連絡24時間連絡を受ける保険医または看護職員をあらかじめ指定し、連絡先を文書で患家へ提供する夜間の電話番号を書面でもらっているか
24時間の往診患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保し、往診担当医の氏名や担当日を文書で提供する誰がいつ来られるのか分かるか
24時間の訪問看護自院、または他の医療機関や訪問看護ステーションとの連携により24時間訪問看護を提供できる体制を確保する夜間に看護師が来られるか
緊急時の入院緊急時に在宅の患者さんが入院できる病床を常に確保し、受入医療機関の名称などを地方厚生局長等へ届け出る入院先の名前を聞けているか

夜間の連絡先を文書で渡されているか

契約時に渡される書面は、体裁を整えるための紙ではなく、夜中の家族を支える命綱です。担当者の名前と担当日、電話番号が書かれているかを、その場で確かめておくと安心でしょう。

口頭で「何かあれば連絡を」と言われただけでは、誰が電話に出るのか分からず、深夜の一本をためらってしまいます。ためらいは手当ての遅れに直結するので、書面の有無は小さな差ではありません。

連絡がついたあと、どのくらいで往診に来てもらえるのかも聞いておくと見通しが立ちます。地域の広さや道路の事情で所要時間は変わるため、目安を先に分かち合っておくほど夜の不安は小さくなります。

夜間や休日に訪問看護がつながるか

医師の往診と同じくらい、夜間に看護師が来られるかどうかが在宅の看取りを支えます。告示も、自院または他の医療機関や訪問看護ステーションとの連携により、24時間訪問看護を提供できる体制の確保を求めています。

痛みが強まった夜、たんが絡んで眠れない夜に、電話一本で看護師が駆けつけられる体制があると、家族の消耗はかなり違ってきます。訪問看護の担当者の氏名や担当日も、文書で受け取っておきたいところです。

相談を持ち込む入り口はどこか

どこへ相談すればよいか分からないときは、市町村が設置する地域包括支援センターが入り口になります。厚生労働省は、高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくりなどを担う中核的な機関と説明しています。

入院中であれば、退院支援の担当者や医療ソーシャルワーカーへ早めに希望を伝えると、退院前から在宅の担い手を探せます。介護保険をすでに使っているなら、ケアマネジャーが医療側との橋渡しを引き受けてくれます。

急変時に迷わないため在宅の看取りで決めておく備え

急変したときの迷いは、事前の話し合いでかなり減らせます。厚生労働省は「人生会議」として、大切にしたい事柄や望んでいる生き方、もしものときにどのような医療やケアを望むかを前もって話し合う取り組みを呼びかけています。

人生会議で家族が話し合っておく中身

話し合いの中身は、延命するかしないかの二択ではありません。どこで過ごしたいか、何を大事にしたいか、誰に決めてほしいかまで含めて、幅を持たせて言葉にしておきます。

  • 痛みや息苦しさが強まったときに望む手当ての範囲
  • 食べられなくなったときの点滴や栄養の扱い
  • 心臓が止まったときの蘇生についての希望
  • 自宅で過ごし続けるか、入院へ切り替えるかの目安
  • 本人が話せなくなったとき、誰が代わりに意思を伝えるか

一度決めた内容が途中で変わっても構いません。体調や気持ちの移ろいに応じて繰り返し話し合い、その都度書き足していくほうが、いざというときに役立ちます。

救急車を呼ぶ前に電話する先

自宅で最期をと決めていたのに、家族が反射的に119番を押してしまう場面は珍しくありません。救急隊は救命と搬送を担うため、通報すれば病院へ運ばれる流れになります。

そうなる前に、まず主治医や訪問看護へ電話をかける段取りを決めておきます。夜間の連絡先が書面で手元にあれば、家族は迷わず一本目をかけられるでしょう。

呼吸が止まったように見えても、あわてて胸を押し始めるべきかどうかは、事前の話し合いで決めた内容によります。判断の材料を先に共有しておくほど、その場の負担は軽くなります。

決めた内容を紙に残して共有する

家族の頭の中だけにある合意は、夜中には引き出せません。紙に書いて冷蔵庫や電話の近くへ貼り、訪問してくる医療者にも同じ内容を渡しておきます。

離れて暮らすきょうだいにも共有しておくと、あとから方針が覆る事態を避けられます。看取りのあとに残る後味は、事前の合意がどこまで分かち合われていたかで変わってくるものです。

独居や高齢者だけの世帯で在宅の看取りは成り立つのか

一人暮らしや高齢者だけの世帯でも、在宅の看取りは選べます。家族が常に付き添えない前提に立って、訪問と見守りをどう組み合わせるかが設計の中心になります。

一人暮らしでも在宅の看取りはできますか?

