更年期からコレステロール・血糖・血圧が悪くなる理由|体重管理で見直したいポイント

  • 更年期以降、健診でコレステロール・血糖・血圧の変化を指摘される方は少なくありません。
  • すべてを「更年期のせい」と決めつけると、見直せる点を見逃します。
  • 体重だけでなく、腹囲・内臓脂肪・筋肉量・睡眠も検査値に影響します。
  • マンジャロやリベルサスを検討する場合も、診察・採血・現在服用中の薬の確認が必要です。
  • 体重と検査値を一緒に見ることが、健康を意識した体重管理の出発点になります。
目次

更年期から健診結果が悪くなることは珍しくありません

体重が少し増えただけでも、数値に出ることがあります

40代後半から50代にかけて、LDLコレステロール、中性脂肪、血糖、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、血圧を健診で指摘される方の数は増える傾向があります。

ただし、これは「更年期になったら必ず数値が悪くなる」ということではありません。変化の出方には個人差があり、体重・腹囲・食事・活動量・睡眠・遺伝的な素因など、複数の要素が絡んでいます。

体重がわずか2〜3kg増えただけでも、LDLや中性脂肪、血糖が動くことがあります。逆に、体重はほとんど変わっていないのに検査値が悪化するケースもあります。「体重が増えていないから大丈夫」と判断するのは早計です。

「年齢のせい」だけで終わらせないでください

「もう年だから」「更年期だから仕方ない」と感じて健診結果をそのままにしている方は少なくありません。しかし、年齢やホルモン変化だけが原因とは限らず、生活習慣の中に見直せる点が潜んでいることがあります。

健診の数値が少し高い段階で現状を確認し、何が影響しているかを知ることが、生活習慣病の予防につながります。更年期以降の体重変化全体については、更年期と体重変化の全体像もあわせてご覧ください。

コレステロールが上がりやすくなる背景

エストロゲンの低下とLDLコレステロール

女性の場合、閉経前後にエストロゲン(女性ホルモンのひとつ)が低下します。エストロゲンには肝臓でのLDL受容体の働きを助ける作用があるため、閉経後はLDLコレステロールが上がりやすくなる方がいます。同時に、善玉コレステロールとも呼ばれるHDLコレステロールが低下しやすくなる場合もあります。

ただし、ホルモン変化だけですべてを説明することはできません。食事内容、体重、内臓脂肪の量、運動習慣、飲酒、遺伝的な体質、甲状腺の状態など、複数の要素が複合的にLDLに影響します。

また、脂質異常症(LDLや中性脂肪が高い状態)は、数値やリスクの程度によっては食事や運動だけでは目標値に届かないことがあります。その場合は、スタチンなどの薬物治療が必要になります。「ダイエットすればコレステロールは下がる」と一概には言えません。

HRTについて、「ホルモン補充療法(HRT)を始めれば体重や検査値が戻る」と考える方もいますが、HRTは更年期症状(ほてり、発汗、不眠など)を和らげるための治療であり、体重を落とすための治療ではありません。HRTと体重管理の関係については、HRTと体重管理の関係をご覧ください。

腹囲や内臓脂肪も検査値に影響します

体重計の数字だけでなく、腹囲の増加も見逃せません。内臓脂肪が増えると、LDLや中性脂肪が上がりやすく、HDLが下がりやすい状態になります。体重がそれほど増えていない方でも、腹囲が広がっているケースでは脂質の数値が悪化していることがあります。

更年期以降は皮下脂肪から内臓脂肪への分布変化が起きやすいとされています。詳しくは更年期のお腹周りと内臓脂肪の関係をあわせてご覧ください。

中性脂肪は食事・飲酒・活動量でも動きます

中性脂肪は、LDLと比べて食事の影響を受けやすい項目です。糖質や脂質の多い食事、アルコール、運動不足、内臓脂肪の増加が数値を押し上げます。

健診の前日に食事を控えたつもりでも、その数日前の食生活が反映されることがあります。「前日だけ気をつけたから大丈夫」とはなりません。日々の食事リズムと活動量が、長期的な中性脂肪の管理に関係します。

