テストステロンが低いと太りやすい?男性更年期とホルモン補充療法の正しい考え方

  • 男性ホルモン補充療法は、体重を落とす治療ではありません
  • 男性更年期では、体重増加・疲労感・ED・性欲低下が重なることがあります
  • 原因はテストステロンだけでなく、血糖・脂質・睡眠・内臓脂肪も関係します
  • 治療を検討する前に、診察と血液検査を行います
  • 体重や血液検査結果の相談は、ダイエット外来で扱いやすい内容です

40代、50代になってから体重が増えた。疲れが抜けない。EDや性欲の低下も気になる。

こうした変化が重なると、「テストステロンが低いのでは」「男性ホルモンを補えば戻るのでは」と考える方がいます。

最初に確認しておきますが、男性ホルモン補充療法は、体重を落とすためのダイエット治療ではありません。

ただし、男性更年期(LOH症候群)の症状が強く、血液検査でテストステロン低下が確認され、リスクを評価したうえであれば、治療選択肢の一つになります。体重増加、疲労感、ED、性欲低下は、男性ホルモンだけで説明できるものではなく、血糖、脂質、睡眠、内臓脂肪、生活習慣も含めて確認する必要があります。

この記事では、男性更年期・テストステロン・体重増加・ED・マンジャロ・リベルサスそれぞれの役割を分けて説明します。富士市・富士宮市・沼津市周辺で、こうした症状や体重の変化が気になっている方の参考になれば嬉しいです。

目次

男性ホルモン補充療法は「痩せる治療」ではありません

テストステロンを補えば体重が落ちる、という考えは正確ではありません

男性ホルモン補充療法は、ダイエット薬ではありません。体重を減らすことを目的とした治療でもありません。

テストステロンを補充しても、食事、運動、睡眠、内臓脂肪、血糖、脂質の問題が残っていれば、体重管理は進みません。「ホルモンを補えば若返る」「EDも体重も改善する」という単純な話ではなく、体重を落とす目的で自己判断する治療でもありません。

体重管理を目的に、自己判断で男性ホルモン補充療法を始めてはいけません。

男性更年期症状の改善が、体重管理を助ける場合はあります

一方で、男性更年期症状が改善することで、体重管理に取り組みやすくなる人がいることも事実です。

疲労感や意欲の低下、睡眠の乱れが続くと、運動を続けることも、食事を見直すことも難しくなります。症状が改善することで、活動量が戻ったり、運動を再開できたりする人はいます。ただし、それはあくまで間接的な影響であり、「体重を減らす薬」とは別の話です。

体重管理には、食事、運動、睡眠、内臓脂肪、血液検査の結果の確認が必要です。男性ホルモン補充療法は、男性更年期症状への治療選択肢として位置づけてください。

更年期と体重変化の全体像についての記事も参考にしてください。


男性更年期では、体重増加・疲労感・EDが重なることがあります

テストステロン低下で出やすい変化

男性更年期は、加齢に伴うテストステロン低下が背景にあり、LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)とも呼ばれます。疲労感、意欲の低下、筋力の低下、性欲の低下、ED、睡眠の乱れ、気分の落ち込みなど、体と心と性機能の症状が同時に出るのが特徴です。

「年齢のせいだから仕方ない」「気のせいだろう」と片づけるだけでなく、医学的に評価できる変化であることを知っておいてください。

ただし、症状だけで男性更年期とは診断できません。

EDだけを見ても、原因は決まりません

EDは男性更年期でも起こります。しかし、男性ホルモン以外の原因も多くあります。糖尿病、動脈硬化、高血圧、脂質異常症、喫煙、睡眠時無呼吸、ストレス、服用中の薬剤なども、EDと関係します。

EDは、男性ホルモンだけで説明できません。血糖、血圧、脂質、睡眠も確認すべき症状です。

「恥ずかしいから誰にも言えない」という気持ちはよく理解できますが、EDは血管や代謝の状態を見直すサインでもあります。生活習慣病の見直しのきっかけとして、医師に伝えてほしい症状です。

似た症状を起こす別の病気も確認します

疲労感、意欲低下、気分の落ち込みは、男性更年期だけでなく、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、甲状腺疾患、薬剤の副作用、過労、ストレスでも起こります。

