末期がんの在宅看取りにかかる費用|最期の1ヶ月の医療費と介護費の目安

末期がんの在宅看取りにかかる費用は医療保険と介護保険の二つの窓口から請求され、そのどちらにも1か月あたりの自己負担の上限が定められています。
最期の1ヶ月は訪問診療や訪問看護が立て込みますが、医療費の窓口負担は所得の区分ごとに決められた上限額で頭打ちになるため、際限なく膨らむ性質のものではありません。
介護保険の側は要介護度ごとに使える量が単位数で決まっており、その枠を超えた部分だけが全額の負担へ変わります。
高額療養費や高額介護サービス費、医療費控除といった負担を軽くする制度を、金額の根拠とあわせて順に見ていきましょう。
末期がんの在宅看取りにかかる費用は医療保険と介護保険の二本立てです
自宅での療養にかかるお金は、医療保険から出る分と介護保険から出る分に分かれ、そのどちらにも入らない実費が少しだけ残ります。三つの袋があると考えると、見積もりの立て方がはっきりします。
| お金の出どころ | 主な中身 | 窓口での負担のしかた |
|---|---|---|
| 医療保険 | 訪問診療、訪問看護、薬、医療機器 | 年齢と所得に応じて1割から3割 |
| 介護保険 | 訪問介護、福祉用具の貸与、入浴の介助 | 原則1割(所得により2割か3割) |
| どちらにも入らない実費 | 文書料、紙おむつ、栄養補助食品、電気代 | かかった額をそのまま負担 |
医療保険から出る分と介護保険から出る分の線引き
医師や看護師が行う医療行為は医療保険から、生活を支える介助や福祉用具は介護保険から給付されるのが基本の考え方です。同じ「自宅に来てもらう」でも、担い手が違えば請求の出どころも変わります。
末期がんの療養では、この二つが同じ月に並行して動きます。医師の訪問と看護師の訪問、ヘルパーの訪問がそれぞれ別の明細として届くため、合計を把握しにくいと感じる家族が少なくありません。
そこで、月の総額を一つの数字で捉えようとせず、医療の袋と介護の袋を別々に上限まで見積もり、最後に足し合わせる順序で考えると混乱しにくくなります。
二つの制度は別々に動くため、同じ月に医療費と介護費の両方が上限に達すれば、その二つを足した額が家計の負担になります。上限があると聞いて安心しきらないほうがよいのは、この重なりがあるからです。
窓口で払う割合はどこで決まる?
医療保険の窓口負担は年齢と所得で決まり、75歳以上の後期高齢者医療では1割から3割の範囲に収まります。同じ世帯でも、加入している保険や所得の区分が違えば割合はそろいません。
介護保険の利用者負担については、厚生労働省の介護サービス情報公表システムが「介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)」と説明しています。
負担割合はご本人あてに届く保険証や負担割合証で確かめられ、これが分かるだけで見積もりの精度は大きく上がります。まずは手元の書類を並べるところから始めるとよいでしょう。
保険の外に残る三つ目の実費
公的な保険が支えるのは医療と介護のサービスそのもので、療養に伴って増える暮らしの出費までは面倒を見てくれません。紙おむつや使い捨ての手袋、口をうるおすためのゼリーなどが、静かに家計へ積み上がります。
診断書や証明書といった書類の作成料も保険の給付には含まれず、医療機関が定めた額を実費として支払います。在宅酸素の装置を使う家庭では、機器を動かすための電気代も自宅の負担になります。
金額としては医療費や介護費より小さいものの、毎日少しずつ出ていくため見落としやすい部分です。あらかじめ月に数千円から1万円台の枠を取っておくと、精神的な余裕が生まれます。
最期の1ヶ月に医療費としてかかる費用の中身
訪問の回数が増える最期の1ヶ月は、医療費が前の月より高くなるのが通例です。中身は訪問診療と訪問看護という二つの柱に、薬と医療機器が乗る構成になります。
定期的に伺う訪問診療と臨時の往診
在宅医療の請求は、計画を立てて定期的に伺う訪問診療と、急な変化に応じて駆けつける往診の二つに分かれます。看取りが近づくと定期の訪問が週単位に増え、夜間や休日の往診が加わることもあります。
これらの費用は厚生労働省の医科診療報酬点数表に基づいて計算され、点数は診療報酬の改定のたびに見直されます。そのため、数年前の記事や知人の体験で聞いた金額をそのまま当てはめると、実際とずれます。
正確な見込みを知りたいときは、契約する医療機関に「1か月あたりの窓口負担の目安」を尋ねるのが確実です。多くの在宅医療機関が、負担割合ごとの目安を書いた説明の紙を用意しています。
| 医療費の中身 | どこから請求されるか | 費用が動きやすい要因 |
|---|---|---|
| 訪問診療・往診 | 在宅医療を担う医療機関 | 訪問の回数、夜間や休日の対応 |
