塩分を我慢しなくても、食事量が減ると塩分も減る?ダイエット外来で気づいたこと

  • 食事量が自然に減ると、塩分の摂取量も減りやすくなる
  • 減塩は「我慢して味をうすくする」だけではない
  • 体重が減ると、血圧に良い変化が出る人がいる
  • 降圧薬は自己判断で減らしたり中止したりしてはいけない
  • 高血圧がある人のダイエットは、血圧や血液検査の結果を確認しながら進める
目次

はじめに

高血圧と診断されると、「体重を減らしましょう」「塩分を控えてください」と言われることが多いと思います。

頭ではわかっていても、毎日の食事で塩分を意識し続けるのは、なかなか簡単ではありません。うすい味に慣れるまで時間がかかることもありますし、晩酌のおつまみや外食のたびに気をつけるのは、精神的にも疲れます。

ダイエット外来で印象的だったのは、「塩分を意識して我慢した」からではなく、「食事量が自然に減ったことで、結果として塩分の摂取量も減っていた」という経過を見せた方がいた、ということです。

この記事では、食事量と塩分の関係、晩酌時のおつまみが持つ意味、降圧薬を内服している人がダイエットするときの注意点について説明します。


食事量が減ると、塩分摂取量も減りやすい

同じ食事内容なら、食べる量が減れば塩分も減る

塩分の摂取量は、「味の濃さ」だけで決まるわけではありません。何をどれだけ食べるか、その総量にも大きく影響を受けます。

たとえば、1日の食事から塩分を10g程度摂っている人が、食事の内容はそのままで食べる量を7割に減らしたとします。単純計算では、塩分摂取量も7g程度になります。

日本高血圧学会は、高血圧の人の食塩摂取量の目標を1日6g未満と定めています。7gはまだ目標には届きませんが、10gから7gへの変化でも、血圧への影響は小さくありません。

もちろん、実際には食品の選び方や味付けによって数字は変わります。同じ7割の食事量でも、塩辛いおかずや加工食品が多ければ、塩分は思いのほか多くなります。

「塩分を我慢する」だけが減塩ではない

麺類の汁、漬物、味噌汁、加工食品、干物など、日本の食卓には塩分が多くなりやすい食品が多くあります。これをすべて「我慢」で制限しようとすると、日常生活に大きなストレスがかかります。

一方、食事量そのものが自然に減れば、塩辛い食品を選ぶ場面そのものが減ります。食事の量が変わることは、塩分摂取量を下げるひとつの入り口になります。

ただし、食事量が減っても塩分の濃い食品を少量でも頻繁に食べていれば、塩分は減りません。食事量の変化は減塩の一助にはなりますが、「塩分制限が不要になる」わけではないという点は、はっきりお伝えしておきます。


晩酌のおつまみは、塩分が増えやすい盲点です

塩辛いおつまみは少量でも塩分が多い

晩酌をする人が見落としやすいのが、おつまみによる塩分です。

塩辛、漬物、干物、珍味、チーズ、加工肉、スナック菓子、味の濃い惣菜——これらは少量でも塩分が多く、「ちょっとだけ」のつもりでも積み重なります。飲みながら食べると、食べた量の感覚がつかみにくくなることも、塩分が増えやすい原因のひとつです。

場面 塩分が増える理由 見直しやすい点
晩酌のおつまみ 塩辛、漬物、珍味、干物など塩分が多い食品が多くなります 塩辛いおつまみを枝豆、豆腐、刺身などに置き換えます
麺類の汁 スープ・つゆに多量の塩分が含まれます 汁を飲み干さず、半分以上残します
漬物・佃煮 少量でも塩分が高く、食事のたびに積み重なります 量を減らすか、浅漬けや無塩のものに変えます
加工食品・惣菜 塩分量の表示を確認しにくく、摂りすぎに気づきにくいです 栄養成分表示を確認する習慣をつけます
味噌汁・スープ 1杯あたりの塩分は少なく見えても、1日複数回飲むと増えます 1日1杯を目安にし、具を多くして汁の量を減らします
外食・定食 味が濃く、量も多いため、1食で目標量を超えることがあります 汁物を残す、漬物を控える、ご飯の量を減らすなどで調整します