血糖やHbA1cが上がるときに見たいポイント

筋肉量が減ると、糖を使う力も落ちやすくなります

血糖(血液中のブドウ糖の濃度)の管理には、骨格筋が大きな役割を担っています。筋肉は食後に血液中の糖を取り込む主要な場所であり、筋肉量が落ちると同じ量の食事をとっても血糖が上がりやすくなります。

更年期以降は意識的に動かないと筋肉量が落ちていく傾向があります。「甘いものを食べた覚えがないのに血糖が高い」という方は、筋肉量と活動量の変化が関係していることがあります。詳しくは更年期に筋肉量を落とさない考え方もご参照ください。

内臓脂肪はインスリンの働きを悪くします

内臓脂肪が増えると、インスリン(血糖を下げるホルモン)の働きが妨げられやすくなります。同じ量のインスリンが出ていても、血糖をうまく下げられなくなる状態です。これをインスリン抵抗性と呼びます。

この状態では、食事量を大きく変えなくても血糖やHbA1cが悪化していきます。腹囲が増えている方は、体重の変化とあわせて内臓脂肪の蓄積に目を向けることが必要です。

食事量が同じでも、血糖が悪くなる人はいます

「以前と食べる量は変わっていないのに、HbA1cが上がった」という声を診察でよく聞きます。食事量が同じでも、筋肉量の低下、内臓脂肪の増加、活動量の低下、食事リズムの乱れ(まとめ食い、夜遅い食事)、睡眠不足などが重なれば、血糖の管理は難しくなります。

糖質を極端に制限するアプローチは、栄養バランスの乱れや筋肉量のさらなる低下を招くことがあり、医師の指示なしに行うべきではありません。糖尿病の治療薬を服用している方は、自己判断で薬をやめてはいけません。

血圧が高くなってきたとき、体重だけを見ないでください

内臓脂肪・塩分・睡眠不足が重なります

血圧は体重だけで決まるものではありません。内臓脂肪の増加、塩分の摂り過ぎ、飲酒、運動不足、慢性的なストレス、睡眠不足、腎機能の変化など、複数の要因が積み重なって血圧に影響します。

更年期以降に血圧が上がりやすくなる方がいますが、それは「更年期のせいだから仕方ない」ではなく、生活習慣の中に見直せる点がないかを確認する機会と考えてください。

高血圧を放置してはいけません。動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞のリスクが上がります。すでに降圧薬を服用している方は、自己判断でやめてはいけません。

睡眠時無呼吸が隠れている場合があります

睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が止まる状態)は、高血圧の改善しにくい原因のひとつになることがあります。体重が増えると気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸のリスクが上がります。

「大きないびきをかく」「日中に強い眠気がある」「朝起きたときに頭が重い」という症状がある方は、血圧が高いことも加味して、睡眠時無呼吸の有無を確認する選択肢があります。睡眠と体重管理の関係については更年期の睡眠不足と体重管理もご覧ください。

家庭血圧を測ると、診察で話しやすくなります

診察室での血圧は、緊張などの影響で高く出ることがあります。家庭での血圧を毎日同じ時間帯(起床後と就寝前)に測り、数値を記録しておくと、診察の際に状態が把握しやすくなります。

「痩せれば血圧は必ず下がる」とは言えません。体重管理が血圧に良い影響を与えることはありますが、効果は個人によって異なります。

更年期の体重管理では「体重」だけでなく検査値も見ます

腹囲・内臓脂肪・肝機能も確認します

体重計の数字だけを目標にすると、体の変化の全体像を見逃すことがあります。LDLコレステロール、中性脂肪、HbA1c、血圧、肝機能(ALT、γGTPなど)、腹囲を合わせて見ることで、健康面での変化が見えやすくなります。

採血や血圧測定は、今の体の状態を知る手がかりになります。

体重が大きく増えていなくても、数値が悪くなる人はいます

「そんなに太っていないのに」と感じながら健診の結果を受け取る方がいます。内臓脂肪の増加、筋肉量の低下、睡眠の乱れ、食事リズムの変化など、体重には表れにくい変化が検査値に影響することがあります。

少しの体重変化でも、検査値が動く人はいます

逆に、体重が3〜5kg減っただけでLDLや中性脂肪、血糖が改善する方もいます。大きな体重減少を目指さなくても、腹囲や体重をわずかに減らすだけで、検査値に良い変化が出ることがあります。ただし、これはすべての方に当てはまるわけではありません。

