健康診断で異常があってもダイエット外来は受診できる?血糖・脂質・肝機能・腎機能の見方

  • 健康診断で異常を指摘されていても、ダイエット外来へ相談できます。
  • 異常の内容によっては、ダイエット薬より先に病気の評価を優先します。
  • 血糖、脂質、肝機能、腎機能、血圧は、それぞれ見る視点が異なります。
  • マンジャロかリベルサスかは、一つの検査値だけでは決まりません。
  • 受診時には、健診結果とお薬手帳を持参してください。

健康診断で血糖や脂質、肝機能の数値に印が付いていても、ダイエット外来へ相談できます。ただし、実際にダイエット薬を使えるかどうかは、異常値の種類や程度、持病、現在服用中の薬によって異なります。糖尿病や肝疾患などが疑われる場合は、薬を選ぶより先に、その病気の評価を優先することがあります。この記事では、健診結果をどう読み、受診時に何を持参すればよいかを、項目ごとに解説します。

目次

健康診断で異常があっても、ダイエット外来を受診できます

健診結果に異常がある方ほど、体重管理と病気の治療を同時に考える必要があります。ここで区別したいのは、「相談できるか」と「すぐに薬を開始できるか」です。

ただし、「受診できること」と「その場でダイエット薬を処方できること」は別の話です。異常値の種類や程度、現在治療中の病気、服用中の薬によって、薬を使う前に評価や治療を優先する場合があります。健診結果は、体重管理の方針を決めるための材料のひとつです。数値だけを見て、使える・使えないを自己判断しないでください。

薬と体重の関係全般については、ダイエット薬と体重の関係をまとめた記事で解説しています。

健診結果は「正常」「異常」の二択で見ない

健診結果の判定は、「A」「B」「要精密検査」などの記号で示されます。この判定は、検査機関ごとに基準範囲が異なります。同じ数値でも、判定が変わることがあります。

さらに、基準範囲を外れることと、病気の確定診断は同じではありません。1回の数値だけで病気と決まる項目もあれば、複数回の検査や画像検査を組み合わせて判断する項目もあります。前年の健診結果と比べて数値がどう動いたかも、体の状態を見るうえで参考になります。

この記事では、読者の健診結果そのものを診断しません。数値をどう読み、受診時に何を伝えればよいかを、項目別に説明します。生活習慣病の薬と体重の関係の基礎知識は、生活習慣病の薬と体重への影響にまとめています。

健診結果を横断的に見る際の視点を、以下にまとめます。

健診の項目 単独では分からないこと 一緒に見る情報
血糖・HbA1c 糖尿病と確定診断できるかどうか 測定した時間帯、過去の数値、糖尿病の治療歴
LDL・中性脂肪 原因が体重によるものか、体質によるものか 食事、飲酒、空腹時か随時か、服用中の薬
AST・ALT・γ-GTP 脂肪肝によるものか、他の原因によるものか 飲酒量、服用中の薬、既往のある肝疾患
クレアチニン・eGFR 一時的な変動か、腎機能そのものの低下か 脱水の有無、筋肉量、経時的な変化

※スマートフォンでは表を横にスクロールしてご覧いただけます。

血糖値やHbA1cが高いときに優先すること

空腹時血糖とHbA1cは、見ている時間の幅が異なります。空腹時血糖はその時点の血糖値を示し、HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均的な状態を反映します。どちらか一方だけで糖尿病と決まるわけではなく、日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖126mg/dL以上、または随時血糖もしくは75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上、あるいはHbA1cが6.5%以上であれば「糖尿病型」と判定されます。糖尿病型の数値が1項目だけ出ても、直ちに糖尿病と確定するわけではありません。同じ血液検査で血糖値とHbA1cがともに糖尿病型であれば、その時点で糖尿病と診断できます。血糖値だけが糖尿病型の場合でも、口渇・多飲・多尿などの典型的な症状や、確実な糖尿病網膜症があれば診断できます。HbA1cだけが糖尿病型の場合は、血糖値を含めた再検査が必要です。

健診の判定は、この診断基準とは別の基準で作られています。健診で「要精密検査」と出た場合でも、それは糖尿病の確定診断ではなく、詳しい検査を受ける目安です。糖尿病が疑われる場合は、ダイエット薬を検討する前に、保険診療での評価を優先します。

マンジャロとリベルサスは、日本では2型糖尿病の血糖コントロール改善を目的とした薬として承認されています。肥満症や減量そのものを目的とした承認は受けていません。糖尿病と診断され、保険診療でこれらの薬を使う場合と、糖尿病ではない方が体重管理のために使う場合とでは、位置づけが異なります。後者は、承認された効能・効果の範囲を超えた使用にあたり、自由診療として扱われます。薬剤ごとの詳しい内容は、自由診療で使われるダイエット薬の種類と注意点で解説しています。

インスリン製剤やSU薬(スルホニル尿素薬)などの血糖降下薬を使用中の方は、低血糖に注意が必要です。低血糖の症状には、空腹感、手の震え、冷や汗、動悸があります。糖尿病の薬を、他の医療機関から重複して処方してもらってはいけません。現在治療中の糖尿病がある場合は、その治療薬をすべて処方医に伝えてください。