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

お酒そのものも血圧と無関係ではない

塩分の話に集中しましたが、飲酒量が多いと血圧も上がりやすくなります。おつまみだけを見直しても、飲酒量が多ければ血圧管理は難しくなります。

晩酌の習慣をどう見直すかについては、受診時に一緒に確認するのが現実的です。一律に禁止するのではなく、量やおつまみの内容を一緒に考えます。


ダイエット外来で見えた、体重・血圧・塩分の変化

循環器の主治医からも減量を勧められていた方の経過

外来で印象的だった経過をひとつ紹介します。

50代後半の女性で、降圧薬を内服中でした。循環器の主治医からも、以前から体重を減らすよう言われていたそうです。もともと食事量が多く、晩酌の習慣があり、塩辛いおつまみをよく食べていました。

ダイエット外来を受診し、マンジャロを開始してから1か月で、体重が6kg以上減少しました。血圧も下がってきました。

変わったのは体重だけではありませんでした。食事量が以前の7割程度になり、楽しみであるご主人との晩酌は続けているもののおつまみが不要になってきた、とおっしゃっていました。食事量が減り、塩辛いおつまみも減ったことで、塩分の摂取量も自然に減っていたと考えられます。

さらに、私から勧められたブルガリアンスクワットも継続していました。体重だけでなく、筋肉を落とさないための工夫も続けていたことが、良い経過につながった一因だと思います。

この症例で本当に嬉しかったのが、大きくない努力で「一日の楽しみであるご主人との晩酌」を続けながら、痩せることができ、血圧まで下がったことです。服も合わなくなってきたから、もうワンサイズ小さいものを探そう、と嬉しそうに話していました。本来ならストイックな修行のようになりがちなダイエットと減塩を自然にできるようになったのです。

人生における「健康」というのは最終目的ではなく、人生を楽しむための手段であると考えています。どんなに健康でも、道のりが辛ければ、幸せを感じにくいものです。最小の努力で最大の結果を出し、みなさんが人生を楽しんでほしいと心から願っています。

薬だけでなく、食事量と運動も変わっていた

この経過で大切なのは、「マンジャロで血圧が下がった」ということではありません。

体重が減り、食事量が減り、塩辛いおつまみが減り、運動習慣が加わった——これらが同時に良い方向へ動いた結果として、血圧にも変化が出たということです。

この経過が全員に当てはまるわけではありません。体重の減り方も、血圧の変化も、個人差があります。ただ、この方のように、複数の要素が重なって良い変化が出ることがある、ということは伝えておきたいと思います。


4. 体重が減ると、血圧にも良い変化が出る

体重減少と血圧低下には関連があります。複数の研究をまとめたメタ解析では、平均約5kgの体重減少で収縮期血圧・拡張期血圧の低下が示されています。

ただし、どの程度血圧が下がるかは人によって異なります。「何kg減れば何mmHg下がる」と単純に計算することはできません。

なぜ体重が減ると血圧に変化が出やすいのかは、内臓脂肪、交感神経、腎臓での塩分の処理、心臓や血管への負担など、複数の要因が関係しています。詳しいしくみについては、肥満と高血圧の関係についてはこちらで詳しく解説しています


降圧薬を飲んでいる人は、自己判断で薬を減らしてはいけません

家庭血圧を記録する

体重が減り、食事量や塩分が変化すると、血圧も変動します。この変化を自分でも把握するために、家庭血圧を毎日記録することが重要です。

朝(起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前)と夜(就寝前)に測定し、数値と体調をメモしておきます。体重、食事内容、飲酒の有無なども記録しておくと、診察時に状況を正確に伝えやすくなります。

ふらつきや立ちくらみは見逃さない

降圧薬を飲んでいる人が体重減少や食事量低下によって血圧が下がりすぎると、ふらつき、立ちくらみ、だるさが出ることがあります。これらの症状が出たら、すぐに医師に相談してください。

降圧薬を自己判断で減らしたり中止したりしてはいけません。自己中断すると、血圧が急に再上昇することがあります。

血圧が下がってきたと感じた場合は、家庭血圧の記録を持参して、処方元の主治医に相談します。薬の調整が必要かどうかは、医師が血圧の推移、体調、血液検査の結果などを総合して判断します。

