- 更年期以降は女性ホルモンの変化により、お腹周りの脂肪が目立ちやすくなる方がいます
- お腹周りの脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があり、見た目だけでは区別できません
- 極端な食事制限だけで痩せると、筋肉が落ちてリバウンドしやすくなります
- マンジャロやリベルサスを使う場合も、薬だけでなく食事・運動・体調確認をセットで進める必要があります
- 富士市・富士宮市・沼津市周辺で体重管理に悩む方は、健診結果や採血をもとに医師へ相談できます
更年期以降にお腹周りの変化を感じた方から、こんな話をよく聞きます。
「体重はそれほど増えていないのに、ズボンのウエストだけきつくなった」「昔は少し食事を減らせばすぐ戻ったのに、最近は下腹だけどうしても残る」「健診で中性脂肪や血糖を指摘されて、見た目だけの問題ではないと気づいた」。
こうした変化を、努力不足やだらしなさのせいにする必要はありません。更年期以降のお腹周りの変化には、体の仕組みが深く関わっています。
同時に、「年齢だから仕方ない」と諦める必要もありません。脂肪の種類とリバウンドの仕組みを理解し、食事・筋肉・睡眠・必要に応じた医療サポートを組み合わせることで、体重を維持しやすくすることは目指せます。
富士市・富士宮市・沼津市周辺で更年期の体重管理に悩む方にも参考になるように解説します。
更年期からお腹周りが太りやすくなるのは、珍しいことではありません
「食べていないのに太る」と感じやすい時期
更年期以降にお腹周りの変化を感じる女性は少なくありません。「特に食事の量を増やしていないのに」「むしろ気をつけているのに」と感じながら、気づいたらウエストが変わっていたというケースもあります。
これは意志が弱いせいでも、だらしないせいでもありません。女性ホルモンの変化、筋肉量の低下、睡眠の乱れ、活動量の変化など、複数の要因が重なった結果として起きることです。
体重より先にウエストが変わる人もいます
更年期以降の体の変化では、体重の数字が大きく変わっていなくても、ウエストや下腹の形が変わることがあります。体重計の数字だけを見ていると、この変化を見逃しやすくなります。
ズボンのウエストのきつさ、以前と同じサイズの服が合わなくなった感覚、腹囲の変化、健診でのウエスト測定値。こうした変化も、体重と同じくらい大事なサインです。
更年期以降のお腹周りの変化は、努力不足だけでは説明できません。ただし、原因を見極めれば対策は立てられます。
女性ホルモンの変化で、脂肪のつき方が変わります
エストロゲン低下と脂肪分布の変化
更年期は、閉経前後に女性ホルモン、特にエストロゲンが大きく変化する時期です。日本人女性の閉経年齢の中央値は50〜51歳前後とされており、閉経前後の約10年間を更年期と呼びます。
エストロゲンには、脂肪の分布に影響する働きがあります。若い頃は下半身や皮膚の下に脂肪がつきやすい傾向がありますが、エストロゲンが低下する閉経前後から、お腹周りの脂肪が目立ちやすくなる方がいます。
洋ナシ型からリンゴ型へ移りやすくなる方がいます
体型の変化として、若い頃は下半身が気になる「洋ナシ型」だった方が、更年期以降にウエスト周りが目立つ「リンゴ型」に近づいたと感じることがあります。これはエストロゲン低下によって脂肪の分布が変化しやすくなるためと考えられています。ただし、すべての女性にこの変化が起きるわけではありません。
更年期とダイエット全体の関係については、更年期とダイエットの記事で詳しく解説しています。
筋肉量・睡眠・活動量もお腹周りに影響します
お腹周りの変化は、女性ホルモンだけで決まるわけではありません。
更年期の時期は、筋肉量の低下、睡眠の質の変化、ストレスの増加、活動量の低下も重なりやすい時期です。これらが組み合わさることで、食事量が変わっていなくても体重や体型が変わりやすくなります。
女性ホルモンの変化は、脂肪のつき方に影響します。ただし、お腹周りの変化はホルモンだけで決まりません。
内臓脂肪と皮下脂肪は、同じ「お腹の脂肪」でも意味が違います
お腹周りの脂肪には、大きく分けて「内臓脂肪」と「皮下脂肪」があります。同じお腹の脂肪でも、つく場所も、体への影響も異なります。