| 訪問看護 | 訪問看護ステーションなど | 訪問の回数、1日に複数回入るか |
| 薬・注射 | 調剤薬局または医療機関 | 医療用麻薬の種類と量、点滴の有無 |
| 在宅酸素などの機器 | 管理する医療機関 | 使う機器の種類と管理の内容 |
末期がんの訪問看護は医療保険から給付されます
訪問看護は介護保険から給付されるのが原則ですが、厚生労働大臣が定める疾病等に末期の悪性腫瘍が含まれており、要介護認定を受けている方でも医療保険の給付として扱われます。
この違いは費用の面で大きな意味を持ちます。訪問看護が医療保険から出れば、後で述べる介護保険の枠を消費しないため、その枠をヘルパーや福祉用具に回せるからです。
一方で、訪問看護の費用は医療費の側に積み上がります。訪問の回数が増える終末期には、この積み上がりが高額療養費の上限に届く月も出てきます。
医療用麻薬や点滴の薬にかかる費用
痛みをやわらげる医療用麻薬は保険診療で処方される薬であり、窓口では他の薬と同じ負担割合で計算されます。貼り薬や飲み薬、注射など剤形が変わっても、保険の扱いそのものは変わりません。
在宅では、薬剤師が自宅を訪れて薬の管理を手伝う仕組みも保険の中に用意されており、その分の費用が薬代に加わります。痛みの状態に合わせて薬の量が増えると、薬にかかる費用も動きます。
ただし、こうした費用はいずれも医療保険の枠内なので、月の合計は次章の上限額の中に収まります。薬が増えたからといって、負担だけが青天井に伸びるわけではありません。
在宅酸素や吸引器などの医療機器
息苦しさに対して使う在宅酸素の装置や、たんを吸い取る吸引器は、多くの場合で医療機関が用意し、管理料という形で保険の請求に含まれます。機器そのものを買い取る必要はありません。
注意したいのは電気代です。酸素濃縮装置は電源につないだまま動かし続けるため、その分だけ自宅の電気料金が上がり、これは保険の対象になりません。
医療機関によっては電気代の一部を負担する取り扱いをしている場合もあるので、機器を導入する前に確認しておくと安心です。
高額療養費が末期がんの医療費に月ごとの上限を作ります
医療費の窓口負担には天井があります。所得の区分ごとに1か月あたりの上限額が決まっており、それを超えた分は後から払い戻されるため、訪問が増えても際限なく伸びる心配は要りません。
所得の区分ごとに決まる1か月の上限額
全国健康保険協会が示す令和8年8月から令和9年7月までの区分では、70歳以上で一般にあたる方の上限は、外来だけを個人ごとに合計した場合で月22,000円と定められています。
入院を含めて世帯ごとに合計する場合の上限は月61,500円です。入院をせずに自宅で過ごす月は外来の扱いになるため、多くの家庭では前者の数字が見積もりの出発点になります。
| 70歳以上の所得区分 | 外来だけ(個人ごと) | 入院を含む(世帯ごと) |
|---|---|---|
| 一般 | 月22,000円 | 月61,500円 |
| 低所得者Ⅱ | 月11,000円 | 月25,700円 |
| 低所得者Ⅰ | 月8,000円 | 月15,700円 |
| 現役並み所得者 | ― | 月85,800円以上(総医療費に連動) |
70歳未満の方も同じ考え方で上限が決まり、標準報酬月額26万円以下にあたる区分では月61,500円と示されています。40代や50代でがんの療養に入る場合は、こちらの表が目安になります。
同じ月に同じ世帯の複数の人が医療費を払ったときや、一人が複数の医療機関にかかったときは、それらを合算して上限と比べられる仕組みも用意されています。世帯合算と呼ばれる扱いです。
70歳以上の方は自己負担額をすべて合算でき、70歳未満の方は一つの医療機関につき21,000円以上の自己負担だけが合算の対象になると、全国健康保険協会は説明しています。
処方せんで調剤を受けた薬局の負担額は、処方せんを出した医療機関の分に合算して数えます。在宅では医療機関と訪問看護と薬局から別々に請求が届くので、合算して初めて上限を超える月もあります。
4か月目から下がる多数回該当
療養が長引く家庭を支えるため、直近1年間に高額療養費の支給を3か月以上受けた場合には、4か月目から上限額がさらに下がる取り扱いがあります。多数回該当と呼ばれる仕組みです。
たとえば一般の区分で世帯ごとに合計する場合、4か月目からの上限は月44,400円まで下がります。治療の期間が数か月に及んだ末期がんの療養では、この軽減が効いてくる月が出てきます。
該当するかどうかは加入している保険者が把握しているものの、自動では反映されない手続きも残っています。過去1年の支給の履歴を、一度問い合わせておくとよいでしょう。
令和8年8月に加わった年単位の上限
