- 耳ツボダイエットをする前に、血液検査をしておきましょう
- 体重が減ることと、健康状態がよくなることは同じではありません
- 耳ツボダイエットで体重が減る場合、食事制限や置き換えの影響も考えられます
- 高額なダイエットサービスでは、サプリメント代を含めた総額を確認しましょう
- 妊娠糖尿病の経験がある方は、その後の糖尿病リスクにも注意が必要です
- 採血の結果によっては、自由診療ではなく保険診療を選択することがあります
耳ツボダイエットをする前に、血糖値を確認していますか?
耳ツボダイエットに興味を持つことは、決して悪いことではありません。
「できるだけ早く体重を落としたい」「誰かに伴走してもらいながらダイエットを続けたい」という気持ちは、とても自然なことです。整体院やサロン、美容クリニックなど、さまざまな場所でダイエット支援が行われるようになり、選択肢が広がっていることも事実です。
この記事を書こうと思ったきっかけがあります。
30代後半の女性が耳ツボダイエットで金属アレルギーが出たため、続けられなくなり来院しました。採血の結果で糖尿病であることが判明し、保険診療に切り替えました。話を伺うと、もともと妊娠糖尿病があったが、出産直後には改善し、ながらく検査をしていなかったようでした。
耳ツボダイエットのサロンでは、朝夕の食事をプロテインに置き換えて、サプリなど入れて総額40万円ほどかかったそうです。それで2か月で3kgほど減ったとのことでした。
本来はちゃんと検査の上で、施術を行うべきなのに、それをせずに体重ばかりにフォーカスをしています。私はこれは非常に罪深いことだと思います。幸い、金属アレルギーで続けられなくなったため、当院に来院しましたが、そうでなければ、糖尿病を放置したまま施術を続けていたかもしれません。
体重だけを見て、高額なダイエットサービスを始める前に、血液の状態(特に血糖値やHbA1c)を確認した方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。
この記事は、耳ツボダイエットを否定するためのものではありません。ただ、体重が減ることと、体の健康状態が整うことは、必ずしも同じではありません。特に、妊娠糖尿病の経験がある方や、健康診断で血糖値を指摘されたことがある方には、高額なダイエットを始める前に、一度立ち止まって確認してほしいことがあります。
体重だけでは、体の状態は分かりません
体重は、確かに分かりやすい指標です。毎日測れますし、数字が減れば手応えを感じやすい。
ただ、体重計の数字は、血糖値が高いかどうかは教えてくれません。肝機能や腎機能の状態も、見えてきません。体重が2〜3kg減ったとしても、血糖値が高い状態が続いていることは十分あり得ます。
逆に言えば、血糖値の管理がうまくいくと、体重も少しずつ安定してくることが多いのです。体重と血液検査の結果は、セットで確認する価値があります。
「少し痩せた」ことと「健康になった」ことは同じではありません
耳ツボダイエットや置き換えダイエットで体重が減った経験がある方もいるかもしれません。その体験を否定したいわけではありません。
ただ、「少し痩せた」ことと「体の状態が改善した」ことは、必ずしも同じではありません。たとえば、筋肉量が落ちて体重が減った場合、見た目の体重は減っていても、基礎代謝が下がり、血糖値の管理にはむしろ逆効果になることもあります。体重が減った理由が何によるものかを、冷静に考えてみることも一つの視点です。
高額なダイエットを始める前に、まず確認してほしいことがあります
耳ツボダイエットのプログラムは、初回だけでなく、月々の施術費用や専用のサプリメント、食品の購入が続くケースもあります。総額で数十万円になることも珍しくありません。
高額なサービスを始める前に、まず自分の体の状態を知ることが、結果として最も効率的な判断につながるのです。
耳ツボダイエットで体重が減る理由は、食事制限や置き換えの影響かもしれません
耳ツボそのものの効果だけで判断しないことが大切です
耳ツボ(耳介刺激)が食欲や体重に影響する可能性を示す研究は、いくつか存在します。ただし、その研究の多くは、同時に食事指導や置き換え食も組み合わせており、耳ツボだけの効果を独立して評価することは難しい状況です。
耳ツボダイエットを否定するのではありませんが、「耳ツボそのものだけで体重が減った」と断定することも、現時点では難しいと言えます。
体重が減ったとしたら、耳ツボの効果によるものなのか、同時に行っている食事の変化によるものなのかを、分けて考えることが必要です。
プロテイン置き換えで摂取カロリーが減っている可能性があります
耳ツボダイエットのプログラムでは、食事の一部をプロテインドリンクやシェイクに置き換えることを勧めるケースがあります。
プロテインによる置き換えは、摂取カロリーを減らす一つの方法です。体重減少につながることはあります。ただし、腎機能や肝機能に問題がある方、慢性腎臓病(CKD)がある方では、極端に高たんぱくな食事を長く続けることで腎機能に影響が出る可能性があります。