LDLコレステロールと中性脂肪は分けて考える

LDLコレステロールと中性脂肪は、どちらも脂質の検査項目ですが、影響を受ける要因が異なります。

LDLコレステロールは、体重や食事の影響を受けますが、遺伝的な体質が強く関わることもあります。家族性高コレステロール血症のように、生活習慣とは別の原因でLDLコレステロールが高くなる病態もあります。体重が減ればLDLコレステロールが必ず下がるとは限りません。

中性脂肪は、糖質の摂取量や飲酒量、測定条件(空腹時か食後か)の影響を受けやすい項目です。管理目標は、個人が持つ他のリスク(年齢、喫煙、血圧、糖尿病の有無など)によって異なり、一律の数値では決まりません。

スタチンやフィブラートなどの脂質異常症治療薬を服用中でも、体重管理を検討できる場合があります。ただし、併用に注意が必要な薬の組み合わせもあります。自己判断でこれらの薬を中止してはいけません。薬の種類ごとの詳しい併用注意は、スタチン・フィブラートとダイエット薬を併用する際の注意点で扱っています。

AST・ALT・γ-GTPが高いとき

AST、ALT、γ-GTPが高いというだけで、脂肪肝と決めつけることはできません。肥満に伴う脂肪肝(MASLD)が背景にある場合もありますが、飲酒、薬剤、ウイルス性肝炎、胆道系の病気など、他の原因でも同じように数値が上がります。

体重の減少によって、肥満に伴う脂肪肝の数値が改善することはあります。ただし、それがすべての肝機能異常に当てはまるわけではありません。原因を調べずに、ダイエット薬だけで対応することは避けてください。肝機能・腎機能の詳しい読み方や、脱水と腎機能悪化の関係は、肝機能・腎機能に異常がある場合の医療ダイエットで解説しています。

血圧と腎機能も薬選びに関係する

血圧は、健診時の1回の測定値だけでなく、自宅で測る家庭血圧も参考になります。緊張などで健診時だけ高く出る方もいれば、逆に自宅では高いのに健診では正常範囲に収まる方もいます。降圧薬を服用中の方でも、体重管理を検討できる場合があります。ただし、減量が進むと血圧が下がり、めまいや立ちくらみが出ることがあります。複数の薬を服用している方は、体重が変化した際の薬の調整を、処方医と一緒に確認してください。降圧薬とマンジャロ・リベルサスの併用時に注意する点は、降圧薬とマンジャロ・リベルサスを併用する際の注意点にまとめています。

腎機能は、クレアチニンとeGFR(推算糸球体濾過量)で確認します。eGFRは推算値であり、筋肉量などの影響を受けます。eGFRが低いという結果だけで、薬の使用可否は決まりません。一方で、GLP-1関連薬の使用中に嘔吐や下痢が続くと、脱水を通じて腎機能が悪化することがあります。強い腹痛や繰り返す嘔吐がある場合は、服用や注射を漫然と続けず、医療機関へ連絡してください。

マンジャロかリベルサスかは検査値だけで決まらない

マンジャロは週1回の注射薬、リベルサスは1日1回の内服薬です。リベルサスは、1日の最初の食事や飲水の前に、空腹の状態で少量の水とともに服用し、服用後もしばらくは飲食や他の薬の服用を避ける必要があります。この服用方法を守れるかどうかも、薬を選ぶうえでの判断材料のひとつです。

薬の選択は、健診結果の一項目だけで決まるものではありません。以下のような要素をあわせて考えます。

体格や減量の必要性、血糖・肝機能・腎機能の状態、胆石や膵炎の既往、現在の胃腸症状は、医学的な適否に関わる要素です。服用中の薬、妊娠・授乳・妊娠希望の有無は、使用できる薬の範囲に影響します。注射と内服のどちらを続けやすいか、費用や通院を継続できるか、本人の希望は、続けやすさに関わる要素です。

マンジャロとリベルサスのどちらが優れているかを、一律に比べることはできません。健診異常の種類から薬を自動的に割り当てることもしません。医学的に減量の必要性が乏しいと判断される場合は、薬を使わない選択もあります。薬は、食事、運動、睡眠の代わりになるものではありません。

体重が減少すると、血圧や血糖、脂質の数値が改善することがあります。ただし、生活習慣病の薬が不要になるとは限りません。薬の減量や中止は、血液検査の結果を基に主治医が判断します。自己判断で減らしたり、やめたりしてはいけません。減量後の生活習慣病薬の見直しについては、体重が減った後に生活習慣病の薬を見直す方法で扱っています。

医療機関を選ぶときは診療内容を見る

美容クリニック、オンライン診療、内科、ダイエット外来のいずれであっても、施設によって診療内容は異なります。診療科名や看板だけで、良し悪しを判断することはできません。