厚生労働省は令和8年8月から高額療養費制度を見直し、月ごとの上限に加えて年単位の上限を新たに設けました。年間とは8月から翌年7月までを指します。
月ごとの上限に届かない月が続いても、1年間の自己負担の合計が区分ごとの年間上限に達すれば、そこから先は保険者から還付を受けられます。70歳以上で一般にあたる方の年間上限は、外来だけなら216,000円と示されています。
制度は改定のたびに見直されるため、実際に手続きをする時点での取り扱いは、加入先の窓口で確かめるのが確実です。
窓口での立て替えをなくす手続き
高額療養費は後から払い戻す制度なので、何もしなければ一度は全額を立て替えることになります。事前に手続きをしておけば、窓口での支払いを最初から上限額までにとどめられます。
マイナ保険証を使って情報の提供に同意する方法のほか、加入先へ申請して認定証の交付を受ける方法もあります。慌ただしくなる前の、体調が落ち着いている時期に済ませておくと負担が減ります。
それでも一時的な立て替えが重い場合には、高額療養費の支給見込額の8割相当額を無利子で貸し付ける制度が用意されています。加入先によって取り扱いが違うため、支部の窓口で相談できます。
- 保険証または資格情報のお知らせ
- 介護保険の被保険者証と負担割合証
- 限度額の適用に関する認定証
- 直近1年分の医療費の領収証
これらをひとつの封筒にまとめておけば、相談のたびに探し回らずに済むはずです。
介護保険から出る費用と要介護度ごとの上限額
介護保険には、1か月に使えるサービスの量そのものに上限があります。金額の上限ではなく量の上限なので、医療保険とは考え方が異なる点に注意が必要です。
1か月に使える量を決める区分支給限度基準額
厚生労働省の告示は、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの量を単位数で定めており、要介護1は16,765単位、要介護5は36,217単位とされています。1単位を10円として換算すると、下の表の金額になります。
| 要介護度 | 1か月の限度額 | 1割負担のときの目安 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 167,650円 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 約36,217円 |
この枠の中で使う限り、負担は原則1割で済みます。厚生労働省は、限度額を超えてサービスを使った場合には超えた分が全額自己負担になると説明しており、そこが介護費の膨らむ分かれ目です。
なお、1単位あたりの単価は地域とサービスの種類によって上乗せされるため、実際の金額は表の数字より少し高くなる地域もあります。
末期がんの療養では体の状態が短い期間で変わり、認定を受けたときの要介護度では枠が足りなくなる場合があります。区分変更の申請は途中でもでき、認められれば枠が広がります。
40歳から64歳でもがん末期なら介護保険を使えます
介護保険は65歳以上が対象という印象を持たれがちですが、40歳から64歳の方でも、特定疾病が原因で介護が必要になれば給付を受けられます。
厚生労働省が示す16の特定疾病の筆頭には「がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)」が挙げられています。
働き盛りの世代がご本人であっても、要介護認定を受ければ介護ベッドやヘルパーの費用に保険が使えます。申請の窓口はお住まいの市区町村で、主治医の意見書が判定の材料になります。
介護ベッドや車いすを借りるときの費用
起き上がりを助ける介護ベッドやエアマットは、買い取りではなく月ごとの貸与として介護保険から給付されます。負担割合に応じた額を毎月支払う形なので、初期費用は大きくなりません。
ただし、要介護度が軽い段階では貸与の対象から外れる品目があります。状態の変化が速い末期がんの療養では例外的に認められる場合もあり、担当のケアマネジャーが市区町村と調整します。
貸与の料金は事業所ごとに違い、同じ品目でも幅があります。複数の候補を並べて比べたい旨を伝えれば、担当者が価格の一覧を出してくれるはずです。
訪問介護やショートステイの使い方
体を拭く、おむつを替える、食事を手伝うといった介助はヘルパーに頼め、その費用も限度額の枠から支払われます。入浴の介助は専用の浴槽を持ち込む訪問入浴という形で受けられます。
介護する家族が休むために短期間だけ施設へ預けるショートステイも、同じ枠を使います。ただし宿泊に伴う食費と滞在費は保険の外なので、日数分の実費が別に必要です。
限られた枠をどう配分するかで、家族の休息量も月の負担額も変わります。何を優先するかを早い段階でケアマネジャーと話し合っておくと、後から慌てずに済みます。