項目 見ていること 体重管理との関係
LDLコレステロール 動脈硬化リスクの目安です。 体重、内臓脂肪、食事、体質の影響を受けます。
中性脂肪 食事、飲酒、内臓脂肪の影響が出やすい項目です。 腹囲や食事リズムの見直しが関係します。
HbA1c 過去1〜2か月の血糖の目安です。 筋肉量、活動量、食事内容も関係します。
血圧 心臓や血管への負担を見る項目です。 体重、塩分、睡眠、飲酒、ストレスが関係します。
肝機能 脂肪肝や飲酒の影響を見る手がかりです。 内臓脂肪や体重変化と関係します。
腹囲 内臓脂肪の目安になります。 体重が同じでも腹囲が増えると注意が必要です。

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

体重・腹囲・検査値をまとめて確認することで、何から見直せばよいかが見えやすくなります。更年期のお腹周りと内臓脂肪の関係もあわせてご参照ください。

マンジャロやリベルサスを考える前に確認したいこと

薬は食欲や血糖に影響しますが、誰にでも使えるわけではありません

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GIPとGLP-1という2種類のホルモン受容体に作用する注射薬です。リベルサス(一般名:セマグルチド経口錠)は、GLP-1受容体に作用する内服薬です。どちらも国内では2型糖尿病の治療薬として承認されており、食欲の抑制や血糖の調整に働きます。

体重管理を目的として使用する場合も、診察、適応の確認、副作用の説明、必要に応じた採血が必要です。「飲むだけ」「打つだけ」で手軽に始められるものではありません。

採血・既往歴・現在の薬の確認が必要です

吐き気、下痢、便秘などの消化器症状が副作用として現れることがあります。膵炎、胆石、胆のう炎の既往がある方、腎機能に問題がある方は、使用前に慎重な確認が必要です。

複数の薬を服用している方は、相互作用のチェックも含めて医師に相談してください。

自己判断で始める、増やす、やめるのは危険です

個人輸入で入手して使用してはいけません。他人から譲り受けた薬を使用してはいけません。自己判断で用量を増やしたり、急に中断したりしてはいけません。

「マンジャロやリベルサスを使えば、血糖・コレステロール・血圧がまとめて改善する」とは言えません。体重が減ることで検査値に良い影響が出ることはありますが、効果は個人によって異なります。また、薬を使っている間も食事・活動量・睡眠の見直しは欠かせません。

体重管理の選択肢として、週に1回の注射タイプのマンジャロ(チルゼパチド)飲み薬のタイプのリベルサス(経口セマグルチド)があります。体重、BMI、既往歴、現在の薬、採血結果を確認したうえで、使用するかどうかを判断します。
マンジャロやリベルサスについて詳しく知りたい方は、各薬剤の記事で効果と注意点を確認してください。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で、更年期以降の体重と健診結果が気になる方へ

健診結果やお薬手帳があると相談しやすくなります

「どこに相談すればいいかわからない」という方もいると思います。体重が増えてきた、健診でLDLや血糖を指摘された、でも今すぐ薬を飲む必要があるかどうかはわからない、という段階でも相談することができます。

直近の健診結果と、現在服用中のお薬手帳(または薬の一覧メモ)をお持ちいただくと、状態を把握しやすくなります。

婦人科・内科・ダイエット外来は役割を分けて考えます

更年期に関わる相談先は複数あります。ほてり、発汗、睡眠障害などの更年期症状そのものが強い場合は、婦人科での相談が適しています。血圧や血糖の数値が高く、治療が必要な状態かどうかを確認したい場合は内科(または循環器科・糖尿病内科)との連携が必要になります。体重管理、食事・生活習慣の見直し、GLP-1受容体作動薬などを含めた相談はダイエット外来が担う役割です。

ひとつの場所ですべてを解決しようとせず、必要に応じて役割を分けて相談することが、安全に進めるうえで重要です。

まずは今の状態を確認することから始めます

当院のダイエット外来では、体重だけでなく、血糖・脂質・血圧・肝機能など健康面の検査値も合わせて確認しながら体重管理を進めています。初診では医師が診察し、必要に応じて採血を行います。健診結果やお薬手帳の内容も確認しています。