必ずしも「プロテインは腎臓に悪い」ということではありません。健康な方では通常の範囲であれば問題になりにくいことが多いです。ただ、eGFR(糸球体濾過量)が低い方や、糖尿病・高血圧がある方では、自己判断で高たんぱく食を続けることは避け、医師に相談してから判断することをお勧めします。
サプリメントを加える前に、今の体の状態を確認しましょう
プログラムに含まれる専用サプリメントを、月々の費用を払いながら継続しているという話も耳にします。
サプリメントそのものを否定しませんが、現在の体の状態(血糖値、肝機能、腎機能、栄養状態など)を確認しないまま複数のサプリメントを長期間続けることは、体に合う場合もあれば合わない場合もあります。何かを加える前に、今の体の状態を一度整理することが、遠回りに見えて確実な判断につながります。
高額なダイエットサービスを受ける前に確認したいこと
総額でいくらかかるのかを確認しましょう
初回の体験料や入会金が低く見えても、プログラム全体の費用、月々の施術費、サプリメント代を合計すると、数か月で数十万円になることがあります。契約前に「全体でいくらかかるのか」を書面で確認することを、一度立ち止まって行ってみてください。
サプリメント代や追加費用も含めて考えましょう
プログラムに含まれる専用食品やサプリメントが、必須扱いになっているケースもあります。「このサプリを飲まないと効果が出ない」と言われた場合、その内容が本当に自分に必要かどうかは、医療機関での採血結果をもとに判断する方が確実です。
途中で合わなかった場合の対応も確認しましょう
体質に合わなかった場合や、途中で続けられなくなった場合の対応(返金・解約・違約金など)は、契約前に確認することが消費者として自分を守ることにつながります。特定商取引法に基づくクーリングオフの対象になる場合もありますが、サービスの種類や契約形態によって異なります。
以下の表は、高額なダイエットサービスを始める前に確認しておきたい項目をまとめたものです。
| 確認すること | なぜ確認するのか | 確認しなかった場合のリスク |
|---|---|---|
| 総額費用 | 初回費用だけでなく、月々の施術・サプリ・食品の合計を確認します。 | 想定外の出費が続くことがあります。 |
| サプリメントの必要性 | 採血で栄養状態を確認してから判断する方が安全です。 | 体に合わないものを継続するリスクがあります。 |
| 解約・中止時の対応 | 合わなかった場合の手続きを事前に把握しておきます。 | 高額な違約金が発生することがあります。 |
| 金属アレルギーの有無 | 耳ツボで使用する金属粒やシールに反応することがあります。 | 皮膚症状(かゆみ・赤み・湿疹)が出ることがあります。 |
| 血糖値・HbA1c | 糖尿病型の有無を確認することで、方針が変わることがあります。 | 医学的に優先すべき治療を後回しにするリスクがあります。 |
| 肝機能・腎機能 | 置き換えやサプリの安全性に関わります。 | 体の状態に合わないダイエット法を続けることがあります。 |
※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。
当院への通院をやめたくなったとき
当院に通いたくなくなった時のことに言及しないのはアンフェアですね。
当院のダイエット外来が合わない、目標体重に達した、などがあれば、何も言わずに来なければ良いのです。こちらから連絡も差し上げませんし、何も気にすることはありません。体重が順調に減っている方が、ある日来なくなったら、「きっと目標に達したので卒業したのだな」と思いますし、体重の動きが悪い方であれば「もっと良い方法を見つけたのだな」と思うだけです。
高額なダイエットで見落とされやすい医学的なポイント
血糖値が高いまま、体重だけを追いかけてしまうことがあります
体重と血糖値は、関連していることが多いのは事実です。ただし、体重が少し下がっても、血糖値が依然として高い状態が続いていることはあります。
逆に言えば、血糖値が高い方が食事管理を続けて体重を落とそうとするとき、糖尿病の状態を先に確認せずに進めることで、適切な治療の機会が遅れることがあります。体重ばかりに意識が向いているとき、血液の中で何が起きているかは見えにくくなりがちです。
肝機能・腎機能・脂質異常が隠れていることもあります
肥満や内臓脂肪が多い方では、肝機能の異常(脂肪肝など)や脂質異常症(中性脂肪やLDLコレステロールの高値)が隠れていることがあります。これらは自覚症状がほとんどなく、血液検査を受けて初めて分かることがほとんどです。
極端な食事制限や急激な減量は、体調不良や栄養バランスの乱れにつながることがあります。脂肪肝や肝機能異常がある方では、採血で状態を確認しながら進めた方がよいでしょう。
金属アレルギーなど、体質に合わない方法は続けにくいことがあります
耳ツボダイエットでは、耳に小さな金属粒やシールを貼る方法が一般的です。金属アレルギーがある方では、かゆみ・赤み・湿疹などの皮膚症状が出ることがあります。