内臓脂肪は健康診断の数値と関係します
内臓脂肪は、腹腔内、主に腸の周りにつく脂肪です。内臓脂肪は、血糖・脂質・血圧・脂肪肝と深く関係します。内臓脂肪が増えると、血糖値の異常、LDLコレステロールや中性脂肪の上昇、血圧の上昇、脂肪肝のリスクが高まると考えられています。
健診で血糖やHbA1c、中性脂肪、肝機能(AST・ALT)などを指摘されている方は、内臓脂肪との関係を意識する必要があります。
皮下脂肪は見た目やつまめる脂肪として気になりやすい脂肪です
皮下脂肪は、皮膚のすぐ下につく脂肪です。手でつまめる脂肪の多くは皮下脂肪です。見た目の変化として気になりやすい一方、内臓脂肪と比べると代謝がゆっくりで、落ちるまでに時間がかかる傾向があります。
皮下脂肪なら健康上の問題がないかというと、そうとも言い切れません。特に大量の皮下脂肪が蓄積している場合は、代謝への影響が出ることもあります。
下腹ぽっこりだけで脂肪の種類は判断できません
「下腹が出ているから内臓脂肪」「つまめるから皮下脂肪」というように、見た目だけで判断することはできません。お腹の形は、脂肪の量だけでなく、腸の状態や姿勢、骨格なども影響します。
内臓脂肪の量は、腹部CTや腹部エコーで確認できますが、日常的には腹囲の測定や健診結果を参考にすることになります。
| 項目 | 内臓脂肪 | 皮下脂肪 |
|---|---|---|
| つく場所 | お腹の奥、腸の周り | 皮膚の下 |
| 気づき方 | 腹囲や健診数値で気づく | つまめる脂肪や見た目で気づく |
| 落ちやすさ | 皮下脂肪より変化しやすい傾向がある | 落ちるまで時間がかかる |
| 注意点 | 血糖・脂質・血圧・脂肪肝と深く関係する | 見た目の悩みになりやすく、大量蓄積では代謝への影響も出る |
※見た目だけで内臓脂肪と皮下脂肪を正確に判断することはできません。健診結果や必要に応じた検査も参考にしましょう。
スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。
内臓脂肪と皮下脂肪の違いについても解説しています。
更年期以降は、痩せた後にお腹周りが戻りやすくなります
急に体重を落とすと筋肉も落ちます
体重を減らすときに問題になりやすいのが、脂肪と一緒に筋肉まで落ちてしまうことです。
急な食事制限で体重を落とした場合、脂肪だけでなく筋肉量も減少します。筋肉は安静時のエネルギー消費(基礎代謝)を支える組織です。筋肉量が落ちると基礎代謝が下がり、同じ食事量でも以前より太りやすい体になります。
更年期以降は、もともと筋肉量が低下しやすい時期です。睡眠の乱れや活動量の低下が重なりやすいこともあり、食事制限だけで体重を落とすとこのリスクが高まります。
薬をやめた後に食欲が戻ると、体重も戻りやすくなります
マンジャロやリベルサスなどの薬は、食欲を抑える働きによって体重が落ちやすくなります。しかし、薬をやめると食欲は徐々に戻ります。このとき、薬を使っている間に食事量や間食の習慣を変えられていないと、体重が戻りやすくなります。
「お腹から戻る」と感じる方が多いのも、更年期以降の特徴のひとつです。筋肉量が落ちた状態で食欲が戻ると、エネルギーは脂肪として蓄積されやすくなります。その結果、腹部の脂肪から目立って増えたように感じることがあります。
リバウンドは意志の弱さだけではありません
リバウンドは「やる気がなくなった」「意志が弱い」だけで起きるわけではありません。筋肉量の低下、基礎代謝の変化、ホルモン環境の変化、睡眠や生活リズムの乱れ。こうした体の変化が重なって起きることです。
ただし、薬任せ・食事制限任せで体重を落とし、生活習慣を変えないままでいると、維持は難しくなります。
リバウンドが起こる仕組みと全体的な対策については、リバウンドが起こる仕組みと防ぎ方の記事をご覧ください。
更年期以降は、体重を落とすだけでは不十分です。落とした体重を維持できる形で痩せる必要があります。
お腹周りを戻しにくくするには、食事制限だけに頼らないでください
たんぱく質を減らしすぎない