介護の費用を軽くする高額介護サービス費と合算の仕組み
介護費にも月ごとの上限があり、医療費と介護費を1年分まとめて見る制度も用意されています。いずれも申請しなければ戻らないお金なので、存在を知っているかどうかで手元に残る額が変わります。
月ごとの介護費に上限を作る高額介護サービス費
厚生労働省は、1か月の利用者負担の合計が所得に応じた上限額を超えた場合、その超えた分を介護保険から支給すると説明しています。これが高額介護サービス費です。
| 所得の区分 | おおよその対象 | 負担の上限額(月額) |
|---|---|---|
| 第4段階の① | 市区町村民税の課税世帯で課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 第4段階の② | 課税所得380万円から690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 第4段階の③ | 課税所得690万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 第2段階と第3段階 | 市町村民税の世帯非課税 | 24,600円(世帯) |
多くの家庭が当てはまる第4段階の①では、月44,400円が世帯としての上限になります。ただし福祉用具の購入費や食費、居住費などは合計の対象から外れます。
支給を受けるには市区町村への申請が必要です。一度申請すれば以降は自動で振り込まれる自治体が多いので、最初の1回を忘れないようにしましょう。
医療と介護を1年分まとめる高額介護合算療養費
医療費と介護費のどちらも重い家庭のために、1年分を合算して上限を設ける制度があります。対象となる期間は毎年8月1日から翌年7月31日までです。
全国健康保険協会が示す基準額では、70歳以上で一般にあたる場合が年56万円、低所得Ⅱにあたる場合が年31万円と定められています。70歳未満で標準報酬月額26万円以下の区分は年60万円です。
年をまたいで療養が続いた家庭ほど効いてくる制度ですが、こちらも申請しなければ支給されません。年度が変わる時期に、加入先へ問い合わせる予定を入れておくと取りこぼしを防げます。
確定申告で戻る医療費控除
国税庁の説明によれば、1年間に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額と10万円を差し引いた額が、医療費控除の対象になります。総所得金額等が200万円未満の方は10万円ではなく5パーセントです。
在宅療養で見落とされがちなのが、おむつ代と通院の交通費です。おおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合、医師が発行するおむつ使用証明書があればおむつ代も対象に含められます。
要介護認定を受けている一定の方は、市町村長等が交付する確認書等を証明書の代わりにできます。介護保険で提供された一定の居宅サービスの自己負担額も、対象に入ります。
なお、公共交通機関を使えない場合を除きタクシー代は含められず、自家用車のガソリン代や駐車場代も対象外です。領収証は年をまたいで保管しておくと申告のときに困りません。
末期がんの在宅看取りの費用が家庭ごとに大きく違う理由
同じ病名でも家庭ごとに費用が違うのは、病状と地域と家族構成という三つの条件が重なるからです。だからこそ、他の家庭の総額をそのまま自分に当てはめる読み方は危うくなります。
病状が変わると医療費はどう動く?
痛みが強い時期や呼吸が苦しい時期には、訪問の回数が増え、使う薬や機器も多くなります。医療費が最も高くなりやすいのは、状態が急に変わる最期の数週間です。
もっとも、医療費が増えても高額療養費の上限があるため、窓口負担の伸びには天井があります。増えた分がそのまま家計へ跳ね返るわけではない点は、覚えておくと気持ちが軽くなります。
逆に、穏やかな経過で訪問が月2回程度にとどまる場合は、上限額に届かない月もあります。その月の負担は、実際にかかった医療費の1割から3割に収まるでしょう。
地域とサービスの種類で単価が変わります
介護報酬には地域ごとの上乗せがあり、都市部と地方では同じサービスでも金額が異なります。1単位を10円として計算した目安より、実際の請求が高くなる地域があるのはこのためです。
福祉用具の貸与料や、事業所ごとに設定される加算の有無も、月の合計を左右します。同じ要介護度でも、組み合わせるサービスが違えば負担額はそろいません。
ケアプランを作る段階で、単価の高いサービスと安いサービスを見比べておくと、限られた枠を有効に配分できます。
支える家族の人数で介護サービスの量が変わります