「降圧薬をやめるためにダイエットする」ではなく、「血圧を安定して管理するために体重を整える」という考え方で進めることが、安定した経過につながります。


医療ダイエットでは、体重だけでなく血圧・血液検査も見ます

自己流ダイエットとの違い

自己流でダイエットをすると、どうしても体重だけを追ってしまいます。体重が減れば安心、減らなければ焦る——その繰り返しになりがちです。

医療ダイエットでは、体重だけでなく、血圧、血液検査、体調の変化を確認しながら進めます。血液検査では、血糖、脂質、肝機能、腎機能、尿酸などを確認します。高血圧がある方では、これらの数値が体重と連動して変化することがあります。

薬剤を使用している場合は、体調の変化や副作用の確認も行います。

また、体重を減らす際には筋肉を落としすぎないことも重要です。筋肉量を維持するための食事(たんぱく質の確保)と運動については、診察の中で一緒に確認します。運動については、膝や腰、心臓に不安がある場合は、内容を医師と相談してから始めてください。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で高血圧も気になる方へ

富士市、富士宮市、沼津市周辺にお住まいで、「体重を減らしたい」「血圧が高い」「主治医から体重管理を勧められている」という方は、当院のダイエット外来にご相談ください。

体重だけでなく、血圧や血液検査の結果を確認しながら進めることができます。降圧薬を処方しているほかの医療機関がある場合も、連携しながら対応します。当院のダイエット外来について詳しくはこちら


まとめ

  • 食事量が自然に減ると、塩分の摂取量も減りやすい
  • 晩酌のおつまみは塩分の盲点になりやすく、見直しの効果が出やすい箇所でもある
  • 体重減少は血圧管理にも関係する
  • 降圧薬は、血圧が下がってきても自己判断で変えてはいけない
  • 高血圧がある人のダイエットは、体重だけでなく血圧・血液検査を見ながら、医師と相談して進める

富士市、富士宮市、沼津市周辺で、血圧も気になりながら体重管理を考えている方は、ダイエット外来でご相談ください。

よくある質問(FAQ)

高血圧の薬を飲んでいても、ダイエット外来を受診できますか?

受診できます。ただし、現在内服している薬を確認しますので、お薬手帳をご持参いただくか、薬の名前と量がわかるものをお持ちください。

体重が減少すると血圧が変化することがあります。降圧薬の調整が必要になった場合は、処方元の主治医と情報を共有しながら進めます。降圧薬を自己判断で減らすことは、受診前も受診後も避けてください。

食事量が減ると、自然に塩分も減りますか?

同じ食事内容のまま食べる量が減れば、塩分の絶対量も減ります。たとえば1日10gの食塩を摂っている人が、食事量を7割に減らせば、単純計算では約7gになります。

ただし、塩分の濃い食品(漬物、加工食品、おつまみなど)を少量でも多く食べている場合は、食事量を減らしても塩分が十分に下がらないことがあります。食事量の変化は減塩の一助になりますが、塩分管理が不要になるわけではありません。

晩酌をしていると、ダイエット外来では注意されますか?

一律に禁止するわけではありませんが、飲酒量は体重にも血圧にも影響するため、診察の中で確認します。

特に塩辛いおつまみの内容は重要です。塩辛、漬物、珍味など塩分の多いものを減らすだけでも、1日の塩分摂取量は変わります。まずおつまみを見直すことが、取り組みやすい最初の一歩になることがあります。飲みすぎが続いている場合は、量についても一緒に考えます。

体重が減って血圧も下がってきたら、降圧薬を自分で減らしてよいですか?

自己判断で降圧薬を減らしたり中止したりしてはいけません。

血圧が下がってきたと感じたら、朝と夜の家庭血圧、体重、体調を記録し、処方してもらっている医師に相談してください。薬の量や種類の調整は、血圧の推移や体調を確認したうえで医師が判断します。自己中断すると、血圧が急に再上昇するリスクがあります。

マンジャロやリベルサスを使うと、血圧も下がりますか?

マンジャロ(チルゼパチド)もリベルサス(セマグルチド)も、高血圧の治療薬ではありません。

ただし、これらの薬によって体重が減り、食事量や塩分摂取量が変化した結果として、血圧に良い変化が出る人はいます。「薬が直接血圧を下げる」のではなく、体重・食事・生活習慣の変化が血圧に影響することがある、というのが正確な理解です。

適応、副作用、使用上の注意については診察で確認します。詳しい情報はマンジャロの効果や副作用についておよびリベルサスの特徴と注意点もご参照ください。

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