血圧の薬を飲んでいてもマンジャロ・リベルサスは使える?併用時の注意点を医師が解説

・降圧薬を服用中でも、マンジャロやリベルサスを使用できる場合があります
・血圧低下、脱水、腎機能、電解質などに気をつける必要があります
・リベルサスと朝の降圧薬は、少なくとも30分あけて服用します
・体重や血圧が変化しても、降圧薬を自己判断で減らしてはいけません
・服用中の薬は、お薬手帳で正確に把握しましょう

降圧薬を服用している人が、マンジャロやリベルサスを使えるかどうかは、血圧の薬の種類だけで決まりません

確認が必要になるのは、薬同士の直接的な反応よりも、体重減少や食事量の低下、嘔吐や下痢を介した血圧の下がりすぎ、脱水、腎機能や電解質への影響です。リベルサスを服用する場合は、朝の降圧薬との間隔を空ける必要があります。血圧や体重が改善しても、降圧薬を自己判断で減らしてはいけません。

マンジャロとリベルサスの国内承認適応は2型糖尿病であり、体重管理を目的とした使用は自由診療における適応外使用です。この位置づけについても、記事の中で触れます。

目次

血圧の薬を飲んでいても、マンジャロ・リベルサスを使える場合はあります

降圧薬服用中というだけで一律に使用不可にはなりません

高血圧の治療を受けている人の多くは、アムロジピンやテルミサルタンなどの降圧薬を日常的に服用しています。マンジャロやリベルサスの添付文書には、一般的な降圧薬との正式な併用禁忌は記載されていません。降圧薬を服用しているという理由だけで、使用が一律に制限されることはありません。

ただし、正式な併用禁忌がないことと、注意が不要であることは同じではありません。血圧がもともと低い人、立ちくらみを起こしやすい人、腎機能が低下している人、利尿薬を使っている人では、体調の変化をより注意深く観察します。著しい高血圧が十分に治療されていない場合は、体重管理より先に、高血圧そのものの評価が優先されることがあります。

「飲み合わせ」より先に確認したいのは今の血圧と体調です

マンジャロやリベルサスを使えるかどうかは、薬剤名だけでは判断できないのです。現在の血圧、自覚症状の有無、腎機能や肝機能の状態、ほかに服用している薬やサプリメントを確認したうえで判断します。「この降圧薬とマンジャロは飲み合わせが悪いのではないか」という心配を持つ人もいますが、実際にチェックすべきなのは、薬同士の直接的な反応よりも、体重減少や食欲低下によって血圧がどう変化するかという点です。

注意したいのは、薬同士の衝突だけではありません

食事量や体重が変わると、血圧も変化します

マンジャロやリベルサスを使用すると、食欲が落ち着き、食事量が自然に減る人がいます。体重が減少する過程で、以前より血圧が低くなる人もいます。マンジャロやリベルサス自体は降圧薬ではありませんが、体重減少や食事量の変化を通じて、それまでの降圧薬の効果が相対的に強く出る場合があります。

吐き気・下痢・水分不足は脱水につながります

治療の開始時や増量した直後は、吐き気、嘔吐、下痢、食欲低下が出ることがあります。これらの症状が続くと水分摂取量が減り、脱水につながります。脱水に血圧低下が重なると、立ちくらみや強い倦怠感が出て、腎臓への血流が減り、腎機能が低下します。利尿薬、ARB、ACE阻害薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を使っている人は、この経路での影響をとくに確認します。

血圧が低くなった場合、原因はいくつか考えられます。体重減少や食事量の変化に伴う血圧の改善、脱水、現在の状態に対して降圧薬が強すぎる状態、ほかの病気や薬剤の影響のいずれかを見分ける必要があります。この見分けは自己判断では難しく、家庭血圧の記録や自覚症状を確認したうえで、処方医が判断します。

血圧が改善しても、降圧薬を自分で減らしてはいけません

血圧が下がってきたからといって、降圧薬を自己判断で減量・中止してはいけません。生活習慣病の薬全体と体重の関係については、生活習慣病の薬と体重管理について詳しく見るページでも取り上げています。