日中に付き添える家族がいる家庭と、独居や日中独居の家庭とでは、必要なヘルパーの時間数がまるで違います。介護費の差は、この人手の差から生まれます。
介護のために仕事を減らせば収入も下がるため、家計への影響はサービス費だけでは測れません。介護休業や勤務先の制度も含めて、早い時期に見通しを立てておくのが賢明です。
- 夜間の見守りが必要な状態
- 介護する家族が一人だけ
- 医療用の機器を複数使っている
- 集合住宅で住宅改修が要る
こうした条件が重なる家庭ほど、費用は上振れしやすくなります。当てはまる項目が多いときは、早めに枠の配分を相談しておくと安心です。
在宅看取りの費用で慌てないために先に確かめる項目
費用の不安は、金額が高いことよりも見通しが立たないことから生まれます。契約の前に三つの相手へ同じ質問を投げておけば、月ごとの姿はかなり具体的になります。
見積もりを頼む相手
医療費の見込みは在宅医療を担う医療機関へ、訪問看護の費用は訪問看護ステーションへ、介護費はケアマネジャーへ尋ねるのが筋道です。三者の数字をそろえると、月の総額が見えてきます。
質問するときは負担割合を先に伝えると、返ってくる数字が具体的になります。1割か2割か3割かで、答えはまったく違うものになるからです。
あわせて、訪問が増えた場合の上振れ幅も聞いておくとよいでしょう。穏やかな月と忙しい月の両方を聞けば、幅として受け止められます。
保険の外の実費を紙に書き出す
保険が効かない出費は、種類が多いわりに一つひとつが小さいため、頭の中だけでは把握しきれません。紙に書き出して合計すると、思っていた額とのずれが見えてきます。
- 紙おむつ、尿とりパッド
- 使い捨て手袋、清拭のタオル
- 栄養補助食品、とろみ剤
- 診断書などの文書料
- 医療機器の電気代
自治体によっては、紙おむつの支給や購入費の助成を行っている場合があります。市区町村の高齢福祉の窓口で、利用できる助成がないかを確かめておくと出費を抑えられます。
請求が届く時期と亡くなった後の精算
在宅医療や介護サービスの請求は、その月のサービスが翌月以降にまとめて届く形が一般的です。看取りの直後に、前の月の分と当月分がまとめて届く場合もあります。
高額療養費や高額介護サービス費の払い戻しは、亡くなった後でも相続人が受け取れます。手続きの窓口や必要な書類は加入先で異なるため、落ち着いてから問い合わせれば間に合います。
医療費控除についても、同じ生計で支払った家族が申告できます。慌てて捨てずに、領収証を一つの箱にまとめておくのが最も確実な備えです。
よくある質問
- 末期がんの在宅看取りは入院より費用が安く済みますか?
-
どちらも医療保険の高額療養費が働くため、月の窓口負担の上限は同じ考え方で決まります。ただし入院では食費や差額ベッド代が別に必要になり、在宅では介護サービスの費用が加わります。
単純にどちらが安いとは言えず、必要な医療の量と家族の介護力で総額は変わります。両方の見積もりを並べて比べる方法が現実的です。
- 末期がんの在宅療養で医療費の月額が上限を超えたらどうなりますか?
-
所得の区分ごとに決められた上限を超えた分は、高額療養費として払い戻されます。事前に手続きをしておけば、窓口での支払いを最初から上限額までにとどめられます。
直近1年に3か月以上該当した場合は、4か月目から上限がさらに下がります。過去の支給の履歴を加入先に確かめておくと、取りこぼしを防げます。
- 末期がんで50代の場合も介護保険の費用は使えますか?
-
40歳から64歳の方でも、回復の見込みがない状態にあると医師が判断したがんは特定疾病にあたり、要介護認定を受ければ介護保険を使えます。
申請の窓口はお住まいの市区町村です。認定までには日数がかかるので、療養の方針が固まった時点で早めに相談しておくと間に合いやすくなります。
- 在宅看取りで訪問看護の費用は介護保険の枠を使いますか?
-
末期の悪性腫瘍は厚生労働大臣が定める疾病等に含まれるため、要介護認定を受けている方でも訪問看護は医療保険から給付されます。介護保険の限度額を消費しません。
そのぶん介護保険の枠をヘルパーや福祉用具に回せます。一方で費用は医療費の側に積み上がるので、高額療養費の上限とあわせて見ておくと見通しが立ちます。
- 在宅看取りの費用は亡くなった後に払い戻しを受けられますか?
-
高額療養費や高額介護サービス費は、ご本人が亡くなった後でも相続人が請求できます。必要な書類や窓口は加入先によって違うため、落ち着いてから問い合わせても間に合います。
医療費控除についても、同じ生計で医療費を支払った家族が確定申告で申告できます。領収証をまとめて保管しておくと手続きが進めやすくなります。


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