症状だけで男性更年期と決めてしまうと、本来必要な治療を見落とす場合があります。診察と血液検査で、原因を一つひとつ確認することが出発点です。

更年期に起こるホルモン変化の詳細については別途解説しています。


テストステロンと内臓脂肪は、悪循環を作ります

内臓脂肪が増えると、ホルモン環境にも影響します

内臓脂肪が増えると、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が進みやすくなります。睡眠の乱れや運動不足、飲酒、慢性的なストレスが重なると、テストステロンを含むホルモン環境にも影響が出やすくなります。

「太ったのはホルモンのせい」と一面的に判断するのは正確ではありません。内臓脂肪は、体重だけでなく血糖、脂質、肝機能にも影響します。

筋肉量が落ちると、体重管理は難しくなります

テストステロンは筋肉量と関係します。テストステロンが低下すると筋肉量が落ちやすくなり、活動量も下がります。活動量が下がると消費エネルギーが減り、内臓脂肪がさらに増えやすくなる、という悪循環が起きます。

また、極端な食事制限や急激な減量では、脂肪だけでなく筋肉まで落ちるリスクがあります。体重を落とすだけでなく、筋肉を落としすぎない減量が必要です。特に40代・50代では、食事制限だけで押し切ろうとすると、体重は減っても筋肉量や体力が戻らないという状況になりやすいです。

テストステロンと筋肉量の関係男性更年期と生活習慣病についても詳しく解説しています。


男性ホルモン補充療法を検討する前に確認すること

症状だけでは判断できません

「テストステロンが低そうな症状がある」だけでは、男性ホルモン補充療法の対象とは言えません。テストステロンの数値だけで治療を決めるのも不十分です。

症状の程度、血液検査の結果、既往歴(過去の病気)、現在の服薬内容、睡眠の状態、生活背景を合わせて判断します。「試しに打ってみる」という使い方は適切ではありません。

男性ホルモン補充療法は、検査なしで始める治療ではありません。

血液検査で確認する項目

治療前に行う血液検査では、テストステロン値だけでなく、複数の項目を確認します。

確認する項目 見る理由 読者に伝えること
テストステロン(総・遊離) 男性ホルモン低下を確認する 症状と合わせて判断します
血糖・HbA1c 糖尿病や血糖異常を確認する EDや体重増加にも関わります
脂質 動脈硬化リスクを確認する EDや内臓脂肪と関係します
肝機能・腎機能 薬を使う前の体の状態を見る 安全確認に必要です
血算 赤血球増加などを確認する 治療中も定期的に確認します
PSA 前立腺の状態を確認する 治療前に確認が必要です

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

ダイエットの薬を使う時もテストステロンを補充する時も適切に血液検査をすることは非常に重要なのです。

前立腺・赤血球・睡眠時無呼吸・挙児希望を確認します

テストステロン補充療法を始める前に、以下の確認が必要です。

前立腺疾患またはPSA高値がある場合は、前立腺への影響を慎重に評価します。テストステロン補充によって赤血球が増えすぎると、血栓リスクが上がるため、血算の確認と治療中の定期モニタリングが必要です。睡眠時無呼吸症候群があると、テストステロン補充で症状が悪化する場合があるため、事前に把握しておきます。挙児希望(子どもを望んでいる)がある場合は、テストステロン補充療法によって精子産生が抑制されるため、原則として適応外となります。この点は特に自己判断で始めてはいけない理由の一つです。

個人輸入の男性ホルモン製剤を自己判断で使ってはいけません。治療中の自己判断による増量・中止も避けてください。


EDがある場合、テストステロンだけを見てはいけません

EDは血管・糖尿病・睡眠とも関係します

EDは、男性更年期でも見られます。ただし、それ以外の原因も多くあります。

糖尿病による神経・血管障害、動脈硬化、高血圧、脂質異常症、喫煙、睡眠時無呼吸、慢性的なストレス、服用中の薬剤(降圧薬や抗うつ薬など)が関係することがあります。

EDは、血管や代謝の状態を見直すサインです。「男性ホルモンが低いからED」という判断は単純化しすぎています。むしろ、EDをきっかけに血糖や血圧、脂質の状態を確認することで、見逃していた生活習慣病が見つかることもあります。