「怒られそう」「美容目的と思われそう」という心配は不要です。健康のために体重を見直したいという相談を、多くの方からお受けしています。

富士市・富士宮市でダイエット外来を検討している方は、「富士市・富士宮市でダイエット外来をお探しの方へのご案内」も参考にしてください。沼津市周辺から通院を検討されている方には、「沼津市でのダイエット外来の選び方」もご用意しています。

まとめ

  • 更年期以降にコレステロール・血糖・血圧が変化する方はいますが、更年期だけが原因とは限りません。
  • 体重・腹囲・内臓脂肪・筋肉量・睡眠・食事・検査値を一緒に見ることで、見直せる点が見つかります。
  • 薬を使う場合は、診察・採血・既往歴・現在の薬の確認が必要です。
  • 降圧薬、血糖降下薬、スタチンなどを服用中の方は、自己判断でやめてはいけません。
  • 健診結果が少し気になる段階でも、相談することができます。

「更年期だから仕方ない」で終わらせず、今の状態を確認しながら、できることから見直していく。それが、更年期以降の健康を長く保つための出発点になります。

よくある質問(FAQ)

更年期になると、コレステロールは必ず上がりますか?

必ずというわけではありません。ただし、閉経前後にエストロゲンが低下すると脂質代謝が変化しやすくなり、LDLコレステロールが上がる方がいます。体重や食事内容、活動量、遺伝的な体質なども関係するため、ホルモン変化だけが原因とは言えません。「自分はなぜ数値が上がったのか」を知るには、健診結果を持って医師に相談するのが確実です。

体重はあまり増えていないのに、血糖やHbA1cが悪くなることはありますか?

あります。筋肉量の低下、内臓脂肪の増加、活動量の低下、睡眠の乱れが重なると、体重の変化が少なくても血糖が管理しにくくなることがあります。体重だけを基準に判断せず、腹囲や検査値も確認することをお勧めします。

血圧が高くなってきたのは、更年期のせいですか?

更年期以降に血圧が上がる方はいますが、更年期だけが原因とは限りません。体重増加、内臓脂肪、塩分の摂り過ぎ、飲酒、睡眠不足、ストレス、睡眠時無呼吸なども血圧に影響します。「年齢のせい」で片づけず、家庭血圧を記録しながら医師に相談することを勧めます。すでに降圧薬を服用している方は、自己判断でやめてはいけません。

マンジャロやリベルサスを使えば、血糖・コレステロール・血圧も良くなりますか?

体重が減ることで血糖・脂質・血圧に良い影響が出る方は多いです。ただし、すべての方に同じように効果が出るわけではありません。吐き気・下痢・便秘などの副作用が出ることもあります。使用前には診察・採血・既往歴・現在服用中の薬の確認が必要です。個人輸入や自己判断での使用はしてはいけません。薬を使っている間も食事・活動量・睡眠の見直しは必要です。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で、健診結果と体重を一緒に相談できますか?

当院のダイエット外来では、体重だけでなく、血糖・脂質・血圧・肝機能なども確認しながら体重管理を進めています。健診結果やお薬手帳をお持ちいただくと、状態の把握に役立ちます。更年期症状が強い場合は婦人科、血圧や血糖の治療が必要な状態かどうかは内科との連携も考慮します。「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも、まず現状確認という形でお越しいただけます。

【参考文献】
  1. 日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.
  2. 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019.
  3. 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024.
  4. 日本女性医学学会. 女性医学ガイドライン 更年期以降編 2019年度版.
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」
  6. 医薬品医療機器総合機構(PMDA). マンジャロ皮下注添付文書.
  7. 医薬品医療機器総合機構(PMDA). リベルサス錠添付文書.
  8. Kannel WB, et al. Menopause and risk of cardiovascular disease: the Framingham study. Ann Intern Med. 1976;85(4):447-452.
  9. Matthews KA, et al. Are changes in cardiovascular disease risk factors in midlife women due to chronological aging or to the menopausal transition? J Am Coll Cardiol. 2009;54(25):2366-2373.
  10. Wannamethee SG, et al. Menopause, age, and cardiometabolic risk: A review. Maturitas. 2015;80(3):253-259.
  11. Patel P, et al. Obstructive sleep apnea and hypertension: a review of the relationship and pathophysiologic mechanisms. Curr Hypertens Rep. 2019;21(10):76.

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