降圧薬の種類によって、チェックする内容が異なります

降圧薬にはいくつかの種類があり、チェックする内容がそれぞれ異なります。以下の一覧は、危険度の順位ではなく、薬のクラスごとに見る視点の違いを示すものです。

降圧薬の種類 主な薬の例 併用中に確認すること
カルシウム拮抗薬 アムロジピンなど 血圧低下、立ちくらみ、末梢性浮腫
ARB・ACE阻害薬 テルミサルタン、エナラプリルなど 脱水時の腎機能、カリウム値
利尿薬 トリクロルメチアジド、フロセミドなど 脱水、腎機能、低ナトリウム血症、低カリウム血症
MR拮抗薬 スピロノラクトン、エサキセレノンなど 腎機能、高カリウム血症
β遮断薬・α遮断薬 ビソプロロール、ドキサゾシンなど 脈拍、疲労感、起立時のふらつき
配合錠 複数成分を含む薬 お薬手帳での成分確認

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬には、アムロジピンやニフェジピンなどがあります。併用した時に血圧低下や立ちくらみの有無をチェックします。末梢性浮腫が起こりやすい薬でもあるため、体重の変化が脂肪の増減によるものか、むくみによるものか、見分けにくくなる場合があります。

ARB・ACE阻害薬

ARB、ACE阻害薬には、テルミサルタン、アジルサルタン、オルメサルタン、エナラプリルなどがあります。通常の使用で腎機能に悪影響が出ると単純化して説明することはできません。脱水などで体内の水分量が減っている状態では、腎機能やカリウム値への影響が生じやすくなります。血圧が落ち着いているからといって、自己判断で中止しないでください。

利尿薬

利尿薬には、サイアザイド系・サイアザイド類似薬のトリクロルメチアジドやインダパミド、ループ利尿薬のフロセミドやトラセミドなどがあります。サイアザイド系・サイアザイド類似薬では低ナトリウム血症や低カリウム血症、ループ利尿薬では体液量の減少や腎機能への影響を確認します。利尿薬による体重減少は水分量の変化であり、脂肪の減少とは限りません。心不全や浮腫のために必要とされている場合もあり、自己判断でやめてはいけません。

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノンなどがあります。この系統では高カリウム血症と腎機能を確認します。サイアザイド系やループ利尿薬とは電解質の変化する方向が異なるため、同じ注意点として扱うことはできません。ARBやACE阻害薬とあわせて使われていることも多く、その組み合わせも確認の対象になります。

β遮断薬・α遮断薬・配合錠

β遮断薬は、ビソプロロールやカルベジロールなどが代表例です。高血圧だけでなく、心不全、不整脈、狭心症の治療にも使われます。脈拍、めまい、疲労感の変化を確認します。インスリンやスルホニルウレア剤など、低血糖を起こしうる薬を併用している人では、β遮断薬によって動悸や振戦といった低血糖の症状が分かりにくくなることがあります。これはβ遮断薬自体の作用によるものであり、マンジャロやリベルサスを含むGLP-1関連薬を単独で使用している場合に、低血糖が起こりやすくなるという意味ではありません。

α遮断薬には、ドキサゾシンなどがあります。起立性低血圧に注意し、急に立ち上がったときのふらつきを確認します。1錠に複数の成分が含まれる配合錠を使っている人は、自分がどの系統の薬を服用しているか把握しにくいことがあります。薬の名称を正確に覚えていなくても、お薬手帳や薬剤情報を持参すれば、診察の際に確認できます。降圧薬の全体的な種類や体重との関係をさらに詳しく知りたい人は、生活習慣病の薬と体重管理について詳しく見るページもあわせてご覧ください。

リベルサスと朝の血圧の薬は、飲む順番に注意してください

リベルサスは空腹時に単独で服用します

リベルサスは、1日の最初の食事や飲水の前に、空腹の状態で服用します。コップ約半分、120mL以下の水で服用してください。服用時と服用後少なくとも30分は、飲食やほかの薬の服用を避けます。

降圧薬は少なくとも30分あけてから服用します

朝に降圧薬を服用している人は、リベルサスを服用してから30分以上あけて、降圧薬を服用する流れになります。この間隔は、薬同士が反応して重大な副作用が起こるという意味ではありません。胃の中に食べ物や飲み物、ほかの薬があると、リベルサスの吸収そのものが低下するために設けられている服用ルールです。

飲む時間を変えてよいかは薬ごとに確認します

降圧薬の中には、服用時間をある程度調整できるものもあれば、決まった時間帯での服用が望ましいものもあります。朝の服用から夜の服用へ変更する場合は、自己判断ではなく、処方医や薬剤師に確認します。この30分を生活の中で確保しにくい人は、服用のタイミングについて、あわせて相談してください。リベルサスの服用方法とマンジャロとの違いは、リベルサスの飲み方とマンジャロとの違いのページで解説しています。