独居で最期まで過ごせるかどうかは、本人の意思がはっきりしているか、そして訪問の頻度と見守りの手立てを積み上げられるかで決まります。医療と介護の訪問を重ね、空白の時間を細かく埋めていく設計です。

緊急通報の装置やセンサーを併用し、近隣の協力者や離れて住む家族の連絡先を関係者で共有しておくと、異変への気づきが早まります。ひとりで過ごす時間帯をどこまで許容するかは、本人と話し合って決めます。

24時間365日の介護と看護を組み合わせる

厚生労働省の介護サービス情報公表システムは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を、定期的な巡回や随時の通報への対応により、24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供する仕組みと説明しています。

訪問介護員と看護師が連携して介護と看護を一体で届けるため、短い訪問を1日に何度も重ねられます。対象は要介護1から5の認定を受けた人で、要支援1・2の人は利用できません。

通いと泊まりと訪問をひとまとめに頼む

看護小規模多機能型居宅介護は、施設への通いを中心として、短期間の宿泊、自宅への訪問介護に加えて、看護師などによる訪問看護も組み合わせられるサービスです。

同じ事業所の顔ぶれが通いでも泊まりでも訪問でも関わるため、状態が変わったときの融通が利きます。独居や高齢者だけの世帯では、この使い分けが在宅を続ける支えになるでしょう。

サービス受けられる支援対象
定期巡回・随時対応型訪問介護看護定期的な巡回と随時の通報対応により、24時間365日必要なタイミングで介護と看護を受けられる要介護1〜5の認定を受けた人(要支援1・2は対象外)
看護小規模多機能型居宅介護通いを中心に、宿泊・訪問介護・訪問看護を組み合わせて同じ事業所から受けられる要介護1〜5の認定を受けた人(要支援1・2は対象外)
短期入所生活介護施設へ短期間泊まり、本人の心身機能の維持回復と家族の介護負担の軽減をはかる要介護の認定を受けた人

住まいと介護の負担が在宅の看取りを揺らす問題点

在宅の看取りが途中で行き詰まる引き金は、医療よりも介護の重さと住まいの制約にあります。介護保険の給付を早めに組み込むほど、家族の消耗はゆるやかになります。

部屋と福祉用具を先に整える

療養する部屋は、トイレや水回りに近く、家族の気配が届く場所が向いています。ベッドの周りに介助する人が立てる幅を確保しておけば、体の向きを変える負担が目に見えて減ります。

福祉用具貸与は、指定を受けた事業者が心身の状況や希望、生活環境などをふまえて用具を選ぶ援助や取り付け、調整を行い、用具を貸し出す給付です。要介護度によって対象は変わるので、ケアマネジャーへ相談しながら選びます。

  • 特殊寝台および付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 手すり・スロープ
  • 車いすおよび付属品
  • 移動用リフト

借りる前に部屋の寸法を測っておくと、搬入できずに家具を並べ替える手間を避けられます。介護用のベッドは組み立てに幅を取るので、扉や廊下の寸法も一緒に控えておくと安心です。

家族が休むための短期入所

介護する側が倒れれば、在宅の療養はそこで止まります。短期入所生活介護は、自宅にこもりきりになる本人の孤立感の解消や心身機能の維持回復だけでなく、家族の介護の負担軽減も目的として実施されるサービスです。

家族の疾病や冠婚葬祭、出張のときだけでなく、身体的・精神的な負担の軽減も利用の理由に挙げられています。休むための利用は後ろめたいものではなく、在宅を長く続けるための手立てです。