確認したいのは、医師が診察したうえで処方しているか、健診結果や血液検査の結果を見ているか、お薬手帳を確認しているか、という診療体制です。減量目的での使用が適応外使用にあたる場合、その説明があるかどうかも判断材料になります。体重だけでなく、血圧や血糖、肝機能・腎機能まで一緒に見てもらえるかどうかも確認してください。副作用が出たときの相談先が明確にあるか、必要に応じて保険診療や他科受診を勧める姿勢があるかも、見ておきたい点です。

美容クリニックが一律に不向きというわけではなく、内科系の医療機関であれば必ず適切というわけでもありません。処方前にどこまで確認しているかという診療内容を見ることが、医療機関を選ぶ際の判断材料になります。処方場所ごとの詳しい比較は、ダイエット薬を処方してもらう医療機関の選び方で解説しています。

受診前に準備するもの

受診時には、直近の健診結果を持参してください。過去1〜2年分の結果があれば、数値の変化を確認する材料になります。お薬手帳、市販薬やサプリメントの情報も準備してください。血圧を自宅で測っている方は、その記録も参考になります。

体重が増え始めた時期や、胆石・膵炎・胃腸症状の既往、妊娠・授乳・妊娠希望の有無も、事前に整理しておくと診療がスムーズです。健診結果の項目が十分にそろっていれば、当日の追加の血液検査なしで判断できる場合があります。ただし、結果が古い場合や項目が不足している場合は、あらためて血液検査を行います。初診で確認する内容の詳細は、ダイエット外来の初診で確認することにまとめています。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で相談先を探している方へ

富士市、富士宮市、沼津市周辺で、健診結果をきっかけに体重管理を検討している方は、健診異常があることを理由に相談をためらう必要はありません。

当院のダイエット外来では、健診結果とお薬手帳を参照し、必要に応じて血液検査を行います。糖尿病や肝疾患などの評価を先に行うべき状態であれば、自由診療の薬を急いで開始することはしません。希望された薬を必ず処方する診療ではなく、体調や検査結果を踏まえて、使うかどうかを含めて相談する場です。

富士市・富士宮市での医療ダイエット沼津市でのダイエット外来の選び方についても、あわせてご覧ください。

おしまいに

受診時には、直近の健診結果とお薬手帳を持参してください。過去の結果や家庭血圧の記録があれば、数値の変化も判断材料になります。

「要精密検査」「要治療」と記載されている場合は、自由診療の薬を急いで始めず、病気の評価を先に受けてください。生活習慣病の薬は、自己判断で中止してはいけません。

富士市・富士宮市・沼津市周辺で、健診結果と体重管理をまとめて相談したい方は、結果を持参して受診してください。

よくある質問(FAQ)

健康診断で異常を指摘されていても、ダイエット薬を使えますか?

ダイエット外来へ相談することはできます。実際に薬を使えるかどうかは、異常値の種類や程度、持病、服用中の薬によって判断します。糖尿病や肝疾患などの評価を先に行う場合もあります。「異常値があるから使えない」とも、「異常値があっても必ず使える」とも言い切れません。健診結果を持参すると、判断がスムーズです。

HbA1cが高ければ、マンジャロを保険診療で使えますか?

HbA1cの数値だけで、保険適用は決まりません。マンジャロを保険診療で使うには、糖尿病の確定診断が前提になります。糖尿病と診断された場合でも、マンジャロが必ず選ばれるわけではなく、他の治療薬が選択されることもあります。肥満目的で使う場合は自由診療となり、保険診療とは扱いが異なります。

肝機能の数値が高い場合、マンジャロやリベルサスは使えませんか?

数値が高いというだけで、一律に使用できないとは決まりません。AST、ALT、γ-GTPの上昇は、脂肪肝以外の原因でも起こります。原因と程度を調べたうえで、肝臓の評価を先に行う場合もあります。詳しい判断の目安は、肝機能・腎機能に異常がある場合の医療ダイエットで解説しています。

血圧やコレステロールの薬を飲んでいても受診できますか?

服薬中でも受診できます。受診時にはお薬手帳を持参してください。ダイエット薬との併用可否は、薬の種類と現在の健康状態によって判断します。生活習慣病の薬を自己判断で中止してはいけません。降圧薬や脂質異常症治療薬との関係は、それぞれの専門記事でも扱っています。

健康診断の結果を持参すれば、血液検査を省略できますか?

健診結果の時期と項目によります。血糖、肝機能、腎機能、脂質などの項目がそろっていれば、その結果を活用できる場合があります。結果が半年以上前のものであったり、項目が不足していたりする場合は、あらためて血液検査を行います。初診の流れは、ダイエット外来の初診で確認することで詳しく説明しています。

【参考文献】
  1. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
  2. 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2024-2025」
  3. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)マンジャロ皮下注(チルゼパチド)添付文書
  4. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)リベルサス錠(セマグルチド)添付文書
  5. 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
  6. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
  7. 日本肝臓学会・日本消化器病学会「MASLD診療ガイドライン」
  8. 日本腎臓学会「CKD診療ガイド」
  9. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」
  10. 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」
  11. 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次