マンジャロでは服用時刻より、胃腸症状と内服薬への影響を確認します

降圧薬を内服する時間を気にしなくて大丈夫です

マンジャロは週1回投与する注射薬です。リベルサスのように、空腹時に服用するようなルールはありません。朝の降圧薬の服用時刻は今まで通りで大丈夫です。

マンジャロには一部の飲み薬の吸収に影響します

ただし、注射薬だからほかの薬と無関係というわけではありません。マンジャロには、胃から腸へ内容物を送り出す速度を遅らせる作用があります。このため、添付文書では、ワルファリンなど治療域の狭い経口薬を併用する場合や、経口避妊薬を使用している場合に注意が示されています。

嘔吐や下痢が続くと、脱水や血圧低下につながります

胃内容排出遅延と脱水は、別の経路で起こります。投与開始時や増量後には、吐き気、嘔吐、下痢、食欲低下が出ることがあります。これらの症状が続くと水分摂取量が減り、脱水につながります。脱水が進むと血圧が低下します。その状態で普段と同じ量の降圧薬を続けると、血圧が下がりすぎる場合があります。腎機能や電解質にも影響するため、水分が十分に取れないときは早めに相談してください。水分を十分に取れない、尿量が減っている、強い倦怠感が続く場合は、医療機関に相談してください。マンジャロの効果や副作用については、マンジャロの効果や副作用について詳しく見るページで詳しく解説しています。

増量後は体調と家庭血圧を測るようにしましょう

投与量を増やした直後の数日間は、体調と家庭血圧を記録しておくと、診察の際に状況を伝えやすくなります。体調不良を理由に、降圧薬とマンジャロを自己判断でまとめて中止してはいけません。急性の体調不良時に一時的な休薬が必要になる薬もあるため、対応は処方医の指示に従います。

開始前と治療中に確認したい血圧・診察・血液検査

お薬手帳と家庭血圧が判断材料になります

診察では、お薬手帳、薬剤情報、健診結果、朝晩の家庭血圧の記録を確認します。心不全、不整脈、腎臓病、脳心血管疾患の既往、糖尿病の薬、市販薬、漢方薬、サプリメントの使用状況もあわせて確認します。高血圧を他院で治療している場合、その情報を主治医に伝えずに治療を進めることは想定していません。他院での治療を否定するものではなく、必要に応じて主治医と情報を共有しながら進めます。

普段より血圧が低い、立ちくらみがあるといった変化があれば、診察で伝えてください。著しく血圧が高い状態が続いている場合は、体重管理より先に、高血圧そのものの評価が優先されることがあります。

血液検査は腎機能・電解質・血糖などを確認するために行います

血液検査では、クレアチニンやeGFRなどの腎機能の指標、ナトリウムやカリウムなどの電解質、AST・ALTなどの肝機能、血糖やHbA1c、脂質を確認します。すべての人に、毎回同じ項目の血液検査が必要というわけではありません。検査の項目と頻度は、持病の有無、使用している薬、症状、前回の結果によって変わります。利尿薬による水分バランスの変化と、脂肪減少による体重変化は性質が異なります。この違いは降圧薬と体重の関係を詳しく見るページでも取り上げています。

体重が減ってきたら降圧薬の量も再評価します

治療の経過とともに体重が減少すると、降圧薬の効果が相対的に強く出ることがあります。体重、家庭血圧、立ちくらみ、脈拍、食事量、水分摂取量、腎機能、電解質、降圧薬の使用目的を確認しながら、必要に応じて降圧薬の量が見直されます。この調整は、マンジャロやリベルサスを処方する医師だけで完結するとは限らず、高血圧の主治医との連携が必要になる場合があります。

このような変化があれば処方医に相談してください

次の変化がある場合は、次回の診察を待たずに相談してください。

・立ち上がるたびにふらつく
・普段より家庭血圧が明らかに低い
・吐き気や下痢が続く
・食事や水分を十分に取れない
・尿量が減った
・強い倦怠感がある
・短期間に体重が急に減った
・降圧薬を服用した後に体調が悪い
・血圧が改善し、薬が強すぎると感じる

血圧の値だけで、すべての人に同じ救急受診の基準を示すことはできませんが、これらの症状はいずれも警戒が必要な症状です。

高血圧の治療と体重管理を別々に考えないことが重要です

持病とダイエット薬にまとめて対応できる医療機関を選ぶ

肥満と高血圧は互いに関連しており、切り離して考えることはできません。体重が減ることで血圧が改善する人はいますが、それによって全員が降圧薬を中止できるわけではありません。体重管理の薬だけを切り離して扱うと、降圧薬の調整が必要なタイミングを見逃すことがあります。血圧、血糖、腎機能、肝機能、体重、自覚症状をまとめて対応しながら治療を進める内科診療には、そうした役割があります。