ED治療薬とテストステロン補充療法は別の治療です

ED治療薬(PDE5阻害薬)は、陰茎の血流を改善する仕組みで作用します。テストステロン補充療法は、男性ホルモン低下と症状の組み合わせを見て判断する治療です。この二つは目的が異なります。

どちらが優れているという話ではなく、適応が違います。自己判断で組み合わせて使ってはいけません。どちらかの治療を受けている場合は、もう一方の治療を検討する際に医師に伝えてください。


マンジャロ・リベルサスと男性更年期の治療は目的が違います

ダイエット薬は体重管理のための選択肢です

体重管理の選択肢として、週に1回の注射タイプのマンジャロ(チルゼパチド)飲み薬のタイプのリベルサス(経口セマグルチド)があります。体重、BMI、既往歴、現在の薬、採血結果を確認したうえで、使用するかどうかを判断します。
マンジャロやリベルサスは、国内では2型糖尿病の治療薬として承認されている薬です。当院のダイエット外来で体重管理を目的に使用する場合は、自由診療として、適応・副作用・費用を確認したうえで検討します。

ただし、マンジャロやリベルサスは、男性更年期を治す薬ではありません。

主な副作用として、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状があります。腎機能や肝機能の状態、他の薬との相互作用、既往歴によっては使用できない場合がありますので、処方医にご相談ください。

テストステロン補充療法は男性更年期症状への治療選択肢です

男性ホルモン補充療法とダイエット薬は、目的が異なります。体重増加、疲労感、ED、血液検査の異常が重なっている人では、両方の視点から状態を整理することが必要です。

どの治療を優先するかは、症状、体重、血液検査の結果、既往歴によって変わります。

また、GLP-1/GIP受容体作動薬で体重を落とす場合、食事量が減ることで筋肉量も落ちるリスクがあります。十分なタンパク質の摂取、適度な運動(特に筋力トレーニング)、血液検査による経過確認が必要です。「薬だけで体重を管理する」という考え方では、筋肉と活力が失われたまま体重だけが減るという状況になりかねません。

項目 男性ホルモン補充療法 マンジャロ・リベルサス
主な目的 男性更年期症状への治療 体重管理や血糖管理
確認する主な項目 症状、テストステロン、PSA、血算 体重、血糖、肝機能、腎機能
自己判断 使ってはいけません 増量・中止してはいけません
主な注意点 前立腺、赤血球、挙児希望を確認します 胃腸症状、脱水、筋肉量低下に注意します

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。


富士市・富士宮市・沼津市周辺で相談するときの考え方

男性更年期症状が強い場合は専門外来も検討します

疲労感、意欲の低下、性欲低下、EDが強く続いている場合は、泌尿器科や男性更年期を専門に診ている外来での評価が中心になります。テストステロン補充療法の適応判断は、専門外来での評価をおすすめします。

体重増加のみを理由にダイエット外来を受診しても、男性更年期そのものの治療が必要かどうかの判断はできません。この役割分担は正直に伝えておきます。

体重・血液検査・生活習慣病リスクはダイエット外来で相談できます

体重増加、内臓脂肪、血糖、脂質、肝機能の確認や、マンジャロ・リベルサスの相談は、ダイエット外来で扱いやすい内容です。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で、体重増加や血液検査の結果が気になる方は、ダイエット外来に相談してください。受診前に、健診結果、服薬内容、体重推移(いつ頃から何kg増えたか)、睡眠の状態、EDや性欲低下が気になるかどうかをメモしておくと、相談がスムーズです。

男性更年期そのものの評価が必要と判断された場合は、泌尿器科や男性更年期外来と連携して考えることになります。薬だけで進めるのではなく、診察と血液検査で体の状態を確認しながら進めてください。

まとめ

男性ホルモン補充療法は、体重を落とすための治療ではありません。ただし、男性更年期の症状があり、血液検査でテストステロン低下が確認され、リスクを評価したうえであれば、治療選択肢の一つになります。

体重増加、疲労感、ED、性欲低下、筋肉量の低下は、男性ホルモンだけで説明できません。血糖、脂質、睡眠、内臓脂肪、生活習慣も含めて確認する必要があります。

マンジャロ・リベルサスは体重管理や血糖管理に関わる薬剤であり、男性更年期を治す薬ではありません。どちらの治療を選ぶかは、症状・血液検査の結果・既往歴によって異なります。自己判断で始めたり、組み合わせたりしてはいけません。