使いたい時期の見当がついているなら、空きの状況を早めにケアマネジャーへ伝えておくと調整が進みます。最期が近づくほど予定は立てにくくなるため、余裕のあるうちに一度試しておく手もあります。

医療的な手当てをどこまで家族が担うか

痛み止めの管理、たんの吸引、点滴の見守りなど、家族が担う手当ての範囲は状態によって広がっていきます。どこまでを家族が行い、どこからを看護師へ任せるかを、早い段階で線引きしておきます。

手技を教わるときは、一度で覚えようとせず、訪問のたびに確かめ直す構えで臨めば十分です。できない手当てを無理に引き受けないほうが、結果として在宅は長く続きます。

医療と介護の連携が切れたとき在宅の看取りで起きる問題点

在宅の看取りは、関わる事業所が増えるほど情報の落ち穂が生まれます。誰が全体をまとめるのかを決めておかないと、夜間の判断が家族ひとりの肩に戻ってきがちです。

誰が全体をまとめるのか

医療の方針は主治医が、介護の組み立てはケアマネジャーが担い、日々の観察は訪問看護が受け持ちます。家族が司令塔になる必要はなく、窓口をひとつに決めておけば十分でしょう。

訪問する顔ぶれが増えたときは、担当者会議の場で役目を確かめ直します。家族の希望もその場で口に出し、記録に残しておくと夜間の対応にも反映されます。

連絡先の一覧は、事業所の名前だけでなく担当者の名前まで書き出しておくと役に立ちます。夜間の当番が誰なのかまで分かっていれば、家族は用件を短く伝えられるでしょう。

担い手担うところ家族が連絡する場面
訪問診療の医師診察と薬の処方、急変時の往診、死亡診断体調が大きく変わったとき
訪問看護師日々の観察、痛みや呼吸の手当て、家族への手ほどき眠れない、痛がる、息が苦しそうなとき
ケアマネジャー介護サービスの組み立てと事業所との調整介護が回らなくなってきたとき

情報が共有されないまま夜を迎える

昼間に薬が変わったのに夜の担当者へ伝わっていない、といった行き違いは、共有の仕組みが弱いときに起こります。

告示も、連携する医療機関などが緊急時に円滑な対応をとれるよう、患家の同意を得て療養に必要な情報を文書で提供できる体制を求めています。

家族の側でも、体温や食事の量、眠れた時間を短く書き留めておくと、駆けつけた医療者が状況をつかみやすくなります。細かく書く必要はなく、変化の向きが分かれば十分でしょう。

入院へ戻る道を閉じない

自宅で過ごす選択は、入院を否定する選択ではありません。告示は、緊急時に在宅で療養する患者さんが入院できる病床を常に確保し、受入医療機関の名称などをあらかじめ地方厚生局長等へ届け出るよう求めています。

痛みが自宅で抑えきれないとき、介護する家族が限界に近づいたときに、いったん入院へ切り替える判断は後退ではありません。戻る道が残っていると分かるだけで、在宅を選ぶ気持ちは軽くなります。

亡くなったあとの手続きでつまずかない在宅看取りの備え

最後の場面での混乱は、決まりを知っておくだけでかなり防げます。医師が立ち会えなかった場合でも、家族がまずすべきなのは、書面で渡された連絡先へ電話をかける動作です。

24時間を過ぎたら警察を呼ぶのですか?

よくある誤解ですが、そうではありません。医師法第20条のただし書は、診療中の患者さんが受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書について、自ら診察しないままの交付を認めています。

厚生労働省の通知は、この規定を、24時間以内に死亡した場合には改めて診察をすることなく死亡診断書を交付し得ると認めるものだと説明しています。24時間を超えたら交付できない、という意味ではありません。

同じ通知は、生前の診察から24時間を経過していても、死亡後に改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関連する死亡だと判定できる場合には、死亡診断書を交付できるとしています。

息が止まったらまず主治医へ

呼吸が止まったと気づいたら、救急車ではなく、契約のときに渡された連絡先へ電話をかけます。医師や看護師が到着するまで、体をきれいに拭くなどの支度を急いで進める必要はありません。