食事を減らすとき、カロリーだけを気にして全体的に食べる量を減らしすぎると、たんぱく質も不足しやすくなります。たんぱく質は筋肉を維持するために欠かせない栄養素です。
更年期以降の女性では、1日のたんぱく質摂取量として体重1kgあたり1.0〜1.2g程度を目安にすることが多く、医師や管理栄養士に相談しながら調整するのがよいでしょう。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など、食事の中にたんぱく質源を意識的に入れることが基本です。
糖質や脂質を完全に排除する必要はありません。極端な制限より、摂りすぎている食品を少し減らし、たんぱく質と食物繊維を確保する方向で考えると続けやすくなります。
筋肉を守る運動を少し入れる
「筋トレ」と聞くと、ジムに通ったり重いものを持ったりすることを想像するかもしれませんが、日常生活の中でできる自重運動で十分です。
椅子からゆっくり立ち上がる・座る動作を繰り返す、壁に手をついてスクワットをする、歩く速度を少し上げる。こうした動きを日常に取り入れるだけでも、筋肉への刺激になります。膝や腰に痛みがある方は、無理をせず、できる範囲で継続することを優先してください。
筋肉を守ることとリバウンド予防の関係については、リバウンド予防としての筋トレの考え方でも解説しています。
睡眠不足とストレスは食欲を乱します
睡眠が不足すると、食欲を増す方向に働くホルモン(グレリン)が増加し、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が低下することがわかっています。つまり、睡眠が乱れると食欲のコントロールが難しくなります。
更年期ではホットフラッシュや夜間の発汗、入眠困難などで睡眠が乱れやすくなる方がいます。夜間に目が覚めて間食が増えるというケースも少なくありません。食事の見直しと並行して、睡眠環境を整えることも体重管理につながります。
ストレスが続くと食欲が乱れやすいことも同様です。コルチゾールなどのストレスホルモンが、脂肪の蓄積、特に腹部への蓄積に影響することが知られています。
体重だけでなく腹囲と健診数値も見ます
体重の変化だけを追っていると、内臓脂肪が増えていても気づきにくいことがあります。体重が変わらなくてもウエストが変わることはありますし、逆に体重が少し増えても筋肉が増えた結果であることもあります。
更年期以降は、腹囲の変化、血糖(空腹時血糖・HbA1c)、LDLコレステロール・中性脂肪、ALT・ASTなどの肝機能、血圧も合わせて確認することが重要です。
更年期以降の体重管理では、食事を減らすだけでは足りません。筋肉を守り、睡眠と生活リズムを立て直すことがリバウンド予防につながります。
マンジャロやリベルサスを使う場合も、リバウンド予防まで考えます
薬は食欲を整える助けになります
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する注射薬です。リベルサス(一般名:セマグルチド)はGLP-1受容体に作用する経口薬です。どちらも食欲抑制と血糖コントロールを通じて、体重管理の助けになることがあります。
更年期以降の体重管理においても、食欲が戻りにくくなることで食事の見直しがしやすくなる面があります。ただし、これらの薬は「更年期太りに効く」という使い方をするものではありません。体重管理全体を支える選択肢のひとつです。
詳しくは、マンジャロの効果と副作用についてとリベルサスの特徴と注意点に関する記事もご覧ください。
副作用や適応を確認せずに使ってはいけません
マンジャロやリベルサスは、誰でも使える薬ではありません。使用前に、既往歴、現在内服している薬、体重、BMI、健診結果、必要に応じた採血を確認する必要があります。
主な副作用は、吐き気、胃もたれ、便秘、下痢、食欲低下、脱水などです。多くは投与初期に出やすく、用量を調整しながら様子を見ることになります。
ただし、強い腹痛、繰り返す嘔吐、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などの症状が出た場合は、膵炎や胆のう・胆道系のトラブルの可能性もあるため、自己判断で様子を見ず速やかに医療機関を受診してください。