使用される金属の種類(ステンレス・チタンなど)によってリスクは異なり、すべての耳ツボ施術でアレルギーが起きるわけではありません。ただ、過去に金属(アクセサリーや時計など)でかゆみや発疹が出たことがある方は、施術前に担当者に確認されることをお勧めします。皮膚症状が出た場合は、すぐに施術を中止し、皮膚科に相談してください。
妊娠糖尿病の経験がある方は、ダイエット前に血糖値の確認をしましょう
妊娠糖尿病は「出産したら終わり」とは限りません
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて血糖値の異常が見つかった状態のことです。出産後に血糖値が正常に戻ることは多く、「治った」と感じている方もいらっしゃるかと思います。
ただ、妊娠糖尿病を経験した方は、その後に2型糖尿病へ進むリスクが、そうでない方と比べて高いことが知られています。日本糖尿病学会や米国糖尿病学会のガイドラインでも、産後のフォローアップとして、産後4〜12週に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、その後も1〜3年ごとに血糖値を確認することが推奨されています。
何年かあとに糖尿病が見つかることがあります
「妊娠中だけの話」と思って産後に一度も血糖値を確認していない方もいらっしゃいます。特に、産後の体重管理をしたい、ダイエットを始めたいというタイミングに、血糖値の確認を合わせて行うことは理にかなっています。
HbA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病型と判断される基準の一つに該当します。ただし、糖尿病の診断はHbA1cの数値だけで確定するものではなく、血糖値の測定値や症状、再検査の結果も踏まえて、医師が総合的に判断します。まずは「どういう状態にあるのか」を知るところから始めることが、次の方針を決める助けになります。
体重管理と血糖管理は、分けて考えすぎないようにしましょう
体重を落としたいという動機は自然なことです。ただ、妊娠糖尿病の既往がある方にとっては、「体重を減らすこと」と「血糖値を管理すること」は同じ方向を向いていることが多く、両方を一緒に見ていくことが効率的です。どちらか一方だけを追いかけるよりも、セットで考えた方が安全に進みやすくなります。
ダイエット外来では、なぜ採血を行うのでしょうか?
体重を落としたいという目的のために、採血が必要なのか疑問に思う方もいるかもしれません。当院のダイエット外来では、採血を最初のステップとして位置付けています。理由は、体重だけを見ていては分からないことが、血液検査には出てくるからです。
以下の表は、ダイエット前の採血で確認できる主な項目と、その意味をまとめたものです。
| 検査項目 | 確認できること | ダイエットとの関係 |
|---|---|---|
| 血糖値 | 食後や空腹時の血糖の状態を確認します。 | 糖尿病型かどうかを判断する材料になります。 |
| HbA1c | 過去1〜2か月の血糖の平均的な状態を確認します。 | 6.5%以上は糖尿病型の基準の一つです。 |
| 肝機能(AST・ALT・γ-GTP) | 脂肪肝や肝機能の状態を確認します。 | 急激な食事制限による肝機能への影響を避けるために確認します。 |
| 腎機能(クレアチニン・eGFR) | 腎臓のろ過機能を確認します。 | 高たんぱく食や薬の使用可否に関わります。 |
| 脂質(LDL・HDL・中性脂肪) | コレステロールや中性脂肪の状態を確認します。 | 脂質異常症の有無を確認し、方針を調整します。 |
| 尿酸 | 痛風の原因となる尿酸値を確認します。 | 急激な食事制限で尿酸値が変動することがあります。 |
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採血の数字が悪くても、責められるようなことはありません。現状を知ることが、最初の一歩です。ダイエット外来を始める際に血液検査が大事な点についても言及しています。
必要があれば、自由診療ではなく保険診療を優先します
採血の結果によっては、自由診療のダイエットを進める前に、保険診療として治療を優先した方がよいケースがあります。その方にとって何が必要かを確認してから、方向性を決めることが、当院の基本的な考え方です。
体重だけでなく、血液検査も確認しながら進めるダイエット外来について
「自由診療のダイエット」ではなく、保険診療で対応すべき時もあります
糖尿病型であれば、まず糖尿病として評価することが大切です
採血の結果、HbA1cが高く糖尿病型と判断される基準に該当する場合は、自由診療のダイエットプログラムを先に進めるよりも、まず保険診療として糖尿病の評価・管理を行うことを優先します。
糖尿病の治療は保険が適用されます。適切な管理を行うことで血糖値が安定し、その結果として体重が落ちやすくなるケースも少なくありません。
高血圧・脂質異常症・脂肪肝などが見つかることもあります
ダイエットを希望して来院される方の中には、採血で初めて脂質異常症や脂肪肝が見つかるケースがあります。これらは自覚症状がないため、健康診断を受けていない方では特に見落とされやすい状態です。