富士市・富士宮市でダイエット外来を検討している方は、「富士市・富士宮市でダイエット外来をお探しの方へのご案内」も参考にしてください。沼津市周辺から通院を検討されている方には、「沼津市でのダイエット外来の選び方」もご用意しています。当院の診療方針については、「富士在宅診療所が選ばれる理由」でも詳しくご紹介しています。

男性更年期の評価が必要な場合は、泌尿器科や男性更年期外来との連携も含めて考えます。

よくある質問(FAQ)

男性ホルモン補充療法を受けると、体重は減りますか?

男性ホルモン補充療法は、体重を減らすための治療ではありません。テストステロンを補充しても、食事・運動・睡眠・内臓脂肪の問題が残っていれば、体重管理は進みません。ただし、疲労感や意欲の低下・睡眠の乱れが改善することで、運動や生活改善に取り組みやすくなる人がいるのは事実です。体重管理は、食事、運動、睡眠、血液検査を含めて医師と相談しながら進めてください。

EDがある場合、男性更年期と考えてよいですか?

EDは男性更年期でも出ることがありますが、EDだけで男性更年期とは診断できません。糖尿病による神経・血管の障害、動脈硬化、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸、ストレス、服用中の薬剤などもEDの原因になります。EDが続く場合は、血糖・血圧・脂質・睡眠を含めて確認することで、背景にある状態が見えてきます。受診をためらわず、症状として医師に伝えてください。

テストステロンが低いと言われたら、すぐ治療が必要ですか?

血液検査でテストステロンが低めでも、それだけで治療の必要性は決まりません。症状の程度、遊離テストステロン値、PSA、血算、既往歴、服薬内容、挙児希望の有無などを合わせて確認したうえで判断します。自己判断で補充療法を始めてはいけません。また、テストステロンの数値は測定時間帯や体調によっても変動するため、一度の血液検査だけで判断しないことも必要です。

マンジャロやリベルサスと男性ホルモン補充療法は一緒に使えますか?

それぞれ目的が異なる治療であり、併用の可否は、個人の症状・血液検査・既往歴・服薬内容によって異なります。自己判断で組み合わせてはいけません。マンジャロやリベルサスを使用している場合は、男性ホルモン補充療法を検討する際に必ず担当医に伝えてください。逆もまた同様です。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で、男性更年期と体重増加を同時に相談できますか?

男性更年期そのもの(テストステロン補充療法の適応判断)は、泌尿器科や男性更年期外来での評価が中心になります。一方、体重増加、内臓脂肪、血糖・脂質・肝機能の確認、マンジャロ・リベルサスの相談は、ダイエット外来で対応しやすい内容です。富士市・富士宮市・沼津市周辺で「どこに行けばよいかわからない」という場合は、まず健診結果と症状のメモを持参してダイエット外来に相談してみてください。必要に応じて専門外来への連携も視野に入れて考えます。

【参考文献】
  1. 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」
  2. 日本内分泌学会「男性性腺機能低下症(テストステロン欠乏症)の診断と治療に関するガイドライン」
  3. 日本性機能学会「ED診療ガイドライン」
  4. 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン」
  5. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
  6. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」
  7. 日本睡眠学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン」
  8. Bhasin S, et al. Testosterone Therapy in Men with Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018.
  9. Traish AM, et al. The Dark Side of Testosterone Deficiency. J Androl. 2009.
  10. Corona G, et al. Testosterone and Metabolic Syndrome: A Meta-Analysis Study. J Sex Med. 2011.
  11. Isidori AM, et al. Effects of Testosterone on Body Composition, Bone Metabolism and Serum Lipid Profile in Middle-Aged Men: A Meta-Analysis. Clin Endocrinol. 2005.
  12. Snyder PJ, et al. Effects of Testosterone Treatment in Older Men. N Engl J Med. 2016.
  13. Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity (STEP 1). N Engl J Med. 2021.
  14. Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-1). N Engl J Med. 2022.
  15. Diabetes Prevention Program Research Group. Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin. N Engl J Med. 2002.
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次