到着した医師の診察を経て、生前の傷病に関連する死亡だと判定できれば、死亡診断書が交付されます。関連が判定できず、体に異状があると認められる場合には、医師が警察署へ届け出ます。

死亡診断書を受け取って死亡届を出す

医師から死亡診断書を受け取ったら、市区町村へ死亡届を出します。戸籍法第86条は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に届け出るよう定め、届書に診断書または検案書を添えるよう求めています。

葬儀社が手続きを代わりに進める場合もありますが、期限と添付書類は家族が把握しておくほうが安心です。診断書は保険や年金の手続きでも使うため、写しを取っておくと後々の手間が減ります。

医師がすぐ来られないときの遠隔での確認

離島や山あいなど、医師の到着に時間がかかる地域では、情報通信機器を用いた死亡診断の仕組みが用意されています。厚生労働省の通知は、これを行うための要件を五つ挙げています。

直接対面での診療の経過から早晩死亡すると予測されていた、終末期の対応について事前の取決めがあるなど医師と看護師の連携が取れていて本人や家族の同意がある、医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にある、という三つが並びます。

加えて、法医学などに関する一定の教育を受けた看護師が死の三徴候の確認を含めて必要な情報を速やかに報告でき、報告を受けた医師がテレビ電話装置等を活用して死亡の事実を確認できる、という要件が置かれています。

場面家族がすることよりどころ
息が止まったと気づいたとき119番ではなく、書面で渡された連絡先へ電話する在宅療養支援診療所は24時間連絡を受ける先を指定し、連絡先を文書で患家へ提供する(厚生労働省の告示)
医師が到着したとき診察を受け、死亡診断書を受け取る医師法第20条ただし書と、その運用を示した厚生労働省の通知
手続きに移るとき診断書を添えて7日以内に死亡届を出す戸籍法第86条

よくある質問

在宅での看取りで家族がつまずきやすい問題点はどこですか?

心構えの不足よりも、支える体制の隙間でつまずきます。夜間に連絡がつく先を確保できているか、急変したときに誰へ電話するかを決めているかが、最初の分かれ目になります。

介護の担い手と住まいの制約、そして亡くなったあとの手続きについても、早めに見通しを立てておけば慌てずにすみます。

在宅の看取りで呼吸が止まったとき、救急車を呼んでもよいのですか?

通報すれば救急隊は救命と搬送を担うため、自宅で最期をという希望とは違う経過へ進みます。あらかじめ書面で渡された夜間の連絡先へ、まず電話をかける段取りにしておくと安心です。

迷う場面をあらかじめ想定し、話し合った内容を紙に残して家族と医療者で分かち合っておきます。

一人暮らしでも在宅での看取りは選べますか?

本人の意思がはっきりしていて、訪問と見守りを積み上げられるなら選べます。24時間365日対応する定期巡回・随時対応型訪問介護看護や、通いと泊まりと訪問を組み合わせるサービスが支えになります。

緊急通報の装置や近隣の協力も含めて、ひとりで過ごす時間帯をどう埋めるかを関係者で設計していきます。

在宅の看取りで医師が立ち会えなかった場合、死亡診断書は書いてもらえますか?

厚生労働省の通知は、生前の診察から24時間を過ぎていても、死亡後に改めて診察して生前に診療していた傷病に関連する死亡だと判定できる場合には、死亡診断書を交付できるとしています。

関連が判定できず、体に異状があると認められる場合には、医師が警察署へ届け出ます。流れを事前に聞いておくと、家族の不安は小さくなるでしょう。

在宅での看取りを途中でやめて入院へ切り替えてもよいのですか?

切り替えは後退ではありません。在宅療養支援診療所は、緊急時に在宅の患者さんが入院できる病床を常に確保し、受入医療機関の名称などを届け出るよう求められています。

症状が自宅で抑えきれないとき、介護する家族が限界に近いときは、遠慮せず相談先へ伝えて構いません。

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この記事を書いた人

新井 隆康のアバター 新井 隆康 富士在宅診療所 院長

医師
医療法人社団あしたば会 理事長
富士在宅診療所 院長
順天堂大学医学部卒業(2001)
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー
USMLE/ECFMG取得(2005)
富士在宅診療所開業(2016)

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