こうした生活習慣病がある場合も、保険診療での管理を先に整えながら、ダイエットの方針を並行して考えていくことができます。
その方に必要な診療の形で対応します
保険診療が必要な状態であれば保険診療を、自由診療が適切な状態であれば自由診療を、その方の体の状態を見ながら判断します。どちらが合っているかは、採血の結果を見た後で決めることが多いため、まず体の状態を確認することが出発点になります。
民間のダイエット法をすべて否定したいわけではありません
自分に合っていて、無理なく続くなら選択肢になることもあります
耳ツボダイエットに限らず、民間のダイエット法の中には、食事の記録を続けるきっかけになったり、生活のリズムを整えるきっかけになったりするものもあります。続けやすく、自分の生活に合っている方法があれば、それ自体を否定するつもりはありません。
ただし、医学的な問題を見落とさないことが前提です
民間のダイエット法を続ける場合でも、医学的な背景(血糖値・肝機能・腎機能など)を確認しないまま進めることで、気付かないうちに体に負担がかかっているケースがあります。特に、高額なプログラムに長期間取り組む場合には、一度採血で体の状態を確認しておくことで、方向性を修正しやすくなります。
「痩せる方法」と「健康を守る方法」は分けて考えましょう
体重を落とすことと、体の健康状態を守ることは、目的が重なる部分もありますが、同一ではありません。体重だけを目標にすると、筋肉量の低下、栄養の偏り、血糖値の変動など、見えにくいところで体に影響が出ることがあります。「どう痩せるか」と「体をどう守るか」を同時に考えることが、結果として持続可能なダイエットにつながります。
まずは体重より、血糖値を見てみませんか?
ダイエットに不安がある方は、検査で現状を整理できます
「何か始めたいけれど、何から手をつければよいか分からない」という方には、採血で体の現状を確認することが、最初の手掛かりになります。数字を知ることで、自分に合った方針が見えやすくなります。
自己流や民間ダイエットでうまくいかなかった方も相談できます
これまで自己流で取り組んでうまくいかなかった、あるいは民間のダイエットサービスを試したが続かなかったという方も、気兼ねなくご相談ください。過去の取り組みを否定するようなことはありません。現在の体の状態を確認したうえで、次の方針を一緒に考えます。
必要に応じて、ダイエット外来または保険診療で対応します
富士市・富士宮市周辺でダイエット外来をお探しの方は、まず採血で体の状態を整理するところからご相談ください。血糖値やHbA1cを確認することで、自由診療のダイエットが適しているのか、保険診療での管理を先に行う方がよいのかが、より明確になります。
まとめ:高額なダイエットを始める前に、体の状態を確認しましょう
耳ツボダイエットや置き換えダイエットを一概に否定したいわけではありません。ただ、体重の数字だけでは見えないことが、血液検査には出てきます。血糖値、HbA1c、肝機能、腎機能、脂質——これらを確認することで、今の体に合ったダイエットの方針が選びやすくなります。
特に、妊娠糖尿病の経験がある方は、産後に血糖値を定期的に確認することが勧められています。ダイエットを始めたいと思うタイミングは、同時に血糖の状態を見直す良い機会でもあります。
採血の結果によっては、自由診療のダイエットではなく、保険診療での管理を優先することもあります。それはその方に合った形を選ぶための判断であり、どちらが「良い悪い」という話ではありません。
まず体の状態を知ることから、始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
【参考文献】
- 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024.南江堂,2024.
- American Diabetes Association Professional Practice Committee. Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. Section 2: Diagnosis and Classification of Diabetes / Section 15: Management of Diabetes in Pregnancy.
- Huang CF, Guo SE, Chou FH. Auricular acupressure for overweight and obese individuals: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2019;98(26):e16144.
- Kalantar-Zadeh K, et al. Protein intake and chronic kidney disease. Current Opinion in Nephrology and Hypertension, 2017;26(1):54-59.