当院では、診察による経過観察、服薬内容の確認、必要に応じた血液検査を行いながら治療を進めています。すでに他院で高血圧の治療を受けている場合も、その治療を否定するものではなく、必要に応じて主治医と情報を共有しながら進めることができます。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で相談を検討している方へ

マンジャロとリベルサスの国内承認適応は2型糖尿病です。体重管理を目的として使用する場合は自由診療となり、承認された用途とは異なる適応外使用にあたります。自由診療のダイエット薬全般については、自由診療のダイエット薬の種類と注意点のページであわせて説明しています。富士市、富士宮市、沼津市周辺で、高血圧の治療と体重管理をあわせて相談できる医療機関を探している人は、お薬手帳や健診結果を持参して受診を検討してください。薬を使用しない選択肢を含めて相談することもできます。

よくある質問(FAQ)

アムロジピンを飲んでいますが、マンジャロを使えますか?

アムロジピンなどのカルシウム拮抗薬を服用しているという理由だけで、マンジャロの使用ができなくなるわけではありません。確認するのは、現在の血圧の状態、立ちくらみの有無、むくみの程度です。むくみは体重の変化を分かりにくくすることがあるため、体重の推移とあわせて経過を見ます。使用できるかどうかは、これらの情報を踏まえて診察のうえで判断します。自己判断で降圧薬を変更しないでください。

リベルサスと朝の血圧の薬は一緒に飲んでよいですか?

リベルサスは空腹時に単独で服用し、服用時および服用後少なくとも30分は、飲食とほかの薬剤の経口摂取を避けます。朝の降圧薬は、リベルサスを服用してから30分以上あけて飲む流れになります。この間隔は、薬同士が反応して重大な副作用が起こるのを避けるためではなく、リベルサスの吸収を保つための服用ルールです。仕事の都合などで30分の確保が難しい場合や、降圧薬の服用時間を変更したい場合は、自己判断ではなく処方医や薬剤師に確認してください。

マンジャロで血圧が下がったら、降圧薬を減らしてもよいですか?

自己判断で降圧薬を減らしてはいけません。体重減少に伴う血圧の改善、脱水、現在の状態に対して降圧薬が強すぎる状態は、いずれも血圧が下がるという同じ結果を示しますが、原因は異なります。この見分けは症状だけでは難しく、家庭血圧の記録や自覚症状の経過を確認する必要があります。血圧が下がってきたと感じた場合は、記録を持って診察で相談してください。処方医が経過を確認したうえで、降圧薬の量を見直すかどうかを判断します。

利尿薬を飲んでいる場合は、マンジャロやリベルサスを使えませんか?

利尿薬を服用していることが、使用不可を意味するわけではありません。ただし利尿薬は、脱水や電解質のバランスに、ほかの降圧薬より注意を払う場面が多い薬です。サイアザイド系・サイアザイド類似薬では低ナトリウム血症や低カリウム血症、ループ利尿薬では体液量減少や腎機能への影響を確認します。マンジャロやリベルサスの開始後に消化器症状が出た場合は、脱水が進みやすい組み合わせでもあるため、体調の変化や血液検査の結果を確認しながら治療を進めます。自己判断で利尿薬を中止しないでください。

血圧はどのくらいならマンジャロやリベルサスを始められますか?

一つの血圧値だけで、開始できるかどうかを一律に決めることはできません。家庭血圧の記録、自覚症状の有無、腎機能、心臓の状態、ほかに使っている糖尿病薬や降圧薬をあわせて確認します。著しい高血圧が続いている場合や、症状を伴う低血圧がある場合は、体重管理より先にその評価を優先することがあります。マンジャロとリベルサスの国内承認適応は2型糖尿病であり、体重管理目的での使用は自由診療です。現在の血圧の記録とお薬手帳を持参のうえ、診察でご相談ください。

【参考文献】
  1. 日本イーライリリー株式会社「マンジャロ皮下注アテオス 電子化された添付文書」
  2. ノボ ノルディスク ファーマ株式会社「リベルサス錠 電子化された添付文書」
  3. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」
  4. 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」
  5. 厚生労働省「医療広告ガイドライン」

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