薬を自己判断で始めてはいけません。薬を勝手に増量してもいけません。強い副作用が出ているのに自己判断で続けることも危険です。
薬を使っている間に、食べ方と運動を立て直します
薬を使うことで食欲が落ち着いている期間は、食事の量や間食の習慣を見直す絶好の機会です。この期間に食べ方を変えられないまま薬をやめると、食欲が戻ったときに体重も戻りやすくなります。
薬を使っている間も、たんぱく質の確保、日常的な身体活動の維持、睡眠の安定はすべて必要です。薬に頼るだけでなく、生活習慣の立て直しをセットで進めてください。
薬をやめた後の体重維持については、マンジャロをやめた後のリバウンド対策とリベルサス終了後の体重維持についてもあわせてご覧ください。
薬は体重管理の助けになります。しかし、薬だけで更年期以降の体重管理は完結しません。診察と採血で安全性を確認しながら使う必要があります。
富士市・富士宮市・沼津市周辺で更年期の体重管理に悩む方へ
健診結果がある方は相談しやすくなります
更年期以降の体重管理を医療機関で相談する際、健診結果や以前の採血データがあると話がスムーズになります。体重や腹囲の数値だけでなく、血糖・HbA1c・LDLコレステロール・中性脂肪・ALT・AST・血圧など、生活習慣病に関連する項目も含めて持参してください。
当院では、医師の診察と体調確認を行い、必要に応じて採血を実施しながら体重管理を進めます。体重の数字だけを追うのではなく、血糖・脂質・血圧・肝機能を含めた健康全体の視点で関わります。
更年期症状が強い場合は婦人科との使い分けが必要です
ほてり・のぼせ・発汗・不眠・気分の落ち込みなど、更年期症状そのものが強い場合は、婦人科での評価やホルモン補充療法(HRT)などの相談が専門的です。更年期症状の治療は婦人科が中心になります。
当院のダイエット外来は、体重管理・内臓脂肪・生活習慣病リスク・薬剤使用の安全確認を担います。更年期症状と体重管理の両方が気になる場合は、それぞれの専門に役割を分けて相談することで、より適切なサポートが受けられます。
体重だけでなく、血糖・脂質・血圧も見ます
お腹周りの変化は、見た目の問題だけでなく、健康診断の数値とも関係します。体重が少しだけ増えた段階でも、内臓脂肪が影響して血糖や中性脂肪が動いていることはあります。逆に体重が戻っていなくても、筋肉が落ちて体組成が悪化していることもあります。
体型の変化が気になる段階から相談していただくことで、大きく数値が崩れる前に対策を始めることができます。
更年期の体重増加やお腹周りの変化は、体型だけでなく健康診断の数値とも関係します。医師と相談しながら、体調や検査結果を確認して進めると安心です。
健診結果や他院での採血結果が手元にある方は、受診時にお持ちください。薬を使うかどうかを決める前に、まず現在の体重、腹囲、血糖、脂質、肝機能を確認することから始めます。
富士市・富士宮市でダイエット外来を検討している方は、「富士市・富士宮市でダイエット外来をお探しの方へのご案内」も参考にしてください。沼津市周辺から通院を検討されている方には、「沼津市でのダイエット外来の選び方」もご用意しています。当院の診療方針については、「富士在宅診療所が選ばれる理由」でも詳しくご紹介しています。
よくある質問(FAQ)
【参考文献】
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- 日本更年期と加齢のヘルスケア学会「更年期医療ガイドブック」
- 日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2022」
- 日本動脈硬化学会編「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
- 日本糖尿病学会編「糖尿病診療ガイドライン2024」
- 日本内科学会雑誌「内臓脂肪と生活習慣病」
- 日本老年医学会「サルコペニア診療ガイドライン2017年版(2020年一部改